まあ、そもそも主人公のオリ娘のキャラも掴めてないんですけどね!
「貴様か、クロノスの言っていた、私の最後の挑戦者とは」
アカデミア視聴覚室。
その扉を無遠慮に開けて、長身の男が入室してくる。
「お待ちしていました、龍牙先生。
自分、本年度よりアカデミア・ラーイエロークラスへ入学致しました、小鳥遊城那と申します。
わざわざ御足労頂き、実にありがとうございます」
左手で胸元を押さえ、右腕を軽く広げるようにして、お辞儀。
自分のわざとらしい慇懃な挨拶に、不快気に鼻を鳴らす龍牙先生。
「ふん、礼儀を知らんようだな」
悪態を吐く彼に、自分は肩を竦める。
「礼儀知らずはお互い様でしょう、『クロノス先生の太鼓持ち』の龍牙“先生”」
「なんだとぉ!?」
「ああ失礼。なにぶん育ちが良いので嘘が吐けないんです。
まあ、何処かの誰かさんは、普段はペコペコしてるのに、本人が見ていないところでは上司を呼び捨てにするのが常識のようですが」
「な!………ッチ」
先程、ついクロノス先生を呼び捨てにしていたことに気がついて舌打ちをする。
「いやはや、相手によって百面相が社会人の処世術と言うワケですか。大変ですねサラリーマン」
「………ふん、能書きはいい小娘。私の質問に答えろ。挑戦者は貴様か?」
「はい、僭越ながら、不肖小鳥遊城那。龍牙先生の最後のお相手を努めさせて頂きます」
「………クハッ!身の程知らずめ。貴様のことは知っているぞ。入学テストでオシリスレッドの落ちこぼれに負けた出来損ないだろう。
その程度のタクティクスと脳ミソで、この私に勝てると思っているのか?」
堪えきれぬとばかりに吹き出す龍牙先生。
自分は首を傾げ、疑問を呈す。
「はあ、あの先生。先生は『勝てる』と分かっている相手としか、デュエルなさらないんですか?」
「なんだと?」
「『勝負』なんて勝ちも有れば負けることだってあるでしょう。
先生は、『必ず勝てる勝負』しかしないんですか?だとしたら、先生。アナタは」
そこで1度、言葉を句切る。
「『だとしたら』?『だとしたら』………なんだ、言ってみろ」
「だとしたら、先生。アナタ、教師、向いてないですよ」
ビキッ!
龍牙先生の顔が真っ赤に染まり、額に青筋が浮かぶ。
「龍牙“先生”、アナタは仮にもアカデミアの『教師』を目指してるんでしょ?
アカデミアでのアナタの職務は『生徒がプロデュエリストとして活躍できるよう指導する』ことでしょ。
それは生徒にデュエルで勝てるようサポートすると同時に、
負けてしまった生徒のメンタルヘルスをケアし、モチベーションを高める激励や啓発を行うことでもあるでしょう。
先生、アナタまさかと思いますが、負けた生徒に毎回『落ちこぼれ』だとか『出来損ない』だとか罵倒するつもりなのですか?」
「知ったことかっ!!!」
「……………」
どす黒く変色した顔で、眼鏡がずれるのも構わず、唾を飛ばしながら叫ぶ。
「『教師』だと?馬鹿馬鹿しい!私はそんな安っぽい地位で留まる積りはないっ!!
まずはアカデミア!実技筆頭のクロノスを追い落とし、いずれは校長、理事会に食い込み、デュエル界の頂点に君臨するのだ!!
生徒など、その為の踏み台に過ぎん!
