東方涙精潭   作:サラム

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 苦労して書く文章というのは、大抵文章が荒れる(--;)
 妄想に任せて、一気に書いた方が読みやすいものになるんだなぁ…と、痛感する今日この頃(^^;


第24話 〜咲夜とお姉様の関係〜

◆咲夜とお姉様の関係 〜フランドール・スカーレット〜

 

 

 紅魔館地下の大図書館。

 そこでお姉様の治療が開始されて数時間が過ぎた。

 その大図書館の入り口に置かれたソファーに、紅魔館のメイド長、咲夜は顔面蒼白で座っている。

 お姉様は咲夜を守るために、庇おうとした咲夜を突き飛ばしたんだし、咲夜に落ち度は何一つない。

 それでも咲夜はただひたすら祈っている。

 従者としての役目を果たせず、主人が傷ついたことに、許しを乞うように。

 

 う〜ん……湿っぽい…。 

 このままだと咲夜が鬱にでもなってしまいそうだ。 こういうのには、どうして接したらいいものか…。 優しく慰める?

 いやいや、かえって落ち込みそうだ。

 おどけて笑わせてみる?

 却下、死んだ魚のような目をした咲夜が思い浮かんだ。

 となると……まさかの闘魂注入の平手打ち!?

 いやいやいやいや…私が咲夜にそれをやったら、咲夜が死んじゃうから…。

 う〜……。

 ダメだ〜…全然思い付かないよ〜…。

 

「フラン様、先程からどうしました?」

 

「にゃっ!?」

 

 気がつけば、咲夜が目の前にいた。

 まだ、何にも考えてなかったのに〜!

 

「あ〜…う〜…」

 

 ダメだ、言葉が出ないや…。

 どうしようか迷っていると…。 

 

“ク〜……”

 

 ………何の音かって?

 私のお腹の音だよ恥ずかしい!!

 私が顔を真っ赤にしていると咲夜がクスッと笑った。

 

「申し訳ありません、お茶の時間ですね。すぐに支度いたします」

 

 そう言って、咲夜は指を鳴らして姿を消した。

 今頃はキッチンメイドたちに指示を出しながら、お茶の支度を始めているだろう。

 咲夜は仕事に没頭している方が良いのかな?

 かといって、今でも仕事漬けな咲夜を、これ以上働かせるのも…。

 あ〜…早くお姉様、良くならないかなぁ〜…。

 

 私のそんな思いが通じたのかはわからないけど、不意に大図書館の扉が開き、疲労困憊のパチュリーと、それを支える包帯ぐるぐる巻きのこあが現れた。 

「パチュリー!?……大丈夫?」

 

 普段から悪い顔色が一層青白い。

 

「大丈夫よ…それより、レミィが眼を覚ましたわ…」 

 私が…いや、紅魔館の皆が待っていた言葉だ。

 

「お姉様!お姉様は大丈夫なの!?」

 

「まだ身体は再生途中だけど、陽の気は取り去ったから、夜になればもっと再生も活発になるはずよ…ゴホッ!ゴホッ!くっ…!!」

 

「パチュリー様!早くお休みになりませんと…。一体どれだけの魔力を放出したと思っているのですか!?」

 

「ごめんなさいこあ……レミィを回復させるにも、あの子の魔力のキャパシティ自体が大きいから…私の魔力で補えただけでも大したものよ…」

 

 パチュリーはこあに支えられながら、図書館から出てゆく。

 入れ代わるように私は図書館に飛び込んだ。

 本棚の迷路を抜け、いつもは書斎机のあるパチュリーの書斎スペースに、応急で設けられたベッド。

 お姉様はそこに横たわっていた。

 

「お姉様…」

 

 恐る恐る声をかけると、お姉様は薄目で私を見る。

 そして、腕を伸ばそうとして、それをやめる。

 自分の腕がまだ再生できてないことに気づいたんだろう。

 

「フラン…怪我は……ない?」

 

 自分が一番の重傷者なのに、呆れた第一声だ。

 

「誰も怪我してないよ…お姉様以外…」

 

 皮肉を込めてそう言うと、お姉様はちょっとばつの悪そうな顔をした。

 

「それは情けないわね…まあ、従者を身を挺して守った主人というのも泣かせる話で、カリスマも大幅アップかしら?」

 

「そんな口が聞けるようなら、もう大丈夫だね…。カリスマアップどころか、レミリア・スカーレット死亡説まで流れてるよ」

 

「あらら…それはいけないわね…。そうだ…傷が癒えたら盛大に、快気祝いのパーティーでも開こうかしら?私の健在と、威光を示す意味でも…」

 

 そんな話をしていると、図書館の扉が派手に開いた音が…。

 続いて誰かが走ってくる足音。

 

「お嬢様ぁぁぁぁぁっ!!」

 

 咲夜だ。

 咲夜が転がるように入ってきて、お姉様が寝ているベッドに取りつくと、その顔を確かめるように覗き込む。

 

「騒々しいわよ咲夜……貴女が冷静でなくてどうするのよ…」

 

 呆れたような口調で言うけど、顔は笑っている。

 

「申し訳ありません…しかし…しかし……今回ばかりは…」

 

 ぼろぼろと涙をこぼす咲夜は、まるで子供のようだ。

 

「全く…仕方のない子ね…。いいわ、いらっしゃい…」

 

 お姉様に促されると、咲夜はなんと、お姉様にぎゅっと抱きついた。

 

「ふふ…咲夜は小さい頃は、怖いことがあるとこうして甘えていたわね…」

 

 腕があったら咲夜の頭を撫でていたんだろうな…それにしても、こんな咲夜の姿は予想外だった。

 

「フランは知らないわよね…咲夜の小さい頃は…」

 

