『SyngUp!』のプロデューサーは足を引っ張ると殺される 作:プロデューサー科のもの
「さぁ、藤田さん。
こちらへいらしてください」
「ここ、あたしたちの部屋だけどナー」
プロデューサーに丸め込まれてから、早2日目。
すっかり
これまで、
でも、勝負は明後日に控えているから、気持ちが少しそわそわしている。
秦谷さんは、初日にあたしの部屋に来た後、電話とチャットでアルバイト先に連絡し、バイト代わってくれそうな友達をあたろうとしている間に、部屋の掃除と寝る準備をしていた。
寝る準備と言うのは、あたしが寝やすいようにと湯たんぽを用意していたのと、自室から毛布を持ってきていたからびっくりした。
初対面は嫌われていると思っていたけど、プロデューサーの指示だから仲良くしてくれてるのか、言われていたことはきちんとしてくれるらしい。
バイト先に連絡したら、代わりが見つかったので心配しなくていいよと言ってくれ、次の日以降のバイトを代わってくれそうなあてもできたから、そのまま秦谷さんに導かれるまま寝てしまった。
気づいたら夕方で、起きたら秦谷さんがご飯を用意してくれていて、あたしが起きるまで同室の子と話していた。
あたしも起きたら同室の子にいろいろ聞かれたが、秦谷さんから説明してくれていたみたいでスムーズに話が進み、驚いたけど私も応援してるから頑張ってねと言ってくれた。
……
同室の子は最初こそ美鈴ちゃんに怯えていたが、食事で懐柔されていた。
あたしも実家に帰ったら料理を作っているが、美鈴ちゃんの料理はとてもおいしい。
普段はあんまり食べないあたしでも、ついつい食べ過ぎちゃいそうになるぐらいにはおいしい。
食べ終わった後、お腹がいっぱいになったらまた眠くなってきてしまい、そのままシャワーも浴びないままベッドにダイブしてしまった。
次の日、起きたら8時過ぎ。
思わず飛び起きて学校に行く準備をしようとして、美鈴ちゃんに止められて学校を休まなくちゃいけないことを思い出した。
朝ごはんがすでに準備されていて、朝ごはんを食べて……昨日、シャワーも浴びないで寝てしまったことに気づいて、ご飯を食べたらお風呂に入ることにした。
寮の大浴場の清掃時間は11時からだったから、まだ間に合うはず。
お風呂に行こうとしたら、美鈴ちゃんも一緒についてきてびっくりした。
一人で入れるからって言ったんだけど、逃がしませんよと言われて、片時も離れてくれなかった。
お風呂場で髪を洗ってもらい、体を洗ってもらうのはあたしの尊厳が死ぬから何とか死守して、お風呂に入った。
最近はシャワーで済ませることも多かったから、お風呂にのんびり入るのは久しぶりで、気持ちよかった。
そして、また部屋に戻ったら、さっそく美鈴ちゃんがベッドまでいって、手招きして今に至る。
このままではまた眠らされてしまう……でも、プロデューサーからしっかり休むように言われているし……でも、流石に連続で寝すぎて、今はあまり眠くない。
「?
藤田さん、寝ないのですか?」
「いやいや、流石に寝すぎて眠くないって」
「そうですか?
わたしはまだまだ眠れますけど…」
コテンと首を傾げてあたしを見てくるが、この人、普段どれだけ寝てるんだ…?
いや、違うか。
「美鈴ちゃんはご飯作ってくれたりしてるから、あたしより早く起きてるもんナー。
本当に、ありがとうね。
昨日の夕飯も、今日の朝ごはんも、とってもおいしかった!」
「まぁ…どういたしまして。
プロデューサーからの指示ではありましたが……喜んでもらえたなら、よかったです」
そう言ってにっこり微笑む美鈴ちゃんを見ながら、昨日から考えていたプロデューサーのことについて、踏み込むことにした。
「……その、プロデューサーのことなんだけどさ」
「プロデューサーがどうかしましたか?」
「いや、あたし、色々考えたんだけど……そういえばプロデューサーのことって、何にも知らないなーって。
美鈴ちゃんたちもだけど、これから一緒にやっていくのに何も知らないのは問題だと思う」
「そうですね」
あたしが真剣に話し始めると、先程のほわほわしたような様子ではなく、同じように真剣みを帯びた表情になってくれている。
そんな美鈴ちゃんを見ながら、ベッドの横に腰かけた。
美鈴ちゃんも、同じように隣に座る形になっている。
「だからさ、色々教えてほしい。
プロデューサーのこととか」
美鈴ちゃんは少し迷った顔をしたけど、すぐに承諾してくれた。
「………いいでしょう。
プロデューサーも、それがお望みのようですので…教えられる範囲でお教えします」
「じゃあ、さっそくなんだけど、プロデューサーってどんな人?