雑魚のガキの10人や100人破滅したところで、私の知ったことではないわあ!!」
「………そうですか」
大きく嘆息する。
憐れなヒトだ。
分かってはいた。こんな世界だ。悪人や悪党の1人や2人はいるだろうと思っていた。
しかし、剰りにも卑小だ。矮小と言っても良い。
他人の恨みを一番買うタイプの悪党。
彼が将来的に成功するビジョンが全く見えない。
だからこそ、憐れだ。
身の丈に合わない野心にかられて、身を滅ぼす。
破滅型の典型のようなヒトだ。
なればこそ。
左腕を構え、デュエルディスクを展開する。
「それじゃあデュエル、始めましょうか」
龍牙先生もディスクを構える。
「ふん!私は今日までに49連勝を重ねてきた。小娘!貴様も私の野望の礎にしてくれるわ!!」
「「決闘(デュエル)!!」」
「先行は自分から、ドロー」
手札を確認。
「自分は手札からレジェンドモンスター『カードガンナー』を通常召喚」
「ふん、何が『レジェンドモンスター』だ。ただのカードガンナーではないか」
「カードガンナーのモンスター効果。
デッキからカードを3枚まで墓地へ送り、カードガンナーはターン終了時まで、攻撃力1500アップ」
カードガンナー
ATK400→1900
「続いて、自分は手札から魔法カードを発動します」
「!………ククク」
自分はカードをフィールドに“セットして”
「…おや?」
「どうした?何か魔法を使うのではなかったのか?」
「ふぅん………いえ、自分はカードを2枚セット。このままターンエンドです………」
戸惑ったような自分の所作に、龍牙先生は嗤いを堪えもせずカードをドローする。
「クハハハ!私のターン、ドロー!
私は手札から『首領亀』を通常召喚!更に首領亀のモンスター効果!手札からもう1体、首領亀を特殊召喚する!」
「リバースカードを発動します」
「なにぃ!?」
「レジェンド罠『第六感』自分は1~6の内、数字を二つ選ぶ。自分は5と6を選びます。
自分は6面ダイスを振り、選んだ数字が出た場合、その枚数ドロー。
外れた場合、出た目の数だけデッキからカードを墓地に送ります」
自分はポケットから取り出したサイコロを適当に投げる。
出た目は………6。
「当たりましたね。自分は6枚ドローします」
「なんだとぉ!?小娘!貴様イカサマをしたのではないだろうな!!」
予想通り、騒ぎ立てる先生。
「じゃあ、もう1回振ります」
「なに?」
「自分は今度も5、6を選択。
さっきと同じ目が出たらドローしたカードは捨てます」
自分は再びサイコロを放る。
出た目は、再び6。
「おや、また同じ目ですね。約束通り、ドローしたカードは全て墓地へ捨てます」
「ふん、やはりイカサマか」
「別に決めつけるのは勝手ですが、せめて証拠くらいは提示して欲しいですね」
「口の減らないガキが。すぐに黙らせてやる………!
(ククク、バカめ。先程使おうとした魔法カードをそのままセットしたのは確認済みだ………
今あのガキは『魔法カードが使えない』!!つまりヤツの場には攻撃力400のカードガンナーが1体突っ立っているだけ!!隙だらけだ!!)」
龍牙先生は威勢に任せ手札からカードを繰り出す。
「魔法カード発動!『二重召喚』!!
このターン、私はもう1度通常召喚出来る!!
私はフィールドの2体の首領亀をリリース!
手札から『サイバー・ダイナソー』をアドバンス召喚!!」
『サイバー・ダイナソー』
星7/光属性/機械族/ATK2500/DEF1900
「……………」
「くっくっく、バトルフェイズだ小娘!サイバー・ダイナソーで、カードガンナーへ攻撃!!」
輝く金属の巨大なティラノザウルスが、大きく顎を開けてカードガンナーへ突進してくる。
「死ね、カードガンナー!」
「………リバースカード、オープン」
「なに!?」
「罠カード『ハーディフェンス・ミッション』
レベル8以下、攻撃力2500以上の攻撃モンスターを破壊します」
「な、なんだとぉおおおおお!?」
突如として背後からの砲撃を受けたサイバー・ダイナソーは爆炎に包まれ消滅する。
「な、小娘!貴様、これはどういうことだ!?」
「はあ、『どう』とは?」
「とぼけるな!貴様、前のターンにセットしたのは魔法カードの筈だろう!!」
「………誰がそんなこと言ったんですか?」
「な、なに?」
「自分は確かに『魔法カードを発動』とは言いましたが、
『セットカードが魔法カード』だなんて、一言も言ってませんよ」
「な、なな………」
ワナワナと怒りに震える龍牙先生。
………イカサマを前提に戦略を建てるから、視野が狭くなるんですよ。
ホント、救えない。
「さて、モンスターは居なくなったワケですが、ターンを続けますか?」
「っ!………ターンエンドだ!
