「緑谷、頼む。これを着て戦ってくれないか」
そうして示された先にあるのは幾度も報道で見たあの姿だった。AC『ハンター』。犯罪者や政治家、果てはヒーローや警官まで多くの人間を殺し尽くし、あのオールマイトの捕縛からすら逃げ続けている狂気のヴィラン。
一説にはオールマイトと決別したナイトアイが操縦しているとされており、緑谷出久もそれを半ば信じていた。狩峰君はナイトアイに救われたと言っていたし、その繋がりでお父さんが支援をしているとすれば潤沢な資金と決して捕まらない能力の両方に説明がつくし、ナイトアイが表舞台から姿を消したという点にも理屈が通る。
オールマイトに彼について聞いた時の表情も、悲しそうで言葉にならない様子だった。
「サー・ナイトアイは、どうしたの?これでいつも戦ってるんじゃ……」
「サーは戦えない。『ハンター』は今動けなくなってる。慣れていないと並大抵の人間じゃ機動についていくだけで体がちぎれるかもしれない。人体強度とある程度のACへの慣れ。それに加えて普通の人型である必要がある。」
「他の、他のACだってあるんじゃないの!?なんでこれってことになるのかは!」
「『ハンター』でないと敵は無視してオールマイトを殺しに行く。絶対に放置できない脅威としてのネームバリューがないと成立しないんだよ。だからこれに乗ってほしい」
「……淡輝君もその時には何かと戦ってるんだよね」
コクリと頷き肯定を返した。友人であり希望である彼を死地へと送っておいて、自分だけ逃げるわけはない。UAIの防衛とオールマイトへの助言。そして何より緑谷に対してのサポートをする仕事がある。
「これまで何度もACの練習をさせてもらってたし、過去の継承者の個性再現も武装で練習させてもらってた。だから動かせはすると思うよ。でもこんなにすぐにACに搭載できるなんて、前からこうなる予定があったの?」
「いいや、具体的には全然。少なくとも俺はこんなことになるなんて知らなかった。でも可能性はあったから、備えていただけだ。ナイトアイは知っていたかもしれないけど」
「これまでの継承者の個性。その発現の可能性っていうだけにしては急いでたとは思ってたけど……。『危機感知』は割とすぐに使えるようになったし。麗日さんとの個性訓練もその一環ってことだよね」
緑谷出久の受け継いだワンフォーオールは不思議な個性である。過去の個性をストックしパワーに変えているとオールマイトは認識していたが、彼は土壇場で過去の個性を引き出したことがある。俺だけはそれを目撃して知っている。
順当にいけば緑谷もそれを使うことができるかもしれない。可能性があるならば備えるべきだろうと当然準備はしてあった。
「ああ、『浮遊』と『黒鞭』の立体機動は練習しておかないと絶対に扱えないはずだから。先にやってもらった」
緑谷は考え込んでいた。それはそうだろう。ずっと自分に関する計画を伏せられていたのだから不信感も募るに決まっている。その上で、あれだけ人を殺し続けた武器を纏ってそれになれと言われているのだ。彼の正義感から言っても抵抗感は凄まじいはずだ。
その旨のフォローを入れようと思ったら、非常に珍しくこちらの発言を遮った。
「確かに嫌だよ。色んなことを話したい。でも僕が考えてたのはそうじゃなくて……。まだ狩峰君は抱え込んでいるんじゃないのかってことなんだ。なんとなくだけど、まだ全然人に話せても楽になってる感じがしないっていうか。その、話せないことなの?」
驚いた。土壇場以外での対人能力については低いと思い込んでしまっていたらしい。いや、これも土壇場に含まれるか。ヒーローとしての嗅覚は本物だ。
助けを求める人を見つけて見極める。そんなヒーローの才能が彼には間違いなくあった。
「話せることも、話せないこともある。オールフォーワンはきっと心を読む個性を持っているから秘密を知っている人間の数はできるだけ少ない方がいい。でも必要なら全部話すよ」
緑谷はいくつものことを考えて、逡巡しているようだった。そしてこちらに向けた目は迷いひとつない。
「……ううん。そう言ってもらえるだけで、大丈夫。僕が聞いていいところまででいいんだ。でも、この戦いが終わったら。何と戦っているのかは聞かせてほしい。僕もそれと戦いたい。一人になんてしておけない」
