『SyngUp!』のプロデューサーは足を引っ張ると殺される 作:プロデューサー科のもの
予定通り、朝一で根緒先生に会うことができた私は、音楽関係の人の紹介を取り付けてもらえることになった。
昨日彼女たちに渡したソロ曲はまだ完成されていない。
曲を完成させるためには、音楽関係の人に引き継いで完成させてもらうか、技術を身に着けて自分で完成させるしかない。
どっちの選択にせよ、音楽関係の人と話をしていく必要がある。
『初星学園』はアイドル科やプロデューサー科があり、音楽業界にも明るい。
そのため、根緒先生に相談して紹介を取り付けてもらったというわけだ。
自分で一から探すよりも、学園の伝手を使った方が話が早い。
懸念があるとするならば、礼を失してしまうと学園全体の評判が落ちることになりかねないため、しっかりと準備をして臨む必要があるだろう。
予定の見通しが決まり次第、連絡をもらえることになったため、そのまま教室に向かうことにした。
昨日の夜に準備した通り、ノートパソコンを入れた鞄は多少重たくなっており、歩くたびにしっかりとした重量を感じる。
教室に入ったらあの空気の悪さのまま、今日も過ごさなければいけないことを考えると、ノートパソコン入れただけじゃない足取りの重さを感じながら、教室に向かった。
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教室についた私は、相変わらず誰からも挨拶を返されなかった。
だが、昨日よりも私の方を向いて、ひそひそと話しているような声が聞こえる気がする。
自分には関係ない雑談だろうと思い、気にしないようにした。
ノートパソコンを広げて、今日の予定を入れ始める。
今日は講義が3限目までなので、3限目が終了次第、中等部に向かってプロデューサー契約の書類を記載してもらう必要があった。
チャットツールを開き、昨日登録した賀陽さん、月村さん、秦谷さんそれぞれに、朝の挨拶とチャットのグループを作成するので、入ってほしいと伝え、3人のグループを作成した。
少し空き時間ができたので、契約書で自分が記入する必要のある個所を埋めていく。
3人全員がチャットグループに入るのを確認してから、中等部の授業終了時間を確認した。
今日は16時に終了するとのことだったため、終了後にレッスン室をキープしておくので、そこに来てくださいと伝える。
契約書を記載してもらうので、それの記載が終わってからレッスンをしてもらうことを伝えた。
最低限の連絡が済んだので、改めて自分が記載した契約書に不備がないか確認する。
上から下まで見返して、埋められるところはすべて埋めたことを確認してファイルにしまった。
「なあ」
ふと声をかけられた。
この教室で声をかけられるのは初めてだったため、少しの驚きを抑えつつ、そちらを振り向く。
振り向かれた先にいたのは、同い年ぐらいの男性。
髪は黒く、短めにそろえられており、スーツを着ている。
清潔感のある格好で、イケメンと言ってもいいぐらい顔が整っていた。
昨日も同じ教室にいて横目に見ていたが、プロデューサー科の同級生だ。
そんな彼だが、かなり張り詰めた雰囲気をまとって私に向き合っていた。
「…なんでしょうか?」
努めて平静にそう返す。
いきなり話しかけられて驚いてはいるが、昨日の教室全体の雰囲気からして、何か特別な要件がない限り話しかけてはこないだろう。
「お前、担当を持ったって本当か?」
人の口には戸が立てられないとは言うが、昨日の話が既にプロデューサー科まで広まっているとは思わなかった。
教職員の間では広まっていてもおかしくないから、既に教員と仲がいい生徒がいるということだろう。
「…はい、昨日『SyngUp!』の三人と契約を結ぶことになりました。
正式な契約の提出はまだですが」
私の言葉に驚いたような表情をした彼だったが、すぐに平静を取り繕っていた。
「…どういう風の吹き回しなんだ?」
…どういうことだろうか。
プロデューサー科の生徒であれば、
「どうも何も、言葉通りの意味ですが」
「お前、先週までは何を聞いてもほとんど反応しないし、やる気もなかった。その上、コネ入学なんだろう?
