黒服と新たな契約を交わした翌日。今日も僕は一人で町を歩いていた。今日は何をしよう。ぶっちゃけ、これから先の未来については全く考えていない。ただ、最終的にセイアから離れていることしか目標は決まっていない。…とりあえず、トリニティじゃない場所へ行ってみよう。物理的に距離を取れるし、最後の場所もついでに探せるだろう。そう思いながらワープゲートを作る。ただ、今回はいつもと違って明確な行き先を思い浮かべない。そうすることで完全にランダムで長距離移動を出来るのだ。最も、時間がかからないとはいえ汎用性は今回のような時ぐらいである。とにかく、僕はまだ見知らぬ場所へと向かったのである。
*
奥行きのないポータルを抜けると砂漠であった。
え?砂漠?てっきりどこかの町か山に出るとばかり思っていたから固まってしまう。目の前には校舎があるだけで、中からは銃声が聞こえてくる。とりあえず、今どこに居るかについてなどの情報を知るために、校門をくぐる。
「ひぃん!敵が多いよぉ!」
「そんなこと言っててもしょうがないからとりあえず敵を倒しまますよ!」
校庭では、ヘルメット団とそれぞれピンクと緑の髪の女子がショットガンと盾を持って戦っていた。にしても、ピンク髪の子はかなり神秘を持っているし、戦いぶりからしてもかなり強い。で、正直この状況はあまり分からない。まぁ、ヘルメット団が正しいことをしてることは基本ないからぶっ飛ばそう。周りを見渡し、障害物を確認する。近くに倉庫があったのでその物陰に隠れ、武器を構える。そして、リーダー格の頭の後ろに空間を繋げて、神秘を込めた一撃をぶちこむ。
「アガッ!」
「っな!リーダー!?」
「っ!誰がこれを…」
命中したのを確認して、今度は別の人の頭上に作り、撃ちこむ。その繰り返し。
「グペッ!」
「な、なんなんカフッ!」
「いっ、一体どこヘブシッ!」
「てっ…撤退~!」
そろそろリロードを挟もうかといったタイミングで、ヘルメット団は戦意喪失。気絶している人たちを抱えて帰っていった。戦闘時間はだいたい30秒。可もなく不可もなしといったところである。さて、情報を教えてもら。
「…何が起きているんですか?」
「…あの~とりあえずヘルメット団を撃ったんですけど大丈夫ですでしたか?」
「あ、もしかしてさっきのは君がやってくれたの?ありがと…「動かないでください!」…ちょっと、ホシノちゃん、助けてくれた人にそんなことしちゃ駄目でしょ?」
「逆になんでユメ先輩はそんなに呑気なんです?第一、彼が味方とは限らないでしょう」
「でも、まずは助けてくれたんだからお礼は言わなきゃいけないよ?」
「ウグッ…」
近づいたらピンクの髪の子から銃を向けられてしまったのでホールドアップする。まあ、突然戦闘に参加した得体の知れない存在だから警戒されるのもしょうがないか。
「…あの、いくつか聞きたいことがあるんですけど良いですか?」
「ああ、助けてくれてありがとうね。あ、知りたいことはなんでも聞いて良いよ~」
「…まあ、いいですよ。それと、先ほどは助けてくださりありがとうございました」
「いえ、正直流れに沿ってやっただけだから大丈夫ですよ。それで、まず、ここって何処なんですかね?」
「…は?」
「えっとねぇ、ここはアビドス高等学校だよ」
「ちょっと、何答えちゃっているんですか!強いのに自分がどこにいるか分からないとか怪しすぎますよ!」
再び二人の方で揉めてしまった。でも、そうか。確かに現在地がわかっていない人とか怪しすぎるもんな。まずはこっちの事情を言った方がいいのか。
「すみません、まず自分のことについて言った方が良かったですね。僕はトリニティ総合学園一年生、空嶺座ヨヅルです。」
「私はアビドス高等学校生徒会長2年生の、梔子ユメって言うんだ。よろしくね、ヨヅル君。ほら、ホシノちゃんも!」
「…アビドス高等学校生徒会副会長の1年、小鳥遊ホシノです。それで、トリニティの新入生がなんでこんなところにいるんですか?」
「ああ、それは今までずっとトリニティの中で過ごしてきたのでトリニティ以外の場所について知りたくて。こうやって適当な場所と繋げてたどり着いたのがここだったというわけなんです」
そういいながら横にポータルを生成する。今度は海の上に繋がったようである。
「すっごーい!ヨヅル君はそれを使えば好きな場所へ移動できるの?」
「まあ、いくつか制約はありますが、そうですね。理論上はどこへだっていくことが出来ますね。」