(落ち着け、このガキが魔法カードを使えないのは確かだ!
今はなんとか威勢を保っているが、直ぐに力尽きる………その時がこのガキの最期………
そして私は正式にアカデミアの指導員に成るのだ………!!)」
「それでは、自分のターン。ドロー。
………メインフェイズ、先ず自分はカードガンナーのモンスター効果を発動。
デッキからカードを3枚墓地へ送り、その後、更にカードガンナーを墓地へ送って1枚ドローします」
ディスクから排出されたカードを右手で引き抜き、確認。
「それでは自分は、手札からレジェンド魔法
『強欲な壺』を発動します。デッキから2枚ドロー」
「……………は?」
一瞬、空気が凍る。
龍牙先生は状況が理解出来ないのか、呆けた表情で固まっている。
自分はそれを敢えて無視し、手番を続ける。
「自分は手札から魔法カード『スター・リスタート』を発動。
手札を1枚デッキに戻し、墓地のレベル5以下の通常モンスターを特殊召喚。
蘇れ『E・HEROフェザーマン』!!」
「………っは、E・HERO、だと!?貴様、『古代の機械』使いの筈では!?」
「いや別に。あれは単なるクロノス先生へのリスペクトですし。
それに今、あのデッキは自分の手元に有りませんし」
「てっ、手元に無い………?」
「続けます。スター・リスタートの効果で墓地から魔法カード『フュージョン』を回収。
手札から『E・HEROスパークマン』を通常召喚。そして――――『フュージョン』」
フィールドの空間が渦を巻き、フェザーマンとスパークマンが呑み込まれ、融け合ってゆく。
「春雷轟き冬は去り、春嵐来たりて花芽吹く。翼を翻し、羽ばたけ!!
フュージョン召喚!!舞え!『E・HEROボルテック・ウィングマン』!!」
『E・HEROボルテック・ウィングマン』
星5/光属性/戦士族/ATK2000/DEF1600
「ふゅ、フュージョン召喚………?なんだ、そのモンスターは………」
「ボルテック・ウィングマンのモンスター効果。
このモンスターをフュージョン召喚したメインフェイズ。
墓地のモンスターを素材としてデッキに戻し、レベル6~8の戦士族モンスターをフュージョン召喚できる」
「んなあっ!?」
「墓地の『E・HEROフェザーマン』と『E・HEROバーストレディ』をデッキに戻し―――」
再び空間が渦を巻き、フェザーマンとバーストレディが混ざり合う。
「十代!!力を借りるよ!!
フュージョン召喚!!マイフェイバリットヒーロー!!『E・HEROフレイム・ウィングマン』!!」
地を走る熱風から、竜の腕を持つ巨漢が飛び出し、着地する。
『E・HEROフレイム・ウィングマン』
星6/風属性/戦士族/ATK2100/DEF1200
「こんなバカな………こんなこと………ある筈が………」
龍牙先生は最早、立っていることも出来ないのか、フラフラと壁に手を着いている。
しかし、まだ自分のメインフェイズは終わっていない。
「自分は手札から魔法カード『ミラクル・フュージョン』を発動します」
「みらくる………ふゅーじょん」
「このカードは、墓地のモンスターを素材にしてデッキに戻し、戦士族フュージョンモンスターをフュージョン召喚します。
自分が素材にするのは“2枚目の”フェザーマンと“2枚目の”バーストレディ」
「あ?2枚目?」
どうやら本当に視野が狭くなっていたらしい。
「先生、自分が前のターンに何枚カードを墓地へ送ったか、覚えてますか?」
「………あ」
「1ターン目のカードガンナーで3枚、『第六感』の効果で6枚、このターンのカードガンナーで3枚、計12枚ですよ
当然それだけ墓地に送れば同じカードが複数落ちてもおかしくないでしょう」
「バカな………」
教室の空気が裂け、噴き上がるマグマが、舞い散る火の粉が、炎の翼となって降臨する。
「三度、フュージョン召喚!!
