サンイーターこと天喰環はそこそこ広い空間で3人組の八斎衆と対峙していた。
……資料の中にあった名前と個性を思い返しつつ即座に捕縛する為に行動を開始する。
窃野トウヤの個性は『窃盗』……視界内に居る相手が文字通り装着している又は手に持てる程度の品物を瞬時に奪い取る個性。
そして多部空満は『食』……宮古芳香の個性とよく似通っている、驚異的な捕食能力と消化能力で全てを喰らう、その代償として永遠に満たされない飢えに支配されるのだが。
そして宝生結……『結晶』は文字通り結晶を生み出す、
1vs3である以上時間も手間も掛けられない。
故に速攻で文字通りの蹴りをつける……天喰は大っぴらに個性を使う事なく移動にのみ限定しその個性を行使する。
再現において……特筆するべきはその汎用性と再現に際しての量の少なさ、そして持続時間である。
例えば、タコ焼きに含まれる程度の量のタコですら大きさや質、果ては分泌する毒液や墨といった生物特有の能力を天喰自身に付与できる、そして何よりも恐ろしいのが……タコ焼きのタコを食べたからといって、そのタコだけしか再現出来ない訳ではないと言う事……種別が蛸に属するならば毒性で言うならヒョウモンダコ、サイズに絞ればミズダコにだって再現が可能。
そして……量がその程度で再現が可能であり更に言うならば前々日に食べたモノですら楽に再現が可能。
だと言うのならば、戦闘の前から内頬や舌下に再現先のモノを仕込んでおけば相手に悟られずに再現が可能。
先んじて口腔内に仕込んでいた飛蝗の脚を細かく切り刻んだモノをゴクンッと嚥下し再現するのは飛蝗の脚、得るは脚力。
個性『再現』で今再現しているのは飛蝗の脅威的な脚力。
飛蝗という脅威的な脚力を有する昆虫……それが人間サイズになった場合の跳躍力は人間の汎用性が高まった身体と合わさり更に高まる。
50m程離れていた3人との距離を一足跳びで詰めて宝生が結晶で防御を固める前に蹴りを見舞い意識を刈り取る。
返す刀で窃野の喉に蹴りを入れて沈めると残った多部の顎を脳を揺らす様に蹴り上げて意図的に脳震盪を引き起こして気絶させる。
相対してから僅か8秒、たったそれだけで勝負は決した。
3人を拘束した後……天喰は皆を追いかけるべく移動を開始した。
ファットガムとレッドライオットは乱波肩動と天蓋壁慈との戦闘に突入したがいかんせんバリアが予想の倍は硬い。
ファットガムが殴ってもビクともしない硬度。
そして、接近戦主体なのが更に相性を悪いと言わざるを得ない結果を生み出す。
乱波の戦闘スタイルは地下格闘で培った格闘術……ボクシングに近い。
問題は一撃でファットガムの盾である脂肪の大半を根刮ぎ消費させた事。
ただし……ファットガムの脂肪吸着は受けたダメージを吸着して沈め込んで一気に解き放つ事で強烈なカウンターを行う事が可能。
それを知ってか知らずか更に打撃を叩き込んでくる乱波。
ファットガムと乱波肩動、奇しくも互いの目的の最終着地点はある程度合致していた。
ファットガムはこのまま打撃を喰らい続けて脂肪を燃焼させてバリアすら砕き割る高火力にて乱波と天蓋の無力化を狙っており……乱波はファットガムの脂肪が尽きるまで殴り続ける事で高火力が放たれる前に蹴りをつける。
問題は乱波の一撃一撃の威力と速度が脂肪の吸着を上回りつつあると言う事実。
カウンターを放つ前に倒れたら無意味……。
だが……乱波は忘れていた、レッドライオットという相手が居る事を。
レッドライオットこと切島は……最初に重い一撃を喰らい戦闘不能になりかけたが自身の初心……ファットガムの叱咤激励、友人である爆豪の言葉……そして、耐久力では大幅に自身を上回る宮古芳香から受けた特訓を思い返していた。
宮古とのスパーリング中に宮古から言われた言葉を思い出したのだ。
「基本的に……私は自分の耐久力を前面に押し出したゴリ押しでの戦闘を是としています……何故ならばそれが尤も相手の心を折れる場合が多いからです……如何に高火力を叩き込まれても絶対に倒れない、無論そんな自損覚悟の戦い方は誰でも真似できるモノではありません……しかし、アナタが私と同様に耐久力を高めて戦いの場をコントロールすると言うならば、私の戦い方を知っておいて損はないと私は思います……」
