だいぶ長いこと更新できず申し訳ありません(--;)
単に新年度に入ってからの仕事が忙しく、書く暇がないうえに、書く気力を奪われ続けた結果でございます(-_-;)
次回からはもう少し早めにしたいなぁ…(ノд<。)゜。
◇招待道中(地霊殿編) 〜カヒライス〜
勇儀さんと別れ、私は旧地獄の奥にある地霊殿へとたどり着いた。
幻想郷では珍しく、紅魔館に負けず劣らず見事な洋風建築だ。
紅魔館が赤を基調としているなら、地霊殿は白壁の白を基調とした外観で、旧地獄の管理者の館として申し分ない。
そんな館の門前で、私は少々戸惑っている。
紅魔館のような門番がいないのだ。
まあ、美鈴さんも居眠り中は門番としては機能してませんが…。
門扉は開いてますが、誰も見当たらないので、勝手に入って良いものか…。
まあ、居たら居たで、その時挨拶すれば良いか…。 そう思って、地霊殿の敷地に足を踏み入れたとき。
「地霊殿に何の用だい?」
急に声をかけられ、驚きながらも周囲を見渡す。
あれ?誰もいない…。
「どこ見てんだい?下だよ下!」
下を見下ろすと、いつの間にそこにいたのか、一匹のネコが私を見上げていた。
このネコが…?まさかね……。
「なに不思議そうな顔してんだい?ネコが喋っちゃいけないのかい?」
キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!!
……コホン…取り乱してしまいました。
「やれやれ、ネコが喋っただけで驚くなんて、幻想郷の住人にしちゃあ常識人だねぇ」
ネコはそう呟くと、まるで煙玉を破裂させたかのような大量の煙に包まれる。
「ぶわっ!?」
突然の煙に視界を奪われ、咳き込む私。
う〜…煙いよぉ〜…。
その煙もようやく収まり、視界が開けた時、そこにネコの姿はなく、赤いおさげ髪の少女が笑みを浮かべて立っていた。
「これなら喋っていても違和感ないだろう?」
少女は得意気にそう言うが……えっと……。
「どちら様?」
私がそう問うと、少女は派手にズッコケた。
「あ、あんたねぇ…話の流れから察しなよ!今まで話していたネコ!!アタシが!!!」
「は…はぁ…」
いまいち要領を得ない私に、自称ネコさんは肩を落とした。
「まったく…あんたの主人だってコウモリになったりするだろうに…あんた、本当に紅魔館のメイドかい?」
ああ、そういえばお嬢様もコウモリになれましたね……って、なぜ私が紅魔館のメイドだと!?
なぜわかったのか訊くと、「そんな珍妙な格好は、紅魔館の使用人くらいしかしない」とのこと。
珍妙…なのかな…?結構気に入ってるのに…。
「で、あんたは地霊殿に何の用だい?」
一番最初に訊かれたことを、改めて訊いてくるネコさん。
もうネコさんと呼ぶのも変だな…。
「紅魔館より古明地さとり様へ、酒宴の招待状をお届けしたかったのですが…お目通り願いますか?」
私がそう訊くと、少し考え込むネコさん。
と、そこへ…。
「ただいま〜お燐〜!」
黒いカラスのような翼をバサバサと羽ばたかせながら、黒髪の少女が降りてきた。
お燐というのがネコさんの名前かな?
「おや、お空。もう仕事は終わりかい?」
「うん!」
なんというか元気の良さそうな人だなぁ…。
「うにゅ?お燐、その妖精は?」
私と目が合い、首をかしげる、お空と呼ばれた少女。
「紅魔館からの使いだって。お空、さとり様のとこまで案内してやってくれないかい?」
お空さんは、ふぅん…と私を一瞥するも、それ以上は特に気にするでもないご様子。
ともあれ、さとりさんには面会できそうですね。
ただ、お燐さんは意味ありげな笑みを浮かべて
「さとり様の前で、余計なことは考えない方が良いからね」
と、別れ際にそう仰いましたが…どういう意味でしょ?
さとりさんを前にして、あれこれ別のことを考えて話を聞き流すような失礼は許さないってことかな?
