東方涙精潭   作:サラム

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 またしても遅くなり、申し訳ありません(--;)
 話の整合性やらキャラの動機付けやら、いくつか無理が出てきたのを調整してたら時間がかかりました(-_-;)
 無理矢理感満載ですが、第16話でございます。


第16話 〜もはや後戻りはできない〜

◆ネタの匂い 〜射命丸文〜

 

 

 どうも!清く正しい幻想郷の敏腕ブン屋、射命丸文でございます!!

 様々な人妖入り乱れた幻想郷、そんなごった煮のような環境で、なにも起こらないわけもなく……今日も何かしらの事件が…………………ない!!

 何にもなぁぁぁぁぁい!!

 今日もまだ暗いうちからネタ探しに奔走しているのですが、なんということでしょう…こんな平和な日々が続くなんて……ハッ!?これはまさか異変!!?

 霊夢さんに言っておくべきでしょうか?

 ……なんて、一人でボケたところでネタになりゃしませんけどね…。

 さぁて…ここはいつも通りの捏造……ゴホン!!文章的な“演出”で、記事を書くしかないですかねぇ……おや? ネタを探してフラフラと人里まで飛んできましたが、早朝に里から出てくる人影が4つ。

 ただの農民や商人、旅人の類いなら気に留めやしませんが……完全武装してるとなると穏やかではありませんねぇ…。

 見たところ、人間の男が4人。

 皆、そこそこの実戦経験があるのか、足の運びや視線の配り方に隙がありません。

 腰には聖水の瓶のようなものや、陰陽術の護符の束をぶら下げ、各々に剣や弓で武装。最後尾の男は魔法使いでしょうか?魔術的な紋様が入った杖をついてますねぇ…。

 まさに完全武装。

 あれなら、巧く戦えれば幻想郷でも上位の妖怪と渡り合うことも……そういえば、あの道の先は紅魔館……。

 俄にネタの匂いがしてきましたよぉ!?

 

 

◆紅魔館当主として 〜レミリア・スカーレット〜

 

 

 パチェから、「例のハンターが動くようだ」と報告を受けたとき、私はフランと顔をあわせ、互いに頷きあった。

 如何に計略を巡らそうと、姉妹揃った私たちが負けることはない。

 無論、だからといって相手を軽んじる愚を犯すつもりもない

 慎重に、確実に、相手を倒す。

 戯れではなく、確実に息の根を止める。

 フランには、「人間は簡単に壊れてしまうし、壊れたら元には戻らない。だから壊してはダメ」と言い続けてきたが、今回ばかりは壊さなくてはならない。

 心配なのは、それでフランが、以前のフランに戻ってしまわないかということだ。

 以前の、狂った…人間を人形のように壊すフランに…。

 そんな私の視線に気づいたのか、フランは柔らかく微笑んで

 

「大丈夫よお姉様…。私が力を使うのは皆を守るため……そう決めたから…」

 

 私の心配をこうも見透かされるとは……そんなに私はわかりやすい顔をしていただろうか?

 いや、やはり姉妹だからだろうか?

 何にせよ、そうはっきりと決意表明されれば心強い。

 私の最後の心配も、最早無くなった。

 パチェが作った、特製の日焼け止めを塗っているとはいえ、吸血鬼にとっては破滅的な輝きを放つ朝焼けの太陽の光の中へ、私たちは身を晒した。

 

「行くわよフラン…」

 

「はい、お姉様…」

 

 

◇ただ待つのみ… 〜カヒライス〜

 

 

 お嬢様達が朝日の中、飛び立つ姿を見送り、私はため息をひとつ。

 メイド長の死期を悟って以来、メイド長とは顔をあわせないようにしてきたが、それも今日、お嬢様達が上手く事を運ぶことができればメイド長の運命も変わる。

 メイド長の死は回避され、私もメイド長を見るたび泣くこともなくなると思うと、安堵のため息も漏れるというものだ。

 

「でも、待つだけというのは何とも歯痒いですね…」

 

 傍らで本を読み始めるパチュリー様に、つい一言こぼしてしまう。

 

「貴女はレミィから言われた役目を十二分に果たした。私もレミィ達が戦いやすいようにできるだけのことはした。あとはレミィ達の役目よ…私達にできることはないわ」

 

 そりゃあ……そうなんですけどねぇ…。

 私が言葉を発するより先に、パチュリー様が言葉を続けた。

 

「もし、できることがあるとするなら…それは祈ることよ…。レミィにも、フランにも…そして咲夜にも…一番必要なものよ」

 

 まあ、今は祈るような気持ちなのは確かなわけで…。それくらいしかできないですが…。

 

「吸血鬼であるお嬢様達と、吸血鬼に仕えるメイド長の無事を、神に祈るというのは、神様としてはどうなんですかね?」

 

