交差する運命   作:門の主トルネ

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ユメ視点_知らない母校の景色


初めましての後輩たち

「ん、ホシノ先輩、先生にユメも、お帰り」

 

私とホシノちゃんがセイントさんに連れられて部屋に入ると、シロコちゃんをはじめとした、あの時校庭にいた面々が揃って出迎えてくれた。

 

「うへ~、みんな待たせちゃってごめんねー」

 

ホシノちゃんが少しおどけたようにそう返す。なんだかその様子に違和感があったが、他のみんなは慣れているようなので、あえて聞くことはしなかった。

 

全員が揃ったところで、改めて彼女たちが自己紹介をしてくれる。

3年生のホシノちゃんを委員長として、2年生のシロコちゃんとノノミちゃん、1年生のセリカちゃんとアヤネちゃんの5人の生徒(どうもこれで全校生徒らしい)で構成された対策委員会だと彼女たちは名乗った。

 

彼女たちの目的はアビドス高等学校の復活で、現在は生徒のいなくなってしまった学校の管理や、日々襲ってくるカタカタヘルメット団の対処などを行っているらしい。

 

それに答えるように、セイントさんもヘルムを外して挨拶をする。現れたロボットの顔を物珍しそうに見られることは最近は慣れてきたようだった。

セイントさんの自己紹介が終わった後、みんなの視線が私に集まる。

 

「改めまして、梔子ユメです。同じくシャーレに所属していて、皆さんのお手伝いに来ました。」

 

沈黙が流れる。みんなの表情を見れば何を言いたいのか分かる。「それだけ?」と。

それはそうだろうと自分でも思う。いきなり自分達の先輩が泣きついた相手なのだ、気にしない方が無理という話だろう。

とはいっても、まだホシノちゃんに私の身の上は話したけれど、ホシノちゃんからは仲の良い先輩だったことしか聞けていないのだ…

 

「えっと、ごめんなさい。私はここ1~2ヶ月より以前の記憶がなくて、あんまり詳しいことは私からは話せなくて…」

 

その言葉に、みんなは息を詰まらせ申し訳なさそうな顔をする。困らせたいわけじゃなかったんだけどなぁ…

助けを求めるようにホシノちゃんに視線を送る。こちらの意を汲み取ってくれて、代わりに話をしてくれた。

 

「ユメ先輩はねー、おじさんが1年生の時に当時3年生だった先輩でね。あの時は色々あったな~」

 

そうのほほんと答えてくれる。当時関わっていたホシノちゃんがそんな雰囲気なものだから、私の記憶喪失の件については余り言及しないでくれた。というか、おじさんって何?と思っていると、いくつかの言葉が聞こえてくる。

 

「ん、ユメって先輩だったんだ」

「先輩に見えなかった…ってことは19歳⁉」

 

「ひぃん、そんなに私って頼りないかなぁ⁉確かに私もさっき知ったんだけどね⁉」

 

何とも失礼な話である。私にはそんなに威厳というものがないのだろうか?こう見えても不器用ながらシャーレの仕事はやっているし、最近は戦闘にも自信があるのだが。

ホシノちゃんはその様子に反論してくれないし、むしろ何か微笑ましそうな目を向けてくる。なんだか複雑…

 

「それって…」

「もしかして、生徒会の…?」

 

ノノミちゃんとアヤネちゃんが、何かを思い出したように声に出す。生徒会とは何のことだろうか?と再びホシノちゃんに視線を戻すと、その疑問にも答えてくれた。

 

「そうだね、ユメ先輩はその時のアビドスの生徒会長だったんだよー。あの時は私が副会長ってことで、大変だったなぁ。」

 

衝撃の事実である。生徒会長?私が??その当時のアビドスの状況がどの様なものなのかは思い出せないが、1つの学校の長になっていたのは驚きだった。しかし、続く言葉は私をもっと驚愕させるとともに、落胆をさせた。

 

「ユメ先輩は変な人に騙されたり、突拍子もないことばっかりしてたねぇ~。よく捕まってるところを助けに行ったりもしたっけ。」

 

私はがくりと地面に膝をついた。実際、私は本当に頼りなかったようだ。当時の1年生の後輩にまで迷惑をかけるような、どうしようもない先輩だったという事実に、申し訳なさと情けなさが押し寄せてくる。あ、涙も出てきた…

 

「ひぃん…ごめんね、ホシノちゃん。頼りない先輩で…そんな先輩の面倒みさせて…嫌だったよね…?」

「あ、違っ、私は嫌だったわけじゃなくて、先輩の事が嫌いだった訳でもなくて…!」

 

