肝試しがスタートして9分後……芳香&八百万ペアは中間地点であるルート真ん中を通過し終わり折り返し地点に到達していた。
八百万さんは脅かしに対して結構な反応をしていたが芳香は肉体的反応はほぼ無く僅かに身体が揺れる程度……。
八百万は隣を歩く芳香と楽しく会話していたが突如として周囲に散布された煙を吸気した瞬間……意識を失い倒れ込む。
倒れ込んだ八百万を見て芳香はしきりに叫ぶが目醒めることはない。
「八百万さん⁉︎ どうしたの⁉︎ 煙……毒⁉︎」
周囲を見回すと辺りには薄らとガスの様な物が漂っており恐らく八百万さんはソレを吸気してしまったのだと仮定する芳香。
芳香自身は呼吸すらも不要とする身体故に……だからこそ芳香は散布された有毒ガスに気づくのに一手も二手も遅れた。
芳香は自身の掌から高性能防毒マスクを創り出すと八百万へと装着して背負いこの毒ガスの煙幕を走り抜けようとするが芳香の眼前に突如として白の仮面を被り、丈の長いトレンチコートと羽飾りのついたシルクハットを身に付けた長身痩躯の誰かが現れた。
その相手は語る。
「初めまして……私は
つまり……八百万にガスマスクを装着して安全を確保したのを見てから態と姿を現したという事。
それに対して芳香は背負っていた八百万をお姫様抱っこの様に前に抱えると背中からは自律機動人形を創り出す準備をして相手へと語る。
「……お断りなのだ‼︎」
衣服をビリビリに引き千切りつつ背中から等身大人形が勢いよく出現してMr.コンプレスへと突進していく。
更に追加で複数体創り躊躇う事なく突っ込ませるがMr.コンプレスと名乗った男に近づいた刹那……合計8体の自律機動人形の姿は音もなく消え去り後には何も残らない。
相手が何をしたかは芳香からしてみれば分からないが言える事はただ一つ。
八百万百をお姫様抱っこから再度背負う様にし今度は腹部や四肢から人形を数十体同時に創り出す。
「お前には近づいたらダメみたいなのはハッキリと分かったのだ‼︎ 数の暴力で対抗するのだ‼︎」
そう叫ぶと来た道をそのままダッシュで引き返す芳香であった。
走りつつも腹部や四肢から自律機動型人形を次々に複数体纏めて創り出して背後から追ってきている男に対しての防衛兼周囲に取り残されたB組やクラスメイト達の避難へと充てさせる。
そうして……八百万を背負いつつ脱兎の如く毒ガス充満する道を突っ切っていく芳香であった。
場面は変わり施設付近ではマンダレイと虎が
ピクシーボブは頭を強く打ち意識混濁の状態にある……イレイザーヘッドは生徒の安否確認及び保護をしに先んじて生徒らの居る方へと……残るブラドキングは施設内に残り生徒達の保護をしている為にマンダレイと虎が眼前の
マンダレイはスピナーと名乗った
「引石健磁‼︎
プッシーキャッツのチームメイト全員が虎考案の我流格闘術キャットコンバットを非常に高い練度で修めている。
特に虎は考案者故にプッシーキャッツ内は元より格闘技をメインにしているプロヒーローの中でも最上位に位置する格闘全般の玄人である、そんな虎のアッパーブローは分厚く硬いコンクリの壁だろうとも難なく破砕する威力を誇る。
虎の掌打や拳打を……マグネと呼ばれた男は完璧に威力を殺して難なく捌いている。
「いやんっ‼︎ 話聞いてよ……私達はっ⁉︎ やだっ‼︎ 危ないわね‼︎」
虎の個性である軟体を活かした変幻自在の蹴り技すらも見切って威力を極限まで殺し受け止める。
見た所……中国拳法の“化勁”を応用した防御技……。
虎の脳裏には人間好きを名乗る全身青色の服を着た女が浮かぶが今はその様な物思いに耽る時ではない。
拳打の応酬をしているとスピナーを鎮圧し終えたマンダレイが拳打の応酬へと加わり2対1の状況……にも拘らず決定打を打ち込めない。
パンチやキックを繰り出しつつマンダレイは叫ぶ。
「虎‼︎ おかしいよ……未だラグドールからの応答がない‼︎ いつもなら5秒以内に返事よこすのに‼︎」
プッシーキャッツが装備している猫耳を模したヘッドセット……それは外見的特徴のみ高める物ではない。
マンダレイのテレパスに応答ができる様にそう言う機構を組み込んだデバイスにもなっている為にプッシーキャッツメンバー達はマンダレイのテレパスへ応答する事が可能である。
いつもならどんな緊急時だろうと5秒以内に返答が来るはずなのだが……1分経とうとも返ってない。
その事象に対して……一抹の不安が頭を過ぎるが今やるべきことを行うマンダレイと虎であった。
合宿地襲撃と時を同じくして……アジトとなっているBARでは死柄木弔が酒を飲みつつカウンターに座っていた。
黒霧は今回の襲撃でのワープゲートを開いてメンバーの帰還を行う要員故に襲撃地点に居るのは捕えられた際にあまりにも不都合故にアジトであるBARに死柄木弔と共に残っていた。