「いや、これは俺の戦いで、ヒーローになるのとは全く違うことっていうか。緑谷にはさ。ヒーローになってほしいんだ。それがお前の夢だろ?俺にとってもヒーローは必要なんだ。それを応援させてくれよ」
淡輝は思わず一歩引いていた。世界平和なんてオールマイトや緑谷には背負わせられない。多くを殺す血で舗装をしなくてはいけない道だから。
「関係ない。僕は、ヒーローになる。僕は最高のヒーローになるよ。でも、それは僕の手の届く範囲を精一杯に笑顔にしてからなんだ。だから、一緒に戦おう。僕は狩峰君に助けられてばっかりだったから、だから……今度は僕が助けたいと思うんだ」
「いや、いやダメだ。はっきり言うぞ。人を殺すことになるかもしれない。ていうかなる。ヒーローには関って欲しくない。ていうかできない。緑谷やオールマイトには無理なんだよ!」
最後には声を荒げて、拒絶するように言ってしまった。でも仕方ないだろう。無理なものは無理なんだから。犠牲者をどちらか選ぶというトロッコ問題は彼らには無理な話なのだ。
「勝手に助ける。それで、全部をひっくるめてなんとかしてみる。そうしたいんだ。だって、ヒーローってそういうものだって、知ってるから。ずっと憧れてたんだから、僕だって詳しいんだよ。なんたって行動派オタクだからね!」
憧れのオールマイトにそう評されてから緑谷が気に入っている呼び名がそれだ。まぁわかる。普段はかなり考えてるオタクのくせに、いざとなると体が動いているのが緑谷出久という人間だから。
その目には決して揺れない固い決意が間違いなくあった。5年前、あの堅苦しささえ感じるメガネの奥から見えた炎のような熱にそっくりなそれを見て気圧された。よく知ってる。この目をしたヒーローに言葉はもう無意味だ。彼らは勝手に走り始めて人を救っていくのだろう。
これ以上彼らを止めるという無駄な行動で時間を浪費することは許されない。それだけ勝利が遠のいていくのだから。
切り替えろ。もう緑谷に頼るしかない。どうにかしてもらえなければ対応策の全てが始まらない。
「これから向かう戦場は、お前のことを殺そうとしてくる奴らが複数いる。何人か集まるとオールマイトにすら傷をつけられるほどの熟練の戦士だ。いいか、彼らはヴィランじゃない。全一君に個性を複数与えられた上に、個性を宿した武器を使ってる反則状態。それが6人。奴らを相手に時間稼ぎをしてほしい」
そんな無謀なオーダーにただ頷くだけで緑谷は応答した。ヒーローコスチュームを改めてチェックするその手は少し震えている。でも彼自身は何一つ揺らいでいなかった。
「倒さなくてもいいってことだよね。個性も、もうわかってる?」
緑谷は理論派だ。事前の情報や準備によって大きくパフォーマンスが変わってくる。そして情報に関しては俺の右に出るものはいないと断言できる。
あまりに詳細な未来を知っているとしか思えないブリーフィングが始まった。
「その前に、ゲストも一緒に話さないとな」
少しすると扉を開けて彼女が入ってきた。
「ど、ども。っていいのかな。私がこんな機密っぽいとこで秘密っぽい話聞いちゃって」
麗日お茶子が、UAIを北朝鮮をひいては世界を救うための相談に参加した。
「いや、いやいやいや。なんでデク君が!?そんな、そんなの!プロヒーローとか先生に任せたらいいやん!それ一体誰が言い出して……」
「ナイトアイだよ。未来を見た上で緑谷しかいないって結論になってる。ここで抵抗されるのもお見通し。ほら、麗日さんへのメッセージだって」
彼女が渡されたデバイスを見れば、今まさにメッセージが送信されてくるところだった。
『ヒーローで目指し続けるか悩んでいる今の君には酷な話だとはわかっている。けれど彼、緑谷出久はヒーローになることを決して諦めることはない。目を見てみてくれ、君にもわかるだろう」
ふと目を上げれば、先ほど淡輝が目の当たりにした不屈の目線がそこにある。彼女はそれだけで何も言えなくなってしまう。
