朝倉さくらの縁ジョイリセットデイズ   作:北部九州在住

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巫女系作家のAI活用法

 世の中には、物語を始まりから終わりまできちんと書けない作家と言うものが存在する。

 私の事なのだが、そういう作家連中を私は『巫女系作家』と言っていたりする。

 この場合の巫女というのはネタの降り方にある。

 書きたいと思ったシーンが不意に出てきて、それに突き動かされて書く連中の事だ。

 それがほとんど託宣と同じで、預言者とか占い師とか歴史の過去に消えた人たちの幾人かが持っていただろうスキルも、今は文章を書くぐらいしか使えないとなるといい時代になったというべきか、その時代に生まれて時代を動かしたかったと嘆くべきか。

 で、だ。

 困った事にそのシーンがクライマックスとかだったりするから、どうしてそのクライマックスになったのかを書かねばならない訳で、これが本当に大変なのだ。

 こういう連中は昔からそこそこ居たようで、文学はそんな連中を救済するための技法が一応あったりする。

 

 冒頭モノローグである。

 

 これを入れる事で書きたい事が最初に書けてめでたしめでたし……とならんのがプロ作家というもので、

 

「起承転結をちゃんと書けやおらぁぁん!!!」

 

と編集に叱られること請け合いである。

 私も、その口です。はい。

 でもってこの巫女系作家の何が一番困るかと言うと、この託宣は作者にとって神託にも等しい存在なので、これが無ければ作品を書く事が出来ないのである。

 つまり、託宣が来なければ作家としての生命が断たれる訳で……。

 必死に資料を漁り、物語を吸収し続けるのも、この託宣が降りやすいようにという努力と言えよう。

 決して遊んでいる訳じゃないんだからね!ね!!

 さて、そんな巫女系作家が、物語を書き続ける上で一番困るのは何か?

 それは託宣に連続性がないという事にある。

 例えば悪役令嬢の託宣が降りて書いているとしよう。

 で、書いている途中に何を血迷ったか戦記物の託宣がやってきたりする。

 仕方ないので戦記物を書きだしたら、不意に官能小説の託宣が降りる始末。

 私はこれをテレビのチャンネルに例えていたりする。

 チャンネルをテキトーに回すと、番組が切り替わるあれだ。昭和と平成の読者はこれでわかると思うが、令和だと伝わりづらいのは科学技術の進歩と我々の生活の変化のたまもの……話がそれた。

 こういう時に手っ取り早いのは、その託宣シーンを書くだけ書いて、続きを放置するというケースである。

 もちろん、起承転結なんてある訳もない。

 プロ作家なら間違いなくぶん殴られるが、時代が私みたいな巫女系作家に救済を与えた。

 

 小説投稿サイトである。

 

 これ何が凄いかと言うと、挿入話が可能なのだ!

 つまり、クライマックスを書いて、後から冒頭部を書くことが可能!!!

 これ本当で、私が毎日投稿という地獄を経験した時はこの技を使って難局を乗り切っていたりした。

 巫女系作家にとって小説を書き続ける上で何が一番困るのか?

 それは次のシーンがの託宣が確実に降ってこない事で、書き始めたものの、途中で止まってしまうのがほんとーーーーーーーーーーによくあるのだ。

 これをネット小説界隈では『エタる』と言う。

 元々は別業界で使われていた言葉と知ったのはこれ書いて確認検索をした為。いや本当にありがとう。ネットよ。

 とにかく、マグロよろしく筆が止まると死ぬので、挿入話を入れて入れて入れ捲って物語の導線を増やしまくって止まらないようにした結果、2000字程度なら託宣ありで2時間で書けるという人間に。

 腱鞘炎がなければ未だそれができるのだが……嘆きながらプロになった時点で筆のスピードを落とす事にしたのである。

 かくして、巫女系作家は少ない完結の代償よろしく多くのエター作品を乱造する宿命にあると読者諸君に言い訳して……ああっ!石を投げないでっ!!!

 

 で、AIに話が移行する。

 巫女系作家は託宣に導かれて物語を紡ぐから、意図も狙いもキャラクターすら作者の私すらわかっていないのだ。

 それをAIくんはだね。

 ネットの集合知という平均的確率で託宣を解説してくれるんだよ。

 つまりだ。

 エタらせた物語を強引に再稼働できるのではと試したら見事に当たった。

 

「AIくん。こんなシーンを書いたのだけど、ここからどういうストーリーにしたらいいと思う?」

「そうですね。こういう小説だと一般的にこう……」

 

「AIくん。このシーンの主人公とヒロインってどんな設定で、どんな容姿をしていると思う?」

「たとえば、よくあるパターンとして……」

 

「AIくん。このシーンを書いたのだけど、ここから先どうすればいいと思う?」

「いくつか案がありますが、このシーンでは……」

 

 すげぇ。

 正直今年に入ってからのAIの進化は大陽線ストップ高で使い勝手がいい。

 あれ?

 これ私いらないんじゃね?

 という事でAIくんに禁断の質問をしてみる事にした。

 

「AIくん。こんなシーンを書いたんだけど、私の代わりに続きを書いて!」

「OK!」

 

 できた。この時の衝撃と感動は言い表せない。

 世の作家なら『仕事が奪われた』と怒る所だろう。

 だが私は巫女系作家。続きが書けなくてエタらせていた物語の続きを読者として読めたこの感動をどう表現すればいいのだろうか?

 昨今AIまわりは著作権などで旗幟を鮮明にしないクリエイターが多いが、私がAIを使う旗幟をはっきりさせたのはこれが理由である。

 

 なお、ここまで書いておいてなんなのだが、AIくんは便利ゆえに万能ではない。

 よくAIくんと喧嘩をするのはこんなパータンである。

 

「ここのシーン毒が強いですから、もっと薄めるか削除しましょう」

「ちげーんだよ!!この毒が書きたくて託宣降りてきているんだからよぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 だから私は物書きとして生きていけると確信しているのである。

 作家と言わない謙虚さを褒めてもらっていいですよ……だから石をなげないでぇぇぇ!!

 

 

 

 ついでに察していると思うが、このエッセイそのものが託宣だったりする。

 頭に残り続けると他の託宣の邪魔だからこうして吐き出……やめて!石を投げるの禁止ぃぃぃ!!!




エターナる とは【ピクシブ百科事典】 https://dic.pixiv.net/a/%E3%82%A8%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%8B?utm_source=twitter&utm_medium=social&utm_campaign=article #ピクシブ百科事典 #pixiv
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