「そうなんだ~!羨ましいなぁ」
「ありがとうございます。それじゃあ、さっき聞いたんですがここって何処なんですか?」
「ここはアビドス砂漠の隣接地帯にあるアビドス高等学校です」
なんとなく砂漠と聞いて予想していたが
「なるほどアビドスの。それで、お二方はどうしてヘルメット団と戦っていたんですか?」
「いや~、ヘルメット団が学校を襲撃してきてね、どうにか二人で撃退しようとしていたんだ」
「ん?相手は学校を襲撃してきたのに二人だけで対応したんですか?」
学校を襲撃して来たのなら生徒会ではなく下部組織、それこそトリニティで言う正義実現委員会なんかが対応すると思うけれど。
「ああ、生徒会は今
「え、この学校生徒会二人しかいないんですか!?」
「そうなんだよ~。前までは3年生の先輩方がいたんだけど卒業しちゃってね。今年入ってきた1年生もホシノちゃんだけだし。うーん、砂漠のせいか人が来ないんだよねぇ」
マジか。確かにこの学校人気がないとは思っていたけどかなり限界に近い状態である。
「それは…なかなか大変な状況ですね」
「そうそう!しかも借金があるから返していかなきゃだし」
「ちょっと、ユメ先輩。そんなこと他校の生徒に言わなくたって…」
しかもなにやら他にも問題があるらしく、それを話す止めようとするホシノさん。まぁ少数で返していくのは大変だが借金が生徒会にあることなんて特によくある話な気もする。
「どれだけあるんです?数百万とか?」
「ふっふっふっ…甘いよヨヅル君。この学校にはね、
「きゅっ……!?」
口から言葉が出ない。9億円。トリニティやミレニアムから見ても大金である。そりゃあホシノさんも口止めをしようとするわけである。
「なんで言っちゃうんですか!他校の生徒に聞かせる話じゃあないでしょう!」
「え~?でも特に言っても問題じゃないでしょ?」
「いや、それ以前にそんな暗い話は話題として良くないって言ってるんです」
「あ、たしかに。ごめんねヨヅル君。こんなこと聞かせちゃって」
「…二人は、二人は借金なんて諦めてどこかに転校しようとか思わないんですか?」
「そんなこと、絶対にしません。ここは、アビドスは私にとって大切な場所なんです」
「うん。私もホシノちゃんと同じかな。それにね、私夢があるの」
「夢?」
「そう。昔、アビドスは今と比べ物にならないくらい繁栄していたらしいの。分校がいくつもたてられたりしていたんだって。私はね、そんなアビドスをこれからの後輩達に見せてあげたいんだ」
「まあ、そのためには借金を返さないといけないんですけどね」
「ひぃん。それは言わないでよ…」
夢を語ったユメ先輩の表情は眩しかった。
つまりあれか?今後二人は卒業までの間ずっと頑張ってお金を稼いで借金を返すのか?…そんなのって…
「あの、良かったら僕も今後手伝います」
僕は気付けば、そんなことを口走っていた。
「え、いいの?」
「はい。特にこれからのことは決まっていなかったので。まぁ所属はトリニティだから放課後とか休日とかに来るぐらいですけど。」
「それだけでも十分うれしいよ。じゃあこれからよろしくね!」
「…何を考えているんですか」
「いや、特に何もないですよ。ただ、お二人の話を聞いていてもたってもいられなくなっただけです」
「そうですか。ただ、私はあなたのことは信用しませんから」
「それでいいよ」
いつかは分からないが、僕は僕でなくなる。そのときまでトリニティ以外をあちこちさ迷うより、ここの助けになるように頑張るだけだ。
セイアから離れようとして他の高校の生徒と仲良くするオリ主ぇ……
ヨヅル君の転移能力についてご説明。使い方は3つ。1つ目はイメージした場所や人の近くと繋げる方法。これは長距離移動が可能ですがその分正確なイメージやポータル構築に時間がかかります。2つ目は特にどこに繋げたいというイメージもなく繋げる方法。この場合は時間もかからず遠くに繋げることも可能ですが移動先を決めることが出来ないという特大のデメリットがつきまといます。3つ目は戦闘中に使った見えている場所と繋げる方法。この場合は素早く繋げられますが射程は視認範囲内なので短めです。どれもメリットデメリットがありますね。え?必要な神秘の量?…ヨヅル君は神秘を好きなだけ生み出せるので…
ヨヅル君が神秘を込めた弾は破壊力は上がらないものの相手を気絶させます。