今年もいっぱい書くからいっぱい読んでください!
終盤に向けて、戦いは加熱する。
最終のエリアは住宅地を模した地域であり、その町並みがもはや思い出せない程に戦いの余波が、風景を塗り替えていた。
通り沿いの並木は途中から炭化し、枝先だけが氷に閉じ込められている。一本の木の中で、炎に焼かれた黒と、霜に覆われた白が不自然に同居していた。アスファルトは溶け、持ち上がり、雷に打ち抜かれた場所だけがガラスのように固まっている。
爆風で外壁が剥ぎ取られた建物の内部はむき出しになり、家具は風圧で空中に貼り付けられたまま凍りついている。屋根は吹き飛び、代わりに氷の塊が突き刺さっているところもある。
「なんか盛り上がってない人もいるみたいですよ。すごい戦いなのに、なんでですか?」
「やっぱ普通の住宅街が壊れてくってのが映像としてあまりに強すぎるのかも。そこを学生たちが銃持って撃ち合ってるんだから、ゲームとかしない人にとっては異常でしょ。これは市街地でのヴィランとの本格戦闘をしたらどうなるか。それのデータとりも兼ねてたけど、やっぱ映像的にはショッキングだよなぁ。まぁ、こういう風景も隠さずに伝えていくことが日本の無関心な人たちにもきっと刺さるだろうってそういうのもあるんだけど」
地面は平坦であるところを見つける方が難しい。
ある場所では爆破の衝撃で陥没し、別の場所では力で盛り上がり、即席の丘が生まれている。その丘の斜面を、溶岩のような炎が流れ落ち、途中で四散していた。
誰もが傷を負いながら、それでも守り、果敢に攻めたその結果があちこちに刻まれている。アーマーの限界を迎えて、ビッグスリーの一角が落ちる。脱落した環はそれでも仕事を最後までした。爆豪の銃を破壊し、そしてイカとタコの墨で拳藤のネイルを4つも潰しての退場だった。
その有利を活かしてミリオが攻める。攻め続ける。
ちなみにミリオについては、被弾=退場という特殊ルールが適用されている。彼の個性ではアーマーが透過してしまうため必要な措置だった。
三年チームが主導して、戦場はコントロールされていた。それでも二チームの連携は凄まじく。この衝突が主な戦場になっている。
『意外な展開だ!残る爆豪チームと轟チームが手を組むのがセオリーってもんだろうが!意外なことに轟チームはこれを拒否!冷たい、冷たすぎる対応で爆豪を追っ払ってるぜ!ていうか会場まで冷え込んでるわ!暖房入れてくれ誰か!エンデヴァーの周辺だけあったかそうだなおい!チーム同士で組まないのは正々堂々とも言えるが、それで勝てんのかぁ〜!!?』
「いいぞ!焦凍ぉ!凄まじい冷気だ!そこまで冷やせるのならヘルフレイムすら出せるはずだ!やれ!!今こそやってみろ!!!!」
「カスが!どう見てもあれが有利だってわかんねえのか!?あっちから削るってのが常識だろうによ……。完全に頭に血が昇ってやがる。冷やしてるくせに茹で上がりすぎだ半分野郎が!」
すでに小さな遮蔽しかない爆豪チームは、これ以上敵に射線を広げられないように牽制するので精一杯だった。
「確かに轟はいつもより変だけどんなこと言っても、しょうがねえだろ!!どうすんだよ!お前飛んでったら一瞬でオイラはやられるからな!分かってんだろうな!ていうかなんでさっきから意味わかんないとこにモギモギ投げさせられてんの!?痛いんだぞこれ!?寒いしよ!」
それでも緑谷チームと拳藤チームの同盟はあまりに強力で、三年はその場で作るにわか連携よりは自分たちの連携を優先する。轟チームはというより轟は対話を拒否して攻撃しか寄越さない。
「俺のアーマーはもう限界だ。あと1分もしないうちにここから出るとなったら、おそらく俺は落ちるだろう。そこからは守りきれないぞ」
