透き通った世界と無と無限   作:ししゃもりたつ

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初投稿です。この作品はたくさん原作設定が壊れていますが許してください。また、さっさと原作へと入りたいです。そのために原作開始前はぱっぱと進めていきます。


プロローグ〜無が襲いかかる時〜

 春。それは出会いと別れの季節。それはキヴォトスでもおなじで新しく高校生になった僕とっても同じであり、トリニティ総合学園で入学式の長い話から解放されて帰路を辿っていた。まあ、入学への期待が強かったので大した苦ではなかった。なかったのだが、なんでこういったお偉方の話はなんでこんなに長くなるのだろうか。

 

「それは仕方のないことだろう。学園としても新入生へはしっかりとした歓迎をしたいんだろうし」

「あれ? セイア、もしかして今の言葉に出ちゃってた?」

「ああ、しっかりとでていたぞ。全く、ヨヅルは意識していないところでやらかすことがあるからな。気をつけた方がいい」

「……わかってはいるんだけどさ、それを直すのってなかなか難しくない?」

「大丈夫さ。たとえヨズル一人で直せなかったとしても、ヨヨヅルが私を救ってくれたように、私もヨヅルを助けるさ」

 

 百合園セイア。幼馴染みであり意中の相手。彼女には予知夢という特殊な体質がある。近いうちに起きる嫌なことが分かるらしい。しかも変えられなかったらしい。……なんか僕は予知夢に映らないでしかも予知夢を変えることができるらしいけれど。

 

「じゃあ、高校生活はこの癖を治すのがひとまずの目的になりそうだな……あ、シマエナガ君、お前は今日もかわいいな〜」

「……うらやましいな」ボソッ

「ん? セイア今何か言ってた?」

「いや、別になんともないさ。ああ、ほんとになんでもないさ」ギュッ

「あの、前から言ってるけど抱きつくのやめて!?」

 

 彼女の裾から出てきたシマエナガ君に構っていたら、セイアがなぜか抱きついてきた。なぜか最近彼女はこうしてくることが多い。彼女に何かしてしまっただろうか。いや、特に何かしてしまった覚えはな……まさか嫉妬した? シマエナガに嫉妬したのかセイアは。いや、かわいすぎるだろ! 

 

 ……いや、そんなことよりも毎度思うがこの状態はやばい。顔の近くにくるふわふわのケモ耳。こちらを見つめる上目遣い。抱きつかれたことによる柔らかな腕。そして左腕に感じる小ぶりなもの。マジで理性がごりごりと削られる。それに周りからの視線も痛い。入学式直後にこんな形で目立ってしまうとこれからの学校生活で浮いて終わってしまう。

 

「……ふむ、なんでやめなきゃいけないんだい?」

「いや、周りの目とかがかなり厳しいし……」

「いいじゃないか。周りに存分に見せつけてやろう」

 

 あ、ヤバいセイアがだいぶ怒ってる。だ、誰か! 誰かセイアを止めてくれ! 

 

「ねえ、あなたが今話題のキヴォトスで珍しい男子高校生だよね、たしかヨヅル君……だっけ?」

 

 助かった! どこの誰かは知らないけれども助かった! 

 

「は、はいそうです! おいセイア! 人が来たし離れてくれ!」

「……なんで私があとから来た特に面識のない人のために離れなくちゃいけないんだ?」

「頼むから離れてくれって! これ以上は俺も色々キツいから!」

「……そうか。キツいのか。ならしょうがない。ひとまず今は離れていくことにしよう」

 

 その言葉と共にようやく左側に感じていたものがなくなった。あぁ、なくなってしまった。……いやいやいや、そんなことを思ってはいけない。これは俺がずっと望んでいたことなのだ。決して残念がってはいけない。そして最後に言っていたことは気にしてはいけない。たとえ「あともう1押しだな」とか言っていても決して気にしてはいけないのだ。

 

 え? なんでお前ら付き合ってないのかって? そりゃあ、その……あれじゃん。告白するのってなんか恥ずかしいじゃん。え? ヘタレ? それは違うな。恐らく両想いなのは分かってる。それでも告白するということが照れ臭くてできないだけである! ……クソ野郎だな。うん。言葉にして感じたけどクソ野郎である。……告白、しなきゃいけないな。

 

