悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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昏き深淵の底から

「クソガァァァ‼︎」

 

 そう叫び激痛齎す掌から激しく血が溢れ落ちるのも構わずに接近してきたクソ仮面達に向けて爆破による弾幕を撃ち放つ爆豪。

 此処で自身が再度拉致でもされようものならばオールマイトが世間にあの姿を晒してまで俺や暴食女を助けに来た意味が消滅しオールマイトを含めた全てのヒーローや警察官達全ての行いが水泡に帰す。

 なればこそ……絶対に捕まらずに此処から離脱する事が爆豪勝己に課された最低限の勝利条件。

 しかしながら掌から伝わるのはあと2〜3度の爆破を放つ事すら難しいという感覚。

 荒い息を整えつつ周囲を見回すが此処から離脱出来る手立ては無い。

 しかし……自身が憧れたヒーローはどんな絶望的な状況でもどんなに劣勢でも諦めるなんてしなかった……だから。

 

「諦めるなんて言葉ァァ‼︎ 俺にはねぇんだよ‼︎」

 

 そう叫び接近してきた(ヴィラン)連合の面々に対して更に深く重い爆破の弾幕を撃ち放つ。

 爆煙により自身と(ヴィラン)連合の面々の視界が塞がれた刹那……それは起きた。

 突如として地面に5m程の円形の穴が空いて吸い込まれる様に落下していく感覚が爆豪を包み込む。

 落下してすぐに襟首を引っ掴まれて円形にくり抜かれている穴の中を高速で移動して行き……数秒もすると地上に出る。

 そこは戦闘区域から遠く離れた駅前であり爆豪勝己の襟首を引っ掴んだままの青い衣服に身を包んだ女性は付近の警官を呼び止めて掴んでいる爆豪勝己を見せながら後始末を依頼する。

 そして翻す様にして何処かへと立ち去ろうとしたその青い衣服に身を包んだ女性。

 

「おい待てやコラァァ‼︎ テメェはなんだァ⁉︎ 助けてなんて頼んだ覚えはねぇぞ⁉︎」

 

 そう怒鳴ると青い衣服に身を包んだ女性は笑顔を浮かべながら爆豪の肩に馴れ馴れしく手を置いて眩しい程の笑顔を浮かべつつ言葉を返してきた。

 

「私は霍青娥というの……君が爆豪勝己君でしょ‼︎ 芳香から話は聞いているよ? ……君を助けたのは私の為でもあるんだ……だから君が気にする事はないのよ? さて、其処の警官が君を保護してくれるから後は警官に従ってね? バイバイ」

 

 そう終始優しげな口調で語りつつ握手をしつつ手を握ったままブンブンと勢い良く上下に手を振ってくる霍青娥と名乗った女。

 終始ハイテンションでそう語ってきたその女……いきなり握手をしてきたのに面喰らい襲う筈の激痛に身構えた爆豪勝己であるがいつまで経っても激痛は襲って来ず恐る恐る掌を確認すると、つい数秒前までは血がボタボタと流れ落ちて皮膚も裂けて激痛が走っていた筈であるのに……爆豪勝己の眼に映るのは裂傷や肉の露出など跡形もないとても綺麗な掌であり出血の跡すら見受けられない。

 

「なんだったんだ……一体」

 

 そう語る声は群衆の喧騒に呑まれて消えていくがただ一つだけわかっていること。

 あの女は戦線区域外に自身を脱出させてオールマイトの邪魔をしてしまっていた自身を助けて……どうやったかは不明であるが酷く出血して皮膚も裂けていた自身の掌を爆豪勝己自身も気付かない間に治癒したという事のみ。

 その後……警官複数名及びUSJ襲撃時にいた三茶とかいう警官に連れられて爆豪勝己は警察署へと一時保護されていった。

 


 