そんなやつがいきなりプロデューサーとしてやっていけるのか?
プロデューサーはアイドルの人生を左右してしまうこともある。
その責任がお前にあるのか?」
…なるほど、合点がいった。
コネ入学…そんなものが『初星学園』でできたとしても、続くとは思えないが…。
…なるほど、なんで私に対しての風当たりが強いのかがわかった気がする。
やる気のない態度、コネ入学の噂、恐らくこのせいだろう。
先週までの私は何をしていたのだろうか。
記憶がない以上、何を考えていたのかはわからないが、彼の言っていることが本当なのだとしたら嫌われるのも仕方ない。
ほとんど天涯孤独に近い身の上だから、そんなことはないと思うが、可能性として0じゃないことを考えると完全に否定することもできない。
だが、ここで認めることは冤罪を認めるのと同じだ。
「…先週の記憶は正直覚えていませんが、コネ入学のことは否定させてください」
「は? 現役合格で入学して、最初からアイドル科の生徒をプロデュースできる許可をもらっておいて、コネ入学じゃない?
お前がそれに相応しいやつなら考えたが、先週のお前はプロデューサーとしてとてもやっていけそうには見えなかった」
…そういえばそうだ。
すっかり忘れていたが、プロデューサー科の生徒とはいえ、いきなりアイドル科の生徒をプロデュースすることはできない。
だが、ここでコネ入学の件をしっかり否定しなければ、今後のプロデューサー科の生徒との交流の際に支障が出る。
事実とはったりを混ぜながら、言葉を選んだ。
「私は両親もいませんし、保証人にあたる親族とも会ったことがほとんどありません。
そんな私にどんなコネがあると思いますか?」
私の言葉に、彼は息を呑んだ。
教室全体で重い沈黙が落ちる。
嘘は言っていない。
私の両親は
「…」
「先週までの態度に関しては…申し訳ありませんでした」
そう言って深々と頭を下げる。
彼だけではなく、教室にいた生徒全員に向かって。
頭をあげると、全員がポカーンとしてこちらを見ていた。
「入学したばかりで浮かれていたのだと思います。
お恥ずかしい話ですが、今でも
3人のプロデュースプランについても、細部を詰めていかなければなりません。
私には、プロデュース契約を交わす以上、彼女たちをもっと輝かせていく必要がある。
そのためには、
そう言いながら、私は彼と目を合わせる。
これまでも自分に言い聞かせてきたが、改めて他の人から言われると身が引き締まる。
私は、彼女たちの人生を左右させてしまうかもしれない、立場にある。
そのことに対する重さを、もっと嚙み締めておかなければならない。
そうじゃなければ、自分に甘えてしまうかもしれないからだ。
少しの沈黙の後、彼が口を開く。
「…なんだ、そういうことなら、先週のガイダンスのこと教えてやってもいいぜ。
と言っても、そこまで大事なこともなかったけどな」
「よろしいんですか?」
「ああ、本当かどうかはわからないが、きちんと頭を下げて謝罪した奴を邪険にするほど、俺も人間捨てたわけじゃない。
プロデューサー業に賭ける思いも、伝わった。
これからも付き合いはあるだろうし、現役合格した上にこの短期間でプロデュース契約までいったってことは、学園の判断も間違えていなかったんだろう」
そう言いながら、彼は張りつめていた雰囲気を和らげ、笑顔を向けた。
「改めて、俺は
「私は
こちらこそ、よろしくお願いします」
朗らかに話す彼に、同じく自己紹介をして握手を交わす。
それをきっかけに、教室にいた生徒とも自己紹介をした。
私の選択は、どうやら正解だったようだ。
昨日まではプロデューサー科の生徒と、どのように和解しようか迷っていたが、無事に解決してよかった。
内心、ほっと胸をなでおろしながら、講義の時間になるまでプロデューサー科の生徒たちと交流を深めた。
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「ところで、今更なんだが『SyngUp!』ってあの『SyngUp!』か?」
「私が知っている限り、『SyngUp!』は中等部にあるユニットしかないと思いますが」
「やっぱりそうだよな…いや、馬鹿にするわけじゃないんだが、俺もまだ一週間しかここに来てないけど、『SyngUp!』のことは少し耳にしたんだよ」
「…どういったことですか?」
「いや、ただの噂だと思うんだが、『卒業生をボコボコにして言いなりにさせた』とか、『ファンに暴力を振るった』とか」
「…あながち間違いじゃないのが困りどころですね」