これは翔くんの悲哀の涙、十代の友を思う怒りの烈火、そして―――
自分から貴方への、別れの手向けです。
燃え上がれ!!『E・HEROバースト・ウィングマン』!!」
『E・HEROバーストウィングマン』
星6/炎属性/戦士族/ATK2100/DEF1200
「バースト・ウィングマンのモンスター効果。
デッキからカードを1枚墓地へ送り、自分フィールドの戦士族モンスター1体の攻撃力を1000アップする。
自分は………フレイム・ウィングマンを指定」
フレイム・ウィングマン
ATK2100→3100
「ひ………あ………」
「総攻撃力8200………フィールドはがら空き。詰みです」
「さ………」
「はい?」
「サレンダー………サレンダーだ!こんなバカみたいなデュエル、やってられるか!サレンダーだ!!」
「ダメです」
「なに!?」
「だからダメです。サレンダーはさせません。
これ、知らないヒトも多いですが、サレンダー(投了)ってお互いのプレイヤーの合意がないと、出来ないんですよ。
だからダメです。サレンダーは拒否。
このままバトルフェイズに移行します」
「貴様、鬼かっ!!」
「はい、なにぶんまだ餓鬼なもので」
「ッッッ、この!!」
「バトルフェイズ!!3体のモンスターでダイレクトアタック!!!」
「ひっ!!」
雷鳴が、疾風が、烈火が。
三位一体のエネルギーの矢となって、龍牙先生を貫いた。
「ふがあああああああああああああっっっ!!!」
絶叫と共に、龍牙先生はその場に崩れ落ちた。
龍牙先生
LP4000-8200→0
小鳥遊城那、WIN!!
――――――――――――――――――――
その後、龍牙先生は懲戒処分となり、教職資格を永久剥奪された。
案の定、龍牙先生の身に着けていた指輪に小型のデバイスが仕込まれており、デュエル中に起動することで、相手のデュエルディスクに干渉。
魔法カードを発動出来なくするイカサマを行っていた。
更に職員寮の自室から、生徒から強奪したと思しきレアカードが多数発見され、現在それぞれ元の持ち主への返還を行っているとのこと。
翔くんの『パワー・ボンド』も無事に返還された。
「こんな所に居たのね」
「あ、響先生。ごきげんようです」
響先生が対面の席に座る。
今自分が居るのはこの前響先生達と待ち合わせたカフェである。
いやあ、ここ居心地が良くって、すっかり気に入ってしまいましたねー。
「はい、これ」
響先生が銀色のデッキホルダーを差し出してくる。
『古代の機械』デッキだ。
「クロノス先生が大喜びしていたわよ。とても良いモノを見せて貰ったって」
「そうですか。喜んで貰えたなら幸いです。その………」
「どうかした?」
「いや、クロノス先生、怒ってませんでした?」
龍牙先生をアカデミアに推薦したのはクロノス先生だったと聞いている。
その龍牙先生の不正を暴き、退職に追い込んだのは自分だ。
カタチとしては、自分がクロノス先生に恥をかかせたことになる。
『古代の機械』デッキは、クロノス先生の協力を得る為の担保であり、場合によっては譲渡することも視野に入れていた。
「ああ、そう言えばクロノス先生から伝言が有るわ」
「なんでしょう」
「『デュエリストのデッキは大事な宝物ナノーネ』『簡単に手放したりしたらダメデスーノ』だって」
「え、そっち?ええと、怒ってたりは?」
「してないわ。寧ろ、鮫島校長もクロノス先生も、それから私も。みんな貴女に感謝してるわ。
本当に、ありがとう。それと、ごめんなさい。」
「………どうして謝るんです?」
「結局最後まで、貴女に任せっきりだったから。本当なら、私達教師が対処しなきゃいけなかったのに」
響先生が、申し訳なさそうに顔を歪める。
「えと、御気遣い、悼みいります。でも気にしないでください。
あれは自分が勝手に思い付いて、勝手にやったことですから」
「………小鳥遊さんは、良い娘ね」
頭を撫でられる。嫌な気はしない。しかし、
「『良い娘』なんですかね、自分は」
「なにか気にかかることでも?」
「いえ、まあ大したことでもないんですけどね」
窓の外の雑踏に目を逸らし、独白するように語る。
「自分には、嫌いなことが3つ有ります」
「嫌いなこと?」
