『SyngUp!』のプロデューサーは足を引っ張ると殺される 作:プロデューサー科のもの
私の後ろに立っていた
「……待ってください、プロデューサー」
「どうしましたか、月村さん?」
そう言って振り向くと、月村さんと賀陽さんがわたしを睨みつけており、秦谷さんはと言うと困ったような顔で私を見ていた。
そして、月村さんは私を睨みつけたまま、少し迷った様子だったが言い放った。
「言いたいことはいっぱいありますが……私たちに無断で、担当アイドルを増やすなんて……この浮気者!」
「誤解です」
そう言って月村さんを宥めるが、
「そういうなら、説明してもらおうかしら?
私も、納得のいく説明が欲しいのだけれど?
その子をスカウトするにあたって、私たちに断りがないのはどういうつもりなのかしら?」
賀陽さんはいつもよりドスが利いた声を出しており、隣にいる藤田さんが怯えている。
「藤田って、赤点まみれの落ちこぼれだよね?
本当にそんな落ちこぼれが、私たちに足りないものなんて持っているんですか?」
「いらー……いやいや、まだ我慢……」
怯えていた彼女だったが、月村さんに言われて苛立ちを必死に隠しているようだ。
そして賀陽さんもさらに追及してくる。
「私も気になるわね。
私たちになくて、必要なもの……
遠回しに体調管理もできないような人が、何をできるのかと煽るように言い放った。
だが、それに対しては明確に言えることがある。
「一つは、交友関係が広いこと、要するに『社会性』です」
そう、藤田さんの凄いところは
「わ、私たちが社会不適合者とも言いたいんですか!!!??」
「事実でしょう。
顔が良くてライブが素晴らしいのは、美点ですし伸ばしていくべきですが、それとこれとは話が別です。
クラスで他のお友達はいますか、ユニットメンバー以外で」
プロデューサーとして既に先生方から話を聞いているので、いないのは百も承知だが敢えて聞く。
「…………………いません」
「別に、必要ないわ」
「皆さん良い方ではありますが、有象無象には興味ありませんから」
「そういうところです」
『
そして、それを聞いて藤田さんは顔色をさらに悪くして私に耳打ちしてくる。
「……もしかしなくても、『SyngUp!』って問題児の集まりなんですか?」
「そうです。
藤田さんには、外付けストッパーとしても期待しています」
「無茶言わないでください!!
プロデューサーは知らないかもしれませんけど、こいつら、クラスで多方面に喧嘩を売りすぎてるのに成績は上位を独占してるせいで、みんなから恐れられてるんですよ!」
私が何気なく言った一言で、藤田さんは声を荒げた。
耳元で大声を出され、耳が痛くなる。
「え……?
私たち、そんな風に思われてるの……?」
物理的ダメージを負った私だったが、目の前の月村さんは精神的ダメージを負ったようだ。
しかし、他の二人はそうではなかった。
「まあ、当然ね」
「わたしは……喧嘩を売るようなことをした覚えはありませんよ」
「秦谷さんは最近までそうでしたねー!
でも、サボるようになってから猶更成績上がってて、余計にタチ悪くなってんだよ!
先生だって匙投げちゃってるし~」
藤田さんは早速ストッパーとしての役目を果たしたいのか、これまでにない勢いでツッコミに回っている。
「ああ、なるほど。
だから、皆さんわたしのことを畏怖の眼で見ていたのですね。
なかなか悪くない気分でした」
「褒めてねーんだよ!!」
「ふふふ…藤田さん、そちらが素、なんですね」
そんな藤田さんをにこにこしながら受け流す秦谷さんは、やっぱり問題児の筆頭候補なのだろう。
そして、図星を指された藤田さんは露骨に私に媚びてきた。
「あ、ぷ、プロデューサー♡
今のは忘れてくださぁい♡」
「別に猫を被らなくてもいいですよ。
寧ろ、もっといろいろな姿を見せてくれた方が、プロデューサーとしては助かります」
「わ・す・れ・て・く・だ・さ・い・♡」
「……そこまで言うのであれば、見なかったことにしましょう」
本心だったのだが、そこまで強く否定するのであればおとなしく引き下がったほうがいいだろう。
猫を被っていた彼女が出した圧はかなりのものだった。
「おっ願いしまーす」
藤田さんがそう言ったことで、弛緩した空気になったが、すぐに賀陽さんが本題に戻す。
「で、それで弁明があるなら聞こうじゃない」
「さっきも言った通りですよ。
『SyngUp!』がさらに成長するためには、あなた方の問題点を最低でも理解、可能であれば克服してもらう必要があります。
そのために、
「都合がいい女みたいな言い方されてるけど、あなたはいいの?」
「言い方は気になるけど、間違ってないかんナー。
それに、あたしもプロデューサーを利用しているようなもんだから、文句は言えねぇって。
さっきも言ったケド、あたしも結構崖っぷちだから、手段を選んでられるような状況じゃねーし」
「そう。
ふふ、さっきよりもいい顔してるじゃない。
少し気に入っちゃったかも」
思いのほか賀陽さんからの感触は悪くないようだ。
さっき、本音で話してもらったのが良かったのだろう。
藤田さんの家族思いなところは、賀陽さんにも刺さるものがあったはずだ。
「燐羽まで!?
