初星学園放送部部長、アイドル科の真城優です。   作:magtaco

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夏は色々とありまして一話も書けませんでしたが、お待たせいたしました。
ぼちぼち更新していきます。

追記:タイトル少し変えました。
「初星学園放送部部長、一番星の真城優です。」
->「初星学園放送部部長、アイドル科の真城優です。」


一番星へのルートマップ

「私を、プロデュースしてください」

 

 目の前に座る汐崎さんに、深々と頭を下げる。

 

 私の申し出に、汐崎さんは一瞬だけ顔を綻ばせ、小さくガッツポーズをしたように見えた。

 

 けれどすぐに、いつもの冷静な表情へと戻り、落ち着いた声で話し始める。

 

「誘った身で言うのもなんですが、これからは毎日がレッスンや課題の連続です。自由な時間も減りますし、今までの生活とは本当に別世界になります。迷いがあるなら、まだ戻れますが……いえ、失礼。聞くだけ野暮でしたね」

 

 私の覚悟を確かめるように、汐崎さんはこれからの現実を淡々と語る。けれど、私と目が合うと、ふと申し訳なさそうに微笑み、一息ついてから言葉を和らげて謝った。

 

 昨日から思っていたことだけど、この人には思ったこと全てを見透かされているように感じる。

 

 きっと、私の中に残る不安を感じ取ったからこそ、あえて野暮とも思える言葉をかけてくれたのだろう。

 

 でも、だからこそ私は、自分の覚悟を口に出す。そうすることで、その意思をより確かなものに出来る気がするから。

 

「アイドル活動を軽んじてるつもりはありません。アイドル科の皆さんのことは、放送部の活動を通してよく見てきましたから。

 その全部を踏まえた上で、今の私はアイドルになりたい」

 

 私の決意表明を聞いた汐崎さんは、静かに席を立つ。

 

 机の横へと歩み、私の目の前で膝をついた。

 

 そのまま真剣な眼差しで私を見つめてくる。

 

 それはどこか物語じみた光景で、胸の中では戸惑いとわずかな気恥ずかしさが入り混じる。

 

 耐えきれず目を逸らそうとした瞬間、彼はそっと、行き場なく遊ばせていた私の手の片方を取った。

 

「しっ、汐崎さん!?」

 

「おっと、すみません。契約成立、という意味で手を取ったつもりなんですが……女性に対しては失礼でしたね。というか、ちょっとキザすぎました」

 

 たははと笑いながら手を放し、すっと立ち上がる汐崎さん。

 

 一方の私はまだ動揺が収まらず、頬が若干熱い。

 

 この人、恋愛ごとには無関心なタイプだと思ってたのに、こういうこと普通にできちゃうんだ……。

 

 いや、もちろん恋愛絡みのやつじゃないんだろうけど。

 

「誓います。俺を信じて手を取ってくれたあなたを、この学園の一番星(プリマステラ)にする」

 

一番星(プリマステラ)!?それはちょっと、大きく出すぎなのでは……」

 

「いいえ、貴方は確実に一番星(プリマステラ)の器です。逆に言えば貴方が一番星(プリマステラ)になれないのなら、それは俺の力不足だ。貴方は存分にアイドルを楽しめばそれでいいんです」

 

 にこやかにそう言い放つ汐崎さん。そうは言われても、そこまで期待を寄せられてしまうと、それはそれでプレッシャーを感じてしまうものなのだけど……。

 

「真城さんの意思確認も済んだことですし、これからの話をしましょうか」

 

「っはい!よろしくお願いします、プロデューサー!」

 

 意を決した私のプロデューサー呼びを聞いた汐崎さん……プロデューサーは私の前を離れ、部室の隅からホワイトボードを引き出してきた。

 

 プロデューサーはまず、ボードの上部に大きく『真城優 ルートマップ』と書き、その右端には一番星(プリマステラ)の文字を記した。

 

