東方涙精潭   作:サラム

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 今回はほぼ美鈴の話かしら?
 彼女の代名詞である武術関連が難しくて、書くのに一苦労…(--;)
 ちゃんとできていればいいのですが…(^^;
 
 あと、今回は多少残酷描写あります。
 まあ、出血と…まあポロリもあるかも……軽めに書いてるけど…(^_^;)
 なので、お読みの際はご注意を〜〜。



第20話 〜我が武術侮るなかれ〜

◆我が武術侮るなかれ 〜紅美鈴〜

 

 

 

 的確に狙って放たれる矢と魔法弾。

 射手も魔法使いもいい腕です。

 だからこそ避けやすい。 難なく矢をかわして接近する私に対し、一先ず岩陰に身を隠す射手。

 私が岩を迂回しようとしたところを、もう一人の射手か、その後ろの魔法使いが攻撃する腹積もりなのでしょうが……。

 

 ここで少し説明させていただきます。

 私が使う“拳法”というものには様々なものがありますが、大きく分けると“内家拳”と“外家拳”に分けられます。

 内家拳とは、気功や呼吸法等の“内功”を重視したもので、極めれば水に浮かぶ藁でさえ足場となり、紙一枚で鉄を両断すると言われます。

 私が普段、“気を操る程度の能力”を用いて使うのはこの内家拳ですが、能力を封じられている今はあまり効果が望めません。

 一方の外家拳は、身体…つまりは筋肉や皮膚といった“外功”の鍛練を積むことを重視した拳法で、鍛え方がわかりやすい反面、身体的限界が付きまとい、内家拳のような理不尽な強さは手に入りません。

 ですが、それは人間の場合で、人間より遥かに身体能力が上の妖怪が、限界まで外家拳を極めるとどうなるか……。

 

「こうなります」

 

 踏み込みと共に繰り出した正拳突きは、岩を砕き、そこに隠れていた弓使いの姿をさらけ出す。

 二歩目の踏み込み。

 さらに繰り出した拳は、せめてもの反撃をと、矢をつがえようとした弓使いの弓をへし折り、そのまま胸板を直撃。

 骨を砕き、臓器を潰す致命的な感触が拳に伝わるも、それは一瞬で、吹っ飛んだ弓使いは空中で絶命しているでしょう。

 

「ひぃっ!?」

 

 仲間の末路に、弩使いの怯えた声が響く。

 それはそうだろう。

 紅魔館最強のスカーレット姉妹と互角以上に戦っていたのに、たかが門番に仲間の一人を殺されたのだから。

 

「残念ながら、単純な殴り合いは専門なので…」

 

 そう、確かに紅魔館で私の強さなど、妖精を除けば下から数えた方が早いでしょう。

 しかし、単純な殴り合いなら、紅魔館でトップだと自負しています。

 何故ならその為に精進しているから。

 かつて、拳で幻想郷をねじ伏せた人間がいました。

 私はその人の背を追って、今も精進を続けています。

 だから…負けるわけにはいかない。

 殴り合いでは絶対に!

 

「そんなわけで、抵抗はお好きにどうぞ……どのみち、お嬢様方を傷つけた罪…許す気はありませんので…」

 

 弩使いは半狂乱で矢を射かけてくる。

 まあ、今のは「生かしては帰さない」と宣言したようなものですから、当然でしょうね。

 まあ、そんな状態で放った矢にしては良い狙いでしたが…。

 

「はい、残念」

 

 飛ぶハエを落とすように矢を叩き落とす。

 必死の、おそらく最後の反撃になる矢を、こうもあっさり叩き落とされ、呆然とするハンター。

 装填に時間がかかる弩では、再装填の時間はもう無いでしょう。

 

「く、来るなぁ!!」

 

 やれやれ、みっともない…。腰を抜かして、もがくように逃げようとする弩使いに、憐れみさえ覚えます…が、それはそれ。

 

「お嬢様方に手を出して、今さら命乞いもないでしょう…」

 

 戦う者、それだけの覚悟をするのは当然というのが私の持論です。

 というか、私の憧れである前述の方は、強者と渡り合う時は常に覚悟してましたからね。

 まあ、そんなわけで今やトカゲのように四つん這いで、この場を逃げ出そうとする弩使いの腰を狙って、私は思いっきり踏みつけてやりました。

 

 

◆馴染み深い感情 〜フランドール・スカーレット〜

 

 

 めーりんすご〜い!

 いくら力が強いといっても、吸血鬼が岩を殴り壊すのはなかなかできることじゃない。

 大抵は弾幕や、私なら能力で壊しちゃうから、素手で殴る発想自体無かった。

 と、感心している場合じゃないや。

 美鈴の邪魔をさせないように、魔法使いを引き付けてたんだけど、仲間がやられて焦ったのか、やたらと魔法弾を撃ちまくってくる。

 でもまあ、普段から弾幕ごっこなんてやってる私たちには、むしろ「弾幕薄いぞ!何やってんの!!」と叱りつけたくなるくらいショボい弾幕だった。 それでも相変わらずガードは完璧で、能力封じも解けた様子はない。

 でも、美鈴が来たから、もう負けないよ。

 私にばっかり気をとられているから……ほら♪

 

「ぎゃあぁぁぁっ!!」

 

