一悶着があったものの……子供を保護した青娥達。
連絡を受けて車で移動してきたナイトアイとバブルガールが事情を改めて聞き直しておりナイトアイが感情を悟らせない表情で語る。
「事情は大体理解した……だが……いや、やはり何でもない……子供を救えたのは良かった、バブルガール……その子を病院へ……青娥、話がある……デクとルミリオンはこの場で待機」
何かを言いたげな様子であったがデクとルミリオンに待機命令を降して待機させると話が聞こえないように青娥に車内へと乗り込む様にお願いするナイトアイ。
青娥は楽しげな笑みを崩す事なく車内に乗り込むとナイトアイから問いかけられる。
「貴女は知っていた筈だ……治崎廻がどういう人物なのかを……なのにその男から計画の核となる少女を奪い取ってどうなるかを予測できない程愚かではないだろう? 理由を聞きたい……」
そうナイトアイから詰問されるも青娥はどこ吹く風と言った様子で飄々としており頬杖をつきながら景色を見つつナイトアイに言葉を返す。
「半端に理性と知性のあるヤクザよりも退路を全て断たれて自暴自棄になった相手の方が次の行動も計画も読みやすくなるわぁ……古今東西変わらない法則よ? ……追い詰められた時逃げ道を1つ用意しておくと相手は逃げるという選択肢を取るものだけど……そんなのめんどくさいわぁ、何故ゴキブリに逃げ回るという選択肢を与えなければいけないの? ゴキブリに与えられた運命は1つしかないわ、有無を言わさず死んでもらう……壊理ちゃんには相当酷い事をしてたわぁ……あの手の輩には痛い目を見て貰わないとねぇ」
一瞬……ほんの一瞬だけ、青娥は楽しげな笑みを崩して深淵に潜む本性を覗かせる。
ナイトアイは昏き深淵を覗いてしまった様な感覚に陥るが何とか理性を保つと息を整えつつ青娥へと語る。
「聞きたい事に答えてくれてないのはこの際もう置いておこう、噂通りの人物だな……それで具体的には? 兎にも角にも此方にも色々とプランがある……ファットガムやMs.ジョークの方でも、また動きがあった……1時間30分後にナイトアイ事務所で会議が行われる、成り行きとはいえ一緒に来てもらうぞ? 青娥」
「時間になったらそっちに向かうわぁ……あぁそうそう塚内警視正も話したい事があるから合流するって言ってたわぁ」
そう告げられて青娥はニコニコとした笑顔を浮かべながら肯定の意を示しつつグイッと伸びをして車から降りると車から降りる間際にナイトアイへとそう語る。
そして芳香を呼びつつ自身も車から降りると芳香を愛おしそうに抱き上げつつ空間転移にて何処かへと飛ぶ青娥と芳香。
その能力の出鱈目さを改めて理解したナイトアイは誰にも聞こえない声で呟く。
「塚内さんから先んじて聴いていたが……やはり出鱈目な存在だな」
そう語ると今後の動きを煮詰める為に一旦デクとルミリオン、バブルガールと共に事務所へと戻るのであった。
現在日時。
壊理ちゃんとの接触があった時刻から6時間後の15:30分。
塚内を通してナイトアイ事務所の大会議室に集められたプロヒーロー及びインターン生達。
その中には相澤やグラントリノも居た。
定刻となった為に塚内が挨拶をしてから三茶に目線で言葉を交わすと三茶さんが資料を配布していくがインターン生とプロヒーローの資料内容ではどう見ても厚みが違う。
明らかに意図した落丁が存在している資料に首を傾げるインターン生達。
そしてプロヒーロー達は……自身らとインターン生達の資料の異なる部分、つまりインターン生達の方には無い資料を決して見せようとはしなかった。
ミリオやねじれと言った3年生達はおろか一年のインターン生には絶対に見せようとしない、それは青娥ですら同じであった……芳香の頭を優しく撫でつつも待っている様に指示している。
塚内は訝しむインターン生達を一旦落ち着かせつつ会議をスタートさせる。
「さて、今プロヒーローの皆様達にお配りした資料は此方で捕まえた大規模な薬物売買組織のトップの取り調べた際の調書です……それともう一つ、レザボア・ドッグスと名乗っていた強盗団の運転していた軽トラックに死穢八斎會らが巻き込まれる事故……そして本日保護された少女の詳細な記録が写真付きで克明に記録されております……プロヒーローの皆様方に於かれましては……資料の25ページ目をご覧下さい……ご覧いただけましたら、この資料をご自身らの判断に基づいてインターン生に閲覧させても良いものだと思うのでしたら各々のインターン生に閲覧許可を……所属する事務所のプロヒーローの許可、それ以外では今回インターン生の皆様方に於かれましてはこの今配布した資料の25ページ目から30ページ目『壊理と呼ばれている少女の置かれていた状況』に関する資料のみ閲覧権限を剥奪しております……許可なく閲覧した場合には処罰も行われます故に……ご注意を」
そう告げられて各プロヒーロー達がその手に持った資料に眼を通す。
薬物売買組織のトップの取り調べ。
強盗団の事故に死穢八斎會が巻き込まれた際の資料。
そして……保護された少女の置かれていた状況という資料に差し掛かった瞬間……ロックロックと名乗っていたプロヒーローが怒りに身体を打ち震わせながら資料を閉じて勢いよくテーブルへと叩きつける。
その後……項垂れたロックロックは両手で顔を覆っており表情は見えない……しかし、表情は見えずともロックロックの今の感情は……同じ資料を読み解いているプロヒーローには簡単に分かる。
いや、ロックロックだけでは無い……リューキュウも、グラントリノも、バブルガールも、ナイトアイも、相澤先生も、Ms.ジョークも、誰も彼もが眼に見えて分かるほどに怒りを滲ませていた。
と言うよりも……これに怒りを感じなければ、憤怒の意思を持たなければ……これに恐怖も感じない様ならばそれは……人としての大事な何かが欠落していると言っても過言では無い。
この場に居る警察官とプロヒーローの意見はそれで合致していた。
改めて資料として読み解いている青娥もこれには眉を顰めており……それを踏まえて塚内が口を開き話は進んでいく。
「各々の状況から察するに……読み進めていただけた物と断じて話を進めます……此処からはインターン生達の資料にも記載されていますのでインターンの皆様も31ページ目をご覧ください」
そうしてページを見る皆。
弾丸の効能についての詳細な記録……そして死穢八斎會がこの薬物を捌いている確たる証拠と極めて詳細に流通経路を示した樹形図が記載されていた。
それを突き止めたのは組織犯罪対策部と塚内の旧友、そして青娥である。
5分後、塚内は各々が資料を読み進めたと判断して語る。
「さて……つきましては青娥さんからお話があるので、お願いします」
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そんなもん書く暇あるなら本編進めろボケ