「さて、再確認ですが、俺たちの最終目標は一番星(プリマステラ)です。真城さん、一番星(プリマステラ)になる方法が何かは心得ていますね?」

 

「はい。H.I.Fで優勝すること、ですよね」

 

 プロデューサーは「その通りです」と言ってコクリと頷く。

 

『Hatsuboshi IDOL FESTIVAL』──通称『H.I.F』。初星学園最大の祭典であり、学園No.1のアイドルを決める大舞台。

 

 そこで優勝した者には、学園一のアイドルであることを示す証として一番星(プリマステラ)の称号が与えられる。

 

 学園主催のイベントでありながら、本戦に出場するだけでも難しい狭き門。その舞台は、初星学園のアイドルたち全員が憧れる場所なのだ。

 

 花海さんも月村さんも藤田さんも、学園に在籍する全てのアイドルが一番星(プリマステラ)を目指し、日々努力を重ねている。

 

 そんな大舞台に、未経験ながら既に一年を無駄にしている私が挑む……。こうして整理すると、如何に私たちの目標が果てしないものか、良く分かる。

 

「果てしない目標ですが、往々にして期限のない目標というのは、停滞の原因となります。というわけで、俺たちは何時のH.I.Fに出場するのか、この場で決めてしまいましょう」

 

 くるりとボードに向き直ったプロデューサーは、まず右端の一番星(プリマステラ)の文字から左へ向かって、太い矢印を引いた。その矢印の先に『H.I.F』と大きく書き加える。

 

 さらにその下に日付──おそらく開催日程だろう──を書き加えていく。

 

 しかし、記された数字に強い違和感を覚えた私は、思わずプロデューサーに声をかけた。

 

「あの、プロデューサー。日付間違えてないですか?それだと今年のH.I.Fってことになっちゃいますけど」

 

「ん?いえ、間違っていませんよ。俺たちの目標は今年、2年冬のH.I.Fです。現一番星(プリマステラ)十王星南さんを下して、真城優の名を全国に轟かせましょう!」

 

 やはり私は、とんでもない人のもとでアイドルになろうとしているのかもしれない。

 

 ……いや、それは普通科の私をスカウトしに来た時点で分かっていたことか。

 

「私は貴方なら十分可能だと考えていますが……荷が重いですか?」

 

「……いえ、やります!やるからには全力で!」

 

 どのみち私一人では何も分からないのだから、この人の考えに乗るしかない。

 

 軽く深呼吸をして、これからのことを想像する。

 

「良い心意気です。さて、H.I.Fに至るまでの道のりも細かく考えてはいますが……。あまり多くのことを意識すると足元がおろそかになり、パンクしてしまうことも考えられます。

 よって真城さんには目の前の目標だけ伝えて、それだけに集中してもらう方式を取りましょう。まず手始めとして……」

 

 これから始まるんだ。もう普通科じゃない、アイドル科としての、私の新しい日々が──!

 

「真城さんには後日、アイドル科編入試験を受けてもらいます」

 

 ……へっ?

 

「なので以降のプランとしましては……真城さん?どうかしましたか?」

 

「え、えっと、すみません。大丈夫ですから、いまちょっとこっち見ないでもらえますか……」

 

 自分の勘違いに気付いた瞬間、先程プロデューサーに手を握られた時とは比べものにならないほど頬に熱が溜まっていくのがわかった。

 

 プロデューサーに悟られないよう、咄嗟に両手で顔を覆い隠す。きっといま私の顔は、茹でだこのように真っ赤になっていることだろう。

 

(は、恥ずかしい……!)

 

 そっか。もうアイドルになった気でいたけど、親と話とかつけてきただけでまだ手続きとかしてないから、まだ立場としては普通科なんだ、

 

 考えてみれば当たり前だ。普通科とアイドル科じゃ入試の選抜方法がまるで違うんだから、転科するなら試験があるのは当然じゃないか。

 

 ていうか、もしこれで試験落ちたら私、普通科のまま?あんな啖呵切って?