昨日、プロデュースの話をしたときはなんでこんなに知ってんの!?ってぐらい、色々知ってたんだけど、美鈴ちゃんたちの時もそうだったの?
プロデューサーって、みんなあんな感じだったりする?」
「他のプロデューサーの人たちのことはわかりませんが、そうですね……プロデューサーは、
わたしたちのときは、初対面で全員にソロ曲を用意してくれましたね」
「全員にソロ曲!?
え、でも
「プロデューサーからの指示で、『初』だけで
一瞬何を言っていたのかわからなかったけど、理解したら理解したであたしはとんでもない人についてきてしまったことに気づいてしまった。
「ええー…折角のソロ曲をまだ披露してないのがそんな理由…?
マジか~…もしかして、プロデューサーって結構厳しい?」
「信頼の結果だと思ってますが、客観的に見たらかなり厳しいかと。
そうじゃなければ、いきなりまりちゃんと勝負、なんて言いません」
それは本当にそう。
「だよナ~。
ぶっちゃけ、月村さんに勝てる気なんて欠片もないんだけど、美鈴ちゃんはどう思う?」
あたしがそう聞くと、美鈴ちゃんは凄く困ったような顔をして言い渋っているようだった。
素直に言ってね~と言うと、観念して話してくれた。
「……まりちゃんが負けるわけありません。
ですが、プロデューサーがあそこまで言う以上、藤田さんに勝算がないとも言い切れません。
わたしは全面的にまりちゃんの味方ですが、今回限りは
う~ん…予想はしてたけど、美鈴ちゃんは月村さんの味方。
ユニットメンバーなんだから当然と言ったら当然なんだけど……少し寂しくなってしまう。
それと同時に、プロデューサーからの期待が重すぎることを改めて理解し、それに乗っかっている美鈴ちゃんも少しは期待してくれているって思うと…。
「うわ~。
期待が重い~」
「勘違いしないでくださいね。
藤田さんを信頼しているのではなく、藤田さんに期待しているプロデューサーを信頼しているのです。
そこを履き違えないでください」
「わかってるって~。
じゃあさ、質問なんだけど、なんでそんなにプロデューサーを信頼してんの?」
これは、そこまで『SyngUp!』について知らなかったあたしでさえ感じている疑問だ。
周りの友達も気になっている人は多かった。
「なんで、とはどういう意味でしょう?」
「怒らないで聞いて欲しいんだけど、『
付き合いの長さだけが大事とは思わないんだけど、そこまで信頼してるのには、何か色々あったんじゃないかなーって思ってさ」
中等部の3年生の間で、一時期この話題で持ちきりだったのは最近のことだった。
プロデューサーがついている生徒は、中等部ではほんの一握りしかいないし、今の中等部では『
高等部に入ってからスカウトされることが多いみたいだし、中等部でスカウトされるのは、例年ほんの一握りでほとんど3年生になってかららしい。
だから、プロデューサーがついただけで、なんでそんなに信頼しているのかが気になった。
月村さんと賀陽さんが更に上達したのは、プロデューサーのおかげとか、美鈴ちゃんが授業をサボるようになったのはプロデューサーのせいとか、色々と噂していたけど、実際どうなんだろう。
「そうですね……思えば、まだそこまで経ってないのですね。
あまりにも楽しいことが多くて、すっかり忘れてしまいました。
りんちゃんが少しだけでもやる気になったことも、まりちゃんが独り立ちしようとしてわたしを見てくれたことも、わたしに自由にしていいと言ってくれたことも……プロデューサーは『
「何があったのかよくわかんねー。
もうちょっと説明してほしいカモ…」
「それは…少し難しいですね。
『SyngUp!』結成当時のことから、説明しないといけなくなりますし、りんちゃんとまりちゃんのことを詳しく1から話さないといけません」
「それは、聞くなら全員いる時に聞いた方がよさそうだナ~…。
よくわかんないけど、そういう積み重ねがあったから、信頼してるってこと?」
「簡単に言うと、そうですね」
「う~ん…こればっかりはもうちょっと付き合いないとわかんないかもナー。
今の段階でも、あたしのことを理解しようとしてくれて、どん詰まりの状況も変えてくれそうで、文句なしの好感度二重丸だけど」
そう言うと部屋の中の温度が少し下がった気がした。
美鈴ちゃんを見ると、目からハイライトが消えて黒に染まっている。
地雷を踏みぬいてしまったらしく、めっちゃ怖い。
「プロデューサーはわたしのものですよ?」
目が怖いけど、これ、嫉妬だ。
まだあんまり話してないけど、美鈴ちゃんはプロデューサーをとても気に入っているんだろうな~。
そう思うと可愛く思えてしまったからか、ちょっとしたいたずら心が出てきた。
「横から掻っ攫っちゃおうかナ~」
「………」
久しぶりにぐっすり眠って心に余裕ができたのかもしれない。
昨日までのあたしだったら、こんなことはできなかった。
軽い冗談のつもりだったんだけど、口元を膨らませた美鈴ちゃんは見るからに拗ねている。
目は怖いのに、口元を膨らませてて可愛く見えちゃう。
「冗談、冗談だって!
