「……もう、ドゥーでもいいか」    作:ヨリヨリ

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僕はSEEDまでのつもりでこの小説を考えてたんですが
うちのAIさんは書く気マンマンなんですよね。


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空間が、きしむ。

 

光と闇が交錯する戦場のただ中――

三機のMSがその中心で火花を散らしていた。

 

フリーダム。

サイコガンダム。

そして、プロヴィデンス。

 

あまりにも異質な三機が、互いの間合いを読み合うように、宇宙を舞う。

ドゥーとキラに、明確な連携はない。

タイミングを合わせたわけでも、声を掛けたわけでもない。

 

だが――

 

これまで、幾度も殺し合った。

敵として、容赦なく。

そのたびに読み合い、意図を見切り、命を懸けて出し抜こうとした。

 

だからこそ、知っていた。

 

癖を。動きの癖を。呼吸の癖を。

そして、譲れないものの“在処”を。

 

交わすのでもない。

ぶつけ合うのでもない。

 

ただ、互いの存在を認め、邪魔せず、譲り合わず――

結果として“噛み合っていた”。

 

敵として理解し合い、今、共に戦うという矛盾。

だが、それは確かな“信頼”に近かった。

 

プロヴィデンスのドラグーンが放たれるたび、

フリーダムのビームサーベルが閃き、

サイコガンダムの十指が紅を描く。

――次々と、破壊されていく。

 

クルーゼの声が、通信越しに冷ややかに響く。

それにフリーダムのパイロットが通信を返す。

 

『これが定めさ……知りながらも突き進んだ道だろう!』

 

『なにを!』

 

『正義と信じ、解らぬと逃げ、知らず、聞かず――』

 

『くっ……!』

 

『その果ての終局だ! もはや止める術などない! そして滅ぶ、人は! 滅ぶべくしてな!』

 

「そんなこと、ない!フリーダム、聞いちゃダメ!」

ドゥーが叫ぶ。

だがクルーゼの視線は、次に彼女を捉えていた。

 

『君とて、私と同じだろう?』

 

冷たい声が、胸の奥に突き刺さる。

まるで、心の底を覗かれたような――

いや、それはゲーツがやったときとは違う。

クルーゼの声は、鋭く、毒のように重かった。

 

ドゥーは、震える手でコントロールを握り直す。

 

「違う……ボクは……!」

 

『何が違う? 何故違う? 同じではないか――道具として生まれ、操られ、戦場に立たされる。』

 

怒りが、胸を焼く。

吐き出したのは、叫びだった。

 

「ボクには、相棒がいる!」

「ボクは――ゲーツを信じてる!!」

 

その言葉に、プロヴィデンスの動きが一瞬、止まる。

 

『この憎しみの目と心と、引き金を引く指しか持たぬ者達の世界で――』

『何を信じ、何故信じる!?』

 

ドゥーの怒声に、キラが重ねた。

 

『それしか知らない、あなたが――!!』

 

二つの声が、響き合う。

破壊ではなく、信念がぶつかる戦い。

 

『知らぬさ……所詮、人は己の知ることしか知らぬ』

 

――その言葉は、否定であり、悲鳴だった。

 

ドゥーの意識の奥で、過去の記憶がよみがえる。

巨大な機体に繋がれ、ただ心臓のように鼓動していた日々。

それが当然だった。疑うことさえ、知らなかった。

 

自分の命は、機体の部品。

自我など、最初から存在しないと――

そう、“思わされて”いた。

 

でも。

 

《ドゥーはドゥーだ》

 

誰かの声が、胸の奥でこだまする。

――あれがなければ、ボクもきっと、あいつと同じだった。

 

だからこそ、今。

この戦場で、否定しなければならない。

 

クルーゼの「全てを諦めた理屈」に、抗わなければならない。

命の価値は、誰かに定められるものじゃないと――ボクが証明する。

 

しかし、閃光。爆風。

そして、静かに砕けていく機体の一部。

 

サイコガンダムが――被弾した。

プロヴィデンスのドラグーンが、サイコフィールドの内側に侵入し、

精密に、そして容赦なく弱点を突いてくる。

 

「……あっ……!」

 

瞬間、サイコガンダムの右腕が吹き飛び、左脚が大破した。

姿勢制御を失った巨体が、宇宙に浮かぶ残骸に叩きつけられる。

 

『ふ……ふっふっふ……はっはっはっはっは!!』

 

クルーゼの笑いが、無線越しに響く。

壊れたプロヴィデンス。そのコックピットの奥から、狂気が滲み出る。

 

『どのみち私の勝ちだ! ヤキンが自爆すれば――ジェネシスは発射される!』

 

「……なに……?」

 

ドゥーの目が揺れる。

ゲーツが、命を懸けて守ろうとした世界が――

――失われる?

