霍青娥はとある一室に設置してある上質なカウチに寝そべりながらウトウトとして……懐かしい夢を見ていた。
3千年以上前の遠い遠い……それこそ気が遠くなる程昔の話で……自身の起源だ。
青娥は元々……普通の人間だったが、幼い時、父親が仙人になると言い残して家を出た。
その後を追うように父の本を読み、道士や仙人、特に道教八仙人の1人である『何仙姑』に憧れを抱く様になったのは青娥の性格と敬愛していた父が憧れた仙人へ対する興味も合わさり必然と言えた。
そしていつか自分も仙人になって父と再会するという夢を持って猛勉強と鍛錬を怠らなかった。
10数年の歳月を経て見目麗しい姿へと成長した青娥は名家である霍家に嫁ぐも、幼き頃からの仙人になる夢を諦めきれず、結婚後も本から仙術を独学で勉強していた……その間は引き籠って鬱々と暮らしていた為、家族とは口も利かずだんだん疎遠になっていったがそれすらも正直言って青娥にはどうでもよかった。
そして8年後、学んだ仙術で自身は死んだ*1と家族や友人をも欺き、憧れの仙人の世界へと旅立っていった。
その後は再び仙人として修行し、仙人の力によって見た目は若いままの不老長寿に至る。
だが目的の為とあらば家族や友人を欺いても至って平気な顔をしている上、人目に憚るような行いすらも一切厭わないという青娥の性格が災いし、天からは「仙人」と認められずに「邪仙」へと堕ちてしまった*2。
とまあ人格的に問題だらけなので、心の底から悔い改めでもしない限り青娥が「正式な仙人」になれる日など永遠に来るまい……そう告げられたのも懐かしい記憶である。
鍛え上げた仙術*3を用いて大概の事は出来るが欲は尽きない。
結局の所……みんな他人が持っているモノを羨んで……自分が持っていないモノを過信する。
その時々の『これさえあれば』という何かを手に入れた瞬間に……満足する事なく別の『ナニカ』を探し始める。
何かを得る為に突き進むのは決して悪い事とは言わないが……本当に欲しいモノは見失ってはいけない。
夢にまで見て恋焦がれる程、張り裂けそうな程に苛まれてまで憧れた筈の場所は天国とは限らないのだから。
「……寝ていたのか、懐かしい夢を見ていたモノだ」
5〜6分程であろうかウトウトとしていたのを文字通り脳を叩いて覚醒させると青娥は部屋の中央で鎖に繋がれて血塗れとなっているAFOの信奉者であり協力者のドクターを見て氷の様に冷たい笑みを浮かべつつ告げる。
「ごめんなさいねぇ……少し寝てしまったみたいだったわぁ」
ゆったりとしていて、掴みどころのない物腰な……陽気で穏やかな雰囲気を醸し出す口調でそう語るも鎖で雁字搦めに拘束されたドクターは壊れた人形の様に何も喋らず虚な眼差しをしている。
冷たいアスファルトの床に撒き散らされた夥しい程の血液量から察するにもうすぐ死ぬであろう事は想像に難くない。
しかし……まだまだ聞き出していない情報はあるのだ。
それらを搾り出すまでは絶対に死なせないし死んで良い訳がない。
青娥は慣れた手つきでフィンガースナップを打ち鳴らすと血塗れで息絶える寸前であったドクターは廃人一歩寸前の精神も含めてその肉体は完全に治癒が施される。
「まだまだ貴方からは聞いてないわぁ……貴方の事も、貴方が芳香に施した実験も……その他全ての事も……幸いな事に貴方の病院には貴方の複製体が居るから貴方の失踪に気づく者はいないわぁ……時間はたっぷりあるから喋りたくなったら話してね」
その言葉に対してドクターはガタガタと震えつつ恐怖に支配されながら言葉を紡ぐ。
「ごめんなさいごめんなさい許してください……許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください許してください」
完全に壊れた者のそれであり……青娥は指を打ち鳴らして対象の精神を安定させる仙術と対象の発狂を防ぐ仙術、そして自死を封じる仙術をドクターにかけると笑顔でドクターの肩に手をポンと置いて語る。
「よしてくださいよぉドクター……私は貴方を責めてなどいませんよ? ちょっと聞きたい事があるだけなのよ? だけど私は仏でも神でもないわ……その謝罪風の音を出し続けるなら多少強引にでも鳴り止ませるだけだわ……この場では無駄な謝罪も無駄な言葉も不要よ? ……話を明確にしましょう、人の真意は言葉でなく行動に出る……ドクター? 貴方は丁寧に謝罪の言葉を並べ立てるけれど……私の聞きたい事は何一つとして話してないわ、ま……話したくなったら教えてね? さっきも言ったけど時間はたっぷりあるんだから」
基本的に青娥は自身の性格を把握*4している。
青娥は自身の癖*5を思い返して苦笑する。