「うん、閉じ込められていたからね」

 

 我ながら、お姉様に甘える咲夜に、子供じみた嫉妬を覚えた私が皮肉混じりにそう答えると、お姉様は何とも居心地悪そうな顔をする。

 

「し、しかたないじゃない……当時の貴女の前に、小さな咲夜を連れていったら…」

 

「わかってるよ…咲夜をドカーンなんて、今の私じゃしたくもないこと、昔の私はできちゃうからね…」 

 

 そのへんは反省してる。

 今もまだ妖精メイド達には怖がられているけど、そのうち仲良くなれればいいなぁ…。

 いまだにカヒでさえオドオドしてるし…。

 

「さて……咲夜…そろそろいいでしょ?」

 

「はい、お嬢様」

 

 と、いつもの瀟洒な咲夜に戻る。

 咲夜がいない紅魔館がダメになりそうなのと同じように、咲夜はお姉様が居なくなったらダメになりそう…。

 

「そうだわ…咲夜。私が回復したら、快気祝いにパーティーをしたいのだけど…」

 

「招待客はいかほど…?」

 

「可能な限り」

 

「御意…」

 

 意思決定が速いというか、思いつきというか、それにこうも速く対応できる咲夜も大概よね…。

 

 

◇招待客リスト 〜カヒライス〜

 

 

 久しぶりに顔を合わせたメイド長から、レミリアお嬢様が目を覚ましたと聞かされたことも喜ばしいが、メイド長から死期を感じなくなったことが何より嬉しかった。

 あれだけの怪我をして、「やったことは無駄でした」なんてお嬢様に報告した日にゃぁ…おぉ恐ろしい恐ろしい…。

 まあ、私もメイド長は好きなので、長生きはしてほしいしね。

 お嬢様の目論見通り、うまくいって、ほっとしている……のも束の間。

 

「パーティー…ですか?」

 

 そう聞き返すと、メイド長は頷いて、数枚の紙を私にくれた。

 

「招待客のリストよ。パーラー、キッチン、オールワーカーの各メイド達に周知させておいて。準備で忙しくなるから」

 

「開催日はいつになるのでしょう?」

 

「次の満月までには治すって、お嬢様が仰っていたから……2週間後かしら?ちなみに、お嬢様の体調も考慮して、夜会とします」

 

 まあ、普段から清掃は行き届いているし、会場は問題ない。

 季節的にも暑くも寒くもないから、何なら庭園で立食パーティーでもいいだろう。

 フフフ……こういう算段を瞬時につけられるほど、私も成長したのです!!

 そんなことを考えながらリストを見ていると、引っ掛かる名前がいくつか…。

 

「あの…メイド長……射命丸文も呼ぶのですか?」

 

 なぜ射命丸文の名が引っ掛かるか?

 今日の夕刊トップの記事が、お嬢様の記事だったからです。

 あんにゃろめ、お嬢様方のピンチやら危機やらを面白おかしく書いた挙げ句、紅魔館の権威が失墜したのではと、記事を締めくくりやがった!

 ………お下品な言動、失礼しました…。

 まあ、ただひとつ、お嬢様方が苦戦した理由については誤魔化してありましたが、心当たりがひとつ……。

 そしてその心当たりの張本人の名前もリストにありました。

 

「それに、八雲紫…さんも…」

 

 この人は呼び捨てにできない。

 幻想郷の実質的管理者なのだから、呼び捨てにするにはお嬢様くらいの格が必要だ。

 呼び捨てにしたら、「“さん”をつけろ、デコすけ野郎!」と怒られそうです。

 

「射命丸には、パーティーの様子を記事にしてもらいます。紅魔館の威光回復のためにもね」

 

 あ〜…逆に使ってやろうというわけね…。あの天狗が、素直に言うこと聞くかな?

 

「ちなみに、変な記事を書いたら、紅魔館の菜園に、カラス避けとして吊るされる運命よ♪」

 

 ………そんな笑顔で射命丸に言うわけですね…?

 射命丸よ……少し同情する……。

 

「八雲紫については…」

 

 メイド長は呼び捨てだ!?

 

「今回については、裏で結構動いていたみたいだし…天狗に釘刺したのも彼女らしいし……まあ、礼も兼ねて呼ぶよう、お嬢様が仰ったのよ」

 

「要は借りを作りたくないわけですね、わかります」 

「そのへんの大人の事情を察して、さりげなく対応できれば一流のメイドね…カヒも頑張りなさい」

 

 うぇ〜い、メイド長からハッパかけられちった。

 まあ、それだけ期待されてるんですかね?

 とにかく、このリストを各部署のメイドたちにお届け〜。

 古巣のオールワーカーたちは相変わらずの様子で安心したし、パーラーの先輩方の部屋はいい匂いがして、ちょっと興奮…。

 で、最後にパーティー料理を担当することになるキッチンメイドさんたちの部屋……というか、仕事中なので厨房だけど。

 とりあえず、パーティーを開く旨を伝えて、リストを渡す。

 最初は普通にリストを読み進めていたのだけど…。

 突然卒倒しましたよ?このキッチンメイドさん。

 

「大丈夫ですか?」

 

 私が呼び掛けると、キッチンメイドさんはリストを…その中に書かれた、一人の名前を指差し……そして気絶した。

 その名とは……

 

  “西行寺幽々子”

 

 

 

 




 咲夜さんとレミリアお嬢様の関係は、だいたいイメージ的に、咲夜さんが姉、もしくは母親で、お嬢様が妹や娘みたいな感じのが多いけど、咲夜さんが幼い頃は逆だったんだろうなぁ…と、書いてみたけど、ちょっと唐突すぎたな…(--;)
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