あわあわと、ホシノちゃんが私の背をさすりながら慰めてくれる。ホシノちゃんは優しいなぁ、なんて思っていると、みんなが珍しいものを見たような顔でこちらを見つめる。

どうしたのだろう、と疑問に思っていると、シロコちゃんがみんなの気持ちを代弁するように言葉を発する。

 

「ん、ホシノ先輩がそんな様子なの珍しい。」

「ですね☆なんだか新鮮です!」

 

ノノミちゃんにまでそう言われ、みんなにうんうんと頷かれたホシノちゃんは顔を赤くして焦っている。

 

「あ、いやその…もう、ユメ先輩!!」

「ひどい⁉私のせい⁉」

 

まだ会って間もないというのに、なんだかお互いに気を許してしまっているような、不思議な雰囲気が周囲を包み、みんなで少し笑い合う。ほとんど置いてきぼりにしてしまっているセイントさんも、微笑ましそうな目で見守ってくれているからもう止まらない。

なんというか、こういう時のセイントさんってお父さんのような、むしろおじいちゃんのような雰囲気だから困る。流石にちょっと恥ずかしい。

 

「ほ、ほら!そろそろ話を戻そうよ!先生も困らせちゃうしさー」

 

わたわたと、ホシノちゃんがセイントさんを理由に強引に話を戻す。だしにされたセイントさんはハッハッハと笑いながら、「お邪魔だったかな?」とおどけながらも、しっかりと切り替えて話を始める。

 

「さて、皆が友になったところで本題に入ろう。これで補給の問題は解決したのだったな?」

「はい、先生のおかげでしばらくは問題がないでしょう。目下残っているのはヘルメット団の襲撃です。」

 

アヤネちゃんが先生の言葉に続いて状況を説明してくれた。どうやらここ最近は数日おきにヘルメット団の襲撃があるのが日常となっているようだった。「こんな消耗戦、いつまで続ければいいのでしょう…」と愚痴をこぼしているところを見るに、流石に辟易してるようだ。

 

「そういうわけで、ちょっと計画を練ってみたんだー。」

 

ホシノちゃんが現状を打開する方法を考えているらしい。私がその言葉の続きを聞こうとすると、周りから驚愕の声が聞こえてきた。何かおかしいのだろうか?

 

「え!?ホシノ先輩が!?」

「うそ…!?」

 

散々な言われようである。というか、さっきの私が脳裏をよぎる。なぜなのだろう。

 

「ん、きっとユメがいるから格好つけてる。」

「先輩に良いところ見せたいんですね☆」

 

「うへ!?違うからね!?おじさんも流石に怒るよ!?」

 

ホシノちゃんはそう言って頭を抱える。「先輩のマネをしてた弊害が…」なんてボソボソ聞こえる。まって、聞き捨てならないことを聞いた気がする。

 

「コホンッ、続けるよ。補給が出来てヘルメット団が疲れてる今が好機、すぐに前哨基地に攻撃を仕掛けて、こっちを襲えなくしちゃおうって計画。」

 

真面目な話で流されてしまい、聞きたいことを聞けなかったが、話を脱線させるわけにもいかない。後で問い詰めると決心してその計画を吟味する。

 

確かに、ヘルメット団が現在消耗しているのは確かだろう。こちらへの攻撃拠点を一網打尽にするチャンスではある。問題はこちらの疲弊具合だが、見たところ先ほど戦闘に加わった3人も特に疲れてる様子はない。

 

「ふむ、前哨基地の場所は何処だ?」

 

セイントさんもその案には賛成らしく、計画を詰める。前哨基地はここから30kmほどの地点にあるらしい。今から作戦を行なっても日が暮れる前に完了できそうだった。

 

「決まりだな、直ぐに出発する。各自補給を行え。」

 

セイントさんの号令で、私たちは準備に取り掛かる。

善は急げと、私たちはテキパキと準備を始める。運び入れた弾薬などを各自が装備している時、ホシノちゃんが声をかけてきた。

 

「ユメ先輩、盾って返したほうがいいですか?」

 

そう言って、『IRON HORUS』と文字が刻まれた盾をこちらに差し出してくる。それは恐らく、過去に私の武器だったのだろう。しかし、私は首を振った。

 

「いいよ、それはホシノちゃんが持っていて。」

「でも…」

 

少し渋るホシノちゃん。何か理由があるのだろうか、分からないけれど…

 