「……いちゃついているところ悪いんだけれども、そろそろいいかな?」

「「あ、すみません」」

「全くもう……私は美園ミカって言うんだ。よろし-「ミカさん、いきなりどこかへいかないでください!」-く。あ、ナギちゃんヤッホー☆」

「ヤッホーじゃありません! 探すのにだいぶ時間がかかったんですから。その間にミカさんに何かあったらどうするんですか!」

「うるさいなぁ。お母さんじゃないんだから」

「おかっ……! ミカさん! いい加減にしてください!」

「あの……あなたは一体……」

 

 ミカさんが自己紹介したと思ったら、いきなり灰色がかったブロンドの髪の女性がやってきてミカさんを叱り始めてそのままコントを始め出した。

 

「あ、失礼いたしました。私は桐藤ナギサと言います」

「私は百合園セイアだ」

「僕は空嶺座(くうれいざ)ヨヅルと言います。桐藤さん、よろしくね」

「ヨズルさんにセイアさんですね。ミカさんがどうもすみませんでした」

「いえ、僕は全然大丈夫ですし、むしろ助かりましたから」

「……私としては少し邪魔されたが、まあ構わないさ。それに、なかなかいいことを聞けたしね」

「……? まあ、お二人が構わないならそれで良いのですが」

「全くもう。ナギちゃんってば細かいんだから」

「ミカさん……! 今回はお二人が許してくれたから良かったですが本当に気をつけてくださいね!」

「まあまあ、ここであったのも何かの縁だ。よければ一緒に遊ばないかい?」

「あ、それいいじゃん。何して遊ぶの?」

「……まあ、それもそうですね。ヨヅルさんもそれでよろしいですか?」

「ええ、それで大丈夫です。カラオケとかどうですか?」

「さんせーい☆」

「カラオケですか。あまり行ったことはありませんがいいですね」

「構わないさ。いつものあの店に連れてってくれ」

「……連れてってくれって……セイアさん、ヨヅルさんに乗せていってもらうんですか?」

「いや、確かに彼に乗せてもらいたい気持ちはあるけれどそうじゃないさ。彼の能力はすごいんだよ」

「「?」」

 

 セイアが言った通り、僕には能力がある。それがあるからセイアの予知夢を解決できている。もしこれがなかったら僕は何もできなかっただろう。いつものカラオケ店を頭の中に浮かべる。……よし。そしてここを結びつけて……発動! 

 

「!? ……これは一体……」

「……ワーオ☆」

「やはり、君のそれはいつ見ても興味深いな」

「よし、それじゃあ行きましょうか。今からだったら……少なくとも4時間は行けますかね」

 

 僕たちの目の前にある穴の向こうには、僕が思い浮かべたカラオケ店の景色が広がっている。空間を操る能力。それが僕の力である。

 

 

 

 *

 

 

 

 それからしばらく歌い続けているうちに夕陽が差し込む時間帯になった。四人はカラオケから出他あとそのまま解散し、ヨヅルとセイアの二名はサンクトゥス分派の家へ向かう。二人の後ろにできる影は、小学生の頃と異なり男の方が伸びている。二人の間にある沈黙に気まずさは一切なく、むしろある種の心地よさが広がっていた。しかし、その静寂をヨズルは切り裂いた。

 

「いやー、たくさん歌ったな」

「そうだな。いつもは二人で歌っていたから四人と言うのは少し新鮮だったな。ヨヅルを独占できないと言うことが残念ではあるが」

「……」

「……」

「あ、あーそれにしても今日は大丈夫だったけど最近の体調はどうなんだ?」

 

 少し弾んだ調子で言ったヨヅルに対してセイアは火の玉ストレートを投げた。小っ恥ずかしさから逃げたヨヅルが口にしたのはセイアの体のことである。*1ここまで積極的にヨヅルに対して動いているセイアだが健康ではない。なんなら、幼い頃は病床に臥していることの方が多かった。だけど、ヨズルが色々なことを手伝ったおかげで現在はその回数も減ってきているのだ。そんなヨヅルがセイアの体のことを心配するのはある種当然でもある。

 

「全く君は……。ただ、安心してくれたまえ。最近は体調を崩すことがほとんど減ってきてね。完全に健康とは言えないけれど、学校へ一緒に行けるさ」

「お、じゃあ高校生活は満喫できそうだね」

「ああ、早速知人が二人できたのだしね」

「聖園さんと桐藤さんね。僕たちと同じで幼馴染なんだっけ」

「そうらしいな。もっとも、私たちは変わるかもしれないが」

「……」

「おや、もう家か。仕方ない、今日はこのくらいにするとしよう」

 

