機動戦士ゾック~太岁の風   作:スナ惡

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宇宙の孤児

「ダブルスター前進!」

 

ライトはダブルスターを前進させた。

とはいえガンダムは怖い。

恐らくあの機体はガンダム2とかガンダムMk2とかそういう名前の機体なのだろう。

濃紺にカラーリングされているが、連邦の白い悪魔の後継機に違いはあるまい。

ということで、ガンダムの想定される行動範囲のかなり手前で止まることになっている。

 

--ガンダムを無力化しろ。無理に鹵獲する必要はない。破壊で十分だ。

 

オールドワンのリシュモンから通信が入る。

ライト艦長がそれをパイロットに伝えなおす。

 

「パイロット諸君、リシュモン部長が『無理に鹵獲するな、破壊しろ』と言っている。いいな?」

「了解!」

 

パイロットたち4名は威勢よく「了解」とは言ったものの、やや悔しそうな顔をしている。

特にヒカリだ。

 

「あー、ガンダム乗ってみたかったなあ……」

「仕方ないだろ。命がけで戦う必要はない。安全第一だ。」

 

ホジョ隊長にたしなめられる。

 

「いずれにせよ、もう乗り込んだほうがよさそうですね。」

 

チンペーがそういうと、ブリジットが頷いて立ち上がる。

あとは艦長からの出撃命令を待つだけだ。

 

その頃、ガンダムはというと、ガンダムから見た敵艦であるダブルスターが止まったのを見て憤慨していた。

 

「こっちまで来いよ!!」

 

敵艦とまともに戦うには推進剤が足りない。

味方の援護があって乱戦であれば隙を突いて一撃入れられるが、ろくにデブリも浮いていない木星圏ではそうもいかない。

しかも、なんとなくだが木星に落ちている気がする。

目一杯、敵艦に向ってふかして突撃したら慣性で届くだろうが、先ほどから見ていると「一定の距離を取る」戦術なのは間違いがない。

近づいたら退くだろう。

ダメ元でビームライフルで長距離射撃を試みる。

 

「くっそ、やっぱIフィールド」

 

当然、Iフィールドで守られている。

投降するべきか迷っているうちに敵艦からモビルスーツらしき機影が出てきたのが見えた。

冷静になれば投降一択だが、ガンダムのパイロットは完全に頭に血が上っていた。

 

「来いよ!ぶっ殺してやる!!」

 

対してダブルスター側だが、実はガンダムのパイロットがミイラになるのを見守っても、艦砲射撃で倒してもよかったのだが、イレギュラーを発見したのだった。

 

「艦長、あそこに人が浮いています。」

「え?どこ?」

 

メインモニターには船外活動バックパックだけで宇宙をさまよう人影が大写しになっている。

時折手足が動いているので生きた人間だろう。

一応、戦闘中なので見捨ててもよいのだが、白旗らしき布を握っているので要救助者っぽい。

 

「あれ、ガンダムが暴れると巻き込まれて死ぬかもしれませんね。」

「モビルスーツ隊!要救助者がいる!!ガンダムをその宙域から引き離せ!!」

 

ガンダムとの戦闘ではなくまさかの陽動指令だった。

事前のミーティングで、とにかくガンダムの機動力とビームライフルの威力については重々警戒しろと言われているので、距離を詰め過ぎないようにガンダムに近寄ることにする。

 

「ヒカリ!行きます!」

「ブリジット、出る!」

「チンペー、行っきまーす!」

「ホジョ、出ます!!」

 

4機が次々に艦を離れる。

 

「チンペー、ヒカリ、ガンダムを引き付けて木星方向へ誘導しろ。ブリジット、私と一緒にやや後方につけろ。」

 

明らかに鈍重そうなリック・ゾックとジュピタータンクだが、出力がすさまじいのであっという間にガンダムに接敵する。

 

「田舎者がダサいモビルスーツ乗りやがって!死ねやああ!!」

 

ヘッドバルカンを乱射しながら激昂したガンダムが追ってくる。

チンペーとヒカリはそこそこ距離を保ちつつ反撃しているふりをしながら、木星の方へ逃げて行った。

 

「よし、ブリジット。要救助者を確保しよう。」

 

ダブルスターも動き出した。

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