塚内は自身の職務室で椅子に座り山の様に積もっている報告書の確認の合間……携帯電話を使用し古い知人である面構犬嗣に電話をかける。
「……という事だ、ステインはこれまでの犯行現場7カ所で必ず5人以上のヒーローに危害を加えている、保須市ではまだ1人しか目的を達成していない、奴は必ず戻ってくる……奴はこれまでに9人のヒーローを殺害・26人を脊髄損傷などで再起不能に追い込んでいる……警察としてこの犯罪者を野放しにしておく訳にはいかん……よって、3週間前から保須市の警察署員を可能な限り増員し各所のヒーローにも重点的に保須へ出向く様に要請してある……保須は路地裏が多い……
塚内は現場に出るよりもこういった人員配置や情報処理といった管理、戦略において力を発揮するタイプであり……実際、今この時、自身の職務特権と能力をフルに発揮した現場への対応を行っている。
そう告げ通話を終えると扉がノックされ三茶が入室してくる。
持っているのは手錠で手首と繋がれたアタッシュケース、抱えているケースの中身はそういう類の重要機密書類。
そのアタッシュケースは極めて厳重なロックがかけられており塚内の持つ鍵と三茶の持つ鍵……そして塚内の声と虹彩と静脈による生体認証、そして三茶の声と虹彩と静脈による生体認証によりようやくロックが開錠される。
「お待たせしました……塚内さん……検視官より言伝があります、この報告書はこの世に存在していない報告書なので読んだら必ず焼き捨てる様にと」
机の上にアタッシュケースを置いて三茶は持ち手と手首に繋がれている手錠を外すと開錠の為の動作を行い塚内も三茶と同様の所作を行うと外見に似合わない重さを感じさせるアタッシュケースの中身を手に取る。
それは一冊の報告書。
表題には『宮古芳香と脳無の関連性について』と書かれており……報告書を読んでいくにつれて塚内の表情は絶望に染まる。
そして衝動的に机を思い切り殴りつけて……振り絞る様にして声を上げる。
「……あり得ないだろ⁉︎ 赦されるのか? こんな……こんな惨いことが‼︎」
防音が完備された職務室ゆえに中の音が外に漏れる事はない……。
塚内の慟哭は三茶以外には誰に聞こえる事なく消えていった。
芳香はお札を貼られたのちにこの国のざっくりとしたヒーローの成り立ちと現在のヒーローの公務員としての立場。
ヒーローとはいうものの……その職務実態は各個人によって大きく異なるが故に青娥はあくまでも一般市民から見たヒーローを語る。
「ま……ヒーローって言うのは基本やる事は警察の補助みたいなものよ、犯罪の取り締まりとその抑止力……武力に秀でたヒーロー達は存在そのものが犯罪への抑止力となる……彼らがパトロールするだけでその場で犯罪を犯そうなんて人間は居なくなる」
それを踏まえて青娥は出かける準備をする。
ふわふわと浮遊して正座の状態から足を外側に開いて、お尻を床につけて座る座り方を空中で行うと自身の手で大事そうに芳香を抱えると浮遊したままゆらりと事務所から外へと出る。
空は暗く宵闇が彩る……それを見た芳香は歌を詠みつつ青娥と共にパトロールを行なっていった。
程なくして保須市全域を3周した青娥と芳香。
青娥は色々な仙術を用いて天空から保須市を見渡している。
……すると自身らがいる所から500m程離れた場所に脳が剥き出しの全身の皮膚が白い色の化け物が45体、同様に脳が剥き出しで全身の皮膚が黒い色の化け物が40体。
周囲の建造物を薙ぎ倒しながら顕現した。
「あら? こんな時間にこんな場所で……脳無が? デモンストレーションでも始まったのかしら? 芳香、許可をあげるからアレら……欠片も残さず食べちゃいなさい」
「分かった……いって来るのだー‼︎」
そう告げると芳香は満面の笑みで青娥の膝から飛び降りて着地し青娥も浮遊を止めて地面へと着地する。
着地と同時に芳香は自身の周囲に居た白い脳無を欠片も残さずに食い散らかし大幅に脳無の数を減らし尚且つ残った脳無の四肢を捕食するが黒い方はともかくとして白い方は再生すらしない……正確には再生が為されているのだがあまりにも遅すぎて話にならない……USJ襲撃時のアレと比較したら欠伸が出るほど遅く……芳香と相対するには致命的な遅さであった。
15体ほど欠片も残さずに食い散らかし……肉体を変容させ翼を生やして飛翔している個体などもいたが空を駆けようとも無理矢理引き寄せられて食い散らかす。
3秒もしないうちに白い脳無は全て芳香に食われ全滅を喫する。
そんな芳香を後方から嬉しそうに見ている青娥。
青娥の背後には先程の脳無……黒い色をした脳無の1体がその剛腕をもってして青娥を叩き潰そうとした。
しかしながら……この程度の襲撃で死ぬようならば仙人になど絶対になれはしない。
仙人とは、道教の修業を極め、仙境で暮らし、仙術を操り、ほぼ不老不死となった人間を指す。
仙人は超人的な能力を得た人間で様々な妖術を身に付けており凄まじい力を持っている。
自身の欲は極めて少ないが完全に欲を捨ててはいない。
歳は数百から数千歳というほど長寿だが不老不死ではない。
修行を怠るとすぐに体が維持できなくなってしまうので今も生きている仙人とは修行を重ね続けている化け物である。
彼女曰くとある災禍はただの仙人では勝てず、最後の生き残りたる霍青娥は自身を勝ち続けた人間であると評している。
また……少しでも修行を怠ったりして能力が鈍っていればすぐさまその肉体は朽ち果て塵芥となって消滅する。
つまり、仙人は天人になれない場合、己を心身ともに常に修行で高め続けなければならない過酷な生活を送る事になる。
……そんな人外の化け物たる青娥は厚さ30mのコンクリート壁300枚程度なら余裕で全て粉々に破砕する脳無の打撃を……綿菓子を持つが如く右手の人差し指一本で軽く受け止め地面に伝わる威力すらも完全に殺して語る。
「中国拳法の“化勁”を応用した防御法、凄いでしょ〜? 極めれば体長5mのヒグマから繰り出される殴打すら難なく捌けるわ〜」
一撃一撃がヒグマのソレよりも遥かに重く疾い脳無の攻撃をまるでふわりと軽い綿菓子でも持つかの様に人差し指1本で捌いていく青娥。
荒れ狂う暴虐の嵐にも思える脳無の攻撃を涼しい顔をして捌きつつ脳無の剥き出しの脳を掴んで何の躊躇いもなく握り潰す青娥。
青娥は眼前の脳無を見下ろして呟く。
「……私の芳香から着想を得たとみえるわね〜……」
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