障子の言うことは正しい。だからこそ、ここで打開をしないといけないのだ。時間はもうない。状況は刻一刻と変わっていき、そして選択肢は無数にある。なんでもできる。何もできない。
ここには全てがあるのだった。
それも一瞬後には全ての可能性が起こったこととして確定されていく。その未来を少しでも自分たちに有利にしようと誰もが力を尽くしているのだ。
爆豪はずっと探していた。あの同盟の心臓を。
だってずっとおかしかったのだ。守るべき護衛対象が二チーム分まるまる隠されている。奴らは防御に力を回すことなく三年とこちらに攻撃を加えられている。その隠蔽の仕掛けを解き明かさなくてはいけない。
障子の目と耳には足音もせず移動する透明なやつなどどこにもいないらしい。そもそも、この人数を透明にできるほど葉隠の専用マントは大きくない……。それでも音もなく、ひっそりとどこかにいる。
どこか空中にいるのだろうかと探していたが、そうではない。ついに浮かび上がってきた可能性に、爆豪は獰猛に笑った。吐息は白く周囲はあまりに冷えているが、それすら気にならない。
轟が出したのであろう氷霧が周囲を隠してある程度の遮蔽になっていた。
「いくぞ。ここで決める。俺がぶっ殺すまで死ぬな。死んだら殺す!」
爆発とともに飛び出し、戦っている場所からズレた位置に飛んでいく。麗日の空中狙撃を喰らうがどうにか回避。速度を失うがそれでも射程圏内にまで到達できた。
籠手のトリガーに指をかけ、何もない瓦礫へと照準を定める。
エリアの収縮。進行ルート。戦いの余波。遮蔽物の有無。峰田からの攻撃とモギモギによって狭まった安全地帯。その全てを鑑みて候補を絞る。今まで隠れるところがありすぎたため絞れなかったがここまで狭くなればここの可能性が一番高い。
『スタッフ!マイクオフにしろ!スポンサーたちを守れ!あいつなんでも言うぞ!』
「し、ねええええええええ!!!!!」
放送ではカットされた暴言と共に、その暴威が放たれる。
爆炎は球状に膨張、そして収束して前方へと殺到する。刹那で視界を焼き尽くし轟音は遅れて追いついた。衝撃波が建物も大地もまとめて押し潰した。衝撃と音をマックスまで高めたそれは、熱を抑えている非殺傷を目的とした爆破だった。
その部分だけ氷霧が剥がされ、光と熱が通っていく。
圧倒的な詰みの一手。そこに誰かがいるのなら、決して無傷でやり過ごすことはできないだろうという溜めに溜めた攻撃だ。
そして、何もないはずの空間から声がする。
「『ひっそり』『コソコソ』はもう無理!『ノロノロ』してる間に逃げてくれ!!」
そこにいたのは漫画の吹き出しのような格好の頭部をした人だった
そうすると、一瞬で殺到するはずの爆炎がどうにもゆっくり進み始めた。
透明化と無音のステルスが解除され、そこに三名が現れる。護衛対象を背負った小大に、浮いている護衛対象。つまり葉隠がそこにいる。
「おおかた特注マントをデカくでもしてたんだろうが!いい加減出てこいや!」
「ひー!その感じで機転が効くのずるいよー!」
「ん!!」
これで緑谷チームと拳藤チームは守りに意識を割かなくてはいけなくなった。すでにこちらに向かってきてた緑谷と爆豪が空中でぶつかって弾き合う。体の調子は絶好調だ。この氷点下のような極寒の環境でもしっかりと発汗するほど体温も上がっている。氷霧など気にならない。
「爆豪!ここまできたなら負けんなよ!」
小大を庇うようにして立つ緑谷と狙撃から避けるために、小脇に峰田を抱えた爆豪という対決の図式になっている。
護衛対象を傍に、互いが倒れれば負けるという二体二の状況。別の場所ではミリオと拳藤。そしてここでは緑谷と爆豪。頂上の対決がまさに佳境を迎えようとしていた。
「ようやくだ!てめえを思いっきりやれる!!」
