悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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林間合宿④

 合宿2日目の深夜、夕食も入浴も終わり日付が変わった頃……1人外に居る芳香。

 昨日と同じく星空を眺めて突っ立ってると巡回の為にタクティカルライトで周囲を照らしながら歩いてくるラグドールとマンダレイが見えた。

 向こうからも突っ立っている人影が見えたのか即座に臨戦体勢に入りライトを向けた刹那……相手が芳香であると理解して警戒を解くと共に注意が行われる。

 

「誰っ⁉︎ ……って君かぁ……こんな深夜に出歩くのは感心しないな、もう3時過ぎてるんだ……起床時間は4時45分……今からじゃあまり時間はないけれど、とっとと部屋に戻って寝なさい」

 

 真っ暗闇を真昼かと思う程の明るさに染め上げる程の光量を有したライトを一瞬だけ向けられた芳香はその問いかけに対して深々と頭を下げて謝罪しつつ部屋へと戻る。

 

「すみませんでした……」

 

 そう語り……芳香は夜空を見上げるのを中止しテクテクと施設内に戻っていく。

 完全に戻ったのを確認した後でマンダレイはラグドールへと語りかける。

 

『ねぇラグドール……あの子、宮古芳香……だっけ? なんかおかしくない?』

 

 唐突にそう話を振られたラグドールは平常心を保つ様に心がけながら隣を一緒に歩いて巡回をしている親友の言葉に対し意図を汲みきれずに下唇に人差し指を当てて考え込んだのちに返答を行う。

 

「それは……あれかな? こんな時間に居たからって事かな?」

 

 当たり障りのない言葉を紡ぐがマンダレイは首を横に振って真剣な眼差しで先程の発言の真意を呟く。

 

「そうじゃなくてね、私の個性テレパスはさ……当然だけど一方通行、双方向性通信じゃないからそりゃそうなんだけどさ? 向こうから返事がこないのは当たり前なんだけど……でも範囲内に入れば対象問わず複数人にテレパスが可能……だからこそ雄英高校40人の複数同時アドバイスが成り立ってるんだけど……あの子にはそもそもテレパスが繋がらないのよ、だからアドバイスも直接出向いて行ってるんだけど……それっておかしくない? だって私のテレパスって対象の脳に直接波長を送りつけてるのよ? 確かに私のテレパスは万能じゃない、特殊な場所に居ればそりゃあ通じない時もあるけど……此処は至って普通の森の中なのに通じない、個性もあの子の個性は電波系や電気系統に類する個性じゃあないから例外には該当しない……なのにテレパスが通じないってのは変じゃない?」

 

 そう語るマンダレイ……。

 マンダレイの個性であるテレパスは言ってしまえば……自身の言葉を相手の脳へと送りつける事でありそこに対象の拒否権は存在しない。

 相手が生きているならば例えどんな相手だろうと無理矢理にテレパスを繋げる事が可能である。

 無論……個性やサポートアイテムなどである程度の妨害はなされるがその場合は鳴り止む事が無いノイズを脳内に響かせる妨害としての使用法で撹乱が可能である。

 テレパスに対して完全に対策を講じたなどそういった様なシチュエーションや状況ならばテレパスを封じる事もあり得るが完全なる切断やそもそも繋がらない事案などそう滅多にあるものではない。

 その事に疑問を持ちつつも朝日が昇る前に準備を済ませる為、一旦この考えを脳内の隅へと追いやると隣を歩くラグドールと共に朝の準備を執り行う為に巡回チェックを終えて必要書類に記入を行うとやるべき事を行う。

 食事の準備は各自生徒らが行うが食材の用意はマンダレイやピクシーボブ達のお仕事だ。

 


 

 朝4時45分。

 合宿3日目。

 やるべきことは変わらない。

 昨日に引き続き個性の強化。

 ……なのだが補習組の動きは緩慢で中には立ったまま意識を飛ばしている者も。

 当然相澤の捕縛布がグイイッと巻きつけられ怒られる。

 

「補習組‼︎ 動き止まってるぞ‼︎」

 