『そう。その目だよ。そんな彼がもう話を聞いてしまったのなら無駄だ。何を言っても友人を見捨てたり、助けを求める人を見て見ぬフリは決してしない。だからこそ、支えてやってくれないか?彼のような人は一人にしてしまうとどこまでも行ってしまうから。オールマイトがずっとそうであるように』
この文章は俺が書いたものだ。だけれどナイトアイならこう言うだろうという人類の誰よりも精度の高い模倣と、数度のやり直しを経て彼女に刺さるワードチョイスを磨くこともできている。
本来なら悩んでいる学生を殺し合いの現場に同行させるなどしたくないのだが、そんなことも言ってられない。本当に余裕がないのだから使えるものは全て活用させてもらう。
文章を読んでから少しの間沈黙が続く。そしてたどたどしく開いた口からは確かな熱を感じる言葉が出てくるのだ。
「正直ね。ヒーローやめようかなって思うてたんよ。ナイトアイの言う通り、だってそっちの方が人を助けられるかもしれないって。お金だってさ、いっぱいあればそれだけ人を助けることにも使えるし、とにかくたぶん。そっちの方が正しいって、どこかでわかってたんだと思う」
瞳に宿る熱狂の温度は、人に伝染していく。オールマイトからナイトアイへ。ナイトアイから自分へと伝わっていくものがあったように。緑谷出久へと受け継がれた火は、今まさに麗日お茶子に伝播した。
「デク君みたいにすぐに動けたりはしないけど、なんていうか。逃げるのは嫌なんだ。うん。それが、いや」
涙を流しながら紡ぐ言葉は、誰かに対してというより自分に言い聞かせているような響きがあった。
「私も、逃げない。逃げたくないって思うんよ。だから一緒に行く。でもでも、ほんとに危なくなったら無理しないで。訓練の時もずっと怖かったから、自分のことも忘れないで。それだけ、約束してくれるなら……」
緑谷が捨て身でロボットを狙撃から守る映像を彼女には見せていたから心配をしているのだろう。その懸念は正しい。彼女が近くにいることやこの約束を含めて、ヒーローが守る対象が増えることでリスクは上がる。だけれど、それでこそ本領を発揮するのが英雄というものだった。
これで『無重力』によって定期的に支援を受けながら『浮遊』可能なAC『ハンター』が出撃できる。
・・- ・-・・-- ・・- ・・・・
「デク君……。死なないで……」
緑谷出久が参戦し即座に窮地に陥った戦場を離れた位置から無事を願うお茶子は、思わず祈った掌の指同士が触れ合わないように気を付ける。自然と拳が固められていて、指が白くなるほど力を入れてしまっていた。
最後に言われたナイトアイからの一言を思い出す。
『これから彼は死地へと赴く。それを君は無力を噛み締めながら見ていることしかできないだろう。でも、それでも見ていてやってくれ。それが大事だ。ヒーローを一人にしないで、声をかけ続けろ。それでこそ届くものがあるはずだ。私も声をかけ続けて彼らを援護しよう。共に戦うぞ、ヒーロー』
「がんばれ……」
自分が何気なく言った一言で、ヒーロー名を決めた彼。そんな頑張りを見届けないなんてできるわけない。頑張れって感じのデク。我ながら意味不明だけど、でも本当にそう思う。今もそうだ。
奇襲から一息ついた戦いが再開した。
黄色の閃光が黒い装甲服へと殺到する。武器を持った巨躯が驚くほどの速さで肉薄する。
デク君は今、無重力になってるから。地面を蹴って移動するという普通の動きができない。だから両手両肩に付いている黒いワイヤーを周囲に撃って、それを引っ張ったり巻き取ったりしてすごい速さで飛んでいた。
木々を建物を繋ぎ止めながら、変幻自在に動いている。落ちるはずのところで落ちず
「すごい。なんで、あんなに……あ、ダメ!」
背後から迫る複数の矢。それらは完全に死角から放たれており、必死の結果を生み出すだろうと思えてしまった。反応しているのに手が足りない。わかっているのに避けられない。そんな綺麗な詰みの盤面をいとも容易く戦士たちは作り出す。
それらを打ち払ったのは、黒のワイヤーである。それぞれに筋肉のような可動性を実現した金属製の触腕とでもいうべきだろうか。それらが勝手に動いて矢を打ち払った。
いや、矢だけではない。見えない何かを撃ち落とし続けているように見える。人形ちゃんは戦闘訓練で何度か協力したり戦ったりしたことがあったけど、ここまでのことができるとは思えなかった。これがナイトアイの助言なのだろうか。
