「ん? なんか複数体でこっちに来ているやつがいる……て多すぎだろうが⁉︎」
そう叫んだのは学ラン姿でガスマスクを被った中学生くらいの少年……。
その少年を中心としてガスが渦巻いている為にほぼ確定と言うよりかは此処にいる時点で黒に近い存在と自律型機動人形はそう判断して対処する。
ガスを散布する個性だが自律機動型人形とは頗る相性が悪かった。
少年が学ランから取り出したサブマシンガンであるMP5を乱射するも、その程度の銃弾の威力ではヒビを入れる事すら不可能であり致命の一撃足り得ない。
笑顔を貼り付けたその機械人形は銃撃に怯む事も恐怖する事もなく彼我の距離を詰め続ける。
「な……何なんだテメェらは‼︎ ふざけやがって⁉︎」
そう叫んだのを最後にガスを操作していると思われる少年は地面に捩じ伏せられ鋭い殴打を鳩尾に喰らい気絶する。
すると周囲を漂っていた毒ガスが霧散していき視界が開ける。
極めて濃度の高い此処の視界が晴れたと言う事は他の所でも毒ガスの影響は次第に低下していくだろう……自律機動人形達は捩じ伏せた少年を捕縛し終わり他の要救助者の救助へと行こうとした刹那……10体の内、半分は跡形もなく圧縮され、残りの4体は蒼い色の焔に包まれて部品すら残らず熔けて消える。
しかし何とか圧縮も蒼炎もギリギリの所で避けた一体は捕縛した学ランの少年を引っ掴んで施設の方へと退避して行った。
……遠慮なくぶちかました青い焔が更に木々へと燃え移り更なる火災を生むがそれはツギハギの男とMr.コンプレスの意図とはだいぶ異なる。
「おい荼毘……燃やしすぎだ、アッチぃ‼︎」
荼毘と呼ばれたツギハギの男はそれに対して気怠そうにスマネェなと呟きつつ現状を口に出して整理する。
「根こそぎ燃やし尽くして……辺り一面を灰燼にしてから目的を探してからでもいいけど手間が掛かるよな……だけど自律機械人形は邪魔すぎる、だからやっぱり根こそぎこの周囲一体の森林を燃やそう……帰りは座標移動のワープゲートだ、例え灰になるまで燃やそうと関係ねぇ……Mr.……お前は最優先対象って言われた宮古芳香の
そうぶっきらぼうに告げると荼毘は辺り一面の木々に掌から焔を生み出しそれを押し付けて放火していき木々をどんどんと燃やしていく。
荼毘は追加でガソリンや灯油を染み込ませた火種や先んじて仕入れていた火炎放射器の燃料などの着火剤も木々にばら撒いている為に燃焼速度が尋常じゃなく速い。
本来なら生木は燃え難い……樹木自体に大量の水分が含まれている為に木を燃やす為の燃焼速度よりも酸素消費量が勝ってしまい結果として勝手に鎮火していく。
だが……灯油やガソリンが染み込んだ火種、そして更に最悪な事に燃焼促進剤でもあるアルミニウム粉末、アルミニウム塩化合物、そして極め付けには火炎放射器の燃料と……ナパーム弾にも使用された特殊焼夷弾用燃焼剤が木々にぶちまけられた結果……瞬く間に大火災に陥る。
森林という火災に対しては最悪の立地と……あらゆる火種がぶちまけられた結果、被害は稀に見る大火災となる。
しかも通常の火災ではなくナパームによる物である為に消火する為にはガソリン用消火器か界面活性剤を含む水が必要な状況となっていた。
流石にこのレベルの火災は個々人の能力のみではどうしようもない……なんせ3〜5km離れた施設内からでも立ち昇る黒煙と全てを燃やし尽くす蒼炎がハッキリと見えているのだから。
警察と消防を要請したブラドキングであるが到着までに時間がかかる……。
プッシーキャッツの施設にも火災に備えて法令に則った一通りの物は置いてあるがそれらは初期火災に対しては効力を発揮するのみで此処までの広範囲になってしまう効力を発揮する事は出来ない。
しばらくして施設内に戻ってくるA組B組の生徒と護衛として当てがわれていた自律型機動人形……自律機動人形達は既に限界まで酷使されていたのか施設内に到着し護衛というその役目を果たした瞬間に電子回路のショートが起こり動かなくなっていった。
自力で戻ってきた生徒達とタイミングをほぼ同じくして相澤も生徒の何人かを保護していったん戻って来た様で現在此処に居ない生徒を確認すると居ないのは2人。
宮古芳香と爆豪勝己であった。
宮古は複数の
それを確認した瞬間……相澤は何とか覚醒した八百万から耐熱服や酸素ボンベと空気呼吸器を創造してもらうとそれらを装備し踵を返して火の海の中へと戻って行った。
「凄い火災なのだ‼︎ くっ⁉︎」