これで、きっと何か区切りがつく気がして。ずっとこんな時を待っていたんだと思う。その高揚に笑みが浮かぶ。
けれど、そう言った直後にぞくりと背中に嫌なものが流れる感じがした。その寒気は無視できない。
同時に緑谷出久も何かを感じたようで、こちらから目を逸らしている。
そうだ。寒気だ。あまりに冷えている。空間がおかしいほどに冷えているのだった。周囲に展開された氷のせいであるのだが、それでここまで冷えるものだろうか。
「轟くん!!!」
その瞬間。弾かれたように、ヒーロー『デク』は地面を蹴った。あまりの勢いに骨と肉の潰れる音すら残すほど。
誰も気づかなった。彼の限界に気づけなかった。横にいた仲間でさえ、同級生でさえ。そして実の父親が最も気づきから遠くにいた。聞こえてはいなかったはずだが、なんなら応援までしていたのだから。
轟焦凍はずっと自身の中の暴れる熱を、必死の冷気で押さえつけていた。
それでも熱がどんどん大きくなっていくから、冷気を強めてそれを抑えた。その余波で周囲が氷点下を遥かに下回るほどの状態になるほどに強く、強く押さえ込む。
否定して、拒否して、無かったことにするように、とにかく冷たく押し潰す。
そうしてやってきたのは当たり前の限界だった。
体の中心から熱が溢れて、そして一気に解放される。それを止めようと思った時にはもう遅く、すでにできることはやっていた。命を削る勢いで冷気を注ぐが、それに呼応して熱もまた高まっていく。皮肉にもこれはエンデヴァーが思い描いた炎熱と冷気の究極の相乗効果であり、威力だけは過去類を見ないほどの熱量である。
たった一人を除いて誰も知るはずもないが、これが炸裂すれば観客にすら被害が出かねないほどの爆発になる。
その直前に気付いたものは三人。
危機感知によって即行動をした緑谷と、なんとなくの勘で動いたミリオと、熱に関しての違和感に気付いた爆豪だった。
三人の行動はまさにそれぞれを表すように、異なっていた。
轟へ向かう緑谷。緑谷へ手を伸ばす爆豪。そして隠れていた一年生たちへと一瞬で肉薄したミリオ。
光と共に熱が放たれ、周囲を焼いていく。先ほどの爆豪の爆破と対照的な、どこまでも純粋な熱。
地面は溶けるほどだが、それでもそれが余波に過ぎないと緑谷と爆豪は感覚で理解できていた。余波ですらとんでもない熱が噴き出している。
その爆風は囲われた戦場において学生たちを殺すには十分すぎる威力であり、それをくらったら吹出や葉隠、小大。峰田などはひとたまりもないだろう。
そんな爆風に緑谷はまっすぐ突っ込んでいった。
そしてそれに追いつけないとわかった後に爆豪は思い出したように、声を聞く。
「え、どうなってんだ!?」
小脇に抱えた峰田は、このままでは死ぬ。そう認識した瞬間に体は動きどうにか守るために覆い被さった。あまりに小柄な峰田だったからできたその姿勢で、どうにか爆炎をやり過ごす。
ミリオは地面から現れて、護衛対象のロボットを二人から奪いそして一年生たちをまとめてそれを盾にした。ロボット二つに、ミリオが重なり一年生の三人を守る姿勢である。透過すれば無傷でやり過ごせるがその鍛えられた体はずっとそこにある。
「防爆、耐熱処理をしてあるよって、わざわざ意味ありげに後輩が言ってきたんだけど。まさかこうなるとはね!大丈夫!きっと守るからさ!先輩にお任せしちゃいな!」
そう軽口を叩いた直後に彼らも炙られる。
爆心地へと突っ込んだ緑谷は全身を熱で炙られながらも友人を掴んで話さない。そのまま、もう一つ足を捧げて飛んだ。
噴煙をあげて空へと向かうロケットのように、それは上へと上がっていく。会場には氷霧が立ち込めていて視界が悪かった。だからこそ上に行かなきゃいけなかったんだ。
