悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

49 / 68
総合21位
二次創作限定15位
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昏き底で蠢く

「ま……話だけは聞いてあげましょうか……暇潰しにはなるかもしれない訳だし」

 

 傲岸不遜にそう語る青娥だがその眼差しには死穢八斎會若頭、治崎廻の事など一欠片たりとも映ってはいない。

 もとより青娥にして見ればドクターとの楽しいお話を区切ってまでわざわざこうして出向いてやったのだ。

 その上で青娥視点では一欠片とて旨味のない話を無理矢理聞かされているし躾の出来ていない治崎廻の部下からは恫喝を受けた……。

 多少面白い話ならば『恫喝(じゃれあい)』程度気にも留めないが本題に入る事なく、とてもつまらない前座にもならない話を3時間も延々聞かされてから受けた恫喝(じゃれあい)だ。

 苛立ち紛れに生ゴミが2つ出来た程度、誤差であろう。

 その後ようやく部屋へ通されると受けたのは30分にも渡る治崎廻からのつまらない提案(プレゼンテーション)と欠伸が出そうになる夢物語以外の何者でもない妄想話を聞き……5秒と経たずに青娥は溜息と共に告げる。

 

「熟考したんだけれど私にメリットがあるようには思えないわね……とても時間の無駄でとても無為な問答だったわぁ、私は帰るよ……見送りは要らないわ、ありがとう」

 

 そう語り立ちあがろうとした途端……後頭部に突きつけられる、現代では骨董品と言っても過言ではない古めかしい拳銃、そして眼前の小人からはアイアンクロー地味た技を掛けられる……そしてそのままゆっくりと座り直す青娥。

 その2人は自由奔放な青娥に対して……苛立ちを隠す事なく、怒気を孕んだ声音で呟く。

 

「いやいやいや……ウチの組の構成員(モン)2人も殺しといて何帰ろうとしてるんです? 自由が過ぎるでしょう、色々と……10秒あげますので考え直して下さい? でないとどうなるか……」

 

「さっきから何様だァァ⁉︎」

 

 そう語るのは死穢八斎會若頭補佐……えぇと……なんとかタシス……クロノなんたらって言った羽虫と……本部長の何たらって言う名前の虫……だったかしら? 

 こんな拳銃(おもちゃ)で私を殺せると思っているのならそれこそ片腹痛い。

 青娥は顔色ひとつ、声色ひとつ変える事なく背後で拳銃を突きつけている何たらシスへと淡々と告げる。

 

「5秒あげるからその汚い手を離しなさい? そして背後の貴方は骨董品を仕舞いなさい? それにそんな玩具では私は殺せない……擦り傷1つ、付かないわ」

 

 そう語り……腕時計に眼を落とし5秒を数える青娥。

 きっかり5秒が経過したのを確認して……後頭部に突きつけられている拳銃を眼にも止まらぬ速さで拳銃を捻りあげ奪い取って何とかシスの額に2発の弾丸を撃ち込んで撃ち殺す。

 そして返す刀で即座に本部長の何とかにも弾丸を撃ち込み容赦なく撃ち殺すと青娥は拳銃を床に投げ捨ててゆるふわの雰囲気を崩さずに口を開く。

 

「どうしたのかしら? たかだか羽虫2匹が……失礼、4匹に今増えた所だったわね、羽虫4匹が踏み潰されただけだと言うのに……」

 

 青娥は元よりこう言う性格であり躊躇いなく人を殺せる側の人種だ。

 そして……その長年の経験と技術に裏打ちされた技術は非常に高い。

 長い年月を生きているだけあり、たかだか20〜30年しか生きていない人間や、小物の脅しなど微風程度にしか感じない。

 死穢八斎會は青娥に対し凡ゆる意味で認識が甘すぎたと言わざるを得ない。

 そもそも……『邪仙』の通り名は伊達や酔狂で通っているものではない。

 そして何よりも……今は臥せっている死穢八斎會組長から事あるごとに言われていたのを遅まきながら思い出す治崎。

 治崎は知らなかった事だが組長やそれより前の世代の人間ならばその身に、骨の髄まで刻み込まれている……『邪仙・霍青娥』の恐ろしさを、その身体の、骨肉の一片に至るまで余す事なく。

 故に言われたのだ『何があっても邪仙とは手を取るな』と。

 ……しかし、邪仙が有する大国すら意のままになる権力と、表にも裏にも張り巡らされた世界樹の根の様に膨大なパイプに目が眩み……治崎は絶対に取ってはいけない者の手を取ろうとした。

 それが何を意味するか……考える事もせずに。

 販路の拡大と、あの『邪仙』が一目置く組織からのクスリとなれば競合など即座に居なくなる。

 原材料の事も含めて……それは確実だった筈であった。

 青娥の不興さえ買わなければ。

 僅か数秒、それでこの場に居た治崎以外の人間は物言わぬ死体へと成り果てる。

 肝心の青娥はといえば何処か欲求不満そうである……戦いは青娥に取って楽しいモノではあるがそれはあくまで対等な殺し合いが出来る場合のみ。

 腕を数秒軽く振る程度の運動ではフラストレーションが溜まるばかりである。

 それは戦いではなく……準備運動にすらなりはしないのだから。

 

「……もういいかしら? 無為な問答に時間を割ける程、私は時間を持て余してる訳じゃないの……あと、とっととコレらを蘇生させないとリミットが来るわよ? それじゃバイバイ、2度と会わない事を期待してるわ、今日はお互いに良い日になったわね」

 

 ニコニコと笑顔を浮かべながらそう語り、じゃあねバイバイと治崎へと告げて煙の様に消え失せる。

 


 

「いやぁ、長い時間席を外してごめんなさいねぇ……再開しましょうか、ドクター……楽しい楽しい話し合いを」

 

 そう告げて……空間転移用の仙術と自身の能力を複合させて文字通り空間に穴を開けて監禁場所へと戻ってきた青娥。

 青娥を見るなりドクターは発狂しそうになるが先んじてドクターへ掛けている仙術がそれを赦さない。

 青娥は顔がくっつく程、ドクターとの距離を詰めてゆっくりと、笑顔を浮かべながら語りかける。

 聴きたい事は2つ。

 

「私の大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な芳香に、どういう改造を施したか全て教えなさい、これが聞きたい事の1つ目……2つ目、芳香を見たから貴方は脳無の着想を得た……貴方が目指す脳無の究極系は何? 前にも言ったけど……謝罪風の音を鳴らすのだったら無理矢理にでも鳴り止まさせるだけだわ」

 

 そう笑顔で語りかける青娥であった。

 そして、肝心のドクターと言えば……抗いきれない絶望が目の前に鎮座し、それから逃げきれない現実に絶望して……壊れる事すら許されないこの現実から眼を背ける様にして天井を見ることしか許されなかった。




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