セイントとユメがいるからこその少しの関係性の変化なども描きたいです。
「それではリン、私はこれからどうすればいい?」
改めてリンに問う。
「はい、まずは外郭地区にあるシャーレの建物に向かっていただきます。ヘリを手配するので少々お待ちください。」
そう言い、リンは通信端末を操作してどこかへと連絡を取り始めた。
すぐに繋がったようで、彼女は口を開く。
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……。」
ここからの移動手段は確保してくれるらしい。セイントには土地勘もなく、周囲のスキャンを担当するゴーストもいない現在ではありがたいことだった。
...のだが、端末からの返答はその出鼻をくじくものだった。
『シャーレの部室? ……ああ、外郭地区の? そこ、今大騒ぎだけど?』
「大騒ぎ……?」
『矯正局を脱出した生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』
「……うん?」
『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?』
あまりにも治安の悪い言葉ばかりが返ってきて、流石のセイントも頭を抑えた。銃火器が身近な世界とは聞いていたが、戦車までもがそう簡単に出てくるとは考えていなかった。確かにセイントのいた世界も若くして銃を取った子供はいた、しかしそれは人類の脅威から身を守るべく仕方なくであり、それでも戦車なんてものは子供が使うことはない。
『それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものがあるみたいな動きだけど?』
「……」
『まあでも、とっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な……あっ、先輩、お昼ごはんのデリバリー来たから、また連絡するね!』
ぷつり。と通信が切断された。
リンが連絡をしたのだから相手は連邦生徒会の一員なのだろう、それがこのような仕事ぶりでは混乱が収まらないのも納得だった。
「…………っ」
リンはプルプルと震えながら頭に青筋を浮かべている。
この様子を見るに彼女は常日頃から相当な苦労をしているのだろう。
先ほど怒りの言葉を向けてしまったユメもあわあわとしながら彼女をなだめている。
「あ、あの…、確か30kmでしたよね?その程度の距離であれば場所さえ分かれば私達で何とかしましょうか……?」
「い、いえ……。流石に場所も知らない人達だけに、しかも交戦地帯となっている道のりを行かせるわけには……。」
ユメの提案をゆっくり否定しながら、対応策について考えているようだった。
実際のところセイントとユメは道なき道を大量の敵の襲撃に遭いながら進んできた経験もあるので、そこまで問題にはならないのだろうが、先の会話でセイントに迷惑をかけていると自覚した手前そうはさせられないのだろう。
「……あの。」
そこに声がかかる。
見てみれば、これまでの会話を受けて何かを相談していた4人の少女たちがこちらを向いていた。
「私達に、シャーレまでの護衛と道案内をさせて下さい。」
思わぬ提案だった。「いいのか?」と聞くと彼女たちは既に考えをまとめていたようで、頷いて返す。
「もともと、私達の世界の問題に巻き込んでしまって、それの解決を押し付けようとしていたんです。それでも貴方、『先生』は手伝ってくれると言ってくれました。」
「それなのに、解決のために私達ができることをしないのは失礼にあたります。」
「自警団として日々治安維持の活動もしている、護衛もこなして見せるから手伝わせてほしい」
少女達の目をみる。それらはに確かな意思が見えた。
真面目で、優しい子たちなのだろう。セイントに問題を押し付ける意味を考え、自分たちなりにできることを探してくれた。そんな彼女達の決意を無下にできようか。思わずセイントの口から笑い声が漏れてくる。
「ハッハッハ!そうか!であればよろしく頼むぞ!」
「はい、任せてください!」
少女たちはそれぞれ早瀬ユウカ、羽川ハスミ、火宮チナツ、守月スズミと名乗った。
ユメも改めて彼女たちに自己紹介を済ませ、この場にいる全員の視線がセイントに集まる。
「では行くぞ、『先生』としての初仕事だ!」
「……そうはいったけども!どうしてこんなことになってるのよ!!」
ユウカは街の惨状に愚痴をこぼす。あたりには爆音と銃声が飛び交い、目線を上げれば巻き上がった煙が視界に入ってくる。
ここまでなるべく戦闘を避けて進んできたが、これ以上交戦を避けることは出来なさそうだった。
それを証明するかのように、多数の弾丸がこちらへと降り注いでくる。
