「……もう、ドゥーでもいいか」    作:ヨリヨリ

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生成AIで作ってます。苦手な方はバックしてください。
最近うちの生成AIのガンダムの理解度が凄いことになってきました。




 

 

 

 

──目覚めたのは、見知らぬ天井だった。

天井の角に、くすんだ換気口。そこから下へ視線を落とせば、質素なベッドが二つ並ぶだけの無機質な部屋。

喉の奥に違和感がせり上がる。体がやけに軽い。それ以上に――視界の端に映った人物に、思考が凍りついた。

白に近い銀髪。透き通るような青の瞳。病的なまでに白い肌。痩せぎすの体に深い隈。

その存在は、異質だった。

 

――見覚えがある。いや、知っている。

 

「……ドゥー・ムラサメ?」

 

名を呼んだ瞬間、背筋に冷たいものが走った。

ここは、そういう世界なんだ。

俺は今、ゲーツ・キャパの身体にいる。あの『ジークアクス』で散っていった、あの男に。

 

「転生したのか……? ゲーツ・キャパに? 嘘だろ……」

 

思わず呟いた言葉に、自分で笑ってしまいそうになる。

よりによって、ゲーツ・キャパ。

登場した作品、全てで戦死確定の男。

よりによって、ガンダム。

記憶の断片が、ゆっくりと脳裏をかすめていく。

 

俺は――地球連合の中尉。

そして、隣にいるドゥー・ムラサメの監視役。

 

地球連合。地球連邦ではない。

あの“ティターンズ”や“エゥーゴ”が存在した世界ではない。

ここは、ガンダムSEEDの世界だ。

ブルーコスモスの思想が支配する、人種間戦争の最前線。

敵はナチュラルでもコーディネイターでもなく――“世界そのもの”。

 

俺たちの立場は、よりによって、強化人間。

データで補われ、薬で動かされ、心を切り捨てられた“兵器”。

 

そして知っている。

ガンダムという物語において――

 

強化人間は、例外なく死ぬ。

 

それは演出でも脚本の都合でもない。

まるで呪いのように、避けられない死のルートが定められている。

「そうなるべくしてなった」と、誰もが納得する終わりが、用意されている。

 

「……詰んでるじゃねぇか……」

 

絞り出した言葉に、苦笑すら乾く

口元が自然に歪んだ。そのとき。

 

「呼んだ?」

 

ふいに、目の前の少女が、音もなく顔を寄せてきた。

 

「わっ――!? びっくりした……!」

 

反射的にのけぞる俺の頬に、柔らかな掌がそっと触れる。

もちもちとした感触。微かに冷えた指先。

視線を向ければ、青。

深い海の底のような、透き通る青の双眸が、真っ直ぐにこちらを見つめていた。

 

「ボクを呼んだよね。なに?」

 

声に棘はなかった。ただ、問いかけただけだった。

その無防備すぎる純粋さが、逆に怖かった。

 

――この子は、何も知らないのか。

自分が、どういう立場にいて。

この世界が、どれほど理不尽か。

そして、どれほど残酷に、“強化人間”を使い捨てるのか。

 

その瞳は、ただ真っ直ぐで。

頬に触れた掌は、人間の温もりを確かに持っていて。

だというのに、命の価値を教えられずに生きてきた、そんな気配が滲んでいた。

 

無意識のまま、言葉がこぼれた。

 

「……死なせたくねぇなぁ……」

 

それは独り言だった。願いとも、呪いともつかない、ただの呟き。

だがその瞬間、心のどこかが、ほんの少し――痛んだ。

 

その時だった。

部屋の扉が、無造作に開いた。

 

――ギィィ……。

 

古びた蝶番が、神経を逆撫でするような軋みを響かせる。

空気が一変する。何かが、押し寄せてくる。

足音は重く、低く、ゆっくりと。

そして、現れた。

 

――2メートル近い巨躯。

ピシリと糊の利いた軍服に、異様に映える赤いゴーグル。

ただ立っているだけなのに、空気の密度が増す。

その存在感は、まるで移動する要塞のようだった。

 

「……さあ、時間だ。出ろ」

 

その声は低く、重く、命令でしかなかった。

……バスク・オムだった。

 

(……ああ、いるよな……そりゃいるよな……)

 

ゲーツとドゥーがいるなら、バスク・オムがいるのは当然だ。

彼は強化人間という兵器の“管理者”。この部屋の空気すら彼の所有物のように支配する。

 

(よりにもよって……よりにもよってバスク・オム……!)

