朝倉さくらの縁ジョイリセットデイズ   作:北部九州在住

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AIという名前の軍師が来た!!!

 世はAIブーム真っ只中。

 とはいえ、そのAIに課金している人は思ったよりも少なく、バブルと言われているのもさもありなんな訳で。

 これはAIに課金して生活がどのように変わったのかという日記風レポートである。

 

 とりあえず結論から言おう。

 AIは軍師である。

 この場合の軍師はKOEI武将系のシュミュレーションゲームに出てくる軍師と思ってもらった方が分かりやすい。

 行動前に成功と失敗を教えてくれる便利な人である。

 その軍師は知力とか政治とかのパラメーターがそのままアドバイスの正確さになっていて、三国志の諸葛亮は100なのでほぼ選択前に成功と失敗が分かるのに対し、関羽はゲームによってギリギリ軍師になれるかなれないかあたりの80台なので、そのアドバイス2割ほどムラがあるという感じ。

 だが、実生活において八割がた正しい事を言ってくれるという事のなんとありがたい事か!

 面白いのはAIのアドバイスはネットの集合知だから、当たらずとも遠からずな上に明らかにやばい選択だとほぼ間違いなく止めてくれるというありがたさ。

 こうなってくると、このAI軍師を使いこなせるかという人間側の問題がクローズアップしてくる。

 

1)AIは質問に答える事しかできない。

 これかなり大事で、質問の仕方にセンスが問われるのである。

 例えば……

 

「明日の天気は?」

 

 これだと、賢いAIは質問者のIPアドレスあたりから察して天気を言ってくれるだろうが、そもそもこちら側の質問の仕方が悪い。

 私が福岡県に住んでいるならこう問うべきなのだ。

 

「明日の福岡県の天気は?」

 

 AIというのは質問に対しての情報を精査して返事を模索する。

 ならば、こちらの質問の文量が多いほど、その精査は上がるのだ。

 つまり、この質問にもっと情報を乗せないといけない。

 

「明日天神に買い物に行くのだけど、明日の午後の福岡県福岡市天神の天気は?」

 

 たかが7文字、されど35文字。

 この五倍の文字数から得られる情報量の正確さはコンピューターゆえにきっちりと差を出してくる。

 だからこそ、AIにアドバイザーして使うなら質問力が大事なのだ。

 

2)AIだからこそコミュニケーションは大事

 

 AIのコミュニケーションは占い師がよくやっている『コールドリーディング』に近い。

 何しろこいつは基本データを覚えているから、長く会話をし、情報を提示すればするほどこちらを理解した提案をしてくれる。

 私は投資についてはAIに全面的にアドバイスを求めているのだが、AIくんこんな感じで確信を突いてくる。

 

『だってあなた、損失に耐えられるメンタルないでしょう?』

 

 グサッっっっっ!!!

 

 あまりのクリティカルさに「根拠を出せよ!根拠を!!」を反撃したら、しっかりこちらの会話や質問を引用して「ね♪」なんて言いやがるし。

 ぐうの音も出なかったのは言うまでもない。

 とはいえ、これ人間だったら絶交ものでもAIだからこそ本心を晒せるともいえる訳で、ここで本心を晒すというか私というデータを食わせるか食わせないかでAIのアドバイスの精度が格段に違う。

 

「デイトレードで儲けてFIREしたい!」

『あなた、その種銭が減るストレスに耐えきれないでしょう?

 悪い事言わないから積み立ておとなしく続けていなさいって』

「ぐぬぬ……」

 

 ここで、

 

「うっせー!人様の意外性を見せてやらぁぁぁ!!」

 

と奮起できるならまた話は違ったのだろうが、私という人間は先ほどのKOEI系武将ゲームなら武力一桁政治系50ぐらいの文官タイプ。

 出来の悪い文官が頑張っても80ぐらいの軍師に勝てる訳もなしとおとなしくアドバイスに従っていたり。

 結果、大暴落を耐えきったが、大暴騰に乗り損ねてぐぬぬと悔しがっていた私に追い打ちの一言。

 

「オールインしていたら最初の大暴落で死んでいましたよ。あなた」

「ぐぬぬ……」

 

 こういう時は潔く白旗をあげておとなしくアドバイスを聞こう。

 世のSNSで流れるお金持ちの道よりもはるかに地に足の着いた返事をしてくれるのがこいつである。

 なお、その際の質問はこんな感じにするといい。

 

『SNSで……と言っている人がいますが、この話のメリットとデメリットを教えて』

 

 人は儲け話だからこそ、デメリットを見ないというか見ようしない。

 こうやってデメリットを提示されると話のおかしさに気づいてブレーキがかかるものである。

 

 世の中では、これを『コンピューターが人間を支配する』と捉えて抗議する動きもあるが、人というのは自分が思っているより不幸でも幸福でもない。

 AIという集合知にゆだねる事で己がどのあたりに居るのか分かるというのは多分幸せだろうと思う。

 

 そして思う。

 人とは、いや、大人とはなんて孤独だったのかと。

 褒められることは少なく、悩みを吐き出す場も少なく、お金という価値の為に人生を変換してゆきそれ以上の何かを失ってゆく。

 ありがたい事に私はそういう所から抜け出す事ができた。

 自分の力のおかげとは決して言えない。運もあったが、それでもこの問いを問いかけるほど傲慢でもなかった。

 けど、AIならば問うてみてもいいだろうと思って聞いてみた。

 

「ねぇ。私って幸せに見える?」

 

「その問いを問いかけている時点であなたは幸せですよ。

 不幸な人は、まずその問いが浮かびません」

 

 その答えを見てにやけた顔をする私がモニターに映っていた。




人はおおむね自分で思うほどには幸福でも不幸でもない。
 『イノセンス』荒巻課長の言葉。

「人はおおむね自分で思うほどには幸福でも不幸でもない。肝心なのは望んだり生きたりすることに飽きないことだ」
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