機動戦士ゾック~太岁の風   作:スナ惡

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キャルフォルニアベースの合戦

それから、ヒカリが主に子育てに奔走している内に月日は流れ、フリース一家が木星に行く船に乗るまで2ヶ月を切った。

そこへ珍客が現れる。

 

「やぁやぁ、音にこそ聞け、近くば寄って目にも見よ。我こそは近江源氏磯野員昌の血を引く大江戸伯シンヤなり!いざ尋常に勝負勝負!!」

 

急に青いガンペリーがやってきたかと思うとガンペリーの上に仁王立ちのオエド大尉が大声で叫んでいる。

 

「こちら、正式な果たし状です。」

 

いつの間にかヒカリの前に現れたモンタギューが謎の紙をヒカリに渡してきた。

ヒカリは驚いた。

 

「あれ?モンタギューさんもニュータイプに気づかれずに接近できるの??」

 

モンテギューは無言でガンペリーに帰っていった。

紙を開いてみてみると、オエド遊撃隊からヒカリとゾックへの模擬戦の申し込みだった。

 

「模擬戦闘したいなら、もっと普通に頼めるじゃん……」

 

果たし状には、模擬戦闘の日時場所が記されている。

ヒカリは目を見張った。

あれからゲーマルクについて調べておいたのだが、宇宙戦用に開発されたゲーマルクで海上戦闘を挑んできたのだ。

果たし状の文面では双方に怪我や被害が出ないように細かく兵器の仕様などが記されているが、戦場が海だと最悪の場合、沈没と圧壊がある。

ゾックの場合、その心配はほとんどないがゲーマルクの場合、結構な命がけだと思われる。

ヒカリには断る理由はないが……

 

「大丈夫なのかな??」

 

とりあえず、引き受けた。

 

*****

 

模擬戦闘当日、ヒカリは相手の申し入れ通り、ゾックのメガ粒子砲をただのレーザーポインターに交換した。

中立の立場のジオン公国軍の将校がヒカリ側とオエド遊撃隊側の双方の武装を確認する。

 

「よし、気合入れていっちょやるか!」

 

ヒカリが肩をまわして体を温めると、基地から見物しているクロエから遠い声援が聞こえた。

 

「ヒカリ!頑張って!!」

「おう!!」

 

対してオエド遊撃隊はパイロットはモンタギューらしい。

 

「モンテギューよ、海中に没した場合は相手に分がある。出来るだけ早く会場へ離脱しろ。」

「御意にございます殿。」

 

模擬戦の場所はベースから10kmほど離れた海域だ。

ガンペリーは空中から、ゾックは海中から、審判役の連邦軍の艦艇は海上を移動して現地へ赴く。

 

「模擬戦の性質上、ミノフスキー粒子散布は行わない為、双方常にこちらへ通信回線を開けておくこと!いいな!」

「こちらヒカリ、了解しました。」

「こちらオエド遊撃隊、了解した。」

 

こうして戦いの火ぶたは切って落とされた。

初手、ガンペリーから対潜ミサイルが発射される。

オエド遊撃隊からガンペリーも今回の戦闘に参加することは申し入れがあったのでこれは予定の範囲内だ。

 

「対潜爆撃なんて初めてだ」

 

ヒカリはとりあえず相手の攻撃をどうやって回避するか迷った。

平面的に動けばさらにガンペリーからの攻撃は続くだろう。

ゾックの能力なら素早く海の上に飛び出せるが、そうなるとコチラが不利になるだろう。

出力を絞ったフォノンメーザー砲で迎撃する方法もあるが、とりあえず一旦潜って退避することにした。

迎撃するにしてもゲーマルクの手が届かない深海の方が有利だと踏んだのだ。

そこに思念波を感じた。

 

「モンタギュー!!」

 

ヒカリはニュータイプ用のモビルスーツにモンタギューが乗った時点で気づいていなければいけなかった。

モンタギューはニュータイプに思念を読まれないように遮断することができるタイプのニュータイプなのだ。

 

「サイコミュ兵器が来る!?」

 

深海に潜ったことでゲーマルクの位置すら確認できない。

サイコミュ兵器をサイコウェーブで読み取ろうと集中したがノイズのような思念しか読み取れない。

 

「オエドに気を取られてモンタギューを警戒していなかった!厄介なのはモンタギューだ!!」

 

ヒカリは色々覚悟しながらヘッドホンを付けた。

マニュアルでしか読んだことのない音響魚雷らしき音がする。

 

「逃げなきゃ!」

 

深海で一方的に追われるゾックは逃げた。

逃げ始めるとゾックが推進する音で耳から得られる情報は得られなくなる。

その頃、モンタギューは海上でホバリングしながら、深海を逃げ回るヒカリの思念を見ていた。

元のゲーマルクはメインファンネルからさらに細かいファンネルを射出する仕様だが、仕様変更で2機の無人潜水艇を搭載している。

さらに隠し玉があった。

 

「殿!サイコ魚雷を投下してください!」

「よし、サイコ魚雷!発射!!」

 

ガンペリーから投下された「サイコ魚雷」と呼ばれた魚雷がモンタギューの思念に捕まる。

そして、そのままモンタギューにコントロールされながら海中をゾックに向って突き進む。

流石にそれにはヒカリも気づいた。

こうなると、もはやヒカリが勝る性能は泳ぐ速さしかない。

ゾックは最大推力で深海を逃げ始めた。

しかし、いかにゾックが速かろうとも、空中を飛行する相手には敵わない。

ヒカリの泳ぐ先にどんどんと音響魚雷とサイコ魚雷が投入される。

こうなるとフォノンメーザー砲で早めに迎撃を始めた方が良かったのかもしれない。

そうこうしている内に、ゾック内部に重い打撃音が響いた。

魚雷のうちの一本がゾックの外壁に当たったのだ。

 

「すいません、ゾック魚雷攻撃でやられました。」

 

ヒカリは素直に無線で審判役の船に負けを申告する。

 

「勝者、オエド遊撃隊。」

 

オエド大尉は青いガンペリーの艦内で高らかに笑った。

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