悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

50 / 68
50話
此処まで続けられているのは読者の皆様のお陰です

赤色大好き


警察

「ご苦労」

 

 そう短く告げて塚内は三茶から辞書と見間違うくらい分厚い資料を受け取るとパラパラとページを捲って速読し驚異的な記憶力で頭に叩き込んでいく。

 今読み込んでいる資料は関東圏でのマトリや違法薬物絡みで上がってきた報告書である。

 その中で気になる報告を確認して手元の備え付け電話を取り10年来の親友であり同期、今は大阪に居る麻薬取締兼個性違法薬物担当へ電話をかける。

 数度のコール音が聞こえて相手が電話をとり声が聞こえる。

 

「よう、直正ァ‼︎ 今度一緒に呑み行こう‼︎ 良い店見つけたからよ‼︎」

 

 開口一番、そう告げられて塚内は苦笑を1つ浮かべながら肯定の意を示すと本題に入る。

 

「相変わらず変わらないな……あぁ行こう、話は変わるが……今、違法薬物絡みの資料と報告書を読んでいたんだが……1つ気になるクスリが出回っていた……個性関連の違法薬物なんだが……詳細は聞き及んでいるか?」

 

 電話先の親友は塚内の問いかけに対して肯定しつつそのクスリに関しての情報を語る。

 

「個性を消す、もしくは発動不可能にさせる薬物だろう? こっちでも潜入捜査や囮を使って大元を調べてるが捕まえるのはいつもトカゲの尻尾で成果なしだ……最初は混ぜモンが多い粗悪品だったがここ数ヶ月で効能は上昇してるよ……科警研と科捜研に資料を送付して調べてもらったが……なぁ直正……資料見たんだろ? どんな精神してりゃ犯人はコレが出来る?」

 

 そう告げられて塚内は資料を思い返して腑が煮え繰り返る思いに陥る。

 詳細な検査結果も添えられた資料を見て犯人は絶対に捕まえると固く誓った。

 弾丸の詳細な成分表には……人間が生きたまま解剖されたであろう事を指し示す幾つかの理由とその詳細、そしてクスリの成分には人間の血肉が混入されている事が判明している。

 混入していた肉の一部から判明した事実であるが性別は女であり尚且つ5〜9歳程度の子供であると結果が下されていた。

 

「犯人の精神分析は専門家に任せて、そんな事よりも犯人を捕える事を最優先する……なぁ聞きたいんだがそっちでコレが出回り始めたのはいつからだ? あぁ分かった、明日、合同捜査会議を開く……ファットガムを召集しといてくれ……あぁ、了解」

 

 塚内は電話を切ると考え込む。

 クスリ、薬物絡みの案件で尤も重要なモノ。

 それは金の流れである……不審な金の流れを追えば必ず行き着く。

 ……暫し考え込んで組織犯罪対策部へと電話を繋ぐ。

 こう言った薬物絡みは組織犯罪対策部の専門だ。

 電話を繋ぐと、気になる事が判明した。

 

「分かった……その取り調べ、私も参加して良いか? うむ、了解……今向かう」

 

 そう告げて……塚内は三茶に語る。

 

「三茶、組織犯罪対策部との折衝を頼む……今取り調べしている奴がこの事を指し示す幾つかの情報を持っていると話していてな……あぁ、頼む」

 

 そう告げて塚内は取調室へと赴き……担当刑事から資料を受け取り読み込みつつ話を聞く。

 

「司法取引? ……随分と犯人は情報に価値があると思っている様だな……それでこの売人の素性は?」

 

 そう告げると……ようやく捕まえた関東と関西を股にかけるデカい組織の元締めだとか。

 取調室での態度も慣れた様子で対応しており此方の出方など全て分かり切っているかの様だ。

 男の求めるモノは無罪放免……またはこの件を含めた全て罪の減刑。

 最低でも執行猶予を求めてきた……。

 塚内は取調室に入室し椅子に座る、すると男は楽しそうに語り始めた。

 

「おっ、今度の刑事さんはさっきの奴よりも話が通じそうだ……なぁアンタ偉いだろ? 見りゃわかる……そうだな、今はアレだろ? 関西とここいらで出回っている謎の個性関連の違法薬物絡み、正解みたいだな……」

 

