悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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第3種目・ガチバトルトーナメント準決勝 宮古芳香VS轟焦凍

 2回戦を終えた芳香は観戦席へと戻ると飯田天哉より謝罪を受けた。

 何でも……幾ら勝負の場とは言え女性の顔を蹴り飛ばす様な事をして済まなかったとの事らしい。

 芳香は八百万の艶々とした美しい黒髪を多種多様な色々な髪型にして遊びながら語る。

 

「全然気にしてないから〜……あそこに立つ以上は互いの全身全霊を尽くした真剣勝負……真剣勝負の最中にそんな葛藤や逡巡を持ち込まれてたら私は怒ってます……」

 

 八百万百の髪を色々な髪型にしつつ試合の開始宣告が為されてそちらへと集中する……。

 試合も進んでいき第2試合最終ブロック。

 爆豪勝己VS切島鋭児郎の試合……硬化という個性で爆豪の爆破を凌いでいた切島であるが連続して叩き込まれた爆破で硬化に限界が来た……。

 よろけたのを見逃さずに爆豪は更に速く爆破を叩き込み場外へと吹き飛ばした。

 芳香はトーナメント表を見て考える。

 これによりベスト4が出揃った。

 宮古芳香、爆豪勝己、轟焦凍、常闇踏陰……。

 

「まずは轟さんと……決勝で爆豪さんと……」

 

 トーナメント表を再々々度確認して呟く芳香。

 そして……準備時間となり控え室へ向かう芳香、あと5分で第3回戦が始まる為に八百万百が芳香に付き添い選手専用控え室へと向かう。

 八百万より『応援してますわ』とのエールを受けグッと親指を立てて無言で返事を返す芳香。

 

 そうして……試合開始の時刻となった為に試合会場へと足を運ぶ。

 


 

『さぁさ‼︎ ここまで観てきたお前らならもう説明不要だよな⁉︎ 準決勝……宮古芳香VS轟焦凍‼︎ スタート‼︎』

 

 実況のプレゼントマイクの宣告の刹那……瀬呂と戦った際の大氷壁……アレの倍以上の大きさの大氷壁が生み出され……そのまま止まらずに更に連続して凍氷が生み出されていった。

 スタジアム内の気温がガクンっと急激に低下して観客の吐く息は白く染まる。

 実況のプレゼントマイクが叫ぶ。

 

『おっとぉぉ⁉︎ 轟、スタートと同時にいきなり大氷壁をかましたぁぁぁ‼︎ 宮古との接近戦を拒絶していく構えかぁァァ⁉︎』

 

 解説の相澤先生が放送用マイクを手に取り語る。

 

『宮古はこれまでの2戦……いずれも相手を引き寄せてからの首絞めなどの接近戦で勝利を収めている……だから轟としちゃ接近戦を拒んでいるんだろう』

 

 そう解説された刹那……スタジアムの外壁部まで達する程の大氷壁が『しゃくっ』という音と共に刹那の内に丸ごと全て消え失せる。

 大氷壁が消え失せると其処には成人男性の腕一本分程の大きさを誇る氷の破片を口に咥えている芳香が現れる。

 それを見て実況のプレゼントマイクの声が響く。

 

『く……食っちまった⁉︎ あの大きさの氷壁を⁉︎ おいおいおいおい‼︎ 宮古のあの小さな身体の何処にアレだけの大氷壁が収まってるんだ〜⁉︎』

 

 大仰に実況するプレゼントマイクの声とは対照的に落ち着いた雰囲気すら感じさせる解説の相澤の声が響く。

 

『そもそも第1種目で宮古は10数台の0pロボットを喰らい尽くしている……アレは1台1台は大氷壁に及ばなくとも合計すると大氷壁以上の質量と体積を有しているんだ、あのロボットの大群を難なく喰えるなら大氷壁が喰えない道理は無い』

 

 そう解説していると戦況にやや変化が見られた。

 何があっても距離を詰めたい芳香、逆に何があっても距離を引き離したい轟。

 ……両者の思惑は正反対であり故に攻め方も正反対となる。

 芳香が瞬間移動で互いの距離を詰めようとすると、轟は瞬間移動後に即座に大氷壁を放ち物理的に距離を取る。

 ここまで大氷壁を20回以上連発している轟の身体には体温の低下による震えが起きておりと下がり過ぎている気温で夏日だというのにこのフィールドのみ真冬と見紛う程に冷気が吹き荒んでいる。

 身体に霜が降りており動きが鈍い轟とは対照的に依然として動きが疲労や氷点下に近い気温でも鈍らない芳香……2人の動きのキレの差はそのまま戦況の差となって如実に現れる。

 そして大氷壁を放つ事に轟の身体には更に霜がおりており……更に動きが鈍る。

 吐息もクッキリと白く見える程にフィールド内の気温が急激に下がっているが芳香の猛攻は止まる気配すらない。

 距離を引き離したい轟は絶やす事なく大氷壁を放つが最初に比べてどう見ても大氷壁の威力や大きさなどが落ちてきている。

 芳香は凍てついた体操服という現状ただの重石にしかならない行動の邪魔になる物を脱ぎ捨ててスポーツブラのみの半裸状態になると轟に向かって叫ぶ。

 

「どうしたのだ⁉︎ 個性が強力すぎるが故に挙動が大雑把なのだ‼︎何よりも先程よりも威力が弱いのだ‼︎ 全力を出すのだ‼︎ まだ私は傷一つつけられちゃいないのだ‼︎」

 

 そう叫び空間を捕食して轟を瞬間移動を応用して自身の眼前に引き寄せる。

 その叫びを聞いた轟は緑谷との戦いを思い返していた。

 ……そして迷いを完全に断ち切ったのか憑き物が落ちた様な表情で芳香へと語る。

 

「……全力で行くぞ」

 

 その言葉が聞こえたのかは定かではない。

 歓声で掻き消されるだろう、しかし……言わずにはいられなかった。

 それに呼応するかの如く返事が投げかけられる。

 

「全力でくるのだ……私に傷をつけてみるのだ‼︎」

 

 轟は左側の炎を解放し……自身の体温調節と同時に攻撃を図る。

 緑谷戦では偶発的に起きた爆風を伴う事象。

 アレを意図的に引き起こす。

 先程緑谷戦で起きた強烈な爆風の原理は理解している。

 熱膨張の原理を応用し氷結を用いた後に左の炎熱を爆発的に解き放つことで極端に冷やされた空気が膨張し爆風を引き起こす。

 

 刹那……空間を捕食して眼前に瞬間移動してきた芳香、確実に被弾が免れない0距離……先程の緑谷戦以上の爆風が2人を無差別に襲う。

 スタジアムを揺らす轟音と荒れ狂う爆風、それに爆風に伴う煙で視界が0になり何も見えない状況。

 段々と煙が晴れていき……誰よりも近かった審判2名の視界が確保されると真っ先に最初に映ったのは……轟の首を片手で掴んでネックハンギングツリーじみた技を披露している芳香の腕、それはまあ良い……問題は芳香の姿である……芳香の上半身の服は爆風の影響で完全に吹き飛んでおり上半身は完全に裸であり対戦相手である轟は完全に気絶している。

 ミッドナイトは審判として宣告をする。

 

『轟君気絶により試合終了‼︎ 宮古芳香さん決勝戦進出‼︎』

 

 完全に煙が晴れて衆目に上半身裸の芳香が晒されるよりも前に……ミッドナイトはフード付きパーカーを持って煙が晴れる前に急いで芳香へと駆け寄り着用を促す。

 何とかギリギリで煙が晴れる前に着用が間に合った芳香であった。




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