プロデューサー、さっきも言ったけど、落ちこぼれの藤田に教わるようなことなんてあるの!?
『社会性』が大事なのは…まぁ、わかりますけど、それなら別に他の人でもいいんじゃないですか!?
この前ライブ映像撮ってた、花岡だっけ?
あの子の方が成績良いし、落ちこぼれの藤田よりいいでしょ」
「いらー……」
当然面白くないのは月村さんだ。
憧れの賀陽さんまで藤田さんの味方になろうとしたら、面白くないのは当然だ。
その苛つきを私にぶつけているが、藤田さんのフラストレーションも少しずつ溜まっている。
……そろそろ頃合いだろう。
「それ以外にも理由はあります。
それをお見せするには……藤田さん」
「はーい♡
プロデューサー、なんですかー?
プロデューサーのためなら、何でもしますよー♡」
言うことは前の月村さんに言った時と同じだ。
そして、
詐欺師であってはならない。
「ではさっそく、
「はえ?」
「は?」
「ふーん」
「へぇ…」
呆ける2人と、お手並み拝見と言わんばかりに後ろで様子を見ている2人。
少しの間があり、正気に戻ったのは藤田さんの方が早かった。
「え? え?
プロデューサー、本気で言ってます?」
「ええ、本気です。
三日もあれば十分でしょう」
「いやいやいや、今までの話、聞いてました!?
あたし、成績がドベで、そっちの月村さんは成績最上位なんですよ!?
三日で勝てるわけないでしょ!!」
必死に否定する藤田さんを冷めた目で見ながら、月村さんが正気に戻る。
「ふーん…プロデューサーは、私が藤田に負けると思ってるんだ」
「仮に藤田さんが負けるとしても、月村さんが納得できるような結果にはなるはずです」
私は月村さんの眼を見ながらそう言った。
恐らく、彼女も以前の今の状況と同じようなことを仕掛けた身だから、この勝負から逃げることはない。
「……絶対に、認めないから」
自分と重ねながらも、自分よりも遥かに格下のはずの彼女に、プロデューサーから負けると言われておとなしく受け入れられるような彼女ではない。
そして、事務所を出る直前に出た彼女の捨て台詞は、震えていた。
「あ、手毬…プロデューサー、後で私からも話があるわ。
逃げたら殺すから」
「逃げませんよ。
ですが、今は月村さんについていってあげてください」
今の私が月村さんを追いかけてフォローするのは逆効果だ。
だが、一人にすることも当然するわけにはいかないため、賀陽さんにフォローをお願いする。
「そうするわ」
「それではわたしもこれで失礼しますね」
「秦谷さんは待ってください」
秦谷さんも月村さんを追いかけようとするが、引き留める。
本来であれば彼女も月村さんのフォローに回すべきなのだろうが……彼女には大事なお願いをする必要がある。
「?
まりちゃんが心配なのですが…」
「秦谷さんにはお願いしたいことがあります。
月村さんの件は、賀陽さんにお願いしているので、ここは話を聞いてくれませんか?」
そう言うと秦谷さんは、渋々私の隣に座った。
そして、有無を言わせない声音で呟く。
「……後で
「ええ、構いません」
「はぁ……。
それで、お願いしたいこととは何ですか?」
ここが一番重要なことだ。
藤田さんが、月村さんに認めてもらうようになるためのキーパーソンは秦谷さんだ。
「藤田さんを、勝負の日まで軟禁して甘やかして寝かしつけてください」
「え?」
「なるほど…そういうことですか」
私のお願いにすぐに納得する秦谷さんは、やはり理解が早い。
「藤田さんのパフォーマンス低下の原因は……言ってしまうと、藤田さんが意識してしまうので秘密にしておきましょう」
「そこは言ってほしいんですけど!!」
「わたしにそれをするメリットはないのですが。
まりちゃんの方が心配です」
「プロデュースの一環と言うことで、今日の午後から勝負の日までお休みをいただけるように担任の先生に交渉させていただきます。
それと、もし来年3組に組み込まれそうになった場合は、そうならないように全力をかけて交渉させていただきます」
正直ここが一番怪しい。
秦谷さんに提示できるメリットは少なく、それでいて数日拘束するようなお願いだ。
だが、秦谷さんは少し考えて、それならいいでしょう、と受けてくれた。
「あたしの意思は!?」
肝心の藤田さんを置き去りにして。
だが、彼女にこれを拒否できる余地はない。
「断っていただいても構いませんが、がむしゃらにレッスンしても月村さんには勝てませんよ」
「うぐっ!
