悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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職場体験
職場体験①


 1時間に渡る塚内の説明が終わり……オールマイトの表情は怒りに歪む。

 年端も行かない少女に起こった事を考えると当然であろう……。

 塚内は今語った事は他言無用と告げて席を立ち……自身の仕事へと戻っていった。

 


 

 そして場面はヒーローネーム発案後に戻る。

 職場体験に行ってもらうとの事で指名があった者は書類を手渡され、指名が無かったものは雄英が予めオファーした全国の受け入れ可能事務所50件から選択する。

 芳香は相澤先生より分厚い書類を手渡される。

 びっしりとヒーロー事務所が記されたそれは……150枚にも渡る凄まじい量であり目を通すのも一苦労である。

 ビルボードチャート上位のヒーローからも指名が来ている芳香だがそのあまりの指名の多さ故に決めあぐねている。

 期限は2日間はあるものの逆に言えば2日しかない……。

 書類を捲っていると眼に飛び込んできたのは『仙人ヒーロー事務所』の文字……その文字に何故かは分からないが……此処にするべきだという心の声に従い即決し書類を記入して相澤先生へと手渡す。

 放課後……。

 相澤が職員室で行き先を即決した者達の書類を確認していると芳香の書類で手が止まる。

 

「仙人ヒーロー事務所? ……コイツもっと上からの指名もあった筈だが?」

 

 相澤の言葉は誰に聞かれることもなく風に運ばれて消えていく……。

 そうして……インターンシップ当日を迎えた。

 電車や新幹線などの公共交通機関でそれぞれの目的地まで移動していく。

 その為に相澤は注意事項として口を開く。

 

「さて……コレから職場体験に向かう訳だが……コスチュームについて説明しておく、本来なら仮免許未取得者は公共の場でコスチューム着用厳禁だが職場体験では体験先のヒーローの許可の下着用が可能となる……間違っても紛失したりするなよ? 紛失したら反省文どころじゃ済まないからな? それと向こうの事務所はヒーローとしてのいろはを教えてくださる先輩達だ、くれぐれも失礼のない様にな、じゃあ行け」

 

 そう言われて芳香は目的地たる仙人ヒーロー事務所へと向かう為に移動を開始した。

 目的地の場所は保須市であった為に飯田天哉と一緒の席に座り保須に着くまで軽く話をする芳香と飯田。

 飯田は僕も人の事は言えないがと前置きして語ってきた。

 

「宮古くんはどうしてその事務所を選んだんだい? 見せてもらった書類にはもっと上からの指名だってあったろう? ジーニストにエンデヴァー、ファットガム……あとはそう……確かクラストやヨロイムシャからもきていたと記憶しているのだが」

 

 その問いかけに対し……芳香は書類を見た時の事を思い返しながら語る。

 

「直感的に……かな? ここの事務所にした方がいいっていう直感にも近い確信があってね、そういう飯田さんはどうしてマニュアルさんの所へ?」

 

 芳香がそう問いかけると飯田さんは頬を掻いて虚空の先を見つめながら……何かを思い詰めた様な感じをさせながら語ってきた。

 

「マニュアルさんの事は前々から存じ上げていてね……何か得るものがあるだろうと思って職場体験先へ選ばせていただいたんだ」

 

 そう語っていると目的地に到着した為に電車から降りて此処から先は南口と北口で向かう先が異なる為に手を振り別れると芳香は目的地を目指して歩き出した。

 スマホのマップ機能を頼りにして歩き続ける事15分。

 駅から程近いビル街の一角に目立たない様にして建てられているヒーロー事務所が一件。

 スマホの目的地と事前にいただいた座標は其処を示している為に芳香はノックをして入室すると突如として中から出てきた全身青い装いに身を包んだ女性から熱烈なハグを受けそのまま事務所内へと引き摺り込まれる。

 

「やっと会えたわ〜私の芳香……貴女の御主人である霍青娥よ……私の大事な大事な芳香にこんな雑で未完成の改造してくれちゃって〜、ちょっと待っててね〜?」

 

 芳香は頭上に大量のハテナマークを浮かべて困惑の表情で職場体験先のヒーローを見るが段々と思い出してきた。

 記憶の奔流の中で見た女性であると。

 それを思い出した瞬間……芳香は眼前の青娥へと勢いよく抱きつく。

 

「せいがー‼︎」

 

 先程は向こうからの熱烈なハグであったが今度は芳香からハグを行うと青娥はとても嬉しそうな表情を浮かべるとフィンガースナップを行いソファを自分らの近くへと仙術を用いて移動させ座るように促す。

 そして着席した芳香に対して説明を行う。

 

「じゃあ……改めて紹介するわね、私は霍青娥……貴女の御主人よ」

 

 そう語ると青娥は芳香の額に何かが書かれたお札をペタリっと貼ると即座に芳香の肉体に変化が現れる……と言っても見た目の話ではない。

 芳香の能力面の変化だ。

 青娥は桃を皮ごと一口で食すと芳香へと語る。

 

「そのお札はね、芳香……貴女に行われた不完全で未完成の改造を完了させる為のお札よ」

 

 そう語りながら青娥はAFOとその協力者への苛立ちを募らせる。

 私の芳香によくもごみみたいな改造を施してくれたものだと……とりあえず芳香の中に刻み込まれていたナノマシン型発信機を完全に壊した為にコレでもう芳香の位置がゴミどもに露呈する事はない。

 芳香の額に貼り付けたお札は自身の仙術を用いてキョンシーたる芳香を調整する道具。

 まぁ調整といってもそれはメンテナンスの様な物であり自我をどうにかするとか身体能力を弄ったりなどではない。

 5分ほどしてハラリとお札が剥がれ落ちてメンテナンスの完了を自動的に告げてきた為に青娥はお札を回収して職場体験の何たるかを芳香へと教える為に準備を行いつつ1人呟く。

 

「さてさて……昔に取ってカビが生えるほど動かしてなかった身分であるヒーロー免許だけど……たまには役立つ物ね、いや〜、やっぱり持つべき者は欲深い権力者の友達よね〜……不老長寿を少しチラつかせただけで簡単に取れちゃうなんて、ヒーロー免許」

 

 そう呟く青娥……だが青娥自身、あまりにも長生きをしている為に時間感覚は常人のソレではない。

 3595年も生きていれば1年など音よりも速く過ぎ去っていく。

 青娥がヒーロー免許を取得したのは155年前でありその事実を知っている者は全員寿命で死んでいる。

 そんな懐かしい思い出を思い出しながら芳香へと今後の流れを説明していく青娥であった。




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