何発かはユウカに当たり、彼女の不満は更に高まったようだった。
「いっ、痛っ! 痛いってば! あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!」
「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されてはいません。」
「うちの学校ではこれから違法になるの! 傷跡が残るでしょ!」
ヘイローを持つ者「それではリン、私はこれからどうすればいい?」
改めてリンに問う。
「はい、まずは外郭地区にあるシャーレの建物に向かっていただきます。ヘリを手配するので少々お待ちください。」
そう言い、リンは通信端末を操作してどこかへと連絡を取り始めた。
すぐに繋がったようで、彼女は口を開く。
「モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど……。」
ここからの移動手段は確保してくれるらしい。セイントには土地勘もなく、周囲のスキャンを担当するゴーストもいない現在ではありがたいことだった。
...のだが、端末からの返答はその出鼻をくじくものだった。
『シャーレの部室? ……ああ、外郭地区の? そこ、今大騒ぎだけど?』
「大騒ぎ……?」
『矯正局を脱出した生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ』
「……うん?」
『連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?』
あまりにも治安の悪い言葉ばかりが返ってきて、流石のセイントも頭を抑えた。銃火器が身近な世界とは聞いていたが、戦車までもがそう簡単に出てくるとは考えていなかった。確かにセイントのいた世界も若くして銃を取った子供はいた、しかしそれは人類の脅威から身を守るべく仕方なくであり、それでも戦車なんてものは子供が使うことはない。
『それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものがあるみたいな動きだけど?』
「……」
『まあでも、とっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な……あっ、先輩、お昼ごはんのデリバリー来たから、また連絡するね!』
ぷつり。と通信が切断された。
リンが連絡をしたのだから相手は連邦生徒会の一員なのだろう、それがこのような仕事ぶりでは混乱が収まらないのも納得だった。
「…………っ」
リンはプルプルと震えながら頭に青筋を浮かべている。
この様子を見るに彼女は常日頃から相当な苦労をしているのだろう。
先ほど怒りの言葉を向けてしまったユメもあわあわとしながら彼女をなだめている。
「あ、あの…、確か30kmでしたよね?その程度の距離であれば場所さえ分かれば私達で何とかしましょうか……?」
「い、いえ……。流石に場所も知らない人達だけに、しかも交戦地帯となっている道のりを行かせるわけには……。」
ユメの提案をゆっくり否定しながら、対応策について考えているようだった。
実際のところセイントとユメは道なき道を大量の敵の襲撃に遭いながら進んできた経験もあるので、そこまで問題にはならないのだろうが、先の会話でセイントに迷惑をかけていると自覚した手前そうはさせられないのだろう。
「……あの。」
そこに声がかかる。
見てみれば、これまでの会話を受けて何かを相談していた4人の少女たちがこちらを向いていた。
「私達に、シャーレまでの護衛と道案内をさせて下さい。」
思わぬ提案だった。「いいのか?」と聞くと彼女たちは既に考えをまとめていたようで、頷いて返す。
「もともと、私達の世界の問題に巻き込んでしまって、それの解決を押し付けようとしていたんです。それでも貴方、『先生』は手伝ってくれると言ってくれました。」
「それなのに、解決のために私達ができることをしないのは失礼にあたります。」
「自警団として日々治安維持の活動もしている、護衛もこなして見せるから手伝わせてほしい」
少女達の目をみる。それらはに確かな意思が見えた。
真面目で、優しい子たちなのだろう。セイントに問題を押し付ける意味を考え、自分たちなりにできることを探してくれた。そんな彼女達の決意を無下にできようか。思わずセイントの口から笑い声が漏れてくる。
「ハッハッハ!そうか!であればよろしく頼むぞ!」
「はい、任せてください!」
少女たちはそれぞれ早瀬ユウカ、羽川ハスミ、火宮チナツ、守月スズミと名乗った。
ユメも改めて彼女たちに自己紹介を済ませ、この場にいる全員の視線がセイントに集まる。
