林間合宿①
月日が経過するのは速いもので気づけば林間合宿当日。
8時半に学校へと集合してバスに乗り込むA組の面々。
バス内ではこれから行われる2週間の強化合宿に思いを馳せている者がいたり興奮冷めやらぬ様で楽しげな音楽を流したり窓の外を眺める者がいたり……喧騒が響き渡る。
そんな中……芳香はと言えば隣に座っている八百万との会話に興じていた。
互いの個性の相違点や掛け合わせる事での強み弱み……バディとなった際の互いの活かし方やサポート方法などを議論していく。
そして……気づけば1時間が経過しており何故だかパーキングエリアですらない山道の中間地点で停車して降車を促される。
其処は崖下に一面見渡す限り木々が生い茂る場所であった。
芳香含め殆どの者達が頭上にハテナマークを浮かべていると黒のBMWから猫を模したヒーローコスチュームに身を包んだ2人の女性が降りてきてキラリッと煌めく様な声音で叫ぶ。
「煌めく眼でロックオン‼︎」
「キュートにキャットにスティンガー‼︎」
「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ‼︎」
ポーズとセリフをビシッと決めると相澤先生が紹介する。
「今回お世話になるプロヒーロー……『プッシーキャッツ』の皆さんだ、挨拶しろ」
皆、お辞儀をしてよろしくお願いしますと告げる……だがしかし、プッシーキャッツの1人、マンダレイの言葉で皆の顔色が変わる。
「ここら一帯は私達の所有地なんだけどさ、あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」
そう言って指さしたのはどう見ても此処から目測ではあるが大体20kmはあるであろう山の麓。
勘のいい者は何となく察しており、爆豪勝己や緑谷出久は『まさか……そんな事……』とでも言いたげに引き攣った表情であり、苦々しい笑顔を浮かべている。
そして、マンダレイの鈴の様な声が響く。
「今は午前9.30分、早ければ……13時前後かしらぁ? 14時までに辿り着けなかったキティ達はお昼抜きね?」
そう宣告するマンダレイ。
マンダレイとピクシーボブを見ながらA組の皆は引き攣った表情を浮かべながらある事を思い浮かべた。
そういえば……猫という愛玩動物は元を正せば肉食の猛獣を祖に持つ獣なのだと、今現在は愛玩動物として生きてはいるといえそのルーツは肉食の獣に変わりはないらしく……猫を模したヒーローコスチュームを纏った2人のプロヒーローの眼光は肉食獣の如き鋭い眼であり……狩りを行う様な眼でクラスメイト達を見回しながらそう告げるマンダレイ。
クラスメイト達は相澤先生の口調と雰囲気からこれから何が起こるか察したらしく急いでバスに戻ろうとするが先回りしていたピクシーボブが獰猛な笑みを浮かべながら自身が有する個性である『土流』で地面ごと抉り取り土石流を生み出す。
それにより無情にもA組の全員が崖下へと叩き落とされる。
叩き落とされる刹那……相澤先生の言葉が耳に届く。
「悪いね諸君……既に合宿は始まっている」
土流に巻き込まれつつもクッションの様にそれ自体が衝撃を和らげた為に落下による怪我はないが服の中に入った砂利や砂などのジャリジャリとした不快感は引かない。
服を軽く叩きつつ土埃を落とすA組の皆。
其処にマンダレイの声が頭上から響き渡る。
「私有地につき、個性の使用は自由だよ‼︎ 今から頑張って自分の足で施設までおいでませ‼︎ この『魔獣の森』を抜けて‼︎」
そう叫ぶマンダレイ。
状況をいち早く把握した者達は森からのそりのそりと出てきた土塊で形成された全長約13m〜16mはある四足歩行を行っている化け物チックな造形……それはよくよく見ると土で造られた獣。
突如として何かの影が自身らを覆った為に頭上を見あげれば眼前の四足歩行の魔獣と同様に目測であるが13mはあるであろうプテラノドンの様な翼竜を模した土塊の化け物。
場面は移り変わり1-Aの生徒達を崖下に叩き落とした後。
マンダレイはイレイザーヘッドに対して語る。
「しっかし……無茶苦茶なスケジュールじゃないか? イレイザー」
そうマンダレイより問いかけられたイレイザーは髪を掻いて告げる。
「まァ……通常は2年の前期から修得予定のモノを前倒しで取らせるつもりで来ているのでどうあっても無茶は出ます……個性行使の限定許可証……通称ヒーロー免許……その仮免、
そう告げるイレイザー……。
その脳裏にはUSJで戦闘を行い……そして緑谷がショッピングモールで遭遇したという
眼前の四足歩行の土塊の魔獣を視認した刹那……即座に行動に移したのは4人。