しかし、矢に当たるほど何かを弾くほどに黒い鞭のようなワイヤーは削られていく。煙は薄くなっていき、徐々に対応する手数が減っていくのが現実だった。
万全なのは最初であって、そこからは集中力も体力も落ちていく。機械であれば尚更消耗は物理的なものだから誤魔化せない。本当にあと数分保てば奇跡なんじゃないかというくらいの綱渡りが毎秒繰り広げられていた。
緑谷出久が削られる。わかっていても避けられない攻撃を装甲で受けるたびに剥がされていく。追加のパーツが飛んできても矢で相殺されてしまい彼に届くことはない。巨漢の拳が衝撃波を伴って放たれる。避けているのにその面攻撃の余波を喰らい致命につながるほどの体勢を崩してしまう。
詰み、負け、死。様々な言葉が脳内を巡りかけるが、それでも逃げないと決めたヒーローは潜伏していることも忘れて叫んでいた。
ああ、ダメだ。そんなのだめ!だけど、頑張れ!お願い!生きて!
「がんばれ!!がんばって!!!デク君!!」
その一言で気を逸らすことができたのは先ほど拳を放ち終えた巨漢くらいだっただろう。他の戦士たちはそれに対してリアクションはない。援護ではなくただの声援。現実を変える一手ではない、無駄なものだと割り切っている。
けれど、その声で変わるものがある。
「ワンフォーオール100%。DETROIT……SMAAAAAAAAAAAASH!!!」
右腕が爆ぜるかのように躍動し、今まさに襲いくる脅威をまとめて薙ぎ払う。片腕が変色して骨が折れ、使い物にならなくなった。そこまでやって一度拮抗するのだけで精一杯、また繰り返されれば同じように片腕を失い、そして次には死ぬのだろう。
けれど、その前に腕を動かせなくなったことなど何も気にせずに緑谷出久は左腕をも使い切る。
・・- ・-・・-- ・・- ・・・・
麗日さんの声がした。ここで彼らを倒さないときっと彼女まで殺されてしまう。だから今こそ反撃しなくちゃいけない。
「TEXAS SMASH!!!」
人形のような少女がその拳をもろに食らう寸前に、大楯が割り込んでダメージを引き受ける。盾が割れることもない。それでも大きく吹き飛ばすことはできた。
両手を使い潰して、機動すらままならなくなるが足を使ってどうにか距離を取り続ける。
『そこに透明になった短剣使いが潜んでいる。回避しろ』そう機械音声のような声で緑谷出久に話しかける存在がずっとこの戦闘を支援していたことをお茶子は知らない。緑谷出久もその声が本当のナイトアイでないことは知らない。
「っわかってる。わかってるのに!!」
危機感知でも察知して、それよりも先に助言されていても回避が間に合わない。また四肢を使い潰して乗り切るしかない。
「あああああああああ!!っっSt. Louis SMASH!!」
これで片足も潰れてしまった。『無重力』のおかげでまだ動けはするが、機動力はもう底をつき始めていて彼らから逃げることなどできない。
「やってやる。頭突きでもなんでもやってやる。ちくしょう!こい!!来てみろ!!」
もうヤケになって叫んでみるが、相手の動きは今までと変わらず単調でどこまでも最適にこちらを刈り取るだけの陣形を崩さない。コミックの悪役だったらここで色々勝利宣言とか、ネタバラシとかしてくれるのにそんな時間は一秒もなかった。
大斧が振り下ろされて、それを避けられないと確信する。全力のワンフォーオールを頭突きにこめて最後に武器ごと倒せないかと集中して目を閉じた。
思いっきり頭突きをするが、自身の体が縦に回転するだけで空振ってしまった。何かがその一撃を代わりに受け止めてくれていたから。
「空母守ってたら遅れちゃったよ。ユーはまだ学生だろ?こういうのは大人に……任せるもんだよ」
「ナックルスタイルにも限界はあります!キャプテン!早く倒しちゃってくださいよ!」
「キャプテンセレブリティに、スカイクロウラー……?はは、すごいや。」
彼らはよくメディアで見る憧れのヒーローたちである。彼らが二人がかりで、自分を助けにきてくれた。そこではたと気づいた。何を安心しそうになっているんだ?
