悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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仮免試験
仮免試験①


 芳香は悩んでいた。

 眼前のエクトプラズム先生の複製体から繰り出される攻撃を喰らいつつも仰け反る事なく思考の海に沈んでいく。

 自分の戦闘スタイルは突き詰めれば肉体の耐久と再生能力に依存し切った究極のゴリ押しと喰らったモノを体内で分解、再構築、再生成し別の何かを創り出す『創造』の亜種みたいなモノの2つだ。

 前者は単なるゴリ押しであり必殺技とは呼べないし後者はどう頑張ろうとも八百万百の完全下位互換にしかならない。

 深海よりもなお深い思考の海に沈みつつある芳香の意識を揺り戻したのはいつの間にか眼前にいた相澤先生。

 相澤先生は語る。

 

「なにボーッとしてんだ……考えるのは決して悪い事ではないが考えるだけじゃなく試行錯誤して自分で掴み取れ……自分の事を誰よりも、この世で尤も理解しているのは自分だけなんだからな? 俺ら教師が出来るのは試行錯誤して其処に至る迄の手伝いでしかない……自分の戦闘スタイルと型を当て嵌めて創るんだ、自分の技を」

 

 

 芳香には……理解の及ぶモノでは無かったが1つの糸口は見えた様な気がした。

 そも、必殺技と称するのならば確実に相手を殺せる技の筈だろう? 物理的に殺すのは御法度だが……確実に相手を仕留められる位は当然の様に行える筈だ。

 なれば……至極単純であった。

 

「喰らう事に重点を置けばいい……」

 

 芳香の個性である『何でも喰べれる』個性……これは比喩にあらず文字通りの意味を有する。

 空間だろうが超猛毒だろうが劇薬だろうが……何だろうと喰えないものはない。

 努々忘るる事なかれ……芳香の個性はあの脳無すら降したという事実を。

 取っ掛かりが出来てからというモノの其処からは速かった。

 と言うよりも散々、事あるごとにセメントス先生が告げていたのだが……戦闘とは得意な事象の押し付け合い。

 殊更……喰らう事に関しては芳香の右に出る者は居ない。

 技名は未定であるモノの技としては確立できたのではなかろうかと……そう思案する芳香だった。

 そうして必殺技の構築訓練も終了し……1日の授業も終了した。

 その夜、八百万百のお部屋で女子会と称された集まりが開かれる。

 話題となるのは当然ながら勉学や自分達の個性で何が出来るかの話し合い。

 という体を借りた雑談……突き詰めれば今までなんやかんやで集まる事が少なかった女子一同、懇親を深めようではないかと言う葉隠と芦戸の計画したミニパーティーみたいなモノだ。

 各々が菓子類や飲み物を持参してこれからの授業とこれからの課題、そして何より……恋バナに話が移行していく。

 恋バナといえば……話が一気に盛り上がりそうなモノであるが忘れてはいけない。

 八百万百やこの集まりの主催たる芦戸三奈含め……此処に居る女子陣全員はヒーロー志望で雄英へ入学した者達ばかり。

 中学時代は学業に専念して……雄英高校ヒーロー科へと入学した。

 そしておおよそ4ヶ月経過した今現在、あぁ男子達とも普通に接しているし一緒の食事をする事もそれなりにはある。

 だがしかし……その濃密である4ヶ月余りの時間は全てが勉学とヒーローになる為の素養に充てられる。

 詰まるところ何が言いたいのかと言うと……恋バナする程の恋も愛も知らなければまず持ってして……誰1人として彼氏が居た経歴すらもない、何ならそんなもん知った事じゃねぇとばかりに中学時代は雄英試験過去問題集やヒーロー科学問参考書と自堕落に誘いつつ自分を律する自分、そして時間との激烈な戦いであった。

 国内の最難関たる雄英ヒーロー科、倍率300倍を誇る針の穴よりも極めて狭い関門、その第0次試験たる入学試験突破というそもそもの関門を突破する事に注力し……中学時代の部活や中学時代の交友関係を除けば、ほぼ全てを捧げてきた者達。

 故に恋バナなぞ出来る筈もない‼︎ うら若き乙女達が集まり、恋だ愛だと語れるのはあくまでも確定していない未来に於ける展望であり、それは自分達が分かりきっている過去ではなく……未来を見通す者ですら分からない……不確定要素しかない未来のみであり……詰まるところ。

 

「恋バナって言う程の恋も愛も分からないのでは?」

 