美鈴ちゃんにはよくしてもらってるし、そんなことしないから!」
「むぅ…」
まだちょっと不満げな美鈴ちゃんに、無理やり話題を変えて機嫌を直してもらわないと。
「そうだ、『SyngUp!』の話も聞きたいんだけど!」
「わたしたちの話…ですか?
さっきはお断りされたと思うのですが」
「そうなんだけど、あたしって美鈴ちゃんたちのことあんまり知らないからサ~。
ライブが凄くて、成績優秀で、あたしから見たら雲の上の人~って思ってて、全然知らないんだよ~。
結成当時の話から~とか、本人がいない場所で根掘り葉掘り~ってのはさすがにあれかなって思うんだけど、色々聞いておかないとなって。
噂だと、ファンに暴力をふるったとか、先輩をボコボコにして言いなりにさせたとか、先生すら命令に従うとか……どこまでが本当かわからないような噂がいっぱいあるけど、実際どうなの?」
「………もしかして、その噂、学園中に広まっているのですか?」
「全然興味なかったあたしが知ってるくらいだし、学園中にひろまってるんじゃねー?」
そう言うと美鈴ちゃんは少し項垂れている。
あんまり周りの評価とか気にしないもんだと思ってたけど、学園全体ってなるとやっぱり嫌なもんなんだナ~。
「…真実をお話しします。
信じるかどうかはお任せします」
「お願いしまーす」
「ファンに暴力をふるったのは…おそらくりんちゃんのファンサのことですね。
うちわでファンを叩いて、アイドル魂を注入するとか……まりちゃんは真似してましたが、わたしはやってません」
「うわぁ」
マジでやってたのかよ。
「先輩をボコボコにして、というのは、まりちゃんが卒業生に喧嘩を売った結果、対バンして『Campus mode‼』を歌うことを認めさせたことがあったので、それのことでしょう」
「何やってんの?」
マジでやってたのかよ。
「先生すら命令に従う…というのはデマですね。
まぁ、先生の言うことをわざわざ聞くこともありませんし、プロデューサーから好きにしていいと言われているので授業は出てませんが」
マジでやってたのかよ。
「って、じゃあ実質本当じゃん!」
「以上ですね」
こいつらマジか。
「噂が全部本当だとは思わなかったんだけど!?」
「最初から嘘だとは言ってませんよ」
「確かに…そうだけど…!」
クッ、確かに最初から否定してなかったケド!
「嘘じゃないなら、さっき項垂れてたのは何なの!?」
「面倒なことになっていそうで……少し気に病んだだけです。
りんちゃんに面倒ごとは押し付けてしまいましょう」
「もしかして、美鈴ちゃんが一番やばいのかもナ~」
「何か言いましたか?」
「ナンデモナイデス……」
その後も、あたしは美鈴ちゃんに甘やかされて、癒されて、ご飯を作ってもらって、たっぷりと体を休めることができた。
こんなにリラックスできたのは、多分小学生以来初めてだ。
今のあたしがどこまでできるのはわからないけど、プロデューサーも、美鈴ちゃんも期待してくれてるんだ!
ちっとも勝てる気はしないけど、勝つつもりで頑張るゾ~。
学マスのストーリーはどの程度進めていますか
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アプリをそもそも入れていない
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どのキャラも親愛度10未満
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特定のキャラのみ親愛度10まで
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特定のキャラのみ親愛度20まで
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全キャラ親愛度20まで
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特定のキャラのみ親愛度27まで
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解放可能なキャラ全て親愛度MAX