「イレイザーヘッド!!!」
彼が一目見ることさえすれば、個性による暴走は消える。
何事もなかったかのように、爆発できなかった不発の花火のように二人の学生が落ちていく。
誰も助けることはできない速度で落ちていく。いや、きっとオールマイトなら見過ごさなかっただろうが、彼は今病室で寝かされている。
それでもここには十分なほどにヒーローがいた。
「デクくん!!!」
今まさにその熱を解放しようという場所に、自ら飛び込んだのはもう一人いたのだ。麗日お茶子が二人にタッチし、そして緩やかな落下が始まった。
怒涛すぎる展開に追いつかないものが大半だった。それでも終わってみれば、倒れている生徒たち。
熱と爆発に強かった、爆豪勝己だけが立っている。そして個性を抹消された轟焦凍もまた意識があった。しかし、護衛対象はすでにない。つまりは……
「ふざ、けんなよ。おい。これで、こんなのが……」
終わりというのはあまりに唐突で、勝利というのはいつも勝ち取れるものでもないらしい。
爆豪チームが優勝。それがバトルロワイヤルの結末だった。
・・- ・-・・-- ・・- ・・・・-
氷と爆炎によって幕を閉じたバトルロワイヤルは、その混乱とは比較にならないほどの迅速な撤収作業によってパニックは避けられた。元からこの程度の規模の個性発現は想定済みだと言わんばかりの準備によって観客たちもコントロールされた模擬戦の一環なのだと誤認できてしまったのだった。
実際は間違いなく暴走であり、悲惨な事故であるのだがなぜか護衛対象に仕込まれていた爆風と熱をカットする機能によって致命的な事故は避けられていたのだった。
ここまでのことが起こってなお、イベント進行のスケジュールは遅れていない。この意味を理解できる実力者にとってこの平穏が何より違和感があり恐ろしいものに見えていた。
これが、想定内だったとしたら。雄英高校はいったいどんな学びをさせているのだろうか。会場でこれに気づいたのは数人だろうが、それでも確かに戦慄し泡立つ肌を自覚した。そこまで思い至るものたちであれば、ナイトアイというヒーローの実力を噂以上であるとこれまた誤認しただろう。
世界を平和に騙すイベントの前座。その体育祭としては最高の形になったと言えるのかもしれない。
優勝者の表彰とインタビュー。それはあまりに波乱すぎた戦いを継続するようにして始まった。
「辞退させてくれ、オールマイト」
優勝者である爆豪勝己がオールマイトへの直談判を始めたのだった。表彰台の上で、である。
「辞退というのはあまりに身勝手だ。認めることはできないな。大体これはチーム戦だ。君の一存にチームの二人の気持ちはどうなる?」
「あいつらには、先に頭下げてわかってもらった。相談済みだ。飲んで、もらった」
少し面食らって、意外な返答に詰まってしまった。彼が頭を下げた?そして説得したというのか。しかし、だからと言って軽々にそんな判断は下せない。
「セメントス!少しでいい、頼めないか?」
四方がせり上がり、オールマイトと三位までの一年生三名しかいない空間が出来上がった。さすがに衆人環視の元では話せることも限られるだろう。
「個人的な一時の感情の暴走で、大会の辞退は受け取れない。これは決定事項だと言おうと思っていたけれど、どうやら単純なそれとも違うらしい。話してみてくれ。全部をね」
歯を食いしばり、嗚咽のように声を漏らして。それでもはっきりと爆豪少年は告白した。
「俺はあの時、何も考えてなかった。そう思ってた。でもそりゃ嘘だ。自分自身に、他の誰に嘘を言えてもアンタだけには言えねえ。俺はきっと、このまま死なれたら取り返しがつかねえって、そう思って助けようとしてた。ああ、そうだ。これが本当のとこだ」
