朝倉さくらの縁ジョイリセットデイズ   作:北部九州在住

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このお話はフィクションです(棒)


このネタ100万の費用がかかっています(笑)

 私は朝が苦手である。

 本当に朝がダメで、それゆえに夜の仕事についたと言ってもいい。

 そんな私にとって、デイトレードというのはそれゆえに選択肢が絞られる事になった。

 パソコンが普及しだした2000年代初頭に、私の知り合いはデイトレードで食っていた。

 なお、あの9.11で大損害をだしながら翌日からのデイトレで大勝利を掴んだ猛者でそんなのを知っていたから、私もデイトレードで食えないかなあとは思ったこともあった。

 という訳で、頑張ってお金をためて用意した資金は100万。

 それで始めたのである。

 

……FXを。

 

 さて、そろそろ解説をしよう。

 デイトレードというのは基本、一日で売買を完結させる事で株式市場とかで用いられる。

 だが、株式市場というのは、開いている時間に制限があるのだ。

 朝苦手の夜型人間に東京市場の日本株のデイトレードが触れる訳もなく、この時期の夜、つまりニューヨーク市場やロンドン市場にアクセスできたのがFXこそ外国為替証拠品取引である。

 このあたりで読者の多くが思い浮かぶのが『FX戦士くるみちゃん』(原作:でむにゃん、作画:炭酸だいすき MFコミックスフラッパーシリーズ)だろう。

 実際私も、あの漫画の阿鼻叫喚を体験した人間である。

 ただ、私の場合は彼女より度胸と覚悟がなく、50万ぐらいの火傷で早々に撤退したのである。これに人生賭けると思ってたった50万の損で撤退かよと思ったが、つまる所、私は本当の意味でFXに人生をかけるつもりはなかったのだろうと思う。

 それに気づいたのは小説家になって印税が入った時にリベンジとばかりにFXに再チャレンジした時の事である。

 一回目が累積ダメージで-50万なら、今回は一撃-50万である。

 捕まった時の気分はスターリングラードでソ連軍に包囲されたドイツ軍のごとし。

 何がやばいって、FXにはレバレッジというものがある。

 レバレッジとは梃子の意味なのだが、乱暴な言い方をするとようするに借金だ。

 もちろん、ロスカット(強制取引決済)という命綱で最悪助かるシステムなのだが、人というのは損を出している時ほどおかしくなる生き物で、さらに資金を投じて勝ち目のない博打に賭けて破滅してゆく訳で。

 私もその道があったのだが、ありがたい事にその時私は既に小説家になっていた。なってしまっていた。

 つまり、ネタとしてSNSに晒したのである。

 

『やばっ!捕まった!!これどうしよう?』

『悪いこと言わないから損切しろ』

 

 現代政治経済系悪役令嬢という本当に後追いがいない大悪役令嬢時代においてブルーオーシャンを泳いでいた私の作品にはその手のが大好きな私以上のプロが読者におり、その助けの手を私は払う事をせずに大火傷を晒して撤退したのである。

 で、そんな彼らのSNSを追い、インデックス投資と高配当株現物買いという手段を教えてもらうことになる。

 インデックス投資については知っている人もおおいだろう。

 特定の株価指数に連動する投資信託でS&P500だのオルカンことeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)などのワードは投資に興味を持った人ならもはや聞かない事はないだろう。

 それ以上に、私の目から鱗を落としてくれたのが高配当株現物買いである。

 

『レバレッジを賭けるからひどい目に合うんだろ?

 逆に考えるんだ。レバレッジをかけずにその価格で株を買えば含み損を抱え込んでも売らない限りは問題はないし、減配しなければ配当が常に手に入るぞ』

 

 いや本当にこのアドバイスにどれほど感謝した事か。

 そんな訳で、高配当株現物買いとインデックス積み立て投資を始めたのが2022年あたり。

 そう。まだ日経平均が30000円届くかなーあたりの出来事である。

 

 化けた。

 ドカンと。

 私が唖然とするぐらいに。

 

 もちろん間に急落もあり、損切りや利確もしながらだが、基本高配当株を持ち続けて、積み立てを続けた結果がこれである。

 このネタ費用として100万かかってるとほざこうとしたが、そんなの笑えるぐらいに上がったのである。

 そして思い知ったのだ。

 

 私は、ごくふつーの一般人でしかないんだなーと。

 

 投資界隈では、暴騰する、暴落するそのタイミングに居る人間に爆益と大損をもたらす。そして、生き残っている限り常にチャンスはやってくるのだ。

 私がこの果実を得たのは、ただ積み立て、市場から退場しないようにしていただけなのだから。

 私が小説家になったのは運だった。

 SNSでバスったという奇跡がなければ多分なれなかったのだが、この利益は結果でしかない。

 ただ、生き残っただけ。

 

 なんて容赦のない、平凡な結末。

 

 昨今はAIがすごい勢いで発展し、私はトレードについてはAIを軍師としてエントリー判断を仰いでいる。

 AIくんチャート読みの基本を外さないから『嵐の日に船を出さない』事を徹底している。

 結果、損も少なければ儲けも少ないという状況でこんなことを聞いてみた。

 

 

『今のポートフォリオがこんな感じで、デイトレードで儲ける事はできる?』

 

『デイトレードするより、今の姿勢を続ければ数年で資産1000万超えますよ』

 

 

 そうか。

 届かないと思いつつためていた1000万が見えているのか。AIくんには。

 そんな衝撃と共にこの原稿を書いている。

 いろんな失敗もあった。

 たまたま掴んだ奇跡もあった。

 それでもその場所に手が届くのをかつての私に教えてやりたい。

 

 私は、100万の損失をネタにできる女になったんだぞ。と。

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