「そんなこと、守矢神社の二人にでも訊いてちょうだい。もっとも…そんなケチ臭い神様に、信仰なんて集まらないでしょうね…」

 

 そんな会話をしながら時間が過ぎるのをただ待つ。

 いつもはメイド長と一緒に仕事に追われ、時間はあっという間に過ぎてゆくのだが、今日ばかりは、1分1秒ですら、ただひたすらに長く感じていた。

 

 

◆明日の見出しは… 〜射命丸文〜

 

 

 人里を出発して、四人のハンターは黙々と歩き続けています。

 真っ直ぐ紅魔館を目指して…。

 狙いはおそらく、紅魔館のレミリア・スカーレットかフランドール・スカーレット…あるいはその両方でしょう。

 近年、急激に様々な勢力が集まってきた幻想郷に於いては、比較的古参である紅魔館を叩くのは名声を獲得するには有効ですが…。 

「今のレミリア・スカーレットを倒しても、敵を作るだけだと思いますねぇ…」

 

 というのも、レミリア嬢は自分勝手で傲慢でワガママで…という悪評もありますが、それ以上に淑女として品のある振る舞いや、滅多に暴力を振るわない節度ある姿勢などが評価されたり、金払いが良いので商人にとってはお得意様だったりと、人里に於いて紅魔館の評判は悪くはありません。

 強力な吸血鬼としての畏れはそのままに、人里との友好的関係を築けた好例と言えます。

 

「咲夜さんとかは密かにファンクラブも結成されてますからねぇ…彼女らを手にかけるのは得策とは……あやや?」

 

 上空から男達の追跡をしていましたが、その歩みが止まりました。

 その先を見れば、小さな影が二つ。

 

「あやややや……。まさか当主自らお出迎えですか…」

 

 紅魔館へと続く森の入り口。

 そこで男達を待っていたのは他ならぬレミリア嬢と、その妹、フランドール嬢…。

 すでに男達は武器を構えています。戦いになるのは確実でしょう。

 ふふふ……どうやら紙面の心配はしなくてすみそうです。

 スカーレット姉妹に挑む人間達…。その顛末やいかに…!?

 うん、明日の一面の見出しはこれでいきましょう。

 

 

◆The Point Of No Return 〜レミリア・スカーレット〜

 

 紅魔館が面する霧の湖。

 そこへと抜ける森の入り口で、ハンターを迎え撃つことにした。

 今は大丈夫だが、太陽の下、万が一パチェの日焼け止めが効力を失う事態になれば、薄暗い森の中は避難場所にできる。

 ただ、人里ともそんなに離れた場所ではないため、戦いを人里の人間に見られる可能性はあるが…。

 

「いや……むしろ見せつけるべきか…」

 

「お姉様…?」

 

 つい口に出してしまった呟きに、フランが不思議そうな顔をして訊いてくる。

 

「フラン……できるだけ凄惨な戦いにしましょう…」 

「え?」

 

 やはり、予想通りの反応。

 

「私達がこれからすることは、遅かれ早かれ人里に知れることになるわ…。ならば、もう二度とヴァンパイアハンターが襲ってこないように…徹底的に畏れさせるわ」

 

「でも、そんなことをしたら……ううん…咲夜のためだもんね……わかった…」

 

「良い子ね……フラン…」 

 中途半端なことでは、名声目当てのヴァンパイアハンターを追い払うのは難しい…。

 だから、より恐ろしい結果にしなくてはならない。

 刺客が減ることは、そのまま咲夜の生命のリスクを減らすことに繋がる。

 だから容赦してはならない。

 優しいフランには酷だが、元より吸血鬼の私達だ。

 本来の姿に戻るだけ…そう自分に言い聞かせる。

 

「お姉様……」

 

 フランの声に、私はこの森に続く道の先を見た。

 

「来たか……」

 

 見つけたのは向こうも同じらしい。

 何事か言い合っているようだが、全員武器を構えた。

 

「もはや言葉は不要か…」

 

 私の言葉に応じるように、フランはレーヴァテインをその手に握る。

 

「Point Of No Return...」

 

 ついメロディに乗せて、以前に観たことがあるミュージカルの一節を口ずさんでいた。

 

「お姉様?」

 

 フランがきょとんとした表情で私を見ていた。

 まあ、当然の反応だ。

 

「いや、今の私達の状況に、ピッタリの歌だったからね…」

 

 私もグングニルを顕現させ、構える。

 

「もはや、後戻りはできないってね…」

 

 私がそう言うのと同時に、ハンターの一人が矢を射かけてきた。

 

 




 最後にレミリア嬢が呟いたのは、ミュージカルの名作「オペラ座の怪人」の終盤の曲ですね。
 何となくレミリア嬢の、貴族としての育ちの良さを出したかったので、オペラやミュージカルなどの上質な観劇くらいはしてるかなと……でも、幻想郷に劇場なんてあったかしら?(^^;
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