緑谷、爆豪、轟、飯田であり各々の個性を用いて魔獣を撃破したものの上空から滑空する様に襲いかかってくる飛行可能な魔獣。
しかし……芳香の射程範囲に入った刹那、跡形も無く喰われ消え失せる。
されど襲撃は終わらずに森の奥から10〜15体程の魔獣が続々と姿を現した。
それを見て八百万が叫ぶ。
「これ自体が既に合宿の訓練と看做しますわ……ならばやる事は1つですわ‼︎」
大砲を創造し弾頭を込めて撃発する。
轟音と共に魔獣の1匹の頭部が吹き飛び倒れ込むが……砕け散った土塊から這い出るは50〜60cmの小鬼を模した魔獣、それが数十匹。
土塊で造られた棍棒などをその手に持っており大砲では装填速度の手間故に間に合わず木々で射線を切りつつ素早い動きで接近してくる故に大砲では照準も合わせられない。
ならばと八百万はM4A1とゴム弾装填済みのドラム式マガジンを創造し全弾を躊躇う事なく撃ち込む。
小鬼程度の大きさからは何も生まれてこない為にそのサイズが撃破の最終的な見極めだろう。
今の撃発で更に接近してきた10匹の魔獣であるが即座にその巨体を構築している土塊が丸ごと消失する。
「喰えば小鬼も湧いてこないのだ」
もしゃもしゃと土塊を飲み込みながらそう語る芳香。
それを皮切りに本格的な戦闘へと移行して絶え間なく襲いかかる魔獣を各々が撃破していくA組達であった。
死柄木弔は繁華街のとあるBARの椅子に腰掛けてステインの思想に当てられて集まった者達、10名に2枚の写真を見せながら告げる。
そこには今年度の雄英体育祭一年生の優勝者、宮古芳香と2位との表彰台に居る爆豪勝己が映った写真があった。
その2枚の写真をヒラヒラと弄びながら空いている片方の手で人差し指を立てつつ死柄木弔はゆっくりと語る。
「『先生』のお陰で雄英高校が合宿を行なってる場所は把握した……お前らにやって欲しい事は3つだ、1つは雄英の合宿地でヒーローや生徒達をズタボロにして欲しいって事、ただこっちは努力目標だ、襲撃されない様に徹底した策を講じてなお『
集まった面々にそう告げながら死柄木弔は黒霧から渡されたカクテルを飲み干して人差し指に続いて中指を立てながら言葉を続ける。
「2つ目、こっちも努力目標で構わない、爆豪勝己の拉致、彼は良いね
ツマミとして提供された柿ピーを食べながら2杯目のカクテルを飲み干す死柄木弔。
そして、3番目の目的が最も重要で最も肝要だ、先程の2つはそれに比べたら未達でも構わない。
そう前置きして人差し指、中指に続いて薬指を立てながら告げる。
芳香の写真を見せながら死柄木弔は真剣な表情と面持ちで語る。
「宮古芳香の拉致、これだけは確実に果たして貰う……前二つの努力目標とは違いこちらは未達が許されない、必達だ……その為の戦力は揃えたし必要ならこちらから『脳無』を何体か貸してやる……良いか? 各自、復唱して頭に叩き込め、宮古芳香の拉致は絶対に達成しなければならない目標だ」
そう告げながら……死柄木弔は3杯目のカクテルを飲み干して1人、呟く。
「さぁ……ゲームスタートだ」
そう呟き……メンバーがBARから出ていったのを確認したのち……弔はモニターへ向けて語る。
「なぁ先生……いいのかよ? 霍青娥っつうやつに釘刺されたのにも拘らず芳香を狙うなんてよ?」
死柄木弔のその声に微塵も怯えや恐怖はない。
ただただ純粋な疑問のみがその声には含まれていた。
モニターから流れる声からは先生とドクターの楽しげな声音が響き渡る。
『あぁ、構やしないさ……どうせあの女はビジネスパートナーだったからね、損得でのみ動く間柄さ……最終目的の着地点も大いに異なるし結局は何処かで道を違えていたさ……それが遅いか速いかだけ、ならば僕達の研究に必要な素体を強奪して完全に縁を切ろうじゃないか』
モニターから流れる言葉に同調するかの様にドクターも語る。
『そうじゃのう……あぁ、そうじゃ今の内に伝えておこう、宮古芳香は攫ったら脳無格納庫へと飛ばしてくれ……調整を済ませたいんじゃ、実験完了直後にヒーローに奪われてしまった……微調整をしたいんじゃよ』
林間合宿の裏で……悪魔の声が響き渡っていた。
評価バーマックスになっててとても嬉しくてびっくりしてました。
みなさま評価ありがとうございます
これからも拙作をよろしくお願いします
感想・ブクマ・特に評価。飢えております。 低評価をもらったら少し傷つきますが、傷も創作のプラスになることはある(私の場合です)。でも無評価=虚無は創作のマイナスにしかならないッス(私の場合です)! なので、無言で投げれるので、ぽちぽちっと☆を頂けると嬉しいです。多い分には困りませんよ‼︎
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