「『ゲームをゲームとして楽しめないこと』『負けを負けと認められないこと』『勝ち以外に価値を見出だせないこと』」
「……………」
「龍牙先生とのデュエル、全然楽しくなかったです。
そもそも、自分は、『あの場に立ち会ってすらいなかった』んですから」
そう、あの日、あのデュエル。
自分はあの教室には居なかったのだ。
あの日、龍牙先生がデュエルした自分は教室の有線回線を利用したソリッドビジョンで。
本物の自分は全く別の場所からモニタリングしながらデュエルしていたのだ。
そもそも龍牙先生の指輪の射程距離は精々10m程度。
だから教室を2つ3つ挟めば届かないと解っていた。
「自分は結果的に、デュエルで龍牙先生の人生を破滅に追い込みました。
誰かに言われたからでなく、自分の意思で。
それって、本当に正しいことだったんですかねえ」
他人の人生なんて、背負いたくない。
でも、行動せずには居られなかった。
目の前で困ってる友達を、放っておきたくなかった。
でも、それって結局は、やっぱり自分のエゴだったんじゃあないかなー。
「エゴなんかじゃないわ」
「え?」
響先生が前髪を掻き上げながら言った。
「貴女は正しいことをした。私が保証する」
「なんでそんなことが言えるんです?」
「それはね――――」
響先生が、店の入口の方を指差した。
反射的にそちらの方へ目をむけると、
「「あああああああっ!!居たああああああああああああっ!!!」」
うわあああ声でっか!!
見れば十代くんと翔くんが、こちらに向けて走り寄ってきた。
「小鳥遊さん!やっと見つけたっす!」
「あ、ああ翔くん、こんにちわ。その様子だと元気になったみたいですねー」
「はいっす!クロノス先生がパワー・ボンドを返してくれたっす!
これも小鳥遊さんが龍牙先生をやっつけてくれたお陰っす!本当にありがとうございました!!」
『自分のお陰』………
自分は、誰かの役に立てたのかな。
翔くんや、十代くんの為になれたのかな。
響先生が、パチッと片目を瞑って微笑んでくれた。
「ボク、強くなるよ………!お兄さんや、兄貴や、小鳥遊さんみたいに!
誰にも負けないくらい強くなって、負けても立ち上がれるくらい強くなって!
今度は小鳥遊さんや兄貴達を助けられるくらい、強くなってみせるっす!」
この気持ちを、なんと表現すればいいのだろう。
胸の中に溜まった澱が、消えてゆくような、身体が軽くなるような、不思議な感覚。
なんだろう。でも、イヤじゃない。
「………ありがとう、翔くん」
「え?なんで小鳥遊さんがお礼を言うんすか?」
「ふふふ、さあなんでだろうね。秘密だよー。ね、先生」
「そうね、秘密ね」
クスクスと笑う先生と自分を、翔くんが不思議そうに見ていた。
「ああー!そうだ、おいシロナ!」
「声がデカい………なにさ突然………」
「お前、E・HERO使うことオレに隠してただろう!!」
「え」
「龍牙先生とのデュエルで、俺の知らないヒーロー使ってただろ!なんだよあのモンスター!格好良いじゃんか!!」
ちょ、なんで十代くんがあのデュエルの内容知ってるのさ。
あのデュエルをモニタリングしてたのは先生方だけの………ハッ!?
「響先生?」
「うふふ、ごめんね小鳥遊さん。あまりにも珍しいヒーローモンスターだったから、デュエルの映像を十代くんに見せちゃった☆彡」
「『見せちゃった』じゃねえ!なんてことしてくれてるんですか先生!!」
「あと弟の紅葉にも見せちゃった。そうしたらアイツ物凄い喰い着いて、
『この女の子に逢わせてくれ!!』って言ってきてね。
アポイント取って近日中にアカデミアに来るって」
ちょおおおお!なんでだよ!つーか紅葉って誰!?
「さあシロナ!オレとデュエルだ!お前のヒーローを直接見せてくれ!」
「わあぁ、兄貴と小鳥遊さんのデュエル!見たい!見たいっす!」
ええぇ………なんでこうなった。
なんかさっきまでの黄昏モードが一瞬で吹き飛んじゃったよ………
でも、なんでかな。
「さ、やるぞシロナ!」
「はいはい、仕方ない。けど、負けても知らないよ、十代」
「「決闘(デュエル)!!」」
こう言うの、悪くない。
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