やあ、転生者のシロナさんだよ。
入学試験を無事突破して、どうにか難関校『デュエルアカデミア(極東エリア)』に進学できました。
だけど十代くんには負けちゃいましたね。流石は主人公、さすじゅう。
いやー、ガラにもなく熱くなっちゃってエンタメに走ってエライ目にあったねえ。
嘘だよ。
本当は素がラッシュデュエルの出だから、墓地から除外って発想が無くて、セットモンスター=壁としか認識してなかっただけだよ。
結果論だけど、彼処で『古代の機械巨人』じゃなくって、モンスター2体で攻撃してれば勝てたかなあ?
いや、でも『増援』と『団結の力』握ってたからなあ。
結局ターン数が間延びするだけで大筋は変わらなかった気もする。
それだったらギアゴーレム出して勝負に出た方が良かったかな。
2体の方が手筋としては正解だった気もするけど。
まあ、クロノス先生が喜んでたし、いっか。
自分は悔しかったけど、周りの受験生達の反応も割と好意的だったしねえ。
遊戯王世界って負けた側にめっちゃ酷しいだろうと思ってたけど、意外とみんなの反応良かったなあ。
みんな優しくて嬉しん。
ただ、『古代の機械』デッキは暫くオーバーホールかなあ。
あの試合、『歯車街区』があれば多分勝ててた。
デッキの回転は良かったけど、大型モンスターの展開をフィールド魔法に依存するのは危険かもしれない。
ガジェルコアやビーストの中堅モンスターでのウィニーか、リリース要員を高速で準備してアドバンス召喚を狙うか、はたまたフュージョン召喚軸にするか?
とにかく明確なビジョンが見えてから1度バラして組み直そう。
クロノス先生みたいにギアゴーレムを安定して召喚できたらカッコ良いんだけどなー。
まあ何にせよ、『古代の機械』はお休み。
次はもう少し展開力の高いデッキを創ろう。
テーマは何がイイかな?使いたいカードが一杯あって目移りしちゃうねえ。
―――おや、デュエルディスクに着信が。
お相手は………響先生?
そうそう、デュエルディスクってKC自前の通信衛星を解してメールが送受信できるんだよ。
更に複雑な計算や文章作成、音楽アプリまで入れられるんだから凄いよねえ。
ところで自分、KCのプロバイダ契約とかしてないんですが、なんでこのディスク普通に通信できるのσ(のヮの)
ホント、なんなのさコレ………
ま、まあイイや。
とりあえず響先生のメールを確認してみましょう。
んー、待ち合わせ?
場所はアカデミアモールのカフェか。
なんだろう?指定場所を考えると、何か個人的な相談かなあ。
ふうむ、まあちょうど今は用事や予定も無いし、行ってみようかなあ。
えー『了承いたしました』………っと。
じゃあ行ってきますか。
――――――――――――――――――――
と、言うわけで、待ち合わせのカフェに遣ってきたワケですが、
「お待たせしました、響先生。それに、十代くんもこの前ぶりです」
「ああ、いらっしゃい小鳥遊さん。待っていたわ」
「よっ!シロナ!………十代『くん』、かあ」
微笑む響先生と、苦笑いで迎える十代くん。んん?
「?どうかした?」
「ああ、いや、なんでもない。別に大したことじゃねえよ」
手をパタパタさせて否定する十代くん。ふぅん、自分何かしたかしら?
