悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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本日2話目です

ゴッドマキシマムゲーマー様
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試験結果

 試験を終えた芳香は制服に着替えて試験会場を後にしようとした。

 

 彼女の腹囲はアレだけの質量の物を喰らったのにも拘らず試験前と同様の痩躯の状態を維持しており食べた物が何処に行ったのか甚だ疑問である。

 試験終了後……埃で汚れたジャージをパンパンと叩き土埃を落としていると芳香の眼前には白衣を纏った老婆が立っていた。

 リカバリーガールと名乗ったその老婆は芳香に向けて語る。

 

「アンタも治癒が必要じゃないかい? アレだけ酷く打ちつけたんだ、打撲で済めば軽い……ほ……う」

 

 芳香の手を握り打撲痕や骨折と言った傷の状態を見るリカバリーガール。

 芳香の状況をチェックしたリカバリーガールは発する言葉が語尾に行くにつれか細くなっていく。

 2月も終わり頃という気温が低く肌寒い季節を考慮したとしても違和感を感じる程、異常に冷たい手足。

医療従事者として長年働いているリカバリーガールとしてはこの感覚には数えきれない位の苦い記憶があった。

 嫌な予感を感じつつ首に掛けた聴診器を装着して芳香の心臓付近に当てて心音や呼吸音を確かめるリカバリーガール。

 聴診器からは殆ど何の音も聴こえなかった。

 周囲の雑音を加味しても、聴診器越しに聴き取る音は微弱なもの。

 呼吸音も心拍音もほぼ聴き取れない、微弱な音が微かに聴こえる程度だが医学的には彼女は生きているとはとても言い難い。

 何らかの理由で死体が蘇って動いていると言った方が正しいだろうか。

 しかしながらあらゆる個性溢れるこの超人社会では死の定義すらも一層難しいものとなった。

 何せ個性の分類の一つとされる異形型、その中でも一見すると生命維持そのものが不可能な状態であるといった特異な個性持ちをリカバリーガールは何度か見た事があった。

 内心穏やかにはいられないがリカバリーガールは医療従事者としてはプロである。

 そんな様子を欠片も見せずに芳香から離れるとまだ居る重軽傷者の治癒に奔走する為に移動して行った。

 内心で彼女はきっとそう言った個性の持ち主なのだろうと自身に言い聞かせながら。

 

 ポツンッと取り残された芳香は今度こそ帰る準備を整えて帰路に就く。

 


 

 雄英高校入学試験も終わり教師陣が集まる一室。

 試験の結果発表と……とある理由により反省会も兼ねているのだ。

 

「実技試験総合結果出ました」

 

 そう語る職員はモニターに結果を映し出していく。

 

 ズラァッと名前と獲得pが並んでいるその中で主席で合格したのは(ヴィラン)撃破獲得179p、救助(レスキュー)P、5P、合計184pで1位宮古芳香。

 

 順繰りで合否を決めて、結果判定とクラス分けを同時に行う。

 そうして、主席である宮古芳香の番になった。

 

 芳香は最初の出遅れには難点があったもののそれ以外は概ね満点と言っていい成績であった。

 機動力にはやや難点がありこれからの頑張り次第である。

 しかし純然たる戦闘能力には他の受験者とは隔絶した力を有していた。

 ただ一つ問題があるとするならばその隔絶した力そのものが芳香の戦闘で生じた課題であり、また教師側としても現在進行形でほぼ全ての教員が頭を痛めている理由でもあった。

 

 各試験会場に登場した『お邪魔虫』と称された巨大ロボット。

 

 アレは3軸微小振動感知センサー及びサーミスタ式熱感知システムを搭載し用途に応じて武装や高速機動も可能である巨大ロボット。

 非運用時は各国家機関に貸し出され有事の際は可動型巨大シェルターとしても転用が可能な代物である。

 総工費2400億円。

 

 実に国防費の5%を占めるこの国の国防設備の要である。

 

 毎年何らかの破損や損傷はあったがいずれも軽微なものであり修理可能な物であった。

 モニターに映し出されたのは男子受験生が一振りで殴り飛ばすシーン。

 

 このシーンを見ながら担当教員であるスナイプ教員が語る。

 

「こちらの男子受験生による殴打による損壊は軽微な物です、振動センサーの故障、音感センサー及びサーモグラフィー機能の故障、それ以外に後は細々とした配線や動力源ユニットの断線や装甲部分の破損と、まぁこれらは毎年あるので問題無しです。問題はこれですね

 

 スナイプ教員が頭痛が痛いとばかりに溜息混じりに問題のシーンを映像としてモニターを飛ばす。

 其処には実技試験を受けている宮古芳香の姿が映し出され……お邪魔虫たる巨大ロボットが彼女を攻撃しようとした刹那、攻撃しようとした部位が丸ごと消失した。

 

「此方の女子受験者である宮古芳香による捕食で一機の巨大ロボットが完全に消失しました、跡形も無く食い散らかされて1機は完全に消滅、再度作り直しに……頭痛い」

 

 超高性能ハイスピードカメラで撮影した映像をコマ送りで確認すると巨大ロボの振り上げた腕を刹那の一瞬で喰らい尽くす行動が確認できた。

 その後のコマ送りでも同様であった。

 捕食と咀嚼のスピードが異常であり、同時に人には絶対に食べれないモノすら喰らい尽くしているのを確認した教師陣。

 

 教師陣の心は一つだった。

 

 入学は確定として来年の予算会議はかなり荒れるだろうなぁ。

 

 そして、会議の結果が纏められる。

 宮古芳香は相澤消太が担任を務めるA組へのクラス分けが決まった。

 


 

 時間が終わってから1週間と少し。

 芳香がいつも通りに帰宅して郵便受けを確認すると雄英高校からの封筒が入っていた。

 封蝋を破壊して封を開けると中には小型の映像再生機器が封入されており5分程弄くり回して電源を入れる。

 映像が投影されて教師陣と思われる男性が映し出される。

 

 全身真っ黒な服に、よく分からない布をマフラーのように首に巻いている男性は宮古芳香の名前を読み上げて獲得ポイント数と確定したクラスを告げ……次に行こうとした所外にいた別の教員が何かボディランゲージでもしたのかガリガリと髪を掻いて言い忘れてたと前置きして、語った。

 

『ここがお前のヒーローアカデミアだ』と。

 

 かくして、ここに宮古芳香のヒーローアカデミアが幕を開けた。




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