悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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死体人形

 全ての戦闘訓練を終えて総評が行われて……教室へと戻ろうした最中、オールマイト先生に呼び止められる。

 

「宮古少女……ちょっと保健室まで良いかな?」

 

 そう告げられてコクンッ頷いてテクテクとオールマイト先生の後をついて行く芳香。

 オールマイトが入室したので入ろうとすると5分だけ待っててくれと言われたのでボォーッと突っ立って待つ事5分。

 

 保健室の扉が開いて待たせて済まなかったねとの言葉と共に中に迎えられる。

 保健室にはリカバリーガール……そしてベッドには先ほどの訓練で腕をぶっ壊して処置中の緑谷……デク? が点滴を打たれて寝ていた。

 丸椅子に座って話を伺う芳香。

 

 オールマイトから話の本題について語られる。

 

「宮古少女……君の個性……『何でも食べる事が出来る個性』と伺っている……それにしては肉体の再生をしたり他者の個性を複製したり……入学試験時には食した後で何かを創ったとも伺った……かなり個性を逸脱した事象が散見された……そして、君の肉体を検査したリカバリーガール曰く……君の肉体は明らかに何かの処置が為された可能性が高いと……何か思い当たる節は無いかな?」

 

 そう問われて……芳香は朧げにモヤがかかった遠い記憶かもしれない何かを思い出しかけて語る。

 

「……私の事を長ったらしい番号で呼んでくる人が色々と私の身体を弄くり回したからかも……しれないですね〜、なんか改造後に液体の詰まったカプセルみたいなのに入れられて……薄らとした意識で朧げに覚えてるのは……男の人が改造の結果がどうとか『待ち望んでいるモノ』と同等の存在が出来たって言ってたのと……やけに名前が長い何たらって呼ばれる人がとても喜んで居る通話が……覚えてるのはその位です……」

 

 芳香が語るその言葉に保健室内の空気が極めて暗くなり凍りつく……。

 オールマイトは何とか言葉を絞りだし語る。

 

「……辛い事を思い出させて済まなかったね宮古少女……とても参考になる話をありがとう、訓練で疲れてるのに申し訳なかったね……もう戻って良いよ」

 

 そう告げられて……芳香は椅子から立ち上がって軽く会釈をするとコスチュームから制服へと着替える為に保健室から出ていった。

 芳香が出ていったのと緑谷が未だ目醒めていないのを確認してからオールマイトとリカバリーガールは語り合う。

 

「……1つの個性を逸脱した能力の付与実験……非道で非合法の人体実験もあの男なら喜んでやりかねないと言うか喜んでやるのがあの男だ……あの時……確実にこの手で頭を砕いた筈だと思ったが……」

 

 オールマイトの言葉に賛同するかの様にリカバリーガールは『極秘』と赤いスタンプが押された宮古芳香の身体検査表をオールマイトに見せながら語る。

 

「……あの子の肉体の詳細な情報、医学的見知からは既に死人とほぼ変わらない……心拍はほぼ無いし脳波もほぼ完全に停まってる……何であんな風に戦闘を行える程に動けて流暢に会話まで出来るのか医者としては意味が分からないよ……少なくともあの子の肉体はもう……」

 

 度重なる人体実験の何度目かで死を迎えたのだろう……そう語るリカバリーガールであった。

 


 

 場面は移り変わりとあるBARにて。

 

 カウンターの椅子に腰掛けている病的な痩身と無造作な灰色の髪、更には全身に「人の手」を模した7対14本の装飾品を身に着けており、その容貌から得体の知れない不気味な雰囲気を纏っているその青年は……『オールマイトが雄英の教師に赴任』という紙面をみてBARのマスターをしている黒いモヤが肉体を形作っている様な印象を受ける者へ向けて語る。

 

「なぁ……どうなると思う? 平和の象徴が……(ヴィラン)に殺されたらさ……」

 

『あぁ、その件で少し話があるんだよ……弔』

 

 悍ましい計画を思案している弔と呼ばれたその青年は……BARに設置されているビデオ通話可能な機器から突如として割り込んできた声に対して気怠そうに反応した。

 

「話? 話ってなんだ先生……まさか襲撃の日程ずらすとかそんな話か?」

 

 少し不機嫌そうな声音になりその手に持つグラスに力を込める弔。

 しかし、Sound Onlyと表記されたその機器から流れる声音からは楽しそうな声音が聞こえてきた。

 

『あぁ、違うよ、そう言うことじゃあないんだ……僕が……というよりも僕とDr.がある施設を運営していた際に少し手違いから何処かへ落としてしまった無くし物……そうだね……肩程度の長さの灰色に近い暗い藤色の髪・眼は同じく藤色の等身大人形がUSJ襲撃の時に出てくる筈なんだ、大きさは……そうだな大体150cmくらいかな』

 

 それを聞いて弔はしばし考えながら語る。

 

「なぁ先生……人の趣味嗜好にとやかく言う趣味は俺には無いけどよ……流石にその風体でお人形遊びは似合わないんじゃないか?」

 

 やや引き攣った様な声音でそう語る弔。

 

 しかしながら先生と敬称で呼ばれたその相手は特に気に留める事なく声音を響かせる。

 

『ハハハッ、人形遊びとは上手い事言うじゃないか弔……さっきの話の人形……アレはね……脳無みたいなものだよ、今USJ襲撃予定で貸し出している脳無と同等若しくはそれ以上の素晴らしい性能の脳無さ、強さはその脳無以上かもしれない……何せ喋る、そして自由意志を持っている、耐久性も再生能力も有している……元々はビジネスパートナーである『邪仙』が造ったモノを横から掻っ攫ったがそれをヒーローに奪われてしまってね……USJ襲撃の際に可能なら奪い返して欲しいんだ』

 

 昏い地の底から響く様な声音でそう締め括る声音は……伝えたい事を伝え終えたのか用件を言い終わると同時ブツンッと音を立ててサウンドモニターの電源が切れていた。

 

「……先生にビジネスパートナーなんて居たのか……」

 

 その小さい言葉は誰に聞かれる事もなく宵闇へと消えていった。

 


 

 場面は移り変わり雄英高校へと戻る。

 

 保健室から出て更衣室で着替えたのちテクテクと教室へと戻った芳香。

 次の授業が始まるギリギリであったらしく着席する芳香。

 

 そうして……全ての授業日程が終了し放課後。

 

 八百万百と他愛無い会話をしながら帰路へと就く芳香。

 

 その表情はとても明るく……とても嬉しさが溢れる表情であった。

 

 芳香は気づかなかったが……というよりもその場にいる誰1人として気づく事がなかったが……遥か上空より青に統一された装いを着込んでそれを観る者が1人。

 

「あら? あの子……やっぱり芳香よね? ……幸せそうでなによりだわ……あれ? でも……此処に芳香が居るって事は無事に雄英に合格したのね……良かったわ、だけれど私がやっていない改造痕が見受けられるわね? あの男……この私を謀ったって事よね? たかだか百有余年しか生きてない小童(クソガキ)がこの私を? この霍青娥の事を? ふふふふふ」

 

 その声は……誰にも聴こえることなく消えていった。




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