 演習試験で赤点であった5人は合宿中別途補修が設けられており1日目は無かったが2日目から皆が就寝する時間の22時丁度から補習がスタートしAM2時30分まで執り行われていた。

 その為に眠気が常に襲ってきている補習組。

 それを見て相澤は溜息混じりに告げる。

 

「だから言ったろキツイって……お前ら5人は許容上限(キャパ)がそのまま活動限界に関わる、容量と上限増やすには反復して使い続けるのが基本だ、瀬呂は容量に加えてテープの射出速度強化と強度の上昇、芦戸は溶解液の長時間使用により生じる皮膚への影響の軽減及び皮膚の耐久力強化、切島は筋力と並行して硬度を上げる事での相乗効果を目的にした訓練だ……そして何よりも期末で露呈した立ち回りの脆弱さ‼︎ お前ら5人が何故他の奴らよりも疲れているのかもう一度その意味をしっかりと考えて動け‼︎」

 

 そう一喝して周囲を見回しつつ叫ぶ。

 

「皆も気を抜くなよ⁉︎ ダラダラやるな‼︎ 何をするにしても常に原点を意識しておけ、向上ってのはそういうもんだ、何の為に汗かいて何の為にこうしてグチグチ言われんのか常に頭に置いておけ‼︎」

 

 そう叫びつつ指導やアドバイスに向かう相澤先生。

 そうして訓練は進んでいき……時間は進み昼休憩を挟んで午後の訓練へと戻る。

 午後訓練の最中、ピクシーボブが叫ぶ。

 

「それよりみんな‼︎ 今日の夜は‼︎ クラス対抗肝試しを実行するよ‼︎ しっかり苦労したあとはしっかり楽しい事がある‼︎ アメとムチ‼︎ だから今は全力で励むのダァー‼︎」

 

 その言葉に対してテンションを上げる者とホラーが苦手なのかガクブルと震える者。

 そうして……18:00になり今日の訓練は終了した。

 今晩の夕食は肉じゃがである。

 例の如く芳香は食材の下処理に専念していた。

 そして相変わらず取り分ける係に専念する芳香であった。

 夕食後……ピクシーボブが本日のレクリエーション企画であるクラス対抗肝試し開催を宣言すると芦戸を筆頭に楽しそうな声を響かせる。

 が……相澤先生より一点、大変心苦しいがと置きされて告がなされる。

 

「……補習組は今から俺と授業を行う」

 

 その宣告に……このレクリエーション、クラス対抗肝試しを何よりも楽しみにしていた芦戸が驚愕し悲痛な叫びを上げる。

 相澤先生は捕縛布を対象者へと巻きつけて拘束すると理由を述べる。

 

「日中の訓練が大分疎かになっていたのでこっちを削る……すまんな」

 

 対象者5名はズルズルと捕縛布で拘束されて引きずられながら悲痛な叫びが木霊していく。

 

「うわぁぁぁ‼︎ 堪忍してくれェェェ‼︎ 試させてくれぇぇ‼︎」

 

 悲しげな叫びは施設に到着するまで響き渡っていた……。

 まぁ一悶着あったのだがピクシーボブから今回のレクリエーションであるクラス対抗肝試しの要点が説明される。

 

「脅かす側先攻はB組、A組は2人1組で3分おきに出発、ルートの真ん中には名前を書いたお札があるからそれを持って帰る事、脅かす側は直接接触禁止で“個性”を使った脅かしネタを披露してくるよ〜」

 

 そう説明が為されて組み分けの為にくじ引きを引く事になったのだが20人から5人補習で強制的に居なくなってしまった為に1人余る結果となった。

 くじびきの結果組み分けは以下の通り。

 

 1組目 宮古芳香&八百万百。

 2組目 障子目蔵&常闇踏陰

 3組目 轟焦凍&爆豪勝己。

 4組目 耳郎響香&葉隠透

 5組目 麗日お茶子&蛙吹梅雨

 6組目 尾白猿夫&青山優雅

 7組目 飯田天哉&峰田実

 8組目 緑谷

 

 肝試しがスタートされた。




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