なので書くのに時間かかりましたね、申し訳ない(--;)
◇“大”図書館戦争 〜カヒライス〜
「ぅおねぇさまぁぁぁぁっ!!!」
「フラァァァァァン!!!」
激しくぶつかり合うレーヴァテインとグングニル。
膨大な熱量同士がぶつかり合って、紅い炎を撒き散らす。
咄嗟にパチュリー様が本棚を避難させていなければ、大図書館は巨大な焼却炉と化していただろう。
とはいえ、このままでは私たちも危ない。
「紅符、スカーレットマイスタ!!」
「禁忌、カゴメカゴメ!!」
スペルカードまで盛大に使って、図書館は弾幕の雨あられである。
「パ、パチュリー様ぁぁっ!このままじゃ、私も一回休みになっちゃいますぅぅっ!!」
「安心なさい。レミィ達が喧嘩で使う弾幕は、妖精が一回休みで済むような弱い弾幕じゃないわ。一撃でさようならよ」
「そ、そんなぁぁぁぁっ!!?」
パチュリー様が張る、五芒星の魔術的な盾の陰で蹲りながら、私の泣きが入った叫び声が響くも、二人のお嬢様方には届いていない。
「パチュリー様ぁ!な、なにか策を!!策をぉぉ!!」
「無駄無駄、勝負がつくか、咲夜が来ない限りは収まらないわ」
「つ、つまり、メイド長が来れば、何とかなるんですね!?」
お嬢様方の強力無比な弾幕の前に、どんな方法があるのかはわからないが、きっとメイド長のことだ、瀟洒な方法で治めてくれるに違いない。
「でも駄目よ?咲夜は図書館には来ないわ」
「な、何故!?」
「レミィが絶対に来るなって命じているもの」
「あ…」
忘れてた…私の能力については秘密だし、監視対象のメイド長には絶対に知られないように、人払いしてましたもんね。
「誰かを呼びに行かせることができれば…せめて、図書館の外にいるこあに連絡できればね…」
「お呼びでしょうか?」
うわっ!?こあさん、いつの間に!?
「こあ、外にいたんじゃないの?」
パチュリー様はため息を一つ。
どうやらこのパターンは今回だけではないようだ。
「フフン♪パチュリー様がお呼びならば即参上です。パチュリー様がピンチの時は駆けつけますからね〜!」
「今回のピンチは、貴女が招いたのだけどね〜!!」
「ひぃた!?ひたいれふふぁふりーはま!!?」
“痛!?痛いですパチュリー様!!?”とでも言ってるのだろうか?
パチュリー様はこあさんのほっぺたをつねりながらお怒りの模様。
貴重な本を焼かれそうになったのだから仕方がない。
「責任をとって、貴女が咲夜を呼んできなさい」
ポンと、こあさんの肩に手を置いて命じるパチュリー様。
盾の陰から覗けば、図書館内は相も変わらず弾幕の雨あられ。
「あの…パチュリー様……ここに来るだけでも結構大変で……」
「こあ……」
「い、いや…図書館の出口に向かうだけでも戦場の最前線を全力疾走するくらいの危険が……」
「GO…」
出口の方角を指差し、一言だけ告げるパチュリー様。
「う……うわぁぁぁぁんっ!!」
耐えかねて泣きながら駆け出すこあさん。
その後ろ姿は、お嬢様方の弾幕の中に消えていった。
「だ、大丈夫…ですかね?」
正直、不安である。
「大丈夫よ。少なくとも貴女より頑丈だし、あの子のすばしっこさと強かさがあれば、問題は……」
「ふにゃぁぁんっ!!」
気の抜けた悲鳴が…。
「パチュリー様…今のはこあさんじゃ…」
「だ、大丈夫よ……あの子……強い子だもの…」
パチュリー様、声が震えてます。
ヤキモチや怒りから無茶な命令を下したものの、やっぱり心配なのですな。
パチュリー様ったらツンデレなんだから〜♪
なんてふざけたことを考えてたら、鼻先を弾が掠めていった。
やっぱり人の恋路を茶化すのは死亡フラグなんですね。
もう亀のごとく盾の陰に閉じ籠ろう。
そうしてただひたすら耐えること数十分後。
「お待たせいたしました、パチュリー様」
メイド長キターーーーッ!!!
いきなり現れるからビックリしたけど、メイド長は時間を止められるから、弾幕の中でも比較的安全に動けるのよね。
メイド長の能力、チート過ぎるわ。
「待っていたわ咲夜…。よろしくお願いね」
「はい、お任せを…」
そう答えるとメイド長はおもむろに弾幕の雨の中へ身を晒す。
危ない、と思う間もなく、メイド長の姿はその場から消えて、次の瞬間にはレミリアお嬢様とフラン様を視界に捉えていた。
スカーレット姉妹の喧嘩も互いに攻め手を欠き、膠着状態であったが、それを打開すべくスペルカードを再び使おうとしたとき
「お嬢様!フラン様!!」
大図書館にメイド長の声が響いた。
しかし、熾烈な姉妹喧嘩を繰り広げるお嬢様達が、それに反応するとは…
「さ、咲夜…!?」
あらら?反応しちゃいましたよ。しかもレミリアお嬢様は口元をひきつらせて。
フランお嬢様はイタズラが見つかった子供のような表情で。
「さ、咲夜……何故ここに…」
なぁんか動揺してますね…。
「レミリアお嬢様、フラン様…館内での騒動は困りますと、あれほど申しましたのに…」
妙な迫力があるメイド長。
それに対して圧されているレミリアお嬢様とフランお嬢様。
一人の人間に圧倒される吸血鬼二人…それも最高位の。
もしかして、メイド長には、私の知らない秘密があるのでは…それもお嬢様方を震え上がらせるくらいの…。
ということは、これからメイド長の真の力を見ることが…。
「仕方がありませんね…」
静かに呟くメイド長。
「ま、待ちなさい!咲夜!早まっては…!!」
「さ、咲夜〜…やめて〜…」
明らかに怯えているお嬢様方。
それを無視して、メイド長は力を溜めるように深呼吸をひとつ。
そして…その眼を見開いた次の瞬間、メイド長は叫んだのだ!