 

「……そんな……」

 

焦りが、神経伝達を狂わせる。

いつもなら自然に動くはずの指が、遅れて反応する。

 

その隙を突くように、プロヴィデンスの狙いがフリーダムに移りビームを放つ。

フリーダムのメインカメラが被弾。

 

『人が数多持つ予言の日だ! それだけの業! 重ねてきたのは――誰だ!!』

 

ドゥーの脳裏に、幾千の死が閃く。

名も知らぬ兵士たち、焦げた街、焼かれた空――

 

『君とて、その一つだろうが!』

 

『……それでも!!』

 

その瞬間だった。

フリーダムが、機体の傷も顧みず――一直線にプロヴィデンスへ突撃した。

翼を広げ、闇の中で光そのものとなって、突き進む。

 

ドゥーの心が、叫ぶ。

 

「行って……フリーダム……!」

 

残されたサイコガンダムの左手が、ゆっくりと、しかし確実に持ち上がる。

限界を超えた内部構造が悲鳴を上げ、警告灯が一斉に点滅する。

 

ビームが、炸裂した。

フリーダムを狙ったドラグーンが次々と撃ち落とされる。

 

残ったものは――機体から分離させた装甲を、

ドゥーがサイコミュで制御し、浮遊させて盾にする。

 

だが、左腕が熱暴走を起こし、制御不能。

内部から火花が迸り――

 

ドォン!!

 

爆発。

圧力が機体を貫き、座席から浮きかけた身体を、シートベルトが無理やり押し戻す。

 

脳にかかる負荷で、視界が滲む。

鼻から、真っ赤な線が流れる。

それでも、ドゥーは叫んだ。

 

「くっ……! お願い!!」

 

『守りたい世界があるんだ!!』

 

キラの声が、宇宙に響いた瞬間。

フリーダムのビームサーベルが、プロヴィデンスのコクピットを正面から貫いた。

 

一瞬の静寂。

 

そして、爆発。

プロヴィデンスが、散った。

爆煙の向こう、砕けた装甲と煙を背負って、フリーダムがなお飛ぶ。

その光景を、ドゥーは――朦朧とする意識の中で、ただ、見つめていた。

 

(……やっと……)

 

(……守れた……よ、相棒……)

 

砕けたプロヴィデンス。

その残骸が漂う戦場の向こうに、彼女の守った“世界”が、静かに揺れていた。

 

ドゥーは、静かにコックピットのハッチを開けた。

ボロボロに焼け焦げたサイコガンダムの装甲が、軋みながら音を立てる。

その身を、宇宙へ――

ただ、風のない真空の闇へと委ねる。

 

(相棒……)

 

(ボクも、そっちにいくね……)

 

壊れた身体。

もう痛みさえ、遠のいていた。

 

目を閉じる。

ジェネシスの光が、遠くで閃いた。

あれがすべてを――終わらせるのだと、そう思った。

 

そのときだった。

 

――ガシッ!

 

何かが、ドゥーの腕を強く引いた。

 

「……え?」

 

虚ろな声が、漏れる。

視界が揺れ、強引にその身が引き戻されていく。

白と青の光が近づいて――

 

「ダメだ!! あきらめちゃ……!」

 

フリーダム。

そのコックピットが開き、ドゥーの身体は乱暴に、だが確かに押し込められた。

シートに叩きつけられたとき、背中の骨が軋んだ気がした。

 

「……なにして……」

 

彼は、何も言わず操縦桿を握り、宙域を離脱し始める。

 

次の瞬間。

ジェネシスの第3射が、宇宙を焼いた。

 

光が、ドゥーたちのいた空間を薙ぎ払う。

その中に、サイコガンダムの残骸が、静かに、音もなく消えていった。

その光を見て――ドゥーの内側で何かが、崩れた。

 

「な、なんで……」

 

震える唇。

そして、こみ上げてくる怒り。

 

「なんで……ボクを死なせてくれない!!」

 

咄嗟に手が伸びていた。

操縦桿を握るその男――キラの胸倉を、強く掴んでいた。

彼は、ゆっくりと、ひねり出すように言った。

 

「……死んじゃダメだ。君の相棒も……それを望まない」

 

「お前に……ボクの相棒の、何が……」

 

言葉が、途切れた。

言いかけて、気づいた。

 

――違う。

彼は間違っていない。

ゲーツは――相棒は、そんな結末を望まない。

ボクが、それを一番理解していた。

 

掴んだ手が、力を失って離れていく。

キラもまた、何も言わなかった。

 

二人の間に、沈黙が落ちる。

 

だがそれは、

怒りでも絶望でもなく――ただ、痛みと理解の静けさだった。

そして、静寂を破るように、通信が入る。

 

『宙域のザフト全軍、ならびに地球軍に告げます。

現在プラントは地球軍、およびプラント理事国家との停戦協議に向け、準備を始めています。

それに伴い、プラント臨時最高評議会は現宙域に於ける全ての戦闘行為の停止を――申し入れます』

 

フリーダムの操縦桿が、力を抜く。

宇宙を満たす閃光と共に――

 

戦争は、終わった。

 

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