 二人はいつしか家の前にいた。セイアの家は立派な屋敷だが、それに対しての隣のヨズルの家は立派な一軒家ではあるがそれでも見劣りしてしまう。結局上手いこと逃げられなかったヨズルはセイアの言葉にホッとした。しかし、その内心は次の言葉でまた変わることになる。

 

「そうだ、今日は泊まってもいいかい?」

「……へ!?」

「『へ!?』じゃないさ。今までも定期的にやっていただろう?」

「イヤイヤイヤ、流石にやめてくれ!」

 

 

 

 お泊まり。それは確かに今まで何度もやってきた。しかし、それはほとんど小学生の時のはなしで、最近のセイアの積極性を考慮するととても安心のできないものである。流石にそれはまずいと感じたヨヅルと距離を詰めたいセイアの言い争いは、10分ほど続いたのだった。

 

 

 

 *

 

 

 

「ただいまーってふう。危なかった」

 

 家に入ったヨズルは一人呟く。結局、戦いは高校生の男女でやるのは良くないという言葉によってヨズルが勝利した。これからはセイアへの対抗策も用意しなきゃいけないと思いつつもやるべきことをテキパキと片付ける。全て処理したヨヅルはベッドで一息つく。新しく出会ったミカとナギサ。これからどこへ所属するのか。これからたくさん楽しみなことが待っている。そこまで考えて、翌日のことも考えて睡眠を取ろうとした。その時、当然、裂け目が目の前に生じた。それに疑問を持つよりも早く、頭へ情報が流れ込んでくる。

 

「へ? ……アガッ! グアァァァァァァ!」

 痛みが襲いかかる。頭を手で押さえてゆかをころげまわっても、そんなことは関係ないとばかりに情報の蹂躙は続く。それは、別の世界の断片的な記憶。そこはヘイローなんてものはなく、ヨズルはウルトラマンに脳を焼かれたオタクな高校生だった。ウルトラマンに対する憧れやさまざまな知識。それらが大量に頭の中へ叩き込まれる。

 

 ヨヅル《のみ》に起きた出来事はそれだけだった。しかし、それ以外のことも発生していた。ヨズルは目の前の裂け目が変化し、出てきたそれを目の当たりにした。

 

 

 ──────ヒャッヒャッヒャッヒャッ────────ーフッヒャッヒャッヒャッ──────

 

 

 そのような笑い声がしたように感じる。そこに現れたのは、いや、何もなかった。そこには何もない。無さすぎるのだ。そこにあるのは無である。姿は常に不気味に変化して、輪郭もぼやけている。人型ではあるが頭部と胸部、肩部が黄色く光り、青黒い身体が人間であることを否定する。いや、それすらも強引に目で見ようとしているものである。

 

 虚空怪獣グリーザ。世界を滅ぼす可能性すらある無そのものな存在が現れた。そして、グリーザは近くのエネルギーの豊富な生命を無に変えんとして近づいていく。そしてそのまま頭の痛みに悶え苦しむヨズルの中へ入っていった。

 

「あああっ!ああああああぁぁぁぁ!」

「ヨヅル! 大丈夫かヨヅル!ヨヅル!ッ…ヨヅル!」

 

 程なくしてヨズルの叫び声を聞きつけて*2セイアが部屋へと入って見たのは、地面でのたうち回るヨヅルだけだった。

 

 *

 

「大丈夫か?ヨヅル?もう頭は痛まないか?」

「うん。どうにか引いて…!っと…」

「ヨズル!…無茶しないでくれ。それで、いったい何があったんだ?」

「…ごめん。まだ頭の中で整理がつかなくて。少し待っててほしい」

 

 しばらくして、セイアの世話で頭の痛みが引いてきたヨヅルは自分の記憶を整理する。30分ほど時間をかけて、半信半疑だが自分の平行同位体*3の知識と記憶が流れ込んできたのだと理解した。そして、それと同時にどんな存在が現れたのかも。虚空怪獣グリーザ。実際に入ってきたかは分からないが自分の神秘が少ないことからいまの一連のなかで何かがあったのは間違いのないことである。

 

 平行同位体の記憶では、グリーザのことを知っていた。だから、絶望する。グリーザは圧倒的理不尽の体現者であり簡単に世界を滅ぼしうる厄災。なぜヨヅル自身は無事なのかはわからない。しかし、いつかは消えてしまうだろう。そうなったら、世界は終焉に導かれる。回避するにはグリーザの中にある宇宙の孔を縫う針を使ってグリーザを倒すしかない。しかし、グリーザは現在同化しており、取り出せるときはヨヅルも無になった時だろう。その時にヨヅルの意識が残っているかも不明だが、もし残っていてもその時にはグリーザとヨズルは一心同体といっても過言ではない状態にあるだろう。つまり、グリーザとヨヅルは一緒に死ぬ。どう足掻いてもヨヅルの死は決まったのである。