「夕食のデザートのプリンは無しにします!!」
………………はい?
「パチュリー様……あれは?」
誰か説明を求む。
パチュリー様は本を読みながら寛いでおられますが、説明をお願いしたい。
「さすが咲夜ね、レミィ達の弱点を突いた戦略だわ。」
え〜…弱点がプリンって、そんな馬鹿な…。
「ぎゃぴぃぃぃぃぃっ!?」
「さ、咲夜ぁぁぁぁぁっ!!」
き、効いてる……めっちゃ効いてる……。
「くっ!お、落ち着きなさいフラン……たかがプリン……プリンなのよ…」
あ、お嬢様が耐えてる。 血の涙を流さんばかりの表情で。
「でもお姉様!咲夜特製プリンだよ!?咲夜特製なんだよ!!?」
フラン様は普通に泣き顔だ。あらかわいい。
「今夜はいい果物も手に入りましたので、プリン・ア・ラ・モードにしようと思いましたのに…」
にやりと、嗜虐的な笑みを浮かべるメイド長。
初めて見る表情だが、お嬢様方にはトドメだった模様。
「しゃ、しゃくやぁ〜〜!」
「ごべんなさぁぁい!!」
泣きながらメイド長にしがみつくスカーレット姉妹。
普段のカリスマなんてどこへやら……。
はっ!?これが噂のカリスマブレイクというやつかっ!?
都市伝説だとばかり思っていたのに……実在したのか…!
泣きつくお嬢様方の頭を撫でているメイド長の表情が、何となく嬉しそうなのは気のせいかしら?
ともあれ、こうして大図書館に於けるスカーレット姉妹の喧嘩は終結。
お嬢様方はメイド長に泣いて謝り、その晩は無事、プリン・ア・ラ・モードを食すことができましたとさ。めでたしめでたし…。
………で、いいのかな?
◆秘密を共に…家族として… 〜レミリア・スカーレット〜
我ながら見苦しいところを見せてしまった…。
カヒが気まずそうに視線を逸らしたのが、何とも心地悪かった。
それ以上に心地悪いのは、隣で少しむくれた表情をしたフランのことだ。
咲夜を守ることは私のわがままのようなものだ。
そのために無理をすることにもなるだろう。
フランには余計な心配をさせたくはなかったというのもある。
だがその配慮が裏目に出たようだ。
食後、自室へ戻る途中の廊下で、私は思いきって訊いてみた。
「フラン……咲夜は…好き?」
フランもまだ気まずいのか、黙ったまま頷くだけで答える。
「そう……なら、これから話すことは他言無用よ。貴女を信頼するわ……家族として……」
“家族”という言葉に、フランが僅かに反応した。
やはり、この子は家族の絆を求めている。
それも恐ろしいほど貪欲に。
「フラン……私達の家族……咲夜を守るわよ…」
私はそう切り出し、フランにすべてを話した。
◆二人きりの図書館で 〜パチュリー・ノーレッジ〜
「痛いですパチュリー様ぁ!」
所々に包帯を巻いたこあが、甘えた声で私を呼ぶ。
咲夜への伝令として、レミィ達の弾幕の雨の中へ突っ込ませた結果、咲夜の元へたどり着いた時にはボロボロになっていたらしい。
小悪魔の身体能力でも瀕死の重傷を負ってしまったのは、私の計算外であり、レミィ達の弾幕の威力を過小評価していたというミスによるものだ。
咲夜の応急措置がなければ危なかったかもしれない。
なので、しばらくはこあに頭が上がりそうにない。
実際、今まさにこあの看病中である。
「ほら、こあ…リンゴよ…」
剥いたリンゴを差し出すと、こあが口を開ける。
「……食べさせろと?」
こあがそれはそれは嬉しそうにコクコクと頷く。
私がフォークで刺したリンゴを差し出すと、こあは一口かじって咀嚼する。
「美味しい?」
「はい、とっても…」
こあが笑顔で答える。
その笑顔に暫し見とれていると、こあは瞳を閉じ、そっと唇を差し出してきた。
何度も行われた行為。
私はそっと、その唇に自分の唇を合わせた。
「ん…パチュリー様…愛してます……」
「わかりきったこと…言わなくていいわ…」
「はい…でも、言葉でお伝えしたかったので…」
そう答えるこあが愛しくて、私はもう一度、その唇を奪った。
今回書いた話の一番の目的、お嬢様のカリスマブレイクを書きたかったのと、パチュこあがイチャイチャしてるのが書きたかった!
だから悔いはない!!
………いや、嘘です(--;)