そう言われたのを思い返して……切島は自身の個性の強みを更に追求した。
そしてその果てに至った現段階での極致。
アンブレイカブルモード。
耐久力に関しては異常とも呼べる、銃撃や爆破、半冷半燃による攻撃を喰らっても傷一つ付かなかったあの芳香の皮膚をたった0.5cmではあるが確かに切り傷を与えた程の硬化。
それを用いてファットガムと乱波の間に割って入りファットガムがカウンターを解き放つまでの時間を稼ぐ。
乱波の高威力の打撃で硬化にビビが入り砕けるが砕けた先から固めていく。
そして……切島が稼いだ2〜3分は……確かに勝負の分かれ目となった。
ファットガムのカウンターが乱波を襲う、天蓋が危険を察知して乱波と自身を囲むように貼ったバリアすらも砕き割って……2人はノックアウトされる。
だが、乱波の高威力の打撃を受け続けた2人は流石に動けないのか……床に倒れ伏しピクリともしない。
両者気絶でこの戦いは蹴りがついたのであった。
芳香、ナイトアイ、ルミリオン、イレイザー、Ms.ジョークは通路を駆けていた。
5人が目指す場所はほぼ同一。
芳香、ナイトアイ、ルミリオンは治崎を。
イレイザーとMs.ジョークはクロノスタシスと酒木泥泥、音本真を対処する為に走っている。
治崎の姿が見えた直後……現れるは音本真と酒木泥泥。
イレイザーが……Ms.ジョークにハンドサインを行い、そのサインの意図を汲み取ったジョークが自身の個性を発動させるとクロノスタシスと音本真と酒木泥泥から響く笑い声。
爆笑という個性は戦闘には使えないと思われがちだが……相手を行動不能にするのにこれ程長けた個性もそうはない。
脳に直接作用するが故に対処が限られジョークの視界内に収まった時点で既に対象の選別が可能。
故に味方に個性で影響を及ぼすことも無い。
敵味方を区別して個性を発動出来るにまで高めたのはひとえにジョークの能力の高さ故に。
笑い転げて言葉を発する事が出来ず、真実や本心を強制的に話させて動揺を誘って、動揺しているうちに銃による一撃を叩き込む戦法を得意としていた音本真は……極端にまでジョークとの相性が悪い。
喋る事で発動をする個性なら、そもそも喋れない状態にすれば良い。
そして、天井の配管にぶら下りつつ酒を浴びるように飲んでいる酒木泥泥もMs.ジョークの個性にかかり泥酔しながら笑っていた。
尤も、酒木泥泥はその個性により平衡感覚を奪う事くらいは出来ただろうがジョークの個性『爆笑』の恐ろしさはここにある。
笑っている間、対象は生命維持以外の凡ゆるモノが爆笑に優先される、
即ち……個性行使をしようとしても爆笑してしまい個性が扱えない状態に追い込まれる。
その直後、捕縛布により即座に捕縛される2人。
気絶させてから酒木と音本真が待っていた銃を部品ごとに分解して確実に使えなくするとマガジンから弾を抜いて回収するジョーク。
そうして……イレイザーとジョークは3人を拘束しつつ逃れられない様に常に抹消と爆笑で監視しているのであった。
ナイトアイ、ルミリオン、芳香はようやく治崎廻の所に追いつき……確保する為に無力化を狙って各自攻撃を行う。
ルミリオンは透過によるすり抜け、更にはそれを応用したワープを武器にして。
ナイトアイは鍛え上げた精度の予想、予測により未来予知にすら匹敵する感覚とサポートアイテムを駆使して。
芳香は……周囲を根刮ぎ捕食して治崎の得意技である修復して直す為の物体を排除、棘状に修復された物体を捕食し無効化。
ルミリオンのワープによる打撃の範囲外に行こうとした瞬間、芳香の空間捕食で強制的に打撃範囲に移動させられて顎に重い一撃を喰らいよろめく治崎。
よろめいたのを見逃さずに……芳香がUSJ襲撃時の脳無を上回る程の膂力で追撃を行い確実に気絶させる。
そうして……死穢八斎會へのガサ入れは主犯である若頭治崎廻及び幹部たち全員の捕縛を以て終了となった。
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