悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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仮免試験②

 試験が開始される10分前。

 観覧席に座る相澤の隣にはMs.ジョークこと福門笑が着席して語りかけてきた。

 その顔はいつものように満面の笑み……ではなく恐怖が入り混じった表情であった。

 ジョークは声を震わせて語る。

 

「なぁイレイザー……アレ(・・)は一体何だ? 人か?」

 

 ジョークの質問には慣れている相澤であるが今回の質問は意図を理解しかねる為に鸚鵡返しで口を開く。

 

「アレ? いつにも増して質問の意図が掴めん……具体的に言ってくれ」

 

 そう告げられた刹那……ジョークは見る者を凍らせると錯覚する程に冷たい表情と声音で……決して周囲の人間には聞こえぬ様に配慮しつつ口を開く。

 

「宮古芳香だよ、イレイザー……ニュースで話されたアレ以外の情報を握ってるんだろ? いや……やっぱり話さなくて良い、お前、鏡で自分の顔見てみろよ? 死人よりも蒼白い……とても酷い顔してるぞ? 大抵そういう時は話したくない事がある時で、誰にも話せない事がある時だろ? だから、今から言うのは私の独り言だ……宮古芳香に個性を使ったんだがピクリとも笑わなかったよ、私の個性『爆笑』が微塵も機能しなかった……スマイルヒーローの名前が泣いているぜ全く……極限の更に先へと鍛え上げた私の個性が効かないのは死人(・・)だけだ……言いたい事は分かるだろ? イレイザー」

 

 情報取得系個性や感知系個性や感情操作系個性……ラグドールのサーチ、マンダレイのテレパス、そしてジョークの爆笑。

 宮古芳香は脳が既に死んでるが故に感知系個性の中でも脳に直接機能する個性や感情操作系個性は効かない。

 隣に座る相澤の顔を見ずにジョークは更に言葉を続ける。

 

「ま……私とお前との関係は昨日今日の浅い関係じゃないんだ……宮古芳香に関しては深くは聞くまいよ、いつか遠い未来で教えてくれれば良いさ……さて、可愛い教え子達の奮闘を2人して観戦しようじゃあないか……そしてあわよくばこのまま役所に行き婚姻届を提出して結婚しようじゃないか? イレイザー」

 

 いつもの様に肩に手を置きダル絡みしてきたジョークであるがこの時ばかりはジョークの天真爛漫な明るさと……底抜けのお人好しと……一定ラインより深くは踏み込んでこない性格に救われたと思う相澤であった。

 いつもの様にフッと笑いながら相槌を返す。

 

「結婚はしない……だが、ありがとなジョーク……」

 

「ん、良いってことよ」

 


 

 高層ビル地帯、市街地帯、工業地帯、山岳地帯を模したフィールドが展開されており完全に展開を終えると……試験が始まった。

 試験開始の合図であるブザーが鳴り響き……それと同時に他校から一斉に襲われる。

 四方八方から凡ゆる個性で波状攻撃され……一瞬の隙を突き投擲されるボール。

 現状のA組は15名。

 轟と爆豪は大規模攻撃を是とする為に集団行動とは反りが合わず開始前に移動を開始、切島と上鳴も爆豪に着いて行き……芳香も轟らと同様に大規模攻撃を行う為に集団ではなく個として行動している。

 


 

 試験開始後。

 芳香が山岳地帯を模したフィールドをふらふらっと歩いているとやはりと言うべきか芳香を狙う者が150人程。

 周囲の敵を見回すと芳香は無言で脚を振り上げて踵落としの要領で地面を蹴り砕く。

 刹那……フィールド全域に及ぼされる轟音と爆風を伴った衝撃……、芳香が行った脚の一振りで山岳地帯と造られたフィールドはその形状を変えた。

 山岳地帯は跡形もなく更地となり……そこに居た芳香以外の試験者は更地となった山岳地帯から叩き落とされて行動不能になる。

 叩き落とされ行動不能に陥った者の中から適当に選び……脱落させると芳香は最速で一次試験を突破、腹部及び臀部に設置したターゲット装置が3つとも点灯し通過者である事を告げるメッセージが絶え間なく周囲に聴こえる程度の音量で流れ、控え室へと移動する様に指示が為される。

 控え室へと移動するとそこに設置されていたのは100人分の電動リクライニングソファ……しかも最上級のバージョンである。

 硬くもなく柔らかすぎる事もなく適度な座り心地を提供するそのソファへと早速座るとソファの前面に設置されている25インチタブレット端末で試験会場の状況がモニターされていた為に暇つぶしも兼ねて視聴を始める。

 


 

 そうして……人数制限ギリギリの所でようやくA組の全員が揃った。

 1人も欠けずに一次試験を突破できた事にホッと安堵するクラスの皆。

 準備時間15分を取った後でアナウンスが流れる。

 30分の休息を挟んでからスタートの事であった。

 

 そうして、今し方勝ち抜けで使用していたフィールドが爆破される。

 ビル群は瓦礫の山に早変わりし……火災や崩落現場といった災害現場へと変わる。

 唖然とした表情でモニターを観ている一次試験突破者達を無視して放送が続ける。

 

『演習の設定は○○市で(ヴィラン)による大規模破壊行為及び爆破テロが発生‼︎ 道路の崩壊や爆破テロによる建物の崩落が原因で救急救命隊の到着や消火活動など救助活動全般に著しい遅れが出ているとされている状態です‼︎この被災現場で各員バイスタンダーとして救助演習を行なってもらいます、此処では一般市民ではなく仮免許を取得する者としてどれだけ適切な救助を行えるかを試させていただきます』

 

 画面を見てる障子目蔵から人が居るとの声を聞いてモニターを観ると確かに被災者らしき人の影……それを確認したと同時に放送が入る。

 

『彼らはあらゆる訓練において引っ張りダコの要救助者(・・・・)のプロ‼︎ 『HELP・US・COMPANY』略して『HUC(フック)』の皆様です、傷病者に扮したHUC(フック)がフィールド全域にスタンバイ中、皆さんには彼らの救出を行ってもらいます、尚、今回は皆さんの救出活動をポイントで採点していきます、演習終了時に基準値を超えていれば合格です』

 

 しかし、留意して貰いたい事があると放送で強調される。

 

『要救助者達は不安で怯えており……錯乱している事があります……錯乱している事から殺傷性の高い個性を行使したり、ハサミやカッター、鉄パイプ、ガラスの破片などを持って襲いかかってくる可能性があります……また、要救助者に扮した(ヴィラン)もおりますので留意して下さい』

 

 それらを聴き……出来る事の把握と共に各員準備に取り掛かるA組であった。




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