 爆煙が晴れると其処にいた筈の爆豪勝己は影も形も居なくなっていた。

 その事実にオールマイトやグラントリノが動揺した瞬間地面が円形にくり抜かれて其処から青い衣服に身を包んだ女性が勢い良く跳躍して飛び出してきた。

 その女性は笑顔を浮かべてオールマイトとグラントリノを見るとまるで10年来の友人かの様に気軽に声をかけてきた。

 

「あの子、爆豪勝己は無事よ……今さっき送り届けてきたわ……私の名前は霍青娥、宮古芳香の……保護者で一応プロヒーローよ、アレに用があるのよ私」

 

 オールマイトとグラントリノにそう語る霍青娥。

 AFOを鑿で指し示しながら2人にそう告げると青娥はAFOの方へと向き直り語る。

 

「……下界に降りてきて大分経つわ、様々な素晴らしい出会いや色々な感情を経験したけれど……これ程不快な気分にさせられたのは初めてよ」

 

 笑みを貼り付けた青娥に対して……マスクで見えないがAFOは確かに笑っており青娥の言葉に対して返事を行う。

 

「それはとても残念だ……だがありがとう、最高の褒め言葉だ」

 

 そう告げるAFO。

 AFOはオールマイトやグラントリノの攻撃をいなしつつ青娥に対して言葉をかける。

 

「何の用かな? 今僕は忙しくてね……恨み節を聴いている暇はないんだ」

 

 それを聴いた青娥はにっこりと笑みを浮かべつつ激烈な攻撃を全て対処しつつ浮遊してAFOと同じ高さまで昇ると鑿でAFOを指し示して宣言をする。

 

「どうも貴方とは相容れない敵になりそうな感じなのよね……確かに貴方は私と同じで人間のソレとは全く異なっているけど……人間に対する考え方が決定的に違うわ」

 

 激しい戦闘中でありその言葉は2人にのみ聞こえていた。

 AFOは……エンデヴァーやエッジショットの攻撃を悠々と捌きつつ青娥に対してドス黒い悪意を煮込んだ様な悍ましさを感じさせる声音で戦闘中にも拘らずに青娥へと語りかける。

 

「ならば……お互いの考え方を述べてみようか」

 

 そう語るAFOに対して先ずは青娥から自身の考えを述べる。

 AFOの攻撃を涼しい顔をして捌きながら。

 

「全ての人間は私の大親友であり私の所有物(お気に入り)よ? 私だけが遊ぶ権利を持っている」

 

 それに対してAFOも持論を展開する。

 青娥やエッジショットやエンデヴァー、グラントリノらの激烈且つ惨烈な攻撃を捌きながら。

 

「違うね、全ての人間は僕の奴隷であり僕の所有物(オモチャ)だ……僕だけが壊す権利を持っている」

 

 互いのその宣言は……2人が決して相容れない事を示す宣言でありこの時点で敵対する事が確定したといえよう。

 刹那……AFOの眼前から消え失せた青娥。

 AFOの背後を取り即座に発勁を打ち込み地面に叩き落とすと天空から地面に堕ちたAFOを見ながら告げる。

 

「警告はあの時で終わりよ? 2度目はない……わかってた事でしょ?」

 

 先ほどとは打って変わって冷たくそう語る青娥。

 人間大好きな青娥ではあるが……AFOに対して改めて宣告する。

 

「……AFO、私は正直なところ他人を憎むのに酷く不慣れなのよ? 自分の玩具を憎む子供はいないでしょ? それと一緒よ……だけどね? その玩具をメチャクチャにした奴には話が別でしょ? 改めて……貴方の事が心底憎いと思ったわ、誇っていいわよ? 私に此処までの不快感を覚えさせた事だけわね」

 

 その宣告を受けながらAFOは上空50〜60mの高さから墜落したのにも関わらずスーツが破けて土埃で汚れた程度でありマスクも若干の変形のみ。

 AFOは上空を見上げながら青娥に返答する。

 

「同感だな……僕もそんな感じだ、折角の実験が中途半端に終わってしまったのは非常によろしくない」

 

 2人は……まるで他のヒーロー達など意にも介さないかの様に語り合っていた。




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