クスクスと笑う響先生。なんやねん。
「あ、ごめんなさい。急に呼び出しちゃって。とりあえず座って、何か注文する?支払いは気にしなくても良いわ」
「お気遣いいたみいります。それじゃあアイスラテを」
「アイスラテね、わかったわ。店員さん、注文お願い」
「かしこまりました」
先生がウェイターさんにドリンクと軽食を注文しているのを横目に、自分は先程からテーブルに突っ伏して微動だにしない小柄な男の子に視線をやる。
「十代くん、その子は?」
「ああ、コイツは翔って言う、俺と同じオシリスレッドの仲間なんだ。………おい、翔!」
「うう………なんすか兄貴………って、誰っすか………え"」
十代くんに揺さぶられ、顔を上げ固まった男の子を、自分は知っていた。
「おや?キミはもしかして、『丸藤 翔』くん、ですか?」
「そう言うアナタは小鳥遊城那さん!?入学試験で兄貴と闘った、あの!?」
「あれ、シロナ。翔に遭ったことあったのか?翔のこと知ってるのか?」
「もちろん知ってますよ。自分と同じ新入生で、『ビークロイド』使いなんですよね」
「ええっ!?なんでそこまでボクのことを?ボク達、今日が初対面っすよね!?」
ビックリマンな二人に、答える前に響先生が答える。
「それは“機械族の使い手だから”よね、小鳥遊さん」
「どういう意味っすか?」
「今のデュエル環境は機械族が強いからねー」
「え?機械族?」
「そうそう。現環境は機械族マンセーと言っても過言じゃないですからねえ。
機械族の使い手の生徒は大抵リサーチしてますよー。
彼の有名な『サイバー流』に『サイコ流』、クロノス先生の『古代の機械』
元全米チャンプの『バンデッド・キース』の使う『リボルバー・ドラゴン』カテゴリに、『デモニック・チューターΩ』
それから確か、世界に1枚ずつしか存在しない『プラネット・シリーズ』の1枚。
『The big SATURN』の持ち主がノースアメリカ・エリアにいるらしいですし、
当然、ビークロイド使いの翔くんもリサーチ済みですよ」
いや、本当。
この時期の機械族って強いですよねえ。
実際、現在アカデミア最強の一角であるカイザー亮もサイバー流だしねえ。
あとコンスタントに強いのは戦士族・魔法使い・悪魔・海竜あたりかな。あと地味に爬虫類。
「へえぇ、機械族ってそんなに強かったんだな」
「そだよー、特に強力なのが爆発力の高いサポートカードかなぁ」
「サポートカードってどんなのっすか?」
「そうだねえ、たとえば専用コンバット・トリックの『リミッター解除』とか」
「あ、それボクが持ってるヤツっす!」
「他には?」
ちょっと考える素振りをし、
「あとはまあ………やっぱり『パワー・ボンド』かなあ」
「!それはっ!!」
「「……………」」
「?」
なんだろう。
十代くんがめっちゃ「ガタッ」したし、響先生は難しい顔してる。
あと翔くんがまたショボショボし始めちゃった。orzみたいな。
「えー………どうかしたんですか?」
「奪(と)られたんだよ」
「とられた?」
「小鳥遊さん、貴女、今アカデミアで研修中の講師候補『龍牙先生』って知ってるかしら?」
その問いに思わず顔をしかめる。
「その反応は、“知っている”ってことで、良いかしら」
「ええ、まあ、はい。知ってます。評判悪いですよね、あの先生」
「どんな評判なんだ?」
「なんでも、アカデミアで『50連勝できたら正式に指導講師に採用する』って条件で招かれたとか
実際、実力はあるらしいですけどね。
悪い噂が絶えなくて、正直自分は“あーゆータイプ”の人間は嫌いかなあ」
運ばれてきたアイスラテを、啄むようにカップに口をつけて、つつ…と吸い込む。
「曰く、暴言や暴力、誹謗中傷、恫喝や脅迫を好んで行う。
曰く、自分がイニシアチブを捕り易い、気弱な生徒を主に標的にしている。
曰く、デュエル中にイカサマを仕掛けてくる。
曰く、負けた生徒を恫喝してレアカードを強奪している」
「そんな噂になってんのか!?」
「そ、それって、ボクは最初っからカモにされてたってことっすか………!?」
「自分も噂だと思ってたけど、どうやら本当みたいだねー。
話の流れから察するに、翔くんは龍牙先生にパワー・ボンドのカードをカツアゲされたと?」
「そうっす、昨日の放課後に一人でいるところを龍牙先生に呼び止められて、デュエルをしたっす」
「翔くんは勝ったんですか?」
「負けちゃったっす………そうしたら、龍牙先生が『貴様のような雑魚にこのカードは勿体無い』って………!」
「パワー・ボンドを盗られた、と」
「はい………でもおかしいんす!デュエル中、ボクは『スーパー・ビークロイド』を融合しようとしたけど、魔法カードが発動できなくって………!」
「ああ、そう言うイカサマですか。せっこ………」
「ん?融合ができないってとこか?」
「いや、もっと単純に『相手の魔法カードを発動出来なくする』ってこと。
そう言う装置を内蔵した、小型のデバイスがネットに出回ってるので」
十代くんと翔くんが目を丸くする。
響先生は目を細める。そこはかとなく冷気を纏っている………気がする。怖いです………
「悔しい………」
翔くんがポロポロと泣き崩れる。
「アイツのデュエルがおかしいって気付いてたのに………!
