雄英高校ヒーロー科!!
そこはプロに必須の資格取得を目的とする養成校!
全国同科中、最も人気で最も難しく、その倍率は例年300を超える!!
国民栄誉賞に打診されるもこれを固辞!!「オールマイト」!!
事件解決数史上最多!燃焼系ヒーロー「エンデヴァー」!!
ベストジーニスト8年連続受賞!!「ベストジーニスト」!
偉大なヒーローには雄英卒業が絶対条件なのだ!!
そんなヒーローへの第一歩として「雄英」試験に受かろうと全国から多くの受験生達がその校門を通り、敷地内に足を踏み入れていた――
『今日はオレのライヴにようこそ―!!!エヴィバディセイヘイ!!!』
そのホールには受験生達が一堂に会しているが、その人々が視線を向けている壇上に立つその男はそれはそりゃ大きな声を上げた。そして来るであろう盛り上がりに耳を傾けた。
……だが、その期待に反してホール内はシーンとする。
『こいつあシヴィ――!!!受験生のリスナー!実技試験の概要をサクッとブレゼンするぜ!!アーユーレディ!?』
だが、その男は挫けずに言葉を続けた――相変わらず大声で。
『YEAHH!!』
だが、ホール内はやはりシ〜ン!!とする。
それでもその男は気に留めずに言葉を続ける――すごいメンタルだ。
『入試要項通り!リスナーにはこの後!10分間の「模擬市街地演習」を行ってもらうぜ!!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!』
『O.K.!?』
『演習場には〝仮想ヴィラン〟を三種・多数配置してあり、それぞれの「攻略難易度」に応じてポイントを設けてある!!』
「角々なりの〝個性〟で〝仮想ヴィラン〟を行動不能にしポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ!!」
『もちろん他人への攻撃等アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』
その男――ボイスヒーロー「プレゼント・マイク」は「雄英」一般入試実技試験の詳細を説明した。
そうして――ほとんど説明されたところでそれを拝聴した受験生達の中からある少年が声を上げる。
「……質問よろしいでしょうか!?」
『!』
「プリントには四種のヴィランが記載されております!誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!!我々受験者は規範となるヒーローのご指導を求めてこの場に座しているのです!!」
その少年は説明の際に感じていたその疑問をズバズバ言って指摘する。
「ついでにそこの縮毛の君!」
「!?」
そして、他に思った事をも容赦なく口にする。
「先程からボソボソと……気が散る!!物見遊山のつもりなら即刻雄英から去りたまえ!」
そうズバズバ言って、しまいにはギロ…と睨み付けた少年の気迫にその手厳しい指摘を受けてしまった少年も縮み上がった。
「すみません……」
その少年が謝意を表した事でプレゼント・マイクが説明を再開する。
『オーケーオーケー受験番号7111君。ナイスなお便りサンキューな!四種目のヴィランは0P!そいつは言わばお邪魔虫!スーパーマリオブラザーズやった事あるか!?レトロゲーの』
『あれのドッスンみたいなもんさ!各会場に一体!所狭しと大暴れしている「ギミック」よ!』
その詳細に学生達もざわざわする。
「なるほど……避けて通るステージギミックか」
「まんまゲームみてぇな話だぜ。こりゃ」
「有難う御座います!失礼致しました!」
そして疑問を投げかけた本人である少年も納得し、頭を下げた事でプレゼント・マイクも説明を続ける。
『オレからは以上だ!最後にリスナーへ我が校〝校訓〟をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!』
『〝Plus Ultra〟!!』
『それでは皆、良い受難を!!』
彼は受験生達に対して笑みを浮かべながらそうハッパをかけ――説明を締め括った……
「…(そういう仕組みじゃ――戦闘力を試す意味ではピッタリかもしれねぇが……ただな、戦闘力以外に必要な能力もある筈なんだろ?そういう意味ではそれでいいのか……?)」
「…(っていうか、あのメガネ……こういう人が多いところで1人に対してそういう指摘をするのかよ……しかも、周りの奴らもクスクスしやがるし――ヒーローを目指しているんだよな?コイツらは?)」
「…(コイツは――思ったよりヌルくなるかもしれねぇな……)」
――ホール内でのある席に座しているその少年はそう思案していた……
「(まぁ、せっかくだ――この試験で少し暴れてやるか……!)」
●
――まず、「雄英」一般入試実技試験専用の演習会場は全てA〜Gの7ヶ場に分かれている。それぞれの場には受験生達が集められ、そこで試験を行う事になる。
演習会場G――
――ここにももちろん集められた受験生達が試験開始に備えて緊張しながら待っていた。