「では行くぞ、『先生』としての初仕事だ!」
「……そうはいったけども!どうしてこんなことになってるのよ!!」
ユウカは街の惨状に愚痴をこぼす。あたりには爆音と銃声が飛び交い、目線を上げれば巻き上がった煙が視界に入ってくる。
ここまでなるべく戦闘を避けて進んできたが、これ以上交戦を避けることは出来なさそうだった。
それを証明するかのように、多数の弾丸がこちらへと降り注いでくる。
何発かはユウカに当たり、彼女の不満は更に高まったようだった。
「いっ、痛っ! 痛いってば! あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!」
「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されてはいません。」
「うちの学校ではこれから違法になるの! 傷跡が残るでしょ!」
ヘイローを持つ者は頑丈で、多少の銃弾であれば大きな問題になることはない。ユメから聞いており、実際にベックスの攻撃にある程度生身で耐えていたユメを見ていたからこそ受け入れることができるが、それがなければガーディアンでもない生身の人間が無事であることが到底理解できなかっただろう。
「少女たちが銃で争う…余り良い世界とは言えないな」
セイントはそう一人ごちる。
それを聞いた彼女達はセイントが外の世界から来たことを再認識し、話し始める。
「今は先生が一緒なので、その点に気を付けましょう。先生を守ることが最優先。あの建物の奪還はその次です」
「ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスではないところから来た方ですので……、私たちとは違って、弾丸一つでも生命の危機にさらされる可能性があります。その点ご注意を!」
「分かってるわ。先生、先生は戦場に出ないでください! 私たちが戦っている間は、この安全な場所にいてくださいね!」
その言葉を聞いて、セイントは返す
「なに、気にすることはない。多少の銃弾であればこのアーマーが防いでくれる。むしろ前線に立つ方が私の性に合っているんだ。君たちには私の後に続いてもらう」
その言葉にユウカが驚いて返す。
「ちょっと、確かに強そうなアーマーだけど、衝撃を殺しきれるわけではないでしょ!ヘイローのない人間が銃撃戦に出るなんて……」
その言葉に、ユメが「あー...」と言葉を落とす
「セイントさんは多分問題ないと思いますよ?ここ1ヶ月ほど一緒にいましたが、銃弾程度もろともしないはずです。」
その言葉に、少女たちはキョトンとした顔をする。どこかまだ不安そうだ。
「ふむ、実際に見せた方が早いだろう。ユメ、前方にタレットとドローンがあるな?私がタレットを排除する。その時にドローンを処理してくれ。」
「わかりました、でもゴーストちゃんがいないんです、無理はしちゃダメですよ?」
「わかっているとも」
そんな2人の会話にあっけに取られていると、セイントは続ける。
「聞いていたな?敵の前にあるタレットとドローンは我々が排除する。君たちはそれが確認できた瞬間、前に出て後方の勢力の排除を頼む。出来るな?」
余りにも戦い慣れたその雰囲気に、皆思わず頷いてしまう。
その様子を確認したセイントはすぐさま行動に移した。
「ではユメ、行くぞ!」
「はい!」
2人は瞬く間に走り出した。
セイントが前を行き、その背中を盾にする形でユメが追従する。その速度はセイントの巨躯からは到底イメージ出来ない速さだった。
タレットがセイントを感知し、銃弾の雨を降らせる。
その様子に息を吞むユウカたちだったが、セイントは左手を前に出してアーマーでその銃弾を受けながらも、勢いを全く殺すことなくタレットに接近していく。
タレットまで一瞬で接近したセイントは右手に持つショットガンをすぐさま突き付け、ほぼゼロ距離で引き金を引いた。
雷鳴のような銃声が響き、タレットが破壊される。すぐさまドローンがそれに対処しようと動き出したところだった。
セイントが姿勢を低くし、両足を踏みしめる。
そこに駆け込んできたユメがセイントの背に向かって跳ね、更にセイントを踏み台にして高く跳びあがった。
一瞬にしてドローンに接近したユメはセイントが持っているショットガンによく似た銃、『リトル・パラドックス』を構え、引き金を引く。
パァン!!──
甲高い銃声と共に、ドローンが撃ち落された。
ユウカを含め、その場にいた全員があまりにも早い出来事にあっけに取られる。
しかし事前に作戦を伝えられていたユウカたちはすぐさま次の行動に移り、後方にいた不良たちに銃弾を叩き込み、瞬く間に無力化する。
「ふむ、上手くいったか」
