東方涙精潭   作:サラム

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 もうサブタイトルで予想はつくと思います。
 あの御方のファンの方、お待たせいたしました(^^;


第10話 〜紅魔館の爆弾娘〜

◇紅魔館の爆弾娘 〜カヒライス〜

 

 

 え〜……いきなりですが、非常事態です。

 ここ、紅魔館の地下にある大図書館。

 普段は非常に静かな空間で、パチュリー様が本を読んでたり、こあさんとイチャコラしてたり、魔理沙さんが本を盗りに来たりする程度なのですが、現在は非常に危険な状況となっております。

 

「いい加減になさい!フラン!!」

 

「お姉様こそ…わからず屋ぁぁっ!!」

 

 はい、我らがスカーレッツの姉妹喧嘩でございます。

 メイドの我々としては止めに入りたいのは山々なのですが、グングニルやレーヴァテインが唸りをあげるような中に入れるわけもなく…。

 そもそも、何故こうなったのか…。

 発端は数十分前、この大図書館でございました。

 はい、回想に入りま〜す。

 

 

〜数十分前、大図書館〜

 

 

「亡くなった翁には悪いが、これでカヒの能力が証明されたわけだ」

 

 パチュリー様とチェスをしながら、レミリアお嬢様が呟く。

 ちなみにお嬢様は劣勢の模様。

 私はというと、紅茶を載せたカートの傍で控えながら、時折お嬢様の問いに答えている。

 この話をするときは、人払いを完全に済ませてからだ。

 今も図書館の入り口ではこあさんが目を光らせているはず。

 

「貴女が死期を悟れるのは、概ね死の一週間前くらいなのかしら?」

 

 パチュリー様がクイーンの駒を進めながら訊いてきた。

 隣でお嬢様の小さな呻きが聞こえたが、それは気にせず答える。

 

「そうとは限りません。以前、一年以上前に感じたこともありましたし…。私が思うに、死の運命が動き出した瞬間から、私も感じることができるのだと…」

 

「誰かが殺意を抱いた瞬間、殺害計画が動き出した瞬間、重病にかかった瞬間、事故の要因が生まれた瞬間……だいたいそんな感じかしらね…」

 

 お嬢様はルークの駒でパチュリー様のビショップを取りながら呟くが、パチュリー様のナイトがルークを押さえた時点でまた呻いた。

 

「なら、貴女は咲夜の傍を可能な限り離れないように。少しでも早い方が、手の打ち様はあるわ」

 

「そうね……ここはもう良いから、下がって咲夜のところに…」

 

 そこまで言って、お嬢様の言葉が途切れた。

 言葉につまったわけではない。純粋に言えなかった。

 何故なら、お嬢様は横合いから高速で突っ込んできた何かに、かっさらわれるように飛んでいってしまったから。

 

「「え………?」」

 

 思わずパチュリー様と一緒に声をあげる。

 次の瞬間、派手な音を立てて本棚が一つ倒壊した。 

「な、なんなの?」

 

 舞い上がった埃にむせながら、パチュリー様が手をかざす。

 それだけで視界を遮る埃は吹き払われ、奥の本棚に突っ込んだレミリアお嬢様と、一緒に本棚を倒壊させたものの姿が見えた。

 

「フラン!?」

 

 そう、事もあろうに、正体はレミリアお嬢様の妹君、フランお嬢様だった。

 とはいえ、フラン様はレミリア様を攻撃したわけではない。

 むしろ、壊れた本棚と飛び散った本の中で思いっきり甘えている。

 

「こ、こら!フラン離れなさい!!」

 

 レミリア様が顔を真っ赤にして怒っている。

 顔を真っ赤にと言っても激昂しているのではなく、恥ずかしいほうで。

 

「だってお姉様、全然かまってくれないのだもの…。今日だってパチュリーと図書館に二人きりで…」

 

「あら、私とレミィと、もう一人いるわよ?」

 

 パチュリー様ぁぁっ!余計な振りはいらないですからぁぁっ!!