 もう一人、弩使いの悲鳴が響いた。

 魔法使いがそちらを振り向くと、美鈴が弩使いの腰骨を踏み砕いた後だった。

 即死じゃないけど、あれでは二度と歩けない。

 このまま放置されて妖怪か獣の餌食になるか、一緒に踏み潰された内臓のせいで死んでしまうか…まあ、どちらにしても、なかなかにエグい最期だろうね。

 美鈴もなかなかやるねぇ〜。

 

「さあ、残るは貴方と、お姉様が相手をしている奴だけだけど……どうする?」

 

 もちろん、降参しても許してあげない。

 それは美鈴も同じようで、いつでも殴りかかれるように、小刻みなステップを踏んでいる。

 すると魔法使いは、何やら詠唱を始めた。

 弾幕を撒き散らしていた時の焦りはない。

 怒りと共にその顔に浮かんだのは、私にも馴染み深い感情。

 

――狂気――

 

 今、この魔法使いは狂気によって恐怖を克服して、私たちに一矢報いようとしている。

 私がそう思った瞬間、美鈴が私より速く動いた。

 

 

◆覚悟とは… 〜紅美鈴〜

 

 

 まずい!

 そう思って飛び出した。

 確証はありませんが、嫌な予感がしたので…。

 あの魔法使いの表情。

 覚悟と似て非なる感情が見えたので…。

 強いて言えば、かつての妹様のような…。

 死することを受け入れつつも、それに抗うような“覚悟”と、自らの死すら弄ぶ“狂気”では雲泥の差がある。

 絶望的な状況に立たされ…それでも生き残る、もしくは誰かを守るといった希望的な感情を覚悟とするなら、すべてを道連れに…という絶望的な感情が狂気だと思っていますが、この魔法使いから感じるものは後者です。

 

――止めなければ!

 

 と、殴りかかりますが、拳は魔法使いには届かず、空中で弾かれました。

 何か堅い壁を殴りつけたような感触と、殴った瞬間に波紋のように広がる光。

 

「美鈴!それ、マジックウォール!!」

 

 マジック…ああ、魔法の壁ですか…。

 妹様が手こずるわけです。

 能力もダメ、弾幕もダメ、吸血鬼としての肉体的な強さも、この壁があっては…。

 しかし、手間取っている暇はありません。

 今も魔法使いの詠唱は続いています。

 魔法のことは門外漢ですが、狂気とともに、長い詠唱を経て放たれるものとなれば嫌な予感しかしません。

 恐らくは、大魔法でしょう……それも、魔法使い自ら消し飛ばしてしまうほどの…。

 

「――はっ!!」

 

 能力を封じられてはいますが、それでもできる限りの気を体内に巡らせ、気を練り、拳にのせて放つ。

 

 ――堅い。

 

 もう一撃。

 

 ――まだ足りない。

 

 再度、気を練り、目の前にあるであろう不可視の壁に集中。

 そして、妖怪としての身体能力、外家拳によって鍛えた拳、内家拳によって練り上げられた気を全て込めて、一撃。

 

「――っ!!?」

 

 魔法使いの息を飲むような、声無き声で詠唱が止まる。

 ガラスが砕けるような音と共に、壁が砕ける感触を感じました。

 魔法使いは慌てて詠唱を再開。

 逃げずに詠唱を続けるということは、術の完成が近いということです。 更に踏み込み、もう一撃放とうとしたところで、足下に魔方陣が展開され、輝きだしました。

 

 ――もう、間に合わないか!?

 

 しかし、後ろには妹様がいます。

 その後ろ、離れたところではお嬢様と咲夜さんが戦っています。

 ならば、その身にかかる脅威を払うのは門番の役目。

 魔法使いの狂気を上回る覚悟と共に、今度こそ最後の一撃だ!!

 

 魔法使いの口が、最後の一言を唱え終わる……その刹那に、拳が頬を捉えた。

 拳は魔法使いの口をひしゃげさせ、頭自体を破壊しながら迸る。

 腕が伸び切ったその時には、かつて魔法使いだった首無しの遺体が転がるだけでした。

 魔法の発動は……ありません。

 魔法使いは最後の一言を完全に紡ぐことなく、意識を文字通り吹き飛ばされたのでしょう。

 妹様たちを苦しめた能力封じの魔法…その術者は、無惨な最期を遂げた…といったところでしょうか…。

 とはいえ、まだ気の流れが読めないことを考えると、この能力封じの魔法は一定時間の効力があるのでしょうか?

 そういう類いの魔法があることはパチュリー様から伺ってましたので…。

 

「めぇ〜り〜ん!!」

 

 背後からガバッと妹様が抱きついてきました。 

「美鈴すごいね!マジックウォールを殴り壊すなんて初耳だよぉ!!」 

 頬をすりすりと刷り寄せてくる妹様。

 くすぐったいです妹様。 でも嬉しかったりします。

 嬉しいのですが……

 

「妹様…」

 

「なぁに?めーりん…」

 

「まだ…お嬢様たちが…」

 

「…………あ……」

 

 

 

 

 




 まあ、無理があるのはわかってる…。
 わかってるんだ…。
 
 殺陣とか武術とか、もっと勉強せんと(--;)
 
 残酷描写は、この先の話であってもこの程度に留めたいかな。
 できれば残酷描写は避けますが(--;)
 
 ではまた次回に…。
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