 

「絶対合格しましょう、プロデューサー!」

 

「やる気が出てきたようでなによりです。気を取り直して今後のプランですが……もう朝のHRが始まってしまいますね。続きはまたあとで話しましょうか」

 

 プロデューサーに言われて時計を見てみると、早起きしたはずなのに、気づけばたっぷりあったはずの時間がもうほとんど残っていなかった。

 

「わかりました。じゃあお昼……は、今日は放送部があるんだった。放課後にまた放送室で、ということでいいですか?」

 

「いえ、放課後は別に行くところがあるので、教室で待っていてください。迎えに行きますよ」

 

「そうなんですか?わかりました。じゃあ教室で待ってます──」

 

 そこで私は、昨日の昼休みの光景を思い出す。放送部までの道中、道行く人みんなに注目されながら歩いたあの記憶を。

 

 プロデューサーに迎えに来られては、あの悲劇が繰り返されてしまう……!

 

「やっぱり正門集合にしましょう!普通科棟とP科棟は遠いので、来てもらうのも悪いですし」

「そうですか?俺は気にしませんが」

「私が気にしますから!とにかく、放課後はそういう感じでいきましょう」

 

 私が半ば強引に押し切ると、プロデューサーも素直に頷いてくれた。

 

 人の心の中は全部見通せるくせに、どうしてこういうところは鈍いんだろう……。

 

 

 

-1-

 

 

 

「それでは、そろそろお時間となります。本日の放送は放送部部長、真城優と……」

「アイドル科一年!花海佑芽と!」

「同じくアイドル科一年!藤田ことねがお送りしました~」

「「「また来週~」」」

 

 マイクのカフをOFFにスライドさせると、私の気持ちを切り替えていたやる気スイッチが一緒に切れるのを感じる。

 

「ふぅ。お二人とも、お疲れさまでした。いまお茶を淹れますね」

 

「ありがとうございます!優先輩!」

 

「あ~、ありがとうございま~す……」

 

 私の申し出にいつも通りの元気な返答をする花海さん。それに対して藤田さんは、どこかテンションが低いというか、不自然な返事が返ってきた。

 

「ことねちゃん、今日なんか元気ないけど、どうかしたの?」

 

「やっぱりそうですよね。お疲れの様でしたら、気にせず先に戻って休んでもらっても大丈夫ですよ?」

 

「イヤ~そういうんじゃなくて~……あれ、これあたしがおかしーの?なあ佑芽、なんか最近聞いた話とか気になることとかない?」

 

「え~、そんな急に言われても~。うーん……」

 

 ここで自分に話を振られるとは思わなかったのか、うんうんと唸りながら頭を悩ませる佑芽さん。

 

 私も何かあっただろうかと考えてみるけど、特に思い当たることはない。放送中に変わった様子があったかと振り返ってみても、おおむねいつも通りの進行だったので、思い浮かばない。

 

 二人の前に湯呑みをコトリと置くと、花海さんが「わかった!」と元気よく声を上げる。

 

 その声を聞いた藤田さんは、どこか安心したような表情を浮かべた。

 

「優先輩、お茶っ葉変えましたよね!前のよりおいし~!」

 

 そんな安心もつかの間。私でも見当違いであることがわかる花海さんの返答に、藤田さんは昭和のギャグマンガのようなこけ方で椅子から崩れ落ちた。

 

「ちっげーよ!もしそうなら淹れてもらう前にわかってるわけねーだろ!」

 

「はっ、確かに!」

 

「ったくー。あーもう聞きますけど!真城先輩!」

 

「はっ、はい!」

 

 花海さんに向けられていた矛先が突然こちらに向き、すっかり気が抜けていた私は、驚いて声が裏返りながらも慌てて返事をする。

 

「プロデューサー科の人からスカウト受けたってホントですか!?」

「えっ」

「エッ!!なにそれ!!!」

 

 突然の質問に思わず固まってしまい、部室の空気が張り詰める。私も花海さんも、予想外の話題に言葉を失ってしまった。

 