 フラン様といえば、以前は遊びで妖精メイドを“きゅっとしてドカ〜ン”と吹き飛ばし、一回休みにしてきた前科があるので、妖精メイドはみんな怖がっている。

 まあ、紅霧異変の時に霧雨魔理沙と博麗の巫女、博麗霊夢に会って思うところがあったのか、その後はおとなしくなり、むやみに能力を使わなくなった。

 それを良い兆候と見たレミリアお嬢様も、条件付きだが外出を認めたり、一緒に催しに参加したりと姉妹関係も改善……を、通り越して今やフラン様はレミリアお嬢様にベッタリである。

 そりゃ495年も閉じ込められていれば狂いもしますし、逆に認められればその反動も凄まじいのはわかりますがね…。

 

「フラン…。レミィに会いたいがために、貴重な文献や扉や家具を吹き飛ばすのはやめてもらえる?」

 

 はい、私が言いたかったことをパチュリー様が仰りましたよ。

 

「お姉様を独り占めにするのがいけないんでしょ?こあに入り口を見張らせてまで…」

 

「そういえば、こあはどうしたの?入り口にいたはずよ?」

 

 パチュリー様の問いに、フラン様はにっこり笑って

 

「こあなら、きゅっとして…」

 

 その場の全員が凍りつく。

 こあさんは妖精とは違い、一回休みということはない。

 フラン様の“きゅっとしてドカ〜ン”を食らえば間違いなく死が訪れる。

 

「貴女…まさか、こあを!?」

 

 珍しく狼狽するパチュリー様。

 最愛のこあさんを失う恐怖は、パチュリー様であっても耐え難いものだろう。

 しかし、フラン様はにこにこしながら言葉を続ける。

 

「うん、きゅっとして“チュッ”てしたら、通してくれたの」

 

 私を含めた全員が首をかしげる。

 

「チュッ?」

 

「だ〜か〜ら〜」

 

 フラン様は目の前のレミリアお嬢様を、“きゅっと”抱きしめ、“チュッ”とその頬にキスをした。

 

「んなっ!?ななななななぁぁぁっ!!?」

 

 お嬢様が顔を真っ赤にして動揺してらっしゃる。

 なるほど、あの同性愛嗜好のこあさんのことだ、フラン様のキスでデレデレにされてしまったのだろう。

 

「あの小悪魔…後でめくるめくお仕置きタイムだわ…」

 

 顔は笑顔でも、なんか怖いですパチュリー様。

 

「で、みんなで何してたの?」

 

 幼さゆえに、好奇心をストレートに表すフラン様だが、それを話すのは秘匿性を重んじるなら抵抗がある。

 

「フラン……貴女には関係のないことよ…下がりなさい…」

 

 レミリアお嬢様も同じ考えらしく、少々冷たいが突き放すように告げる。

 しかし、これがいけなかったようだ。

 

「何でよ……何でまた、私は仲間外れなわけ…?」

 

 目に見えてフラン様の雰囲気が変わる。

 紅魔館の一員として認められず、地下牢に閉じ込められていた記憶が蘇るのか、狂気じみたプレッシャーに身体が硬直する。

 

「まぁだ私を家族として見ないわけね…」

 

「違うわフラン…落ち着きなさい」

 

「私だってスカーレット家の娘だもん…なのにお姉様ばかり仕切って…私には何にも教えてくれない…何もさせてくれない…」

 

「それは貴女が、まだ世間に慣れてないから…」

 

「ほら、また私を甘く見る…そうやって見くびって…それが嫌だって、言ってるでしょ!!」

 

 フラン様の周囲の空気が俄に熱くなってきた。

 

「いけない!」

 

 パチュリー様は直ちに魔法を発動。

 大図書館の本棚が中身の本とともに、壁や天井、床などに溶け込むように消えてしまった。

 それと同時に、フラン様の手から灼熱の炎が吹き上がり、剣の形を形成する。

 

 禁忌、レーヴァテイン。

 

 空気すら焼き尽くさん熱量に、離れていた私たちまで干上がってしまいそうだ。

 対するレミリアお嬢様も、その手を掲げると紅い光が槍の形を形成する。

 

 神槍、スピア・ザ・グングニル。

 

 互いに得物を手に取り、物騒極まりない姉妹喧嘩が勃発したのだった…。

 

 

 はい、回想終わり。

 つまりは仲間外れにされたフラン様の不満が爆発したわけですな。

 とはいえ、このままだとかな〜り危険なので、早く誰か何とかして〜!!

 

 

 




 フラン様ファンの方々にとって、ウチのフランはどうなのかが不安になりますね(--;)
 一応、お姉ちゃん子な感じですが、レミリアお嬢様とは仲が悪くなきゃダメと仰る方もいるのかしら?(--;)
 ウチの紅魔館は基本的にみんな仲良くしたいなぁ…(^^;
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