 

しかも今のバスクは、何のギャグ補正もない“ガチ”の圧でこちらを睨んでいる。

SEED世界の空気は、冗談を許さない。

心の奥で、ため息すら飲み込んだ。

 

(さて、何日耐えられるかな俺……)

ただし――問題は、ドゥーだった。

 

彼女は真顔でバスクを見つめていた。

まばたき一つせず、まるで生物学的サンプルでも観察するかのように。

その目はどこか遠く、妙に冷ややかで、言い知れぬ“爆弾”の予感を孕んでいた。

 

(……やばい。絶対なんか言う)

 

嫌な汗が、うなじを伝う。

こういうとき、ニュータイプの勘ってやつは、妙に正確に囁いてくる。

 

(黙らせろ。今すぐ黙らせろ)

 

俺がその一歩を踏み出すより先に――

 

「――あっ、ハゲ大佐」

 

ドゥーの声が、あまりに無垢なトーンで響いた。

――空気が、音を立てて凍りついた。

 

「わああああっっ!?!? お前ェェェ!!」

 

叫ぶより早く、俺はドゥーの口を手で塞いだ。

もちもちとした頬が掌に押し返してくる。本人はまったく悪気がない顔でムムムと呻いている。

その視線の先。

バスク・オムの赤いゴーグルが、こちらを捉えていた。

 

「……今、何か言ったか?」

 

低く、押し殺した声。

一言一句が、地雷の上に置かれた鉛玉のように重い。

 

「いえッ!! なにもッ!! ございませんッッ!!」

 

即座に姿勢を正し、全力敬礼。

右手でドゥーの顔面を塞ぎつつ、左腕で肩を抱え込むように引きずり、脱兎のごとくその場を離れた。

 

廊下に出てしばらくして、ようやく手を放す。

ドゥーはゼェゼェと肩で息をしていた。

 

「……死ぬかと思った」

 

「俺もだよ……」

 

額に浮いた汗をぬぐいながら、心底からの本音が漏れる。

 

「お前がとんでもないこと言いそうな予感がしてな。悪かった、口塞いで」

 

一応、気の毒には思っている。

だがドゥーはといえば、何が問題だったのか微塵も理解していない様子で、小首をかしげて一言。

 

「……ハゲって言っただけなのに?」

 

(だからだよッ!!!!)

 

内心の絶叫を飲み込み、俺はそっと目を伏せた。

 

 

二人は、無言のまま廊下を歩いていた。

 

ドゥーが少しだけ前を歩いている。

俺がこの船――いや、この収容施設の構造を把握していないことを察してくれているのだろう。

どこか自然な距離感。だが、その背中は微かに緊張していた。

 

思えば、さっきのバスクの“呼び出し”は異常だった。

わざわざ本人が来たということは、――つまり、何かある。

それも、ロクなことじゃない。

 

(……そういや、俺、何も説明されてなくない?)

 

無意識に手のひらが湿る。

だが、焦りより先にこみ上げてくるのは、別の不安だった。

 

このまま、地球連合の“道具”として生きる気は、毛頭ない。

死にたくない。ただ、それだけの理由でここにいる。

だが――逃げて、どこへ行く?

 

プラント? ムリだ。

オーブ? 理想ではあるが、保証はない。

 

(自由って……こんなにも、遠いのか)

 

ぼんやりと考えているうちに、俺たちは目的地へと辿り着いていた。

扉が開き、冷たい空気と鉄の匂いが鼻を突く。

格納庫だった。

そこには、巨大な影が並んでいた。

 

――ハンブラビ。

そして――サイコガンダム。

 

重厚な装甲。異形のシルエット。

人のために作られたとは到底思えない“兵器”。

……見間違えようがなかった。

 

(……やっぱり、あるのかよ)

 

脱力するほど、予想通りだった。

そしてその“正解”は、笑えるくらい、最悪だった。

ドゥーは無言で、まっすぐサイコガンダムの前まで歩いていった。

その巨体を見上げたまま、ぽつりと呟く。

 

「……ボクの体……ボクは、心臓……」

 

それはまるで、誰かに言い聞かせるでも、悲しんでいるでもなく。

ただの事実を述べるような、機械的な口調だった。

――まるで、“そうプログラムされている”かのように。

 

(……ああ、完全に刷り込まれてる)

 

ああ、ダメだ、それは。

 

「こら」

 

ぺち、と軽く頭を叩くと、ドゥーは「いた」とむくれた。

だが、どこか反射的で、真意には届いていない。

 

「バカなこと言うな。お前は、こいつの心臓なんかじゃない」

 

その言葉に、ドゥーはきょとんとした顔をした。

まるで意味がわからない、というように首を傾げる。

 

その仕草が、やけに痛々しかった。

 

(……この世界のドゥーも、“そう”教えられてきたんだろうな)

(“お前は道具だ”って、“存在する意味は機体のためだ”って……)

 

「ドゥーはドゥーだ。自分を部品みたいに言うなよ」

 

静かに、けれどしっかりと告げると、彼女の肩がわずかに震えた。

 

「……じゃあ、ボクは……なに……?」

 

その声は、あまりにも小さく、不安定で。

まるで、自分の名前すら疑っている子どものようだった。

 

(……しまった。急ぎすぎたか?)

 

一瞬だけよぎった後悔。

でも、もう戻れない。ならば――前へ。

 

俺はゆっくりと、彼女の頭に手を置いた。

その髪は柔らかくて、温かかった。

 

「――相棒だよ。俺の」

 

一瞬、時が止まったように、ドゥーの瞳が大きく見開かれる。

 

「……ゲーツの?」

 

かすれた問いかけ。

そして――

 

「…………ヤだ」

 

見るからに全力で嫌そうな顔をした。

 

「おい! なんだその顔は! 嫌なのか!?」

 

思わず問い返すと、ドゥーはぷいと顔を逸らした。

けれど、その肩の震えは……もう、止まっていた。

 

(まったく……本当に、素直じゃねえな)

 

でも、それでいい。

今はそれで、充分だった。

 

 

 

 

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