「まじかよ」
2限目が終わり、私は相上と二人で昼食を取ることにした。
菓子パンを持ってきていたのだが、彼が学食に行きたいといったため、一緒についていき学食で食べている。
プロデューサー科は男女の比率がほとんど同じだが、年齢層が幅広く、同年代の男子が少なかった。
そのため、先週はほとんど一人で昼食を食べていたらしい。
朝の件で少し仲良くなった私は、情報収集も兼ねて、彼と仲良くなっておきたいと思ったのだ。
「正確には、『卒業生に対バンライブで勝って【Campus mode‼】を解禁させた』『ファンをうちわで叩くファンサービスをしている』です」
「…それもなかなかすごいな」
「ええ、問題を起こすことにかけては、右に出るものがいないのではないでしょうか」
「よくそれをわかっててプロデュース契約しようと思ったな」
「その問題が問題にならないぐらい、彼女たちはアイドルとして輝いていけますからね。
プロデューサーがついて、多少問題をコントロールできるようになれば、完璧だと思ってます」
「コントロールできるのか?」
「…」
彼の言葉に目を背けた。
何せ、彼女たちが持ってくる問題は次から次へと現れるだろう。
「月村手毬」「秦谷美鈴」のストーリーを知っている身からすると、完全にコントロールできる自信はなかった。
「善処はします…」
「…まあ、がんばれよ」
そう言って相上は私を励ました。
「そういえばさ、プロデュース契約のための課題ってどんな感じだったんだ?」
そう相上に尋ねられたが、正直私もどんなことをしたのか覚えていない。
覚えていないというよりは、
「さあ…正直私も、何が原因でオーケーされたかわかっていないんです。
入学試験が終了して、入学するときには許可が下りてたって形だったので、よっぽど入学試験がよかったというのが推測です」
「そうなのか…」
「どうすればいいのか聞きたいのであれば、根緒先生に尋ねたら教えてくれるかもしれないですよ」
「根緒先生…?」
「根緒亜紗里先生です」
「ああー、あさり先生ね!
確かに、聞いてみる価値はあるな。
ていうか、篠崎は根緒先生って呼んでるのな」
「距離感が大事だと思ったので、あまりフレンドリーすぎるのも考え物かなと」
「そういうものか。あんまり気にしてなかったけど」
「先生本人は、あさり先生って呼んで欲しがっているみたいだから、そのままでいいんじゃないですか?」
「それもそうだな」
そう言って、学食を食べ終えた彼は、コップの水を飲みほした。
同じタイミングで、私も口を拭いて学食のトレーを返却口にもっていくために立ち上がる。
相上も同じように立ち上がり、二人で教室に戻ることにした。
「で、今日はこの後どうするんだ?
あ、講義の後の話な」
「プロデュース契約の書類を書いてもらうつもりです。
そのために、中等部のレッスン室を借りる形ですね。
それと、事務所用の教室の確認と、レッスンの見学、プロデュースプランの打ち合わせあたりを進めるつもりです」
「なるほどな。
プロデュース契約をすると色々できることが増えるとは言うが、忙しさも同じように増えると」
「当然ではありますけどね」
そう言いながら歩き、教室につく。
午前中に受けた授業と同様に、今後のことをまとめつつも講義の内容を聞き漏らさないように集中していた。
だが、頭の中は放課後のプロデュース契約の件でいっぱいになっていた。
学マスのストーリーはどの程度進めていますか
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アプリをそもそも入れていない
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どのキャラも親愛度10未満
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特定のキャラのみ親愛度10まで
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特定のキャラのみ親愛度20まで
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全キャラ親愛度20まで
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特定のキャラのみ親愛度27まで
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解放可能なキャラ全て親愛度MAX