彼女の代名詞である武術関連が難しくて、書くのに一苦労…(--;)
ちゃんとできていればいいのですが…(^^;
あと、今回は多少残酷描写あります。
まあ、出血と…まあポロリもあるかも……軽めに書いてるけど…(^_^;)
なので、お読みの際はご注意を〜〜。
◆我が武術侮るなかれ 〜紅美鈴〜
的確に狙って放たれる矢と魔法弾。
射手も魔法使いもいい腕です。
だからこそ避けやすい。 難なく矢をかわして接近する私に対し、一先ず岩陰に身を隠す射手。
私が岩を迂回しようとしたところを、もう一人の射手か、その後ろの魔法使いが攻撃する腹積もりなのでしょうが……。
ここで少し説明させていただきます。
私が使う“拳法”というものには様々なものがありますが、大きく分けると“内家拳”と“外家拳”に分けられます。
内家拳とは、気功や呼吸法等の“内功”を重視したもので、極めれば水に浮かぶ藁でさえ足場となり、紙一枚で鉄を両断すると言われます。
私が普段、“気を操る程度の能力”を用いて使うのはこの内家拳ですが、能力を封じられている今はあまり効果が望めません。
一方の外家拳は、身体…つまりは筋肉や皮膚といった“外功”の鍛練を積むことを重視した拳法で、鍛え方がわかりやすい反面、身体的限界が付きまとい、内家拳のような理不尽な強さは手に入りません。
ですが、それは人間の場合で、人間より遥かに身体能力が上の妖怪が、限界まで外家拳を極めるとどうなるか……。
「こうなります」
踏み込みと共に繰り出した正拳突きは、岩を砕き、そこに隠れていた弓使いの姿をさらけ出す。
二歩目の踏み込み。
さらに繰り出した拳は、せめてもの反撃をと、矢をつがえようとした弓使いの弓をへし折り、そのまま胸板を直撃。
骨を砕き、臓器を潰す致命的な感触が拳に伝わるも、それは一瞬で、吹っ飛んだ弓使いは空中で絶命しているでしょう。
「ひぃっ!?」
仲間の末路に、弩使いの怯えた声が響く。
それはそうだろう。
紅魔館最強のスカーレット姉妹と互角以上に戦っていたのに、たかが門番に仲間の一人を殺されたのだから。
「残念ながら、単純な殴り合いは専門なので…」
そう、確かに紅魔館で私の強さなど、妖精を除けば下から数えた方が早いでしょう。
しかし、単純な殴り合いなら、紅魔館でトップだと自負しています。
何故ならその為に精進しているから。
かつて、拳で幻想郷をねじ伏せた人間がいました。
私はその人の背を追って、今も精進を続けています。
だから…負けるわけにはいかない。
殴り合いでは絶対に!
「そんなわけで、抵抗はお好きにどうぞ……どのみち、お嬢様方を傷つけた罪…許す気はありませんので…」
弩使いは半狂乱で矢を射かけてくる。
まあ、今のは「生かしては帰さない」と宣言したようなものですから、当然でしょうね。
まあ、そんな状態で放った矢にしては良い狙いでしたが…。
「はい、残念」
飛ぶハエを落とすように矢を叩き落とす。
必死の、おそらく最後の反撃になる矢を、こうもあっさり叩き落とされ、呆然とするハンター。
装填に時間がかかる弩では、再装填の時間はもう無いでしょう。
「く、来るなぁ!!」
やれやれ、みっともない…。腰を抜かして、もがくように逃げようとする弩使いに、憐れみさえ覚えます…が、それはそれ。
「お嬢様方に手を出して、今さら命乞いもないでしょう…」
戦う者、それだけの覚悟をするのは当然というのが私の持論です。
というか、私の憧れである前述の方は、強者と渡り合う時は常に覚悟してましたからね。
まあ、そんなわけで今やトカゲのように四つん這いで、この場を逃げ出そうとする弩使いの腰を狙って、私は思いっきり踏みつけてやりました。
◆馴染み深い感情 〜フランドール・スカーレット〜
めーりんすご〜い!
