悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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合格発表

 試験終了の合図が響き渡って5分後。

 クラスメイト達と結果を予想し合う芳香。

 ワイワイガヤガヤとしている最中、目良さんがマイクを持ち話し始める。

 

『皆さん長い事お疲れ様でした、これより発表を行います……採点方式についてですが、我々ヒーロー公安委員会とHUC(フック)の皆さんによる二重の減点方式であなた方を見させてもらいました、つまり……危機的状況下でどれだけ間違いのない行動を取れたかを審査しています……とりあえず合格点の方は五十音順で名前が載っています、今の言葉を踏まえた上でご確認下さい』

 

 そう告げられたと同時に電光掲示板に並ぶ80数枚の名前。

 芳香は目を凝らして確認すると掲示板には、はっきりと『宮古芳香』の4文字が確認できた。

 隣に居た八百万とハイタッチを行うも……轟焦凍と爆豪勝己の名前が無いことに気づく。

 爆豪と轟は両者異なる反応であった。

 爆豪は苛立ちつつ……轟は何処か……こうなる事が分かり切っていた様な表情である。

 芳香はコソリと八百万百へと問いかける。

 

「爆豪が落ちたのはまぁ分かる気がするの……でも、轟はなんで?」

 

 本人らに聴こえないように意識しつつそう問いかけると八百万百もコッソリと語ってきた。

 爆豪勝己は推測するに要救助者へのその言葉遣いと態度。

 轟焦凍に関しては……(ヴィラン)役であったギャングオルカ達への対処中によもや……他校の受験者と喧嘩を始めたとか。

 芳香はそれを聞いて……呆れてかける言葉を失う。

 他校との受験者と喧嘩……この場でそれをするのはどうなのだと……試験でまだ良かった。

 本物のテロであったのならば論外であったのだから。

 そんな芳香の心の叫びを他所に壇上の目良さんがマイクを持ち語る。

 

『えー全員ご確認していただけたでしょうか? 続きましてプリントをお配りします、個々人の採点内容が詳しく記載されておりますのでしっかり眼を通して下さい、ボーダーラインは50点、減点方式での採点ですのでどの行動が何点引かれたのかを下記にズラーっと記載しています……』

 

 そう告げられて芳香は手渡された自身のプリントを確認する。

 宮古芳香……89点。

 コメント欄を確認すると初動の救護の遅さ、指示待ちになっている時間が多いという事が減点された理由であった。

 それ以外にもダメな所は軒並み記載されており次に活かすように、活かせるようにと最大限の配慮が為されている。

 それを読み込んでいると目良が再度マイクを持ち語り始める。

 

 

『えー……それぞれ確認していただいたと思います、合格した皆さんはこれから緊急時に限りプロヒーローと同等の権利を行使出来る立場となります、すなわち(ヴィラン)との戦闘、事件・事故からの救助などなど、プロヒーローの指示がなくとも君達個々人の判断で動ける様になります、しかし、それは言い換えれば君達の行動1つ1つに大きな社会的責任が生じると言う事でもあります。皆さんご存知の通り『オールマイト』という偉大なヒーローが力尽きました……彼の存在は犯罪の抑止力となる程に大きな存在でした、(ヴィラン)からしてみれば『オールマイト』という抑止力が消え去りました……それ故に心のブレーキが消え去り増長する者は必ず現れます、均衡が大きく崩れて世の中が必ず変化します……いずれ皆さん若者が社会の中心になっていきます、次は皆さんがヒーローとして、犯罪を抑制できる様な存在とならねばなりません……今回はあくまでも『仮』のヒーロー活動認可資格免許、半人前程度に考えて各々の学舎で更なる精進に励んでいただきたい』

 

 そうして、一度呼吸を整えて目良さんが語る。

 

『そして……えー、点数がボーダーラインを下回り不合格となってしまった方々、点数が満たなかったからとしょげている暇はありません、君達にもチャンスは残っています……4ヶ月の特別講習を受講の後、個別テストで結果を出せば君達にも仮免許を発行する予定です今私が述べた『これから』に対応するにはより『質の高い』ヒーローがなるべく『多く』欲しい、一次はいわゆる『落とす試験』でしたが通過した100名はなるべく育てていきたいのです、そう言うわけで全員を最後まで見ました……』

 

 そうして……仮免試験は終了した。

 そうして帰りのバスの中。

 芳香はその手に持っている仮免許可証を見つつボンヤリと考える。

 何かとても大事な事を忘れてしまっている気がするのだ。

 自身を構成しているはずで、忘れてはならないナニカ……。

 されど如何に頭を振り絞っても思い出せない、芳香の記憶には常に霧が濃く掛かっており晴れる事はない。

 特に実験台として扱われていた頃の記憶は酷く曖昧であり断片的だ。

 思い出そうとしても、真っ暗闇を手探りで歩いているそんな感覚に陥る。

 そんな事を窓の外を観ながら考え込んでいると芦戸三奈が語りかけてきた。

 

「ねぇねぇ‼︎ 芳香のも見せてよ〜……」

 

 そう告げられて芳香は仮免許可証を芦戸三奈に手渡す。

 芳香の仮免許可証にはこう記載されている。

 ヒーロー活動許可仮免許証。

 本名・宮古芳香。

 ヒーローネーム 悪食ヒーロー・グラットン。

 

 芦戸三奈の許可証も見せてもらいつつ軽く言葉を交わして再度バスの車窓から景色を見つつボンヤリと考える。

 そうして雄英の寮へと帰ってきた。

 寮に入る前に相澤先生より二言三言、労いの言葉とこれからについての授業も厳しくなっていくとの言葉を賜り解散となる。

 寮に帰って、共有スペースに戻った直後……全員仮免試験の疲労が濃く出たのかぐでぇっとソファやカウチへと横になる。

 無論、他愛無い雑談に花を咲かす事もあるのだが反応はまばらであった。

 そうして……仮免試験という激動の1日は終わった。

 


 

 青娥は上等なカウチに腰を落ち着かせて……目の前に対峙するヤクザに対して口を開く。

 

「さて、死穢八斎會の若頭さん? 人をこんな所まで呼び出しておいて……なんの話かしら?」

 

 柔和な笑みを浮かべて語るがその言葉とは裏腹に威圧感が漂っている。

 青娥の両手からはポタポタと血が滴っており一目見て高級と分かるペルシャ絨毯を血で濡らして赤く染め上げる。

 青娥の両隣には既に死体となった骸が転がっていた。

 首を掻き切られており血が流れ出ているその2匹……それを冷めた眼で見下ろしながらそう語る青娥であった。




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