 芳香がポツリと溢したその言葉に……誰1人として反論どころか言葉を紡ぐ事すらも出来ず……とりあえず恋愛に関する話題はお流れとなった。

 そして……夜も更けてきた、明日もまた早い故に……お開きとなる。

 芳香も自室に戻るが眠るという機能は備わっていない。

 故に……ベランダへと出て太陽がその顔を出すまでの間まで……飽きる事なく星々を眺めて過ごしていた。

 


 

 そして翌日……やるべき事は変わらない。

 自分の戦闘スタイルを相手に押し付ける事、即ち相手の取れる選択肢を奪い取る事。

 それの究極系が俗に言う必殺技なのだと芳香は理解した。

 何となくではあるモノの次第次第に形となるソレを踏まえつつ……芳香は必殺技というモノの構築を行っていった。

 そして訓練の日々は過ぎ去り……仮免試験当日となった。

 バスで試験会場まで向かうA組の皆。

 ヒーロー免許、その仮免を取りに試験会場へと到着した。

 会場前で円陣を組んでいると他校……士傑の1人が乱入してきたりした……切島と上鳴を足して二乗した感じの人だな。

 

 それが終わるとMs.ジョークがイレイザーを見つけて……はしゃいで近寄ってきた、相澤先生の顔は対極に位置する顔であるがジョークは気にも止めずに軽快に話しかける。

 

「イレイザー⁉︎ イレイザーじゃないか‼︎ よぉイレイザー……テレビや体育祭で姿は見てたけどこうして直に会うのは久しぶりだなぁ……結婚しようぜ?」

 

 そう言いながら近づくMs.ジョークに対して露骨に嫌な顔をする相澤先生、相澤先生は露骨に嫌な顔をしながら告げる。

 

「しない」

 

 結婚、その言葉に芦戸三奈が乙女チックな反応を示していたが……。

 爽やかそうな雰囲気を放ってる男子生徒とミーハーな感じの女子生徒、奥にも6名程居た。

 

 爽やかそうな雰囲気の男子生徒が芳香の手を取り挨拶と同時に口を開く。

 

「俺は真堂‼︎ よろしくね、今年の雄英はトラブル続きで大変だったね、しかし君たちはこうしてヒーローを志し続けているんだね……不屈の心こそこれからのヒーローが持つべき素養だと思う‼︎ お互いに頑張ろう‼︎」

 

 そう告げてきた真堂さん、代わる代わるA組の面々に握手をしながらそう告げていく。

 上鳴電気や耳郎響香からは『どストレートに爽やかイケメン』と評されていた。

 轟焦凍に至っては真堂さんの隣に居た女子生徒からサインを求められておりどうすれば良いのか分からない微妙な表情を浮かべていた。

 仮免試験前とは思えない程にほんわかした空気が形成されているが相澤先生よりとっととコスチュームに着替えて説明会の準備をしろとのお言葉を頂戴した為に控え室へと急ぐA組一同。

 耳郎響香が少し緊張した様な表情と声音で告げる。

 

「なんかさ、外部と接すると改めて思うけど……やっぱり結構な有名人なんだね、雄英生徒って……」

 

 そう語り合うA組。

 相澤先生よりとっとと着替えてこいと告げられて更衣室へと各々急ぐ。

 そして……いよいよ試験の説明が始まった。

 ……試験前の説明がヒーロー公安委員会の目良さんから為される。

 好きな睡眠はノンレム睡眠⁉︎ 仕事が忙しくて寝れてない⁉︎ 眠たい⁉︎ 大丈夫なのかこの人……主に生活リズム的な意味で……。

 説明を要約すると

 

 受験者数:2040人。

 通過者数:100人

 試験形式:勝ち抜け。

 通過条件:2人を脱落させる。

 ルール:バーリトゥード。

 試験場となるフィールドは広大で様々な地形が用意されている。

 受験者は3つのターゲットを常に晒されている体の好きな場所に取り付ける。

 受験者には2つのボールが配られる。

 3つ全てのターゲットにボールが当たると脱落、3つ目に当てた人がその人を脱落させた事になる。

 ボールを投げる必要はなく、直接持ってターゲットにタッチしてもOK。

 ターゲットはボールが当たると発光する。

 ターゲットとボールはハイテク機器であり、誰が当てたか、誰に当てられたかが瞬時に計測され集計される、また個性でどんなに変化させようとも損壊などはしない。

 合格者は控室に移動する。

 ターゲットは合格後に控え室に居る試験官が持っている専用キーでのみ外すことができる。

 

 それを聞き……芳香は理解した。

 

「とりあえず、このボールは投げちゃいけないって事だけは理解した」




何とは言いませんが私は赤い色がとても大好きです
良いですよね、赤い色

この赤い色の点が増えれば増えるほど嬉しくなります

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