悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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伝染する悪意

 その後……芳香の職場体験は滞りなく終わりステインも逮捕された。

 ニュースに因ればエンデヴァーが逮捕に一役買ったそうでステインの捕縛及び大量の脳無と呼ばれる(ヴィラン)の捕縛……それらの説明を兼ねた記者会見が一夜明けてから開かれ諸々の対応に応じていた塚内とエンデヴァー。

 保須市警察とプロヒーローの対応も賞賛されていたが話題に上がるのは85体の脳が剥き出しの化け物について……塚内警視正は『脳無』と呼称されたコレらを現状では勢力不明としつつ対策を講じると発表。

 保須市への対応も塚内警視正の建てた計画立案であった為に評価はかなり高く今回のような襲撃事案で死傷者が出なかったのは戦闘をメインに据えたプロヒーローへの要請を先んじて行ったとの事もあり警察の面目は保たれた。

 


 

 1時間に及ぶ記者会見の後……エンデヴァーと塚内、そして要請を受けて保須市へと集まったクラスト、ミルコ、ベストジーニスト、エッジショット、ギャングオルカは警視庁刑事部の塚内の職務室へと集まっていた。

 

「まずはお礼を言いたい、クラスト、ミルコ、ベストジーニスト、エッジショット、エンデヴァー、ギャングオルカ……先日は要請に応じて頂き感謝する、君達が居なければ被害は拡大する一方だったよ……警察を代表して感謝を」

 

 敬礼をしつつそう語る塚内。

 しかしながら空気は重い……その重い空気を破るかの様にミルコは語る。

 

「なぁ塚内さんよ……そんなどーでもいい話をする為に私たち集めたんじゃねーだろ? さっさと本題に入ってくれ」

 

 そう告げられ塚内は苦笑しながらノートpcを作動させて今話題沸騰中であるステインの慟哭を収めた映像を各員に見せて語る。

 

「……コレに当てられた犯罪者どもが現在各地で頻発している……現時点で逮捕者が全国で2921人……かなりの数なんだがそれはまぁ置いておいて良い、問題はステインの最後の慟哭に共感して犯罪を行ったという供述が9割を占めている事」

 

 戦闘が激化していた保須市では窃盗や住居侵入や万引きといった犯罪はやはり増加していた。

 自ら隊や警察の特殊部隊やヒーローが大勢いたがやはり火事場泥棒を狙う者は現れる。

 しかし……この映像が流れてから以降全国各地で犯罪が頻発した、と言っても重犯罪はほぼ見られずいずれも軽犯罪や傷害暴行などであるが……一部では焼死体や失血死が原因の遺体も見つかっている。

 それらの犯罪者の供述は差はあれども共通項があった。

 ステインの映像が引き金になったのだ。

 今はまだ軽犯罪で止まっているが……その内(ヴィラン)連合を魅力的と思う人間やステインの思想に当てられた犯罪者どもは必ず出てくるであろう事は想像に難くない。

 それを踏まえてギャングオルカがポツリと呟く。

 

「凶悪犯罪に繋がる前に(ヴィラン)連合をどうにかしなければ……」

 

 そう告げるもギャングオルカ達も対応策など即座に思いつくものではない。

 そもそもの話としてオールマイトが居る日本は他国から見れば(ヴィラン)犯罪や凶悪犯罪の対策が為されていないと言われている。

 それらを踏まえて塚内は語る。

 

「……この国の(ヴィラン)犯罪や凶悪犯罪への対策は……他国に比べ遅れていると言われている。だが正確ではない、そもそも(ヴィラン)犯罪や凶悪犯罪の数自体が少ないのだ。増加しているのは確かだが……大半の国民は『犯罪』に頼る発想自体が滅多に頭をよぎらない……これは誇りこそすれ恥ではない。進んだ対策を取らざるをえない国こそ恥なのだ‼︎」

 

 そう静かに叫ぶ塚内……。

 ステインの慟哭……それらに当てられた犯罪者どもへの対応は後ほど会議を開くとして現段階で行えるのはただ一つ。

 警察とヒーローの連携を密に行い犯罪の火が延焼する前に消し止めること。

 

「これからは恐らくこの映像に当てられた犯罪者による犯罪が拡大するだろうが……それらを食い止めるのは我々警察とヒーローの仕事だ、一層の協力をお願いしたい」

 

 そう告げる塚内であった。

 それに対して……各プロヒーロー達は各々肯定の返事をして職務室を出ていった

 


 

 とある寂れたBARでどう見てもカタギではない雰囲気を醸し出す男2人がソファに対面になる様に座って懐かしい昔話に興じていた……眼帯をしている男は懐かしそうに語る。

 

「懐かしいなぁ……俺も個性使った犯罪(悪さ)も誘拐に麻薬に殺人……色々とやったけどよぉ最近はめっきりだよ……裏でコスチューム作成やサポートアイテム捌いてた仲間もパクられて随分と減っちまったし……最近は許可証(ライセンス)無しでのコスチュームや、サポートアイテムの開発売買は罪重くなったしなぁ、それに加えて最近じゃ正規のサポート会社が横流ししてるってぇ噂までなぁ……引退時かねぇ」

 

 そう語るのは眼帯を装着した違法コスチューム作成やサポートアイテム売買をシノギにしている男。

 オールマイト以前はかなり名を馳せた犯罪者であったが今はもう見る影もない。

 寂れたBARで酒を浴びるほど喰らって無為に過ごすだけの1日を過ごす自堕落な人間だ。

 そんな状態の男の前にいるのは人材派遣のブローカー。

 無論……まともな人材派遣じゃない、犯罪者御用達の人材紹介を行う、その人にあった仲間を、その集団に見合った仲間を必ず連れて来ると有名なブローカーである。

 名を義爛と言ったか……。

 義爛は映像を見せてきながら語る。

 

「このステインの最後の慟哭……コレに当てられた前科無数の極悪人や逃走中のネームド……あらゆる犯罪者が興味を持っている、当然この俺もさ……あのステインが所属したっていう組織、(ヴィラン)連合に向けて動き出している」

 

 水面下で……悪意の受け皿は整えられている。

 


 

 芳香が職場体験を終えてから……青娥は思い出したかの様に電話を手に取り通話を行う

 青娥は馴染みの相手に電話をかけ手短に用件を告げる。

 

「……えぇそう……それで頼むわね、えぇ……ではまたお願いするわ」

 

 短くそう告げて電話を切ると青娥はゆっくりと伸びをしてお風呂へ入るための準備を始めた。

 

「さてさて……鬼が出るか蛇が出るか……それとも頭を潰された亡者かな?」

 

 そう呟いたがそれは誰に聞かれる事もなく風に乗って消えていった。




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