……ただ、そんな中でその少年――〝森羅臨頂〟は威風堂々と立っていた。
「……ん〜〜」
受験生達が緊張している中で彼だけは緊張感をみせず、それどころか――のんびり背伸びしていた。
その異様な様子に人々も訝しげにするその時だった。
『ハイスタート!!』
突如プレゼントマイクからの合図が放たれたのだ。
その途端に臨頂は態度を一変させ、機敏に駆けていった――そして、その姿が変わっていった。
――それは鹿のような身体、牛のような尾、馬のような蹄、角は一本で全身は黄色い毛で覆われ、背中には五色の模様、そして龍のような顔……
そう、彼は伝説上の動物――『麒麟』に変身したのだ。
「え、えぇぇ!?」
「何だぁ!?ありゃ!?」
「で、デカッ!!」
他の受験者達が麒麟へ変身し終えた臨頂のあまりにも桁違いな姿に驚愕したが、それに彼は構わずに姿を現してきた〝仮想ヴィラン〟――無数のロボットに対してきりりと気を向ける。
「「「標的捕捉!!ブッ殺ス!!」」」
襲いかかろうとしてくる無数の〝仮想ヴィラン〟に対して臨頂は口を大きく開けた。
――その口奥が金色に光り輝き、そして……そこから無数の光線が猛烈な勢いで放たれた。
「万光!!」
その無数の光線を無数の〝仮想ヴィラン〟が歯向かえられず――受けざるを得なかった。そこから派手に爆発され、木っ端微塵になっていった……
「「「ギャアアア!!」」」
「「「……へ?」」」
その一方的な殲滅を目視した他の受験者達が一気に呆気に取られた……
●
「何だこりゃぁぁぁぁぁ!!?」
「い、一瞬でたくさんの〝仮想ヴィラン〟が……は、破壊されちゃったよ……」
「で、デタラメだろ!!!」
――ある部屋で席に座している多くの人々は数々のスクリーンに投影される「雄英」一般入試実技試験の状況を見守っていたが……
そんな中での森羅臨頂の殲滅劇に人々も完全に恐れ入った。そのあまりな規格外さに絶句する程に……
それ故に混乱している場――でその声をハッキリ上げられる。
「……この試験、どうしますか?多くの〝仮想ヴィラン〟が破壊されたんですが……」
「「「!!…」」」
そのもっともな意見に人々の動揺も一旦収められた。そして
「……そうだね!」
それに対しての声も上げられた。
その声――の主はその試験の進行に関して悩まされたが……
「早いが……こうなった以上――出せざるを得ないね!」
そう言い張られると共にそのスイッチを押される――
●
「「「!!」」」
突如大きな音が響かれたと同時にビルが崩れた。
その事態に受験生達が一気に視線を向けるとそこには……巨大なロボットが出てきたのだ――そう、それこそが……〝仮想ヴィラン〟「P0」である。
あまりにも大きなその姿に受験生達が言葉を失ったところで臨頂は怯まずにその方向に対しても顔を向け、口を大きく開く。
もちろん、その口奥が金色に光り輝いて――
「天譴!!」
臨頂の口から巨大な光線が猛烈な勢いで放たれた。
その光線が〝仮想ヴィラン〟「P0」を――呆気なく貫いていった。
その巨大なロボットはほとんど破損されていて、その跡は――もはや、まるで溶岩の名残であるかのように真っ赤に溶解されていた……
その事態、光景に他の受験者達は――呆然自失とした……悪ければ心が完全に折れてしまった者も存在していた……
『し、終了だぁぁぁぁぁ!!?じ、受験者の安否確認を急げぇぇぇぇぇ!!?』
演習会場Gに広く響き渡られるそのアナウンスに臨頂はハッとして周囲を見渡してみる。
――木っ端微塵にされた無数の〝仮想ヴィラン〟の数々の破片が広がっている地獄絵図、そして呆然自失とする受験者達……
その景色に彼もさすがに申し訳なく感じてしまった。
「……やっぱ、やりすぎたな…ハハ……」
●
演習会場Gでそんな大事が起こってしまった一方で――他の試験では……
演習会場B
「SMAASH!!!」
――その場である少年の始まりが本格的に起こっていた……
●
――雄英高校ヒーロー科入試試験が終了して1週間
『来いよ、緑谷少年!雄英が君のヒーローアカデミアだ!』
「……!!っっはい!!!」
ある少年が試験合格通知を受け取ったのと時を同じくして、ある場では……
『来いよ、森羅少年!雄英が君のヒーローアカデミアだ!』
「「「オォ〜!!」」」
「おう!」
――森羅臨頂もまた試験合格通知を受け取っていた。
その事に彼は何の事はなく、獰猛な笑みを浮かべながら――ある者達に顔を向けて口を開く。
「ハハッ!……雄英に行って――そこで見てくるぜ!……ヒーローの視点って奴をな……!」
その言葉にその者達も笑みを浮かべる。
「うん!――頑張ってね!」
「あぁ――その目でちゃんと見極めろよ!――ヒーロー共をな!」
「おぉ!――まぁ、何だかんだで学園生活だからな……楽しむのも忘れんなよ!」
「ガ〜ハッハッハッハ!!……ぬるま湯に浸っているヒヨコ共に一泡合わせてやれぇ!!――臨頂ぅ!!」
「おうよ!!」
――その場には多くの豪快な笑い声が響いた……