悪食少女のヒーローアカデミア   作:紅葉紫苑

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文化祭

 そんなの1番知りたいのは自分だと。

 そう目尻に涙を浮かべて叫ぶ芳香。

 

「私は一体なんなのかなんて‼︎ 私が1番知りたい‼︎ 私には自分がない‼︎ 記憶がないから何も分からない‼︎ 一体私は何なのだ⁉︎」

 

 それに対して……爆豪は答える事が出来なかった。

 全ての推論と推察、理詰めで思考して答えを導き出すならばそれが正解であろう。

 ただ一言告げれば良い。

 しかし……眼前で泣き叫ぶ少女を前にして、珍しく感情を吐露し詰め寄ってくる少女を前にして……どうしても言えなかった。

 もしかしてお前は既に死体で、その記憶は弄られた物なんじゃないかなんて……。

 

「お前は……いや……スマネェ、俺の勘違いだった様だ……巻き戻しは生物なら例外なく巻き戻される……あん時は持続時間が極端に短かっただけだろ、だから落ち着け……泣き止め……スマネェな、俺の勘違いで振り回しちまって」

 

 芳香の頭を優しく撫でて爆豪はそう告げて芳香へ自室へと戻って眠る様に促す。

 そうして……芳香が爆豪の部屋から退出した後でなんとも言えない感情を抱えたまま爆豪は思考の海に溺れていくのであった。

 


 

 そうして翌日……。

 朝のHRが始まり相澤先生より告げられる。

 

「文化祭があります」

 

 その言葉に一気に沸き立つA組。

 毎年行われている雄英高校文化祭。

 例年通りならば敷地内を全解放して行われる為に来場数はかなりもの。

 ただ、今年度は色々あった為に関係者及び校内のみでの文化祭となり規模は少し縮小される見込みだというお話であった。

 

 そうして、他科が主役ではあるがクラスで1つは出し物があるらしくそれらを決める事になった。

 お勉強会

 ヒーロークイズ

 手打ち蕎麦屋

 僕のキラメキショー

 カエルの歌合唱

 クレープ屋

 コント

 郷土史研究会

 殺し合いデスマッチ

 触れ合い動物園

 たこ焼き屋

 アジアンカフェ

 演武発表会

 メイド喫茶

 腕相撲大会

 ビックリハウス

 お餅屋さん

 暗黒学徒の宴

 おっパブ

 歌詠み

 

 色々な案が出るものの中には峰田実が発案のおっパブみたいなそもそも実現不可能な物やよく分からない物、不適切な物が多数含まれておりそれらは八百万百が集計を取る前に選択肢から消去していった。

 そして……議論の末に内容が纏まらずに1時間が終わる。

 相澤先生からは実に非合理な時間だったとの御言葉を頂戴して……尚且つ明日までに決まらなかったら担任権限で強制公開座学との事でクラス全員が、絶対に決めようと心に誓った瞬間であった。

 放課後……寮内の共有スペースでA組全員が集まって発案を続けているが中々これと言って良い物は出てこない。

 発案している内に意見として出てきたのが、そもそもランチラッシュの作る飯を普段から味わっている以上……食事系統で出店をするならばそれ以上のクオリティを出さなければ満足させる事は不可能だろうと言う結論に至り食べ物系の発案を全て排除。

 このままでは本当に強制公開座学にされそうなくらい何も決まらない。

 コントや一発芸はどうか? という立案も見られたがそもそも素人のクソつまらないニワカ仕込みでは場が凍る未来しか見えない。

 立案もかなり出尽くして……何かないかと各々が考え込んでいると、轟が動画サイトで見つけたのはダンスとミュージックが複合した物。

 それを見て……これで行こうとなった、ダンスと言えば芦戸三奈の庭である。

 趣味がダンスである彼女が得意とするのは主にブレークダンスと呼ばれるかなりアクロバティックな動作が必要なダンスだがそれは流石に危険すぎるので曲に合わせて一般的な振り付けを躍るダンスになった。

 そして、ミュージックと言えばボーカル……歌唱力である。

 A組全員で順々に歌を披露した結果……全員一致で3名にまで絞られた。

 声楽を習っていた八百万百。

 ミュージシャンの血を引き、音楽が大好きで、歌が好きな耳郎響香。

 もはや凡ゆる種類の和歌や句を読んでおり歌人と言っても過言ではない宮古芳香、たまに共有スペースで口遊む耳郎から引き継がれた曲のワンフレーズやデュエットでも見事な歌唱力を披露している

 八百万は声楽とミュージシャンでは声の張りが違うと言う事で辞退。

 耳郎響香も恥ずかしいのかこれを辞退。

 そんなこんなで芳香にお鉢が回ってきた訳なのだが……芳香自身困った様な表情を浮かべて語る。

 

「……ワンフレーズやデュエットなら多少は誤魔化しが効くかもしれませんが……多分歌詞そのものを確実に忘れます、私の記憶力の無さは……皆様お察しの通りですので、個人的には耳郎響香さんを強く推します……惚れ惚れする程の歌唱力……好きを突き詰めていたからこその綺麗な歌声でした」

 

 そう告げて断りつつ耳郎響香を推薦するとそれに乗じて上鳴も部屋王の際に見た楽器の数々を引き合いに出して耳郎の事を応援すると、緊張と恥ずかしさで顔を覆ってい耳郎。

 顔を覆っても耳まで真っ赤になる程に赤面していたが……10数秒後、覚悟を決めたかの様に叫ぶ。

 

「そこまで言われてやらないってのも……ロックじゃないよね」

 

 そう呟きを返した耳郎。

 それを機にA組全員が歓声を上げる。

 ボーカルは耳郎のソロで決まった、

 あとは盛り上げ役。

 ダンス役。

 バンドという事で必要なのは残り、ドラム、シンセサイザー、ギターが2人。

 ドラムは爆豪を焚き付けて演奏させると耳郎さんが絶賛する程に上手い。

 普通科生徒に外で何か言われてイライラが溜まっていたのか『音で殺るぞ』との御言葉で締め括られる。

 そして……深夜1時まで話し合いが継続されて全役割が決められる。

 

 バンド隊。

 耳郎響香、上鳴電気、爆豪勝己、常闇踏陰、八百万百り

 演出隊。

 瀬呂範太、轟焦凍、青山優雅、切島鋭児郎、宮古芳香。

 ダンス隊。

 上記を除いたメンバー。

 となった。

 

 あとは練習あるのみである。

 後日……放課後、A組は体育館にて全体練習を行なっていた。

 芳香の役割はその人外の膂力でミラーボール役になる青山を行き渡る様に動かす事。

 1人や2人程度の人力でどうにかなる範囲であるならば芳香1人で大体のマンパワーが解決される。

 故に同じく膂力に長けている緑谷の引き抜きも考えられたが芳香の力を考えるとかなり難しい。

 タイミングが合わなければ……失敗するのは目に見えているし何よりも芳香の人外の膂力に匹敵するのはほんの数秒から10数秒のみで継続して青山を動かさなければならない都合それは無理。

 故に芳香1人で行う事となる。

 そうして……練習を詰めて詰めて詰めまくって……遂に文化祭当日を迎えた。

 

 A組の出し物は大盛況で終わって自由時間の現在。

 色々な出し物を巡っている芳香。

 隣には八百万さんと相澤先生に許可を貰い芳香に肩車をされている壊理ちゃん。

 色々な場所を巡り……色々楽しんで、最後にはサプライズとして八百万と一緒に作った林檎飴を壊理ちゃんへと手渡して文化祭は終わりを告げた。




私は赤い色がとても大好きです

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