黒霧は45年もののマッカランを楽しんでいる死柄木弔に向けて語りかける。
「……本当に彼らのみで大丈夫でしょうか?」
グラスを拭きつつそう問いかけてきた黒霧に弔は2枚の写真を見ながら返事を返す。
「あぁ、俺の出る幕じゃないよ……ゲームのルールが変わったからな、今までは俗に言うRPG……準備や装備だけが万全で肝心要のレベルは1のまま、そんな状態でラスボスに挑んでたらそりゃあ勝てるわけない……やるべきはカードゲームだったのさ、プレイヤーである俺は限りある手札を用いて知恵を絞り盤面を切り崩して相手を倒す……勝負事に勝つ鉄則は相手の最も嫌がる事をやり続ける事だから、今は嫌がらせの時間だ……超人社会にヒビを入れる、開闢行動隊、宮古芳香の誘拐以外のどれもが失敗しても成功しても……如何に対策を講じていたとしてもそれを貫いて
弔は4本目のマッカランを飲み干す2枚の写真を手でクルクルと弄びながら呟く。
それを踏まえて黒霧は静かに語る。
「彼らは死に札ですか?」
言外に使い捨てかと問うてきた黒霧に対して弔は笑いながら返事を返す。
「はっ、馬鹿言え……俺がそんな薄情に見えるか? 奴らの強さも仲間意識も本物だよ……向いている方向はバラバラだが頼れる良い仲間さ……ルールで雁字搦めの社会、抑圧されてんのは俺たちだけじゃない」
そう語る死柄木弔であった。
「たくっ……めんどいな、俺は逃げ足と欺く事だけが取り柄で直接戦闘は不向きだってのに」
200〜300m離れているものの嫌に響くその言葉を聴きながら芳香は更に追加で自律機動人形を創り出して盾とするがコンプレスに近づいた刹那、消え失せる。
来た道をダッシュで引き返してきたがこれ以上戻るのは愚策。
ガス溜まりの極めて濃いルートであり防毒マスクのフィルターも極短時間しか保たないであろう濃度である事は想像に難くない。
新たに創り出した防毒マスクの装着を人形に任せる……意識不明の八百万を人形が背負い八百万だけでも施設に直行出来ればそれが1番良いのだが……現状では他に
襲われない保障など何処にもないのだ、勝ち目の薄い博奕どころか一手しくじれば命を失いかねない場面で危険すぎる賭けをする訳にはいかない。
走りつつもそう思案しているとガサガサと茂みを掻き分ける音が近くから聞こえて臨戦態勢を整える芳香。
出てきた瞬間に人形での攻撃を行おうとした刹那……出てきた相手を視認して人形を急制動させる。
B組の拳藤と鉄哲と言ったか……。
2人とも濡らしたハンカチを口に当てており可能な限りガスの吸気を防いでいる。
それを見て芳香は掌から高性能防毒マスクを複数創り出すとそれらを全て手渡して語る。
「……八百万さんを頼みます、毒ガスを吸気してしまい意識がありません……八百万さんを連れて施設に向けて退避を……私の背後には少なくとも私を攫おうとしている
そう語るも鉄哲が感情任せに怒鳴ってきた。
「断る‼︎ A組にあって俺らには無かったもの……ピンチだ‼︎ だからこのピンチをお前らA組みたいにチャンスに変える‼︎ 俺がこの毒ガス撒き散らしてる
芳香は唖然としていた。
ピンチだ何だと宣いながら眼前の要救助者を助ける事なく戦闘を望み剰え数も個性も不明な
この毒ガスの威力だ、これ以上の濃度を吸気すればどんな作用があるかわからないに関わらず、そう宣った。
芳香は感情のままに鉄哲を殴ろうとしたがその前に拳藤が鉄哲を殴り飛ばす。
「この馬鹿‼︎ ピンチ⁉︎ 眼前の要救助者を見捨てて相手の数も個性も不明なのに戦いに行くのはヒーローでもない‼︎ ただの愚か者って言うんだ鉄哲‼︎ 私たちが目指してるのはヒーローだろ⁉︎ ヒーローが人を助けないでどーする⁉︎ それにイレイザーヘッドの出した戦闘許可は私らが施設に安全に戻れる為のものだろ⁉︎」
その叫びに鉄哲は冷静さを取り戻したのか……自分でも不謹慎極まるあり得ない言葉を吐いたのを理解したのか芳香へと謝罪してきた。
「すまねぇ……」
その謝罪を受け入れつつ拳藤に八百万を任せて護衛として自律起動人形10体を当てがうと施設に退避する様に促す芳香。
それに対して芳香は拳藤に向けて語る。
「私の背後には私を狙った個性不明の
そう語り退避を促す芳香であった。
その刹那……芳香の背後へと迫る先ほどの
数多の人形を犠牲にして得た情報から手に触れる事で圧縮する個性だと仮定する。
手の届く範囲から逃げつつも毒ガスを撒き散らしている
逃げるにせよ反撃するにせよ……芳香以外は呼吸しているのだ、この毒ガスを撒き散らしている
かなり遠い反対側の方では大氷壁の音が響いており向こう側でも戦闘に突入しているらしい。
それを踏まえて芳香は思案して呟く。
「毒ガスを対処しなければならないのだ‼︎」
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そんなもん書く暇あるなら本編進めろボケ