「みたいですね、セイントさんは大丈夫ですか?ゴーストちゃんがいない状態ですが、何か違和感だったりはありますか?」
「問題ない、確かにこれまで通りとはいかないが、通常の戦闘では問題にならないだろう」
そう落ち着いて会話をする2人にユウカたちは驚いた。
セイントの強靭さ、そして巨躯に見合わないスピード、判断力、加えてユメも含めた連携まで完璧な戦闘だった。
「すごい……」
セイントはこれまでどんな経験をしていたのか、そんな興味が彼女達の中で湧いてくる。そしてそれに追従するユメも。
とはいえ今はシャーレに着くことが優先事項、その言葉を飲み込んで、声を掛ける。
「もう間もなくシャーレのビルです。この調子であれば問題なくたどり着くと思います」
「そうか、ありがとう。先ほどの銃の腕、皆実に見事だった」
「いえ、そちらこそ…」
そう話していた時だった。
キュルキュルキュルキュル──
全員がその音に反応し咄嗟に物陰に隠れる。
視線の先には履帯を動かし、シャーレビルの前を徘徊する巡航戦車の姿があった。
「ちょ……ここにきてあんなのまで出てくるなんて……」
ユウカが歯嚙みする。目標は目前だというのに、最後の最後で大きな壁にぶつかってしまった。
どうするかとセイントを見てみると、彼は顎に手を当てて何かを考えこんでいるようだった。
先生として次の作戦を思案しているのだろう。そう思い聞こえてくる言葉に期待をしていると、そこから出てきた言葉にはあまりにも予想外のものだった。
「あの戦車は私が何とかしよう、皆はここで待っていてくれ。」
ユメ以外の全員が驚愕の声を上げた、ヘイローを持つ者でも戦車の攻撃を受ければ無事とは言えない、それをアーマーがあるとはいえただの人間が引き受けるのはあまりにも非現実的だった。
「ちょ、なに言って…「セイントさん」
ユメが言葉を遮る、流石の彼女も先生を止めてくれるのだろうと考えて彼女を見ると、その顔にはどこか諦めたような顔が浮かんでいた。どうにも人を止めるときの顔には見えない。
「ゴーストちゃんがいないんですから無茶をしないでほしいんですけど…『光』は大丈夫なんですか?」
『光』とは、なんの事だろうか。
「私の中に確かに感じる、向こうのようにはいかないが、確かに少しずつ沸き立っているのだ。一度、どれだけ使えるのかを見ておきたい。」
話の内容が見えてこなかったが、ユメはそれ以上追求することはせずに「仕方ないですねぇ」と息を吐きながら言葉を続ける。
「もし無理だとか異常を感じたらすぐに撤退してください、私たちが援護しますから」
「ああ、頼む。…小言がゴーストに似て来たな?」
「そう思うならもう少し無茶を減らしてくださいね?」
小言を言ってはいるが、どこか気の抜けた言葉だ。彼女はセイントを信頼しているのだろう。
ユメはセイントとの会話を終えると、ユウカたちをみて言葉を続ける。
「これからセイントさんが戦車の破壊を試みます。私達はそれが上手くいかなかったときのバックアップをしますから、準備をお願いします。」
「え、えぇ。わかったわ」
疑問だらけだが、とりあえずは指示に従うことにした。各々持ち場につき、準備をする。
それを確認したセイントは頷いて私達に振り返り、
「では、行ってこよう」
軽い口調でそう言った後に、戦車めがけて駆けていった。
セイントは目にも止まらぬ速さで戦車へと駆けていく。相手は部隊を率いるでもない1人の歩兵が、それも急速に迫ってくることなど予想していなかったようで、明らかに反応が遅れていた。
この様子であれば戦車に接近することは容易だろう。しかし接近した後は?
セイントの武装はあのアーマーとショットガンだけだ。ロケットランチャーのようなものも爆弾も所持している様子はない。どのように戦車を無力化するのか、まさか乗り込むつもり…などと考えていると、セイントが戦車の前方で大きく跳躍をした。
セイントは天に左腕を掲げた。
そこに紫色の光が瞬く間に集まり、形を作る
センティネル・シールド
それは紫光を放つシールドだった。
それが何なのかはわからない、ただそこにいる少女たちは、その輝きから目を離すことができなかった。
瞬間、セイントの雄たけびが聞こえる
掲げた盾を振り下ろし、目にも止まらぬ速さで戦車へと一直線に落ちていく。
そのままの勢いでセイントは戦車の主砲へと突撃し──
衝撃と爆風。
それらによって巻き上げられた砂が一瞬皆の視界を遮った。
何度か瞬きをすると、それが晴れてくる。
視界の先にあったのは、主砲がひしゃげ、前面の装甲を大きくえぐられながら地面に突き刺さっている戦車と、両手をパンパンとはたきながらこちらに歩いてくるセイントの姿だった。
チュートリアル戦闘、ようやく終了です。書き溜めはここまで、実はこの後のワカモの扱いどうしようかまだ決めてない…(笑)