転生魔王と転生勇者   作:東海妖太郎

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第1話

人類と魔族

この2つの種族は1000年にも及ぶ戦争を続けていた。

そして今、多くの屍の中で白銀の鎧を着た勇者と漆黒の鎧に身を包んだ魔王が向かいあっている。

「始めようか、魔王ソドム」

「ああ、かかってこい勇者」

「私の名前はラムルだ」

「...それ今気にすること?」

「だって君、私の名前呼ばないじゃないか」

「いや最終決戦よ?ここでお前負けたら人類滅ぶんだよ?そこ理解してるんだよね?」 

「してるけど?」

「だったらなんで」

「せっかくだから名前で呼んでくれ...どうせ最後なんだから」

「...わかった、こい!勇者ラムル!我が宿敵であり、理解者よ!」

「ああ!魔王ソドム!私の敵であり友よ!」

お互い目の前の敵を全力で殺す為、渾身の力を使い剣を振るう。

そして勇者と魔王の一騎打ちは相打ちの結果で終わった。

「クソ...痛っ...」

(あいつはなんとか倒せたか...まぁ俺もほぼ死んでるようなものだが...)

「...父さん!しっかりしてください!父さん!」

薄れゆく意識の中で自分を父と呼ぶ声が聞こえてきたおかげで少しだけ意識を保てた。

「ド...ラ...ゴ」

目を開けると、自分を心配してくれている息子のドラゴが目の前にいた

「今、回復魔法を」

「無...駄...だ...やめ...て...おけ」

「ですが!」

「いい...か...よ...く...聞...け」

情けなくて涙が出てくる

この子には戦争なんかを知らないで生きて欲しかった。

できればこんな業など自分で終わりにしたかった。

「お前は...これから...王...とし...て...民...を...導け」

「はい...」

「民に...慕わ...れ...る...良い...王...になっ...てく...れ」

「私にそのような事ができるのでしょうか...」

「大...丈...夫...だ...お前...なら...きっと...な...れる」

結局自分はこの子にこの"魔王"という業を押し付けなければならないのか

(ごめん、ニア俺...約束守れなかったよ)

今は亡き妻との約束を守る事が出来なかった後悔に包まれ俺は死んだ

はずだった

「貴方は異世界に転生してもらいます」

死んだと思ったらいきなり真っ白な空間で目が覚め、しかも目の前の白い服を着た赤髪の女性から訳のわからない事を言われた俺が咄嗟に出た言葉は

「は?」

「は?じゃないですよ、なんでそんな簡単な事も理解できないんですか?貴方馬鹿なんですか?」

「いや、死んだなー俺死んじゃったなーって思ってたらいきなりこんな訳わかんない空間にいて、いきなり目の前の女から「貴方は異世界に転生します」なんて言われたら誰だってそんな反応になるだろ!」

「そうですか」

「え、反応薄くない?」

「いえ、下賤な下界暮らしの者と話すのは面倒なので」

「上から目線が過ぎる!何様だよ!」

「天使ですが?」

「え?天使?嘘だろ?」

「...これでも愛の女神フレイヤ様に使えているのですが」

「...すいませんでした」

(やべー天使だったのかよ、やべー終わったー)

完全にやらかしてしまった

神に使える天使そんなものにあんな態度とってしまったら何をされるかわかったものじゃない

「はぁ...今回は目を瞑りましょう」

「あ、どうも」

「で、異世界に転生していただけますね?」

「疑問なんだけど、質問いいですか?」

「なんですか?」

「俺、魔王なんですけど...地獄送りじゃないんですか?」

「本来であればそうですが、今回は特例となります」

「いや、魔王として人間たちとの戦争を扇動してたのよ?極悪どころじゃないよ?」

「...貴方は魔王の仕事としてしましたが、個人的には人間との戦争なんかしたくなかったのでしょう?」

「...はい」

「今までの魔王たちはただ己の欲で人類を滅ぼそうとしてきました」

「ですが、貴方は今までの魔王たちと違い人間に歩み寄ろうとした」

「人間たちに和睦を持ちかけていたのも知っていますよ」

「...その結果が人間を滅ぼそうって事になったんですけどね」

「そうですね、ですがそれでも人間に歩み寄ろうとした事はフレイヤ様は評価さていました」

「え?マジ?神様、俺の事評価してくれてるの?」

「ええ、ですので今回貴方は特例として異世界に転生させる事となったのです」

「そっかぁ...ちなみに異世界ってどんな所?」

「少なくともこの世界よりマシな世界ですよ」

「ならラッキーだな」

(あっそうだ)

もし天使ならあいつらがどうなったかも知っているかもしれない

「なあ、俺の部下たちはどうなった」

「...全員死にましたよ、貴方が勇者と一騎打ちをしている間に勇者の仲間たちとの死闘で」

「...そうか、死んだあいつらはどうなった」

「全員地獄に送られました」

「なら、あいつらも連れて...」

「言っておきますが、特例は貴方のみです」

「...俺が地獄に行くって言ったら?」

「もし貴方が地獄に行こうとすれば私が強制的に貴方を転生させます」

「...どっちにしろ転生しかないのね」

「ええ、そうです」

「わかった、転生するよ」

「ではこの門をくぐって真っ直ぐ進んでください」

天使がそう言うと突如として白い門が現れた

「ありがとう、じゃあ」

「ええ、貴方の人生が良いものでありますように」

天使がそう言うと門が閉まり真っ暗闇の中1人取り残されてしまった

「...行かなきゃな」

どうせ進む他にないならせめて

自分のせいで死んでしまった部下たち

自分の手で殺してきた人間たち

自分の手で殺した兄弟たち

せめてそれらを背負いながら歩こう

それがせめてもの償いになると信じて

ーー

「フレイヤ様、彼は行きましたよ」

「お疲れ、ジグちゃん」

天使が何もない空間に声をかけると空間が裂け中から銀髪の女が出てきた

「しかし、いいのですか?」

「うーん?何が?」

「魔王を転生させたりなんかして」

「いや本当は天国にいれて僕の所に運びたいんだけど、魔王なんかを天国に入れるなって他の神がうるさくてね」

「そのために彼を人間にしたと?」

「そう、人間にした彼が死ねば僕の所に運べるからね」

「...相変わらず碌でもないですね」

「いいじゃん、僕は神だからね」

所詮は神、他人の事など知ったこっちゃないのである

「それにちゃんと彼が楽しめそうな世界に転生させたんだからいいじゃん」

「はぁ...」

「じゃ、僕帰るね」

フレイヤはそう言うと跡形もなく姿が消えてしまった

「はい、お疲れ様でした」

天使は自分しかいなくなった空間で1人つぶやく

「ふぅ...彼、厄介な神に目をつけられちゃいましたね」

 

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