 かなりデカい組織の元締めをやっていたその男……捕まった理由は部下の裏切り。

 そう聞き及んでいるが全然違うと塚内は直感で理解した、この男は……何か伝えたい事があってわざと捕まった。

 そもそも、塚内の目の前にいる男は、組織のトップ、逃走経路や無数の情報網やパイプを有する。

 そんな男が何の抵抗もせずに捕まったのを聞いた時から違和感は覚えていた。

 男は塚内の表情を見て、思い出したかの様に語る。

 

「そういやぁよ……知ってるかい? 刑事さん……俺らはクスリばら撒いて利益を得るが、組織として掲げている理念があるんだ……子供にクスリは売らない、そしてガキをこっちの社会(せかい)に引き込まない……分かるだろ? 俺らは真っ当に生きちゃいねえゴミみたいな人種……だからこそ、線引きってのが必要なんだ、節操なく裏にも表にもあんな風に違法薬物ばら撒いてみろよ? 社会全体が壊れちまう」

 

 表情豊かにそう語る男。

 それを聞きつつ塚内は語る。

 

「犯罪者が社会に警鐘を鳴らすとは面白いな、話が要領を得ない……くだらん話なら何もせず帰るぞ?」

 

 ため息混じりにそう語る。

 そう告げると男は塚内の顔を見て、先程のチャラチャラした雰囲気を何処へ捨てたのか……真面目な顔で語る。

 

「俺は紛れもなくクズでゴミさ……薬物売り捌く犯罪組織のトップだ、こんな人生だがよ? ガキが巻き込まれてるのは違えよ……ましてや生きたまま切り刻まれて原材料になってるなんて……おいおいおいおい⁉︎ 何処のクソッタレな神様がそんな事許しやがった⁉︎ アァ⁉︎ だから、態々捕まってまでアンタに話をツケに来た……アンタが気になってるクスリの元締めは死穢八斎會が大元の出所だ、組長が臥せってから好き勝手にしているヤロウだ……ウチにもクスリの販路開拓で打診にきたよ……速攻で帰ってもらったがな、あのヤロウのしてる事は人間じゃねぇ……この情報で如何かな? アンタにも優秀な情報屋がいるだろ? 精査する時間がある、それと……押収品の中に写真がある、原材料にされてるガキが写った写真だ……筋金入りの犯罪者がアンタら警察にこんな事言うのは馬鹿みてぇだろうがよ? あの子を地獄から救ってやってくれ……頼むよ」

 

 そう告げられる。

 暫し眼を瞑り考え込んだ塚内。

 嘘かもしれないが、このレベルの犯罪組織のトップは弁えている。

 撹乱する為だけに此処にきたりはしない。

 情報に関しては情報屋と此方の捜査状況とで綿密に精査してから答えを出すとして。

 

「情状酌量、司法取引に関しては情報が本物と分かり次第……検討しよう」

 

 そう語り、塚内は取調室から出て行った、

 そして、そのままその足で胸ポケットからスマホを取り出して電話を掛ける。

 その相手は塚内が優秀と断じ、尚且つ信頼の置ける情報屋の1人。

 

「悪いが急ぎで頼めるか? 死穢八斎會の組長と家族関係を至急調べて欲しい……あぁ、了解」

 

 そう端的に告げると5分後に折り返しが有り結果を報告される。

 

「了解……感謝する、あぁ……謝礼金は今夜までに振り込んでおく……」

 

 短い電話を終えて取調室に戻り塚内は男へと語る。

 

「……真実だったよ、組長の孫娘に当たる女の子は父親を個性事故で消してから組長に預けられていた、そしてその時期から薬物が出回り始めた……その周辺学区ではその女の子は1度としてカメラに映っていない……監禁は確定だろうな……取引は取引だ……私の持てる権限を最大限に活用して執行猶予までは付けてやる、だが……次は無いぞ?」

 

 そう語り取調室から今度こそ退室すると塚内は情報を脳内で纏めつつ……死穢八斎會をどうやって法の裁きを受けさせるかを思案していた。




面白いと感じたら高評価お願いします
9や10が入ると泣いて喜びます

赤色が大好きです、このまま赤色を維持したい

評価付与 お気に入り登録 感想

劇場版は入れた方がいいですか?

  • 絶対いる
  • 絶対みたい
  • 超要らん
  • そんなもん書く暇あるなら本編進めろボケ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。