アイツにカードを渡しちゃいけないって、思ったのに………!
ボクに勇気が有れば………!『お兄さん』みたいに強ければ………!うっ………うう………」
「翔………」
十代くんが翔くんの背を擦る。
こういう時、自分に出来ることは………
「それは違うよ、翔くん」
「え………?」
翔くんの手を両の手で握る。
「翔くんって身長150くらいでしょ。
龍牙先生は確か180くらい。
自分よりも頭1つ以上大きい相手に威圧されたら誰だって怖いよ。
自分だって怖いです。
そんな相手に下手に逆らったら、翔くんは今頃病院送りにされていたかもしれない。
しかもカードも奪われて」
恐らく当時、周囲に人気は無かったのだろう。
そんな状況なら、きっと龍牙先生は躊躇せず、翔くんに襲いかかっていた筈だ。
殴る蹴るなら可愛い方。
もしかしたら、もっと酷い目に遭っていたかもしれない。
「そ、それは「だから」………!」
ぎゅっ、と強く、手を握り締め、目を見て、微笑む。
「あなたが、無事で良かった」
翔くんは自分の手にすがるように嗚咽を洩らした。
――――――――――――――――――――
結局泣かせてしまったねぇ………
何が悪かったのかな。
翔くんの為に、何かをしてあげたいと思った。
けれど、それって単なるエゴだったのかなあ。
やっぱり自分ってコミュ障なんですねえ。
ホント嗤える。あんたもそう思うだろ?
「シロナ、どうした?」
「ん?何が?」
「いや、今のお前、なんか………あー」
「?」
「いや悪ぃ、なんでもない」
なんじゃい。
そんな言われ方されたら気になるじゃろが。ハッキリせんとね。
「翔くんのことなら、大丈夫よ」
「響先生?」
「小鳥遊さんの気持ちはちゃんと通じたわ。だからそんなに気に病まなくても良いのよ」
「そう………なんですか?」
「そうよ」
そうなのかな、そうだったら良いな。
「それにしても龍牙のヤロー、許せないぜ!」
十代くんが憤慨してる。
「オレ、ちょっと行ってあんにゃろー、デュエルでぶっ倒してくる!そんで翔のカード獲り返してくる!!」
今すぐにでも飛び出そうとする十代くんの手を掴んで引き留める。
「あのさ、そのことなんだけどね」
胸がモヤモヤする。
腸の中に黒い澱が溜まってムカムカする。
こんなの、この世界に来て、初めてだ。
だから―――
「自分に任せてくれないかな?」
「お前に?」
「うん。頼むよ、“十代”」
「…!あ、ああ、それじゃあ、お前に、その」
「うん」
「………任せたぜ!シロナ!!」
「任された。十代の分まで、キッチリ片をつけて来るよ。
ところで、響先生。」
響先生に向き直り話を振る。
「ちょっと、お願いがあるんです」
「あら、何かしら」
「龍牙先生の不正を暴く為に、クロノス先生の協力が得たいんです。なので………」
「クロノス先生に直接相談したい、と言うことね」
「はい、お願いできますか?」
「わかったわ、そう言うことなら、なんでも手伝うわよ」
にっこりと微笑む響先生が、この上なく頼もしかった。
誰か!続きを書いてくれー!!
俺はラッシュデュエルの小説が読みたいんだ!
SEVENSでもゴーラッシュでも良い!
誰か書いてくれ!
自炊しようにも物書きムズいんじゃあ!!
俺の文章は面白いんか!?
これでみんな満足さん出来るのか!?
ああ………誰か………誰かラッシュデュエルを………ラッシュデュエルの小説を………