「少なくとも今の私にそれを使っていた記憶はないし、宝の持ち腐れだよ。昔の私にはそれを持つ理由があったのかもしれないけど…」

 

前に、セイントさんに言われたことを思い出す。「君は武器を持つことを良しとしなかったのかもしれない。」それは臆病故か、優しさ故か、今の私にはわからない。けれど─

 

「今の私には、この子がいる。引き金の重さも、それを引く覚悟もちゃんと決めたから。」

 

そう言って、『リトル・パラドックス』を掲げる。ホシノちゃんはパチリと目を開いた後、ふっと笑って「そうですか」と告げる。

 

「先輩が決めたなら、この盾は私が使いますね。」

「うん!任せたよ!」

 

私たちは準備を終え、セイントさんと合流して前哨基地へと向かっていった。

 

 

前哨基地へと向かう道中、私とセイントさんはみんなにヘルメット団についてを教えてもらっていた。

 

ヘルメット団。それはこのキヴォトスではほとんどの人は聞いたことがあるであろう名前だ。何処の自治区にいても、その存在を目にすることがある。ヘルメットを被った武装集団。

 

とはいえヘルメット団と一括りに言っても、場所や人ごとに細かく派閥のようなものが分かれているらしい。例を挙げると、現在進行系で向かっている前哨基地のカタカタヘルメット団、その他にもカクカクヘルメット団やジャブジャブヘルメット団などが存在しているらしい。また、各団のリーダー格はヘルメット団の幹部とも言われるらしい。

 

それらの話を聞いて、ふと疑問に思った。

 

「どうして、彼女たちはヘルメット団に所属することになったのでしょう?」

 

そう私が口を開いても、みんなはもちろん理由はわからないし、「気にしてもしょうがない」と言う。でも、私はどこか気にかかった。

セイントさんがこちらを見て、聞いてくる。

 

「彼女たちが集まる理由、非行に走る理由が気になるか?」

「はい、えっと…少し違うとは思うんですけど、ヘルメット団の構成を聞いて、前に教えてもらったエリクスニーのハウスを思い出して。」

 

私の言葉を聞くと、セイントさんは動きを止める。

『エリクスニー』、又の名を『フォールン(略奪者)』それはかつてセイントさんが人類を守るために戦った敵のことだった。

 

『フォールン』といっても、それは人類がつけた蔑称であり、本当の種族名こそが『エリクスニー』なのだというその種族は、種族のなかで「ハウス」という組織を形成した。名は「ハウス・オブ・デビルズ」、「ハウス・オブ・ウィンター」など様々だ。

それは政治的な派閥であったり、色々な別れ方をしたようだが、それらの「ハウス」には全て「ケル」という長がいた。それらの「ケル」は元々フォールンの貴族だったという話もあるが、そこまではわからない。

 

ただ、「ハウス」の構成がヘルメット団に似ているだけでそれらを重ねたわけではない。私は、『エリクスニー』が人類と戦うことになってしまった経緯を聞いて、セイントさんとは少し違った考えをもっているからだ。

 

私の考えを汲み取ったのか、セイントさんは顎に手を当てながら少し唸る。

前にこの話をした時も、セイントさんは何かを考えているようだったが、その答えは出なかったらしい。そしてそれは今も同じなようだ。

 

「少し、ヘルメット団の少女たちに話を聞く必要があるかもしれん。」

 

セイントさんは、小さくそうつぶやいた。それに私は頷く。

 

「はい、出来ればでいいんです。お願いします。」

 

「わかった」とセイントさんは告げて頭を撫でてくれる。私の思いが伝わったらしい。

 

そうしていると、アヤネちゃんから通信が入る。

 

『前哨基地が近づきました、敵のシグナルをこちらでも感知しています。』

「わかった、皆用意はいいな?向こうも我々に気づいている頃合いだ!気を抜かずに行くぞ!」

 

「「「「『了解』」」」」

 

私たちは、前哨基地に向けて走りだした。






ヘルメット団の設定周りを考えていたら、更新が遅れてしまいました。フォールンについては少しややこしいですが、今後書く場合はエリクスニーとして書くことが多くなると思います。(Destiny本編でもここはややこしいんです笑)

セイントとエリクスニーの関係と、ユメ先輩の考え方は次回少し深掘りしつつ、今後のへルメット団との関わりに繋げていきたいなと思っています。ユメがセイントにお願いをした理由、セイントがそれに対して聞き入れてはいるものの、反応が少し良くないのはなぜかなども伝えられればいいなと思っています。

クロスオーバー作品ならではの両作品の要素を入れ込む、難しいですねぇ…

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