 藤田さんがどうしてそのことを知っているのかという疑問はあるけど、今考えるべきなのはそこじゃない。

 

 本当は正式な編入が済むまで知らせたくなかったけれど、皆さんに嘘はつきたくないし……。正直に話すしかないか。

 

「あー、えーっと……はい。本当、です」

「え~~~~~!!!!」

 

 私が肯定した瞬間、花海さんが耳をつんざくほどの大声で叫んだ。その勢いに驚いて肩が跳ねる。

 

 ただの大声なはずなのに体をのけぞってしまうほどの圧力を受けて、私は反射的にマイクがOFFになっていることを確認する。ちゃんとOFFになっていたので、無事二次被害を免れることが出来たようだ。

 

「あれ、でも優先輩って普通科ですよね。スカウト受けられるんですか!?」

 

「受けられないので、正式なプロデュース開始はアイドル科への転科後ということで……いま、いろいろと手続きを進めてる感じです」

 

「え~知らなかった~!なんで教えてくれなかったのことねちゃん!ひどいよー!」

 

「逆にあんなに噂になっててなんで知らねーんだよー!こっちは今日の放送部で触れられるのかと思ってずーっとソワソワしてたのに、先輩は何も言わねーし、知ってれば顔に出そうな佑芽もいつも通りだし!あたしが夢見てたのかと思っちゃっただろー……」

 

 どうやら、私のことはもう大きな噂になっているらしい。昨日の出来事が、そんなにも広まっているなんて……。

 

 当然といえば当然か。「プロデューサー科の生徒が普通科まで出向いてスカウトをした」なんて、話としてインパクトが強すぎるし。当事者でなければ、私もきっと嬉々としてその話を聞いて、誰かに話していたことだろう──その光景は想像に難くない。

 

「ごめんなさい。昨日の今日でまだ正式に転科が決まったわけではないので、皆さんにお伝えしづらくて……」

 

「あー、確かに……そういうことなら納得です。ごめんなさい!責めるみたいになって!」

 

「いえそんな!悪いのは私ですから。まさかそこまで広まっていたとは思わなくて……」

 

「まあまあ細かい話はいいじゃないですか!優先輩、アイドル科に来るんですよね!やったー!これから一緒に頑張りましょーね!」

 

 両手をあげて私のアイドル科転科を祝ってくれる花海さん。どうしよう、編入試験のこと言いづらくなってきた。

 

「落ち着きなって佑芽。あたしもモチロン真城先輩と一緒にアイドル出来るならうれしーんですけど、転科って手続き一つでできちゃうもんなんですか?」

 

 はしゃぐ花海さんをなだめながら、藤田さんが転科の仕組みについて質問してくれた。そのタイミングの良さは、まるで私が話しやすいように場を整えてくれたみたいで、思わず感心してしまう。

 

「そうなんです!実は後日編入試験があるみたいで、まだアイドル科に入れるかどうかはわからないんです」

 

「え~!そんなぁ~。でも優先輩なら絶対合格しますよ!可愛いし~、先輩の声聴いてるとうっとりするし!」

 

「そうですよ~!放送部、学園中で評判なんですから!もし真城先輩が不合格だったら、学園長が隠れファンクラブの人たちにカチコミされちゃいますよ~」

 

「そ、そんな。私なんて全然……藤田さんいまなんて言いました?」

 

 隠れファンクラブと聞こえたが、聞き間違いだろうか。きっと聞き間違いだろう。一普通科生徒の私にそんなものが存在するわけがない。

 

「あれ、先輩知らなかったんですか?放送部が始まって少し経った頃に、誰が発端かは知りませんけど、非公式のファンクラブが出来たんですよ。学園中に一定数存在する先輩のファンはみんな入ってますよ~。もちろんあたしも!」

 

 そう説明しながらスマホを操作していた藤田さんが、あるWebサイトの画面を私と花海さんに見えるように向けた。

 

 そのヘッダーには確かに『真城優 非公式ファンクラブ』と記されてあり、画面には会員No.7と書かれていた。

 