いくら力が強いといっても、吸血鬼が岩を殴り壊すのはなかなかできることじゃない。
大抵は弾幕や、私なら能力で壊しちゃうから、素手で殴る発想自体無かった。
と、感心している場合じゃないや。
美鈴の邪魔をさせないように、魔法使いを引き付けてたんだけど、仲間がやられて焦ったのか、やたらと魔法弾を撃ちまくってくる。
でもまあ、普段から弾幕ごっこなんてやってる私たちには、むしろ「弾幕薄いぞ!何やってんの!!」と叱りつけたくなるくらいショボい弾幕だった。 それでも相変わらずガードは完璧で、能力封じも解けた様子はない。
でも、美鈴が来たから、もう負けないよ。
私にばっかり気をとられているから……ほら♪
「ぎゃあぁぁぁっ!!」
もう一人、弩使いの悲鳴が響いた。
魔法使いがそちらを振り向くと、美鈴が弩使いの腰骨を踏み砕いた後だった。
即死じゃないけど、あれでは二度と歩けない。
このまま放置されて妖怪か獣の餌食になるか、一緒に踏み潰された内臓のせいで死んでしまうか…まあ、どちらにしても、なかなかにエグい最期だろうね。
美鈴もなかなかやるねぇ〜。
「さあ、残るは貴方と、お姉様が相手をしている奴だけだけど……どうする?」
もちろん、降参しても許してあげない。
それは美鈴も同じようで、いつでも殴りかかれるように、小刻みなステップを踏んでいる。
すると魔法使いは、何やら詠唱を始めた。
弾幕を撒き散らしていた時の焦りはない。
怒りと共にその顔に浮かんだのは、私にも馴染み深い感情。
――狂気――
今、この魔法使いは狂気によって恐怖を克服して、私たちに一矢報いようとしている。
私がそう思った瞬間、美鈴が私より速く動いた。
◆覚悟とは… 〜紅美鈴〜
まずい!
そう思って飛び出した。
確証はありませんが、嫌な予感がしたので…。
あの魔法使いの表情。
覚悟と似て非なる感情が見えたので…。
強いて言えば、かつての妹様のような…。
死することを受け入れつつも、それに抗うような“覚悟”と、自らの死すら弄ぶ“狂気”では雲泥の差がある。
絶望的な状況に立たされ…それでも生き残る、もしくは誰かを守るといった希望的な感情を覚悟とするなら、すべてを道連れに…という絶望的な感情が狂気だと思っていますが、この魔法使いから感じるものは後者です。
――止めなければ!
と、殴りかかりますが、拳は魔法使いには届かず、空中で弾かれました。
何か堅い壁を殴りつけたような感触と、殴った瞬間に波紋のように広がる光。
「美鈴!それ、マジックウォール!!」
マジック…ああ、魔法の壁ですか…。
妹様が手こずるわけです。
能力もダメ、弾幕もダメ、吸血鬼としての肉体的な強さも、この壁があっては…。
しかし、手間取っている暇はありません。
今も魔法使いの詠唱は続いています。
魔法のことは門外漢ですが、狂気とともに、長い詠唱を経て放たれるものとなれば嫌な予感しかしません。
恐らくは、大魔法でしょう……それも、魔法使い自ら消し飛ばしてしまうほどの…。
「――はっ!!」
能力を封じられてはいますが、それでもできる限りの気を体内に巡らせ、気を練り、拳にのせて放つ。
――堅い。
もう一撃。
――まだ足りない。
再度、気を練り、目の前にあるであろう不可視の壁に集中。
そして、妖怪としての身体能力、外家拳によって鍛えた拳、内家拳によって練り上げられた気を全て込めて、一撃。
「――っ!!?」
魔法使いの息を飲むような、声無き声で詠唱が止まる。
ガラスが砕けるような音と共に、壁が砕ける感触を感じました。
魔法使いは慌てて詠唱を再開。
逃げずに詠唱を続けるということは、術の完成が近いということです。 更に踏み込み、もう一撃放とうとしたところで、足下に魔方陣が展開され、輝きだしました。
――もう、間に合わないか!?
しかし、後ろには妹様がいます。
その後ろ、離れたところではお嬢様と咲夜さんが戦っています。
ならば、その身にかかる脅威を払うのは門番の役目。
魔法使いの狂気を上回る覚悟と共に、今度こそ最後の一撃だ!!
魔法使いの口が、最後の一言を唱え終わる……その刹那に、拳が頬を捉えた。
拳は魔法使いの口をひしゃげさせ、頭自体を破壊しながら迸る。
腕が伸び切ったその時には、かつて魔法使いだった首無しの遺体が転がるだけでした。
魔法の発動は……ありません。
魔法使いは最後の一言を完全に紡ぐことなく、意識を文字通り吹き飛ばされたのでしょう。
妹様たちを苦しめた能力封じの魔法…その術者は、無惨な最期を遂げた…といったところでしょうか…。
とはいえ、まだ気の流れが読めないことを考えると、この能力封じの魔法は一定時間の効力があるのでしょうか?
そういう類いの魔法があることはパチュリー様から伺ってましたので…。
「めぇ〜り〜ん!!」
背後からガバッと妹様が抱きついてきました。
「美鈴すごいね!マジックウォールを殴り壊すなんて初耳だよぉ!!」
頬をすりすりと刷り寄せてくる妹様。
くすぐったいです妹様。 でも嬉しかったりします。
嬉しいのですが……
「妹様…」
「なぁに?めーりん…」
「まだ…お嬢様たちが…」
「…………あ……」
まあ、無理があるのはわかってる…。
わかってるんだ…。
殺陣とか武術とか、もっと勉強せんと(--;)
残酷描写は、この先の話であってもこの程度に留めたいかな。
できれば残酷描写は避けますが(--;)
ではまた次回に…。