望遠鏡が火星から木星圏へやってくる船影を完全にとらえた。
その映像は詳細に解析され積載可能なモビルスーツは2体だと判明した。
続いて、積載機はジム2とガンダムのマイナーチェンジされた未知の機体だと分かった。
なぜそんなことが分かったかというと、普通に艦の外に出て模擬訓練をしている様子が確認できたからだ。
「出なきゃバレないのになあ……」
引き伸ばした画像をモニターで眺めながらリシュモンは呟いた。
その意見にホジョ隊長が横から口を挟む。
「もし私が同じ立場でも出ますよ。」
「やっぱり1年半もモビルスーツに乗らないと腕がなまっちまうか?」
「なまるでしょうね。」
リシュモンはそんなことは百も承知で、ホジョも本気でリシュモンがそれに気づいていないなどとは思っていない。
二人ともやや違うことを考えているのだ。
引き伸ばされたモニターに映るガンダムっぽい何かの機影が気になるのだ。
木星圏の人間はモビルスーツに基本的に疎い。
モビルスーツはすごい勢いで進化しているのに、地球圏から木星圏へ来るまでに2年も過ぎるのだ。
しかも、前にも述べたが今のところ、木星圏で戦争らしい戦争はない。
先のテロの一件で保安部のパイロットが2名亡くなっている事実に評議会がそこそこ大慌てするぐらいには戦乱に免疫がない。
地球で一年戦争を戦った人間ですら、木星に来ると平和ボケしてしまうようだ。
その評議会の大慌てがダブルスターの強引な配備を後押しした部分もある。
「ジム2があるんだからガンダム2もあるんじゃないんですかね?」
ホジョの言葉にリシュモンが嫌な顔をする。
「それだとどれぐらいの性能か結局分かんねえじゃん……」
リシュモンは地球圏のことを改めて色々考えた。
地球では連邦軍が増長してシビリアンコントロールが効かない状態だというのは耳にしている。
それでも、流石に大っぴらに木星圏に戦力を差し向けることはできなかったらしい。
わざわざ火星から手を回して、見ているのも心細くなるような小型艦にMSを2機だけ載せて、この木星まで飛んできている。
よほど新型のガンダムの戦闘力に自信があるのか……それともただ木星圏の軍備をなめているのか……。
「それにしてもガンダムは怖いなあ……」
どれぐらい強いのか全く見当もつかない。
木星船団公社の人間たちもボールではガンダムに歯が立たないことぐらいは分かっている。
でもゾックではどうか、アッガイではどうか、ルナタンクは……何かダメな気がする。
今、画面を見つめているホジョも「あっという間に4機落とされたりして」という悪い想像が頭から払拭できない。
*****
「ということで、敵にはガンダムタイプがいる。」
時と場所を移して、こちらはダブルスターのMS用格納庫で駄弁っているパイロットたちだ。
ホジョの見解に一同、露骨に嫌な顔をした。
「そこで我々が運用する4機の中で唯一AMBACが使えるアッガイを仮想ガンダムとして訓練するしかない。」
ホジョの出した結論を聞いたブリジットは
「アッガイにガンダムの代役は荷が重すぎやしませんかね?」
と眉間にしわを寄せた。