我ながら癖というのは3千年経っても変わらないのだと。
ドクターを監禁している場所に出入り口は無い。
窓も無く、扉も無く……四方を分厚い鋼鉄と仙術で固められたその部屋から出る手段はただ一つ、青娥の壁抜けのみがそこから出る方法である。
「じゃあ私は用事を済ませてくるわ……しばらくしたらまた戻って来るからその時までに決心してくれると嬉しいわね」
そう告げて壁抜けを行い外へと出る青娥。
胸元からスマホを取り出して連絡を入れると地下を掘り進み地上へと飛び出る。
先程の監禁場所は地下深くに埋設された場所にある為……青娥でないと此処まで気楽な移動は出来ない。
一応空気は通している為、窒息などしない様に配慮はしている……と言っても最低限の配慮である。
今出てきた穴が塞がったのを確認してから青娥は歩き始めた。
人と会う用事が出来たのだがいかんせん服装がやや人と会うには適していない。
何事にもTPOという物がある為……青娥は空間に穴を開けて自身の家へと直結させると空間に開けた穴を通り自身の邸宅へと戻ると濃紺のスーツに身を包んで……集合場所へと移動した
青娥が集合場所へと到着する。
集合場所は駅前であり……集合の15分前であったのだが向こうもちょうどこの時間に到着したらしい。
ヒラリヒラリと舞い落ちる1枚の羽根を摘みながら上空より姿を現した相手へ顔を向けて語りかける青娥。
「何の用事かしら? 私に接触したいなんて……ねぇホークス?」
その眼差しの先には……ホークスが映っていた。
仙人の格には天仙・地仙・尸解仙の3種があり、尸解仙はその一番下のランク。
尸解仙となるには、一度死ぬ、または死んだフリをする必要がある。死んだフリをする方法では、自らの身を託して身替わりとする物品が必要となる。その際に刀剣を身替わりに用いると、尸解仙としての力は最も高くなる。逆に、一番力の低い尸解仙となるのは、竹の棒を使った場合。尸解仙にも上下がある。
とはいえ青娥の種族は今は邪仙となっており数千年の肉体に対する鍛錬と自己研鑽、弛まぬ仙術への自己研鑽及び鍛錬を行っている為に現在の正確なランクは不明。
錬丹で鍛えた頑強な肉体を持ち、戦闘でも傷付きにくい……。
これは自前の丹を服用している仙人は、体を金剛石より硬くすることが出来る為。
他にも、壁抜け・幻術・死体の蘇生とその使役を始めとした数多の仙術を操る。
死体である宮古芳香をキョンシーにして自身の僕とする。
青娥は仮に芳香を倒されても即座に復活させることができる。
仙術を用いて中遠距離戦闘をしている事から近接は不向きと思われがちだが、「生身の人間が私と戦えるなんて凄い」と発言しているので、戦闘には滅法自信がある様子。
邪仙に堕ちた青娥であるが正規の術の知識や技術も修めている。
非常に自己中心的な人物。反面、自分の事となると非常に純粋で意志が強い。ひたすら自分の欲に正直な自由人と言える。
それ故に手段を一般的な善悪基準では選ばず、結果を見据えて最適な道を選んでいる為、人前では憚られる様なことも色々している。
過去の時の権力者に第一案を断られるとすぐに次の提案を出しているので相手のニーズを即座に把握している。
また、世俗的な事にも興味を示しており向上心豊かでもある。
長年自分を支えてきた経験と智慧と謀略故に話術には非常に長けており、他人に都合の良いことを吹き込んで言いくるめるのが非常に得意。
実際に過去、時の権力者を扇動して日本の宗教観を丸ごと変えた。目的の為ならさらりと相手を欺くが悪意はない。
自分の力を見せびらかす事が趣味、というくらい自己顕示欲が強い。
その趣味の為だけに、日本に渡来し当時の権力者に取り入って道教を伝えた。
つまり子供のような行動原理と大人の強かさを併せ持っている
そして見込みを感じたら、例え異教徒であってもとりあえず道教を勧めてみるあたり、善悪や敵味方の区別の拘りはあまり無い。
だからといってその相手を大切に思っている訳ではないようで飽きると執着せずに去っていく。
劇場版は入れた方がいいですか?
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絶対いる
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絶対みたい
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超要らん
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そんなもん書く暇あるなら本編進めろボケ