施設から3km離れた箇所にて。
辺り一面は元より芳香の周囲は既に蒼炎により火の海であり黒煙も渦巻く炎も酷く数メートル先を見る事すらままならない。
そんな最中……明確に狙い定めて放射された焔に対して回避行動を兼ねて空間捕食を行い瞬間移動を繰り返すも瞬間移動先は常に変わらずパチパチと音を立てている火の海の中。
燃焼の三要素は可燃物・酸素・熱源な訳なのだが全てが揃っている最悪な環境と言える。
しかも瞬間移動可能な周囲の全てが火の海故に現在位置の把握が極端に難しい……。
芳香は瞬間移動の際に木々を喰らいつつ移動しているものの周囲が全て同じ状態故……芳香には方向感覚の欠如が起こっていた。
周囲の木々を喰らい尽くして燃焼物を物理的に消し去るがそれもその場凌ぎにしかならない……しかも瞬間移動しようとも周囲を埋め尽くすのは蒼炎の大海嘯。
業火の大海嘯の真っ只中に居る芳香。
芳香だからこそ生きていられると言えよう……既に周囲は火災により熱風が巻き起こり凄まじい高温になっており耐熱服などの専用装備若しくは炎熱系の個性持ちでもなければ耐えられない熱である。
瞬間移動先に移動した瞬間に凄まじい熱風が芳香の頬や身体を余す事なく撫で酸素が急激に消費されている為に酸欠となるがソレらは芳香にとっては関係がない。
ソレに加えてナパーム弾にも使われていた特殊焼夷弾用燃焼剤により酸欠で窒息死したり一酸化炭素中毒死する可能性すらあるが芳香には一切合切関係がない話。
芳香が今1番分からないのは自身の現在位置……。
どれだけ瞬間移動を繰り返そうとも移動先は常に火の海。
同じ景色で同じ状態……背後からは全身ツギハギの男が常に炎を乱射してきておりソレの回避の為に更に瞬間移動を余儀なくされる。
相澤は耐熱服と諸々の装備を着込んだ状態で捕縛布を手繰り蒼炎の大海嘯の真っ只中を素早く移動し続けていた。
耐熱服と空気ボンベや酸素呼吸器の重量は合計すると50kgを優に超えるがその程度は何の枷にもならない。
捕縛布を手繰りつつ空中へと跳ねると滞空している間に宮古の現在位置を探る為に燃え盛る森林を視界に収める相澤。
何回か同じ事を行い宮古の現在位置を確認し発見した……。
其処は施設から6km程離れた場所……宮古が瞬間移動した影響で木々が倒壊するのを視認したのと同時……その地点へと捕縛布を手繰りつつ跳ねる相澤。
……相澤は宙を跳ねつつソレを見てしまった。
天高く渦巻く炎……火災旋風を。
しかも最悪な事に移動していくタイプの火災旋風であった事。
そしてその移動地点が動きの都合上……宮古の付近である事は明白であった。
「やばいな……とっとと宮古と爆豪を回収して退避しないとならねぇのに……」
相澤が装備している耐熱服の性能は1000℃まで耐える為にこの熱風や蒼炎の大海嘯の中で相澤が生きていられるのは耐熱服と酸素ボンベのお陰である。
残酸素量を確認するとギリギリの値であり施設に戻る距離を計算に入れると……リミットは5分と言ったところ。
それまでに宮古と爆豪の奪還を済ませねばならない。
再度捕縛布を手繰り宙を跳ねると視界の端に燃え残ったというよりまるで反対側から炎が付いて焼かれたかの様に不自然な箇所が目に映るが一先ずは宮古と爆豪の救助が先決。
捕縛布を使用した3度目の跳躍を行いようやく宮古の隣に降り立った相澤。
「宮古‼︎ 無事か⁉︎」
耐熱服のマスク越しのくぐもった声音でそう叫ぶ相澤。
ソレに対して宮古はグッと親指を立ててハンドサインで状態を示しつつ
それを踏まえて宮古に施設の方向を指し示しす。
その方向へと瞬間移動を繰り返せば施設に辿り着けると理解した芳香が瞬間移動をしようとした刹那……凄まじい熱を有した蒼炎が一点集中したビームの様な形状で宮古の身体を焼きつつ反対側へと吹き飛ばす。
一瞬の出来事に対処が遅れる相澤……。
そして吹き飛ばされるは先ほど視認した唯一開けた場所であり火災の影響を受けていない箇所……。
急ぎ其処へと移動すると宮古の事を圧縮し終わりワープゲートを潜り抜けるマジシャン風の
即座に捕縛布を用いて捕縛しようとしたがワープゲートが閉じられる方が速く虚空を通過した捕縛布……。
「クソッ‼︎ 宮古‼︎ 爆豪‼︎」
炎渦巻く森林の中……相澤の叫びのみが木霊し消えていった。
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