「僕を守ってたら勝てない!気にしないで戦ってください!」
二人のヒーローが、そこにいる。子供を救うために強敵へと真っ直ぐに向き合って。すでに疲弊し傷だらけであるのに、気丈にそこで笑顔を向けている。
「自分にできないことを人に言うんじゃないよ、全く。これ二人ともに言ってるからネ」
大きく息を吸って、気合いの掛け声と共に受け止めていた大斧を弾き返す。フィールドを全開にして弾く程度という事実に戦慄しこの場における勝率を無意識に考えてしまった。ゾッとするが事実は変わらない。プロとして優先順位を即座に切り替えた。
「コーイチ!その子を連れて逃げろ!僕らじゃ勝てない!」
「できないことをすぐに自分も言ってるじゃないか!」
二人は懸命に戦った。特にスカイクロウラーは複数人を相手に大立ち回りを演じることもできる。反射的に攻撃を回避し斥力を体から発して防御と攻撃を両立させる。
さらには三人の死の間際。よくわからない力の暴走を経て放った最大の一撃。それは戦士たちを薙ぎ払うことまでしてのけた。敵味方ともに戦闘不能。それでもヒーローはやり切った。
体が動かないと判断し、即座に自殺をする異常者たちが相手でなければ勝利をしていただろう。
彼らは自分の喉を掻き切り、そして立ち上がる。それを止める力はすでにヒーローたちに残されているわけもなかった。
ヒーローは決して諦めないが、それでも全てを解決できるわけではない。
ここまでが、これまで試していたUAIランドの戦力ができる限界であった。戦士たちは本当の死が訪れるまでの一瞬でオールマイトを強襲し大きな傷跡を残してしまう。
だから、狩峰淡輝は助けを求めた。緑谷出久だけではない。オールマイトを受け継ごうとしている別の弟子へと、あらゆる障害をこれまでに培ったあらゆる資金力、政治力。総合的な全てを使って動かした。
その結果が、これだった。
大盾を持った猛禽の戦士が、飛び上がりまたしても少女を守るように盾を構える。そうしてそこへ流星が降ってきた。
光と衝撃が炸裂し、大盾ごと敵は地に沈む。あまりに重い一撃は冗談のような威力になっている。それをやってのけたのは長い金髪を風に預ける、筋骨隆々のヒーローだ。
オールマイトは現在、不可視の怪物と戦っている。だから彼ではない。
「この私に、初手で
まるでオールマイトのような大柄な体系。しかし女性であることも感じさせるボディラインは一切の無駄がなく引き絞られている。背中には星条旗をマントとしてその身に一国を背負っているようだった。
オールマイトが弱ってしまった現在、彼と並び最強と称される存在が彼女だった。アメリカ合衆国NO.1ヒーロー。
『スターアンドストライプ』。
いるはずのない世界最強の女があらゆる制約や条約を無視してそこにいた。