 

 もしかしたら頭が傷んだ故の幻聴なのかも知れない。それでも、幼馴染みであり自身へと好意を向けているセイアにこの事を、自身の身に世界を滅ぼす厄災が宿ったことと自身の死が確定したことを伝えることはできなかった。

 

「…ありがとうね、セイア」

「…もう大丈夫なのか?」

「うん」

「それで…何が原因なのだい?」

 セイアが言葉の真偽を確かめるために、ヨヅルの方へ身を乗り出して聞く。セイアの顔との距離にドキドキしながらも、

「いや、特に前触れもなく頭が痛みだして…何が原因なのか分からないんだ」

「…本当かい?何か心配させたくなくて嘘を言っていないかい?」

「いや、一言も嘘は言ってないよ」

「……どうやら本当のようだね」

 

 身を乗り出したセイアは元の体勢に戻って言った。事実、ヨヅルは嘘は言ってない。ヨヅル自身の身やその周囲に起きたことは理解したがそもそもなぜそんなことが起きたのか。その原因は全く理解できていないのである。

 

「もし、何か分かったら是非相談してくれ」

「うん。そうさせてもらう」

 

 

「それじゃあ私は帰るとするが、何かあったら迷わず頼ってくれ。私に出きることなら何でもするから」

「ありがとう。じゃあまた明日」

「ああ」

 

 *

 

 セイアが帰り一人になったヨヅルは今後のことについて考える。そして、決意した。

(セイアからは離れよう)

 グリーザの危険に巻き込まないために、自身の死の衝撃を和らげるために。そんなことをヨヅルは決意したのだった。そんな苦渋の決断に覚悟を固めていると、ふと疑問が出て来た。

「…そういえばセイアはどうやって僕の異常に気付いたんだ?」

 

 

*1
決してやましいことなど介在していない。いいね? 

*2
どうやってヨズルの声を聞いたのかって?…ふふふ、ストーカーセイアですまない

*3
並行世界の自分




Q.主人公の今の状態はどうなっているの?
A.グリーザが無へと変化させようとするのを無尽蔵にある神秘を使っての相殺。

人物紹介
空嶺座(くうれいざ)ヨヅル :本作主人公。トリニティ総合学園の新入生にしてセイアの幼馴染。見た目は178cm前後の痩せ型。グリーザに襲われた被害者。能力としては現状ワープポータルの設置と予知夢に映らないというもの。強さとしては神秘の量はキヴォトス1だが残念ながら身体強化には使えず素の身体能力は低い。が、集中することによって使えるワープポータル能力によって戦闘能力はキヴォトス内で中の上。持ち武器は片手で持てる長方形のタワーシールドに短剣。それとショットガン。戦い方としては盾で防いでいる間にワープポータルをつなぎ神秘をふんだんに使ったショットガンか短刀での強力な一撃をぶちかます。自室に仕掛けられた盗聴機に気付くまであと少し

セイア:ヨヅルの幼馴染。ヨヅルに脳を焼かれた被害者。幼い頃から抱えている予知夢のことを相談したらあっさりと解決してくれた。そこからヨヅルへの思いは強くなり、盗聴機を仕込む程までにこじらせた。原作よりは難解な言い回しは少な目。自身のヨヅルへの好意はもちろんヨヅルからの好意にも気付いている。それでも告白しないのは告白はやはり男の方からしてほしいという乙女心ゆえである。しかし、そう考えて待ってしまったためにもう付き合うことはできなくなったことを彼女はまだ知らない。ちなみに翌日にヨヅルにセイアが自分の部屋へきたことの違和感に気付きかれて盗聴機は外されてしまった。

グリーザ:理不尽。宇宙の孔。端的に言うと命やエネルギーを無に変えていき世界を無へと変化させようとするヤベーヤツ。その正体は無そのものであり無という存在であるがゆえに特効武器以外は超高火力の攻撃以外効かない。しかも火力のごり押しも時間稼ぎにしかならない。ついでに身体能力も高く不規則な動きをするし、無に変換したにその能力を自分の物にできる。…なんやこのチートスペック!!
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