 藤田さんにスマホを借りて、サイト内を探索してみる。内容としては私のラジオの切り抜きや、放送部の配信情報、質問箱に送る内容の相談所、各回の感想スレッド、等々……。

 

 私のあずかり知らぬ非公式故に、その内容は公的な情報を集めて感想をつぶやくだけのファンサイトというだけのようで、ひとまずは安心と息を吐く。いや、とても恥ずかしいことに変わりはないのだけど。

 

 というかかなり賑わっていたようだけど、会員はどれほど存在するのだろうか。藤田さんが一桁会員だったからそれほど多くないのかと思っていたけど、盛り上がり的に10や20は優に超えているような……。

 

「こんなのあったの?知らなかった~!あたしもはいろーっと!」

 

「いやっ、やめてください!私がお二人のファンクラブに入るならまだしも、まだアイドルでもない私にファンクラブなんて!」

 

「え~、いいじゃないですか~!それに優先輩もアイドルになるなら、こういうのも普通になるんですよ!」

 

「そうですよ~。アイドルはかわい~自分を見せるのが仕事なんですから、あんまり自分を卑下しちゃダメですよ~?」

 

「うぐっ……でも、まだ試験に合格したわけじゃありませんし……」

 

 藤田さんのそれっぽい主張に屈しそうになってしまうが、そもそも私はまだアイドルどころかアイドル科ですらない身。私より圧倒的なかわいさのお二人が自分のファンだなんて、烏滸がましいにもほどがある。

 

「大丈夫ですよ!あたしなんか、筆記も実技もダメダメだったけど合格でしたよ!補欠ですけど!」

 

「あたしも高等部上がりたての頃は、なんで進級が許されたのかってくらいの落第生でしたし……。そういうイミでは、合格のボーダーラインとして先輩の力になれるかも!」

 

「!なるほど……」

 

 いまでこそ初星学園の中でも秀でた実力を持つ彼女たちだけど、四月時点ではお二人ともあまり良い成績ではないと言っていた。つまり逆説的に考えれば、それは学園が求めるアイドルとしての必要条件、ボーダーラインのようにとらえられる。

 

 つまり彼女たちのことを分析すれば、編入試験合格への糸口になるのではないか。そう考えたところで、ふと我に返る。

 

(でも……。それはお二人にとって、失礼なことじゃないだろうか)

 

 私にとってプラスになることは間違いない。しかしやろうとしていることは”落第ギリギリだったあなたたちのことを参考にさせてください”と言っているようなもの。いい気持ちはしないのではないだろうか。

 

 そう考えて二人の顔を見てみると、私の思考とは裏腹に、彼女たちの顔は明るかった。

 

「ことねちゃん!それ、すっごくナイスアイデアだね!」

 

「だろ~?真城先輩が合格する力になれたらあたしらも鼻が高いしな~」

 

「うん!優先輩とアイドル、やりたいもんね!」

 

 彼女たちの様子は私の懸念したことなど気にも留めていないようで、嬉々として私に協力しようとしてくれている。

 

 そんな二人を見て、私は昨日の花海さんとの会話を思い出す。

 

『“自分一人の手に負えない”って思ったなら、わたしたちの力を借りればいい。先輩が何をするにしても、わたしたちはなんでも協力するわ』

 

 そう、今がまさにその状況なんだ。私が試験に不安を感じてるのを見て、力を貸してくれようとしている。

 

 目の前の彼女たちが協力すると言ってくれているなら、私が拒む必要は一つもない。スタートで出遅れている私は、私にできる全部で成長していかなければならないんだ。

 

 考えの甘さを反省し、両頬を軽く叩いて気持ちを引き締める。カバンからノートとペンを取り出し、藤田さんたちに改めて頭を下げた。

 

「お二人とも、ありがとうございます。必ず糧にしてみせます!」




真城優、君は佑芽のことを何て呼ぶんだい?教えてくれよ、なあ……
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