翌々日。
ニュースで大々的に報じられているのはオールマイトの引退会見とジーニストの長期活動休止。
救出されたプッシーキャッツの1人であるラグドールの個性が使用不可になる件があり活動見合わせ……。
その他にも色々とあるが……芳香は何ら変わらない日常に戻っていた。
芳香自身には攫われた後の記憶は殆どなく目が醒めたら既に青娥の腕に抱き抱えられていた状況であったが為に警察の事情聴取も滞りなく30分程で終わり帰宅した。
と言っても芳香自身……帰宅しても特段やる事もない、いつも通りの日常だ。
一応警察の事情聴取が終わった後でクラス全員が参加しているトークアプリのグループに向けて無事であるという一報を送信してはいたが……。
ここ数日の記憶が曖昧ではあるものの特段気にする事はない。
場面は変わって雄英高校の校長室。
そこには相澤先生、ブラドキング、そしてオールマイトが根津校長の前に立っており……根津はオールマイトに向けて感謝の言葉を口にする。
「その身を犠牲にして多くを救ってくれた……国民として、ヒーローとして、校長として感謝してもしきれやしない……ただ世間では雄英教師を続けるのに少なからず批判的意見も出ている……皆不安なのさ、だからこそ今度は我々で紡ぎ強くしていかなきゃならない……君が繋ぎ止めてくれたヒーローの信頼をね」
そう語るとブラドキングが語り部を交代して憤懣やる形無しといった表情でオールマイトと自身を交互に見ながら語る。
「あの一件で気付かされました……あなた1人に背負わせてしまっていた、背負わせていたものの大きさを……」
ブラドキングはもとより相澤も同様であった……心の何処かでオールマイトにもたれかかっていたのだ。
平和の象徴だから、平和の象徴が居るから大丈夫と……そのツケは巡り巡って巨額になったが……今支払わなければならない。
脅威がまだ拭いきれていないがそれがどうしたというのか……此処で食い止められなければ何の為に自分らが居るのか……そう決意を新たにする。
そして、再度語り部は根津校長へと交代する。
「そこで……兼ねてより協議していた案を実行に移すのさ、私はブラドとB組に……オールマイトとイレイザーヘッドはA組に……頼むね、家庭訪問」
そう告げて机の上に準備した書類には『雄英高校全寮制導入検討のお知らせ』と記載されているのだった。
そうして……翌日。
オールマイトとイレイザーヘッドはA組最後となる宮古芳香宅へと到着していた。
かなりの大きさを有している一軒家であり表札には宮古と記載されている。
住所を3回確認したが此処に間違いはない。
インターホンを押すと扉が開いて中から現れるのはへそが見える黒のタンクトップにホットパンツといった服装の宮古。
サイズが合ってないのか胸周りがギチギチである……。
会釈をして教師2人を中へと招き入れる芳香。
教師2人は中へ入るなり違和感を感じていた。
エアコンなどの家電は完備しているがそれ以外があまりにも生活感がない。
何というか……本来必要ない物品を今日この日のために揃えたようなそんな違和感。
炊飯器や冷蔵庫、食器棚の中の食器に至ってはまるで昨日搬入したばかりであり未使用の新品同然の輝きを放っていた。
そんな違和感を感じていると芳香より差し出されるのはキンキンに冷えている麦茶でありそれを受け取る教師2人。
その刹那……外壁を円形にくり抜いて外から入ってくる人物が1人。
霍青娥であった。
「ごめんなさい……少し野暮用で遅れてしまったわ……其方の方は初めまして、宮古芳香の保護者である霍青娥よ……以後お見知り置きを」
外壁をくり抜いてふわりと床に降り立ったのは青娥……。
どんな個性を使ったのかは不明だが……。
「驚いてくれてる様で嬉しいわ」
そう喋り出した青娥。
青娥曰く今の壁抜けは大したものではないらしくステップとしては3つの手順を踏むだけらしい。
1つ・髪に挿している鑿を壁に軽く押し当て円形に切る仕草をする。
2つ・その穴の中を通って壁の向こう側に侵入する……切り抜かれた箇所の破片は自然消滅する。
3つ・壁に開けた穴は、いつの間にか穴が消えるという形で元に戻る。
壁抜け自体は驚いてもらう為だけに行う……いわば驚かす為だけに使うものとか。
「けれど君は……その個性であの時爆豪少年を地面の下から戦闘区域外に脱出させたろう? ありがとう……あの時はお礼の一つも言えなかったからね、今お礼を言わせてくれるとありがたい」
オールマイトもイレイザーヘッドも後で警官と爆豪本人から聞いた話である。
突如として穴に引き摺り込まれ気づいたら駅前に居たと。
傷も知らぬ間に治癒されており……後遺症の一つも無く何なら前よりも効率良く威力の高い爆破を放てる様になっているとか。
それを聞き青娥は閉じた扇を口元に当てて微笑みながら語る。
「構わないわよぉ……だってあの時あの場に居られても邪魔だったんだもの……だったら退かすでしょ? 安全な場所に……それに私は人間が大好きだもの、可能な限りの手は尽くすわよ」
実際その言葉の通りであった。
青娥が居なければ死者は倍以上に増えていたのは間違いない。
あの時……宮古芳香を助け出した後で彼女の打ち鳴らした柏手一つで瀕死の者達の傷が塞がり致命傷を免れたと……そう言う話が出ていた。
眉唾物であり情報が錯綜しまくっていた為に確かな情報が得られる事は無かったが……今、彼女を見てオールマイトは、はっきりと理解できた。
「君は……そうか、そういう存在なんだね?」
オールマイトは心の底から思う荒唐無稽な話だと……。
だが……眼前の女性からは何処か自分達を見る視線に違和感を感じ……それを理解した。
だが……それを告げる前に眼前の青娥から無言の圧力をかけられる。
「……そんなことよりも家庭訪問の話でしょう? 書面は見たけど詳しく話はして貰いたいわ、聞かせて欲しいの……貴方達の思っている事を」
和かな笑みを浮かべてそう語る霍青娥。
書面の通りと前置きして……オールマイトと相澤は全寮制導入の口頭説明とそれに付随する許可を求めに来たのだと語る。
説明は至極丁寧に行った、だが……許可が降りるかは全然別問題なのだ。
実際、葉隠家や蛙吹家では林間合宿での事もありかなりの不信感を抱いてしまう結果となった。
何とか入寮に許可はいただけたものの……1番厳しいと思われるのは宮古芳香である。
なんせ彼女は実験台にされたのだ……保護者である霍青娥の一存で入寮に際して可否が決まる。
全ての説明を懇切丁寧に行い終える相澤。
「ふぅん……」
短くそう告げた青娥……。
そして……たっぷり30秒ほど静かに考え込む。
「ま、良いわよ……全然、入寮に関しては私から特に言う事はないわ」
驚く程アッサリと許可を得た……。
と言うよりも青娥の顔を見ると元々許可は出すつもりだったのだろう。
話は終わりと語る青娥……。
こうして……実に手早く家庭訪問は終わったのであった。
劇場版は入れた方がいいですか?
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そんなもん書く暇あるなら本編進めろボケ