胸を掻きむしって、吐露した胸中はあまりに理想と違うもの。その痛みに耐えるようにしながら言わなければ決してわからない罪を告白するのだった。
「勝とうと、してたんだ。昔の自分も他の奴らも、アンタも全部ひっくるめて勝とうとしてた。でも違う。ヒーローは俺みたいには動かない。オールマイトなら絶対に人を助けてた。返さなきゃいけないものがある友達を助けるんじゃなくて、誰の命でも救ってただろうが!!!」
「俺がすべきはデク……を、助けることじゃなく、小脇に抱えてたヤツを守ることだった!それぐらい分かってたはずだ。これが間違ってるわけがねえ!ああ、クソ!ちくしょう!そうだ!俺は間違ったんだよクソが!!」
「認めちまった。あの浮かせる女の動きの方が迷いがなかった。掌女なら守れるとわかって、有利になりそうだって放置した!それより……デク……い、
許せないのは自分自身。きっとこちらの言い分は関係がないんだ。彼は自分の中の葛藤を確信してしまっている。
「デ、……出久にはこの後に話さなきゃいけないことを話す。でもどうせ、こいつは許す。こいつにとっては許せなくても、ヒーローだから許ししちまう。でもそれ以上に、俺にはやるべきことがあるって最後の最後で気づいたんだ。だから、頼むよオールマイト。俺は今ようやくやるべきことってやつがわかったんだ。邪魔、しないでくれ」
爆豪勝己が搾り出すようにどうにか出した懇願は、子供の頃からの憧れの対象に伝えるにはあまりに情けないものだと自分で思っているのだろう。体を震わせながら、自分という存在を壊しながら言い切った。いや、違う。まだだ。まだ最後を聞けていない。
「爆豪少年。最後に聞かせてほしい。そのやることというのはなんだい?」
彼は自分の根幹が、決して憧れたヒーローと同じではないと自ら認めた。そして辞退しようとしているという状況だけを見るとはあまりに自暴自棄にも見える。けれどオールマイトには、彼の目が諦めたものの目には見えていない。まるで違う輝きと覚悟がそこには見えていたのだから、だからここまで話を聞いているのだ。
「ーーーー」
爆豪の返答にどれだけ自分の名が呼ばれてもずっと聞くだけだった緑谷は驚愕し、呆然としていた轟が反応して思わず言葉を出してしまった。
「お前……ふざけんなよ?オリンピック蹴って、それをやるのか?俺が、台無しにした俺が優勝なんて、あり得ねえだろうが……。だいたい、俺が残ってたのは全部骨抜の機転のおかげで……」
轟焦凍の抵抗は今、爆豪とオールマイトの邪魔をすることはできていない。
流した涙をガシガシと拭いながら、キッと睨みつける目線はいつもの勝気を捨てていない。オールマイトは確かに理解した。彼はドロップアウトをするんじゃない。もっと困難な戦場へと身を移すだけだ。
オールマイトが筋骨隆々なその両手をぐんと広げれば、四方の壁が倒れていく。光が再び注がれて、会場の喧騒がまた復活した。
マイクを握り完璧なヒーロースマイルのまま、有無をいわせぬ迫力をもってオールマイトは宣言する。
「厳正な審査の結果。優勝者の辞退を認めることとする!!繰り上げで優勝は……轟チーム!!」
大波乱のバトロワ。それを破壊した張本人が繰上げとなれば大いに揉めるだろう。それどころか優勝した本人が自分も辞退させろと喚いている。
だがしかし、オールマイトはその叫びを今度は聞かないつもりだった。
しかし、これはきっとこの少年たちにとって必要なことなのだとオールマイトはどこかで確信をしていたのだった。
勝ったのにその勝ちの意味に気づいてしまったもの。
負けたのに勝ちを譲られたもの。
そして、自分が人を変えているという事実。その影響を未だに自覚できていない若きヒーローにとってもこれは大事な瞬間なのだと感じているから。