六兆年と鬼物語   作:幻月

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第四話 特異な存在と女性と天狗

 ボクは死んだのだろうか…? たしかあの時弓矢が飛んできてどこかに当たったんだよな… いや、まだ考えることができるってコトは僕はまだ生きているのかな? でも目を開けるのが怖いなぁ… 目を開くと彼女以外の知らない人が居たらやだしなぁ… 

 

「…っ……! 」 

 

 ん?何か声が聞えるなぁ。本当に死んでしまったのかな? 

 

「ね…ねぇ生きてるよね?目を開けてよ!! 」 

 あぁ…生きてるんだ。でも彼女が無事ならそれだけでよかったけどなぁ。 

 

 

 ゆっくりと少年が目を開けると、ぼんやりと視界にたくさんの星が目に入った。先ほどまで意識のあった草むらとは違い、ゴザが敷いてあった。 

 

 

 ゴザ…?  

 彼女はゴザなんて持ってなかった。つまり他の人が持ってきたのか? 

 

 目を開けたが、体を起すのを恐れている。しかし、少女は少年の背中に手をやり、ゆっくりと体を起してくれた。

 まず視界に入ったのは、心配している少女の顔だった。そして、右を向くと、小屋があった。

「!? 」

 少年は小屋を観た瞬間体が震えだした。

「大丈夫っ!山にある小屋だから!!!あと…」

 少年が少女の言葉を理解する前に、小屋の扉が開いた。

「大丈夫か?」

 出てきたのは人間だった。

「に…人間!!! 」

 少年は思わず叫んだ。 小屋から出てきたのは、二十歳くらいの女性

肩より少しながい髪。そして、一番の印象は背中に折りたんだ弓を背負っているだ。

「き…貴様!!! 」

 少年は条件反射で近くに落ちていた木の棒を持って女性に向って走った。

 

      

 

                

 

 グイッ

 

 

 

 

 

 「!? 」

 

 

 

 

 パァンッ!!

 

 

 

 

 

「グハッ!? 」

 少年は、少女に服をひっぱられ、顔を少女の方に向けられて、顔面を思いっきり叩かれた。そして、体の軸がずれて、地面に転がった。

 

「バカ!! 」

 少年は、数秒の間思考能力が全く働かなかった。

「だ…だって人間だよ!! 見つかれば殺されちゃうかもしれないんだよ。いや…見つかっているけど…。」

 少女は少年を無視してそっぽを向いていた。

 

 すると

 

「はっはっは」

 豪快に笑っていたのは、小屋から出てきた人間だった。

「安心しろ。この弓をお前を撃ったヤツから奪ったものだ。ちなみにケガは軽めですんだが、大丈夫か? 」

「はぁ?そんな嘘しんじ…」

 

 

 パァン!!

 

 

「ぐふっ!! …ち…ちょっと落ち着いて。首が飛んでいっちゃうから!!! 」

 少女は、こっちを睨みつけながら小刻みに震えていた。おそらく、少年が倒れている間ずっと側に居て心配をしていたのだろう。なのに少年はそんなことお構いなしに女性に失礼な態度をとってしまった。こんな経験はこれまでに無いので(ずっと小屋に居たから)、今後はもう少しよく考えてから行動をしようと、頭の中で考えた。

   

「ゴホンッ!! 」

 

 少年はわざとらしい咳をして女性に問う。

「えっと…。あなたは誰ですカ?それと…何で助けてくれたんですか? 」

「あ…!! 私も名前聞いてなかった」

 少女も、名前すら聞いてなかったようで、『おい…』と少年は突っ込みたかった。

「…そういえば名乗ってなかったな。話せば難しいが、簡単に一言で言えば、この世界でも特異な存在【天狗】だ。本当の名前は知らないが…。まぁ信じてもらえるのならうれしい。はっはっは!! そもそも天狗というのはな… 」 

 

「「…!!?」」 

 

 少年は女性…いや、自称【天狗】が話していることは、はっきりとは信じることができなかった。しかし少年自身も人々には【鬼】と呼ばれて小屋に閉じ込められていたが、天狗は閉じ込められるどころか、自由に生きている。その二つの決定的な違いはなんなのだろうか。そして何故彼女が自らを【天狗】と理解しているのか。少年ですら人々に鬼と呼ばれようと、決して自らを鬼だとは信じなかった。

「…というわけだ。…って!!二人とも話し聞いてなかったな。はっはっは。」

 少女も少年と同じ考えをしており、言葉が出ない様子だった。

「…まぁ、お嬢ちゃんは小屋の中でゆっくりと休みな。少年の看護は私がやっておく。」

 女性の言葉を聞いた彼女は、無言でお辞儀をして サササ と小屋の中に入っていった。

「…助けてくれたことは感謝します。でも、ボクは人間が苦手なんだ。彼女は例外だけど…。ボクも小屋の中で休ませてもらえるかい?」

「はっはっは!! まぁ落ち着け【同士】。お前の正体は大体見当がつく。私たちと同じ特異の存在なのだろう?そして、風の噂によるとお前は、人間に捕まっていたらしいな?」

「!!」

 声が全く出なかった。単に、女性の言っていることが図星だたからでなく、彼女は少年を【同士】と言ってくれた。

 しかし一方でとても苦しい気持ちになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは、『少年も女性と同じ特異の存在』であることを意味していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少年は、今まで生きてきて一度でも自らを人間と違う存在─【鬼】と考えた事が無い。自分顔にであることを信じてしまえば人間に暴行をされてもおかしくないからだ。

 とにかく言い訳が欲しかっただけかもしれない。それでも自由に外の世界に出たかった。

 それが実現したのはほんの数刻前だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし女性から更なる衝撃を与えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先ほども言ったとおり私は【天狗】だ。しかしお前は特異な存在を信じないだろ?ならば一緒に山の祠にこい。今夜、そこに我々の【同志】が集まる。」

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