これでもメイドの端くれ、そんな失礼はいたしませんよ〜。
そんなことしたら、メイド長のナイフの的にされてしまいます。
お空さんに案内…というか、ズンズン先に行ってしまうお空さんについていってるだけですが…この人、私の存在を忘れてるんじゃ…。
そんなことを考えながら、地霊殿の中を進んでいく。
そして、一番奥にある部屋の重々しい扉を、お空さんはノックも無しに荒々しく開け放った。
「さとり様〜!ただいま〜!!」
元気よく……というか、うるさいくらいの大きな声。
その声に返答するかのように、部屋の奥からため息が聞こえた。
「お空……ドアを開ける前にノックしなさいと、何度言ったらわかるの?行儀が悪いわよ……。そこの紅魔館のメイド妖精のほうが、よほど行儀は良さそうね?」
そう言いながら、部屋の奥から現れた幼さの残る少女。
彼女が古明地さとりさんかぁ…。
見た目は人間の少女と大差ない。違うのは、少女の頭や腕から何やら管がのび、それらがすべて、大きな一つの目玉に繋がっているところか。
まるで目玉の形をしたポシェットでも提げているような姿だ。
「まあ、確かに外見はそんな感じですかね…。これも私の身体の一部ですが…」
部屋の中央にある書斎机の椅子に腰を下ろすさとりさん。
見た目は幼いのに、どこかしら威厳を感じるのは地底の管理者という肩書きのためかしら?
「幼いって……紅魔館のレミリアだって幼いじゃない…」
ああ、そういえばそうでしたね…普段から大人びているお嬢様なので、幼さをあまり感じてなかったわ……………って、私……この部屋に入って一言も喋ってないのに……誰と会話してるの!?
「誰って……私よ?紅魔館の…え〜っと、カヒライスさん?」
目の前のさとりさんは、そう言うと意地悪そうな笑みを浮かべた。
◆騒がしい妖精 〜古明地さとり〜
我ながら、なかなかのサディストだと思う。
私が“心を読む程度の能力”を持つ妖怪だと、紅魔館のメイド長には教えられなかったようね。
少しからかったら、思った通りの反応。
名前を言い当てたところでかなりパニックになってるわ…。
まあ、あまり意地悪をしても話が進まない…というか、来た理由はもうわかっているのだけど…カヒライスが可哀想なので、そろそろ種明かしをしますか…。
「驚かれるのも無理はありませんね…。実は私…心が読める妖怪なので…」
ふむ……とりあえず納得したようですが……代わりに色々と余計なことを考え始めましたね。
思春期の男子などは、私が心を読めると知ると、つい卑猥なことを考えてしまうものですが……ああ…この妖精もなかなかのものですね…えっちぃ妄想が止まらずに右往左往してますよ。
もしかしたら、こんな妄想を見られてるかもと意識すればするほど、ドツボに嵌まるんですよね〜…。
私はもう慣れましたが、子供が見れば教育に悪いことを次々に…。
「色々と考えてるようですが…えっちぃのはいけないと思いますよ?」
この一言がトドメだったようですね。
カヒライスは顔を真っ赤にして思考停止。騒がしかった妖精も、ようやく静かになりました。
「さて……貴女が来た理由は、紅魔館で行われる酒宴への招待ですね…」
魂が抜けたような表情のカヒライスはコクリと頷くと、一通の招待状を差し出してきた。
「ありがたく参加させていただきますね。情報収集にもなるでしょうし…」
カヒライスは心ここにあらずといった表情のまま、またコクリと頷いた。
私の返事を理解できたかはわかりませんが、まあ、大丈夫でしょう。招待状も受け取りましたし…。
「お空、彼女を送ってあげて…。ショック状態だから丁重にね」
「わかりました、さとり様!」
お空は放心状態のカヒライスを抱き抱えると、そのまま部屋から飛び出していった。
忘れっぽいお空に念を押して頼んだけど、その程度で拭えない不安感。
途中でカヒライスを落としていかなければいいけど…。
「パーティーの招待状?」
不意に、背後から覗き込むように人影が現れた。
普通の人ならパニックになるだろうけど、私にとっては、そんなことができる相手は一人しかいないので慌てもしない。
「今回は早かったわね…こいし…」
古明地こいし…私の妹。
いつもは幻想郷中を出歩いている神出鬼没な妹が、久しぶりに帰ってきた。
「ただいま、お姉ちゃん♪」
屈託ない笑みを浮かべるこいしに、私も自然と頬が緩む。
「おおかた、さっきの妖精についてきたというところかしら?」
「妖精がここに来るなんてなかなかないしね。珍しくて…」
そう言いながら、こいしは私が持つ招待状をチラチラ見ている。
私にも、同じさとり妖怪でありながら第三の目を閉じてしまったこいしの心は読めない…が、こいしの素直な性格のおかげで、だいたい何を考えているか察しがつく。
「パーティー……一緒にいく?」
私が問いかけると、こいしは瞳を輝かせて頷いた。
まあ、カヒライスは煩悩が多い子だし、心が読める相手にえっちぃことを読まれるのはお約束ネタなので、条件反射的にえっちぃことを考えちゃってます(^^;
決してエロキャラではない………と思います……多分………(--;)