それは、そうですけど…休んでるだけで勝てるとも思わないんですけど!!
それに、放課後はアルバイト入れててー…」
「休んでください。
もし、代わりの人が見つからず、人手不足でバイト先が困るようであれば、私が出られる場所であれば代わりに出ます」
「マジですか…」
アルバイトの経験何ぞ、10年以上前になるが、担当アイドルのためを思えばできない事ではない。
最終手段ではあるし、可能ならばしたくないが、先に提示しておくことで逃げ道を塞いでおく。
「秦谷さん、藤田さんが勝手にアルバイトに行かないように、捕まえて監視してください」
「ええ、お任せください」
自信満々に頷いている秦谷さんを見て、少し心配にもなるが、藤田さんなら大丈夫だ……そう信じよう。
「うげぇ…マジですか~」
心底嫌そうな顔をしている藤田さんをさておき、秦谷さんに念押しする。
「それでは、藤田さんはお任せしますよ、秦谷さん。
他の二人にはお任せできないので、あなたが頼りです」
「プロデューサー、お任せください。
藤田さんを甘やかし、寝かしつけて、わたしなしではいられないようにしてあげます」
「なんか怖いこと言ってるんですけど!!??」
こう言ってはいるが、秦谷さんが私の期待を裏切ったことは……それなりにあったな。
真剣なお願いをしているときは、裏切らない彼女だから、大丈夫だとは思うが……定期的に様子を見るのは確定だ。
それに、あまり時間の余裕はない。
「秦谷さん、藤田さんをお願いします。
藤田さんは、秦谷さんと一緒にお休みしていてください。
私はこれから中等部に行って事情を説明してきますので」
「え、もしかして授業もお休みですか?」
「もちろんです。
それに、その様子では授業中も寝てばかりいるのではないですか?」
「ギクッ」
「口で言う人は久しぶりに見ました。
授業中に寝るよりも、しっかり横になって眠ったほうが体の疲れが取れますよ」
「で、でもー、落ちこぼれのあたしがサボるようにまでなったら、内申点も落ちちゃうじゃないですかー」
「授業中に寝るようであれば、そう評価は高くなりませんし、そこは先生に何とか頼み込んでみます。
悪いようにはしません」
そう言って説得すると、藤田さんは観念したように項垂れた。
「うぐーー。
わかりました、わかりましたよ~。
プロデューサーの言う通りにします~」
「それでは、秦谷さん、お任せしますよ」
「ええ、任せてください。
それでは藤田さん、いきましょう」
「はーい……って、どこにいくの?」
「わたしの寮の自室……にしようかと思ってましたが、まりちゃんが同室なので、藤田さんの部屋にしましょうか」
「あたしも同室の子いるんだけど」
「わたしの方よりましでしょう。
藤田さんが気にしないなら、まりちゃんと一緒に寝かしつけてあげますよ」
「それだけは勘弁して……わかった、わかった。
同室の子にも連絡入れておくから~」
「それと、バイト先への連絡もしてくださいね。
するまで帰りませんので」
「はーい……はぁ、代わりの子見つけないと~。
プロデューサーはああ言ってくれたけど、最終手段だナー」
そう言いながら秦谷さんと藤田さんは事務所を出て行った。
二人が出て行ったのを見送り、私は中等部に足を向ける。
先程も言った通り、中等部の先生に話をつけるためだ。
それに、賀陽さんとも話をしなければならない。
『H.J.I.F』の
恐らく、その貴重な時間を内ゲバに使うような者は私たちぐらいだろう。
だが、上手くいけば『
学マスのストーリーはどの程度進めていますか
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アプリをそもそも入れていない
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どのキャラも親愛度10未満
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特定のキャラのみ親愛度10まで
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特定のキャラのみ親愛度20まで
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全キャラ親愛度20まで
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特定